金剛山〜山上には初秋の風

展望台より。奥が金剛山最高峰(葛木岳)、右の鉄塔の山が
三角点のある湧出岳、手前が大阪府最高峰(1,053m)
平成26年 8月17日(日)
【天候】曇り時々小雨のち晴れ
【同行】単独


 今年の夏はまことに不順。台風の上陸があり、盆前後には停滞前線による集中豪雨が各
地に大きな被害をもたらした。かといって涼しい夏かといえば、例年以上に南方の湿気が
入って、ことさらに蒸し暑い日が続く。バテ気味のとこへ持ってきてこの雨ときて、おま
けに内々の事情も追い討ちするしで、とんと山はご無沙汰だ。

 これではならじと一念発起。久しぶりにでかけたのは金剛山。ここは西の六甲山と並ん
で、初級者から中級者まで体力に合わせて好きなコースを取れるのが魅力だが、現在は体
力に全く自信がないので、超無難な伏見峠コース(峠までは約2km)を歩いて、涼しいだ
ろう千早園地で氷入りのざるそばを食してクールダウン、出来れば三角点まで行ってみよ
うという粗々の算段である。標高差は450m。今の体力ではこんなものだろう。(^^;

 空は所々に青いものが覗く。R309から望む金剛山も時折山頂部に雲がかかるものの
雨は降っていないようだ。鱒釣り場を横目に府道を最奥まで進むと左に府営の駐車場があ
る。600円。千早本道付近より100円高い。(^^; 車は二分程度の入りである。

 駐車場の端に伏見峠登山口への近道がある。階段を下りるとそこが登山口と便利だ。気
温は25℃と下界に比べれば涼しいが、なにせ湿度が高い。横を流れる涼やかなせせらぎ
の音にもかかわらず、歩き始めるとすぐに汗が噴き出してくる。ミゾホオズキの黄色い花
があったので、撮影を口実に早くも小休止である。

 伏見峠コースは園地への荷物運搬にも使われている舗装林道だが、幾つかのバリエーシ
ョンコースが分岐する。有名なのは一度歩いたことがあるがシルバーコースと呼ばれる沢
沿いのコースだろう。また何箇所か湧水があって、一息入れられるのがいい。

 湧水のある小さな広場の上でコンクリート舗装の模様が○印に変わる頃から傾斜が増し
て一本調子になり、最も苦しいところ。念仏坂とはこのあたりのことを言うのだろうか。

 10m進んでは立ち止まり、また10m進んでは汗を拭きを繰り返していると、ようや
く木立の向こうに空が垣間見え始める。左の林からなんだかスピーカーの音が聞こえてく
ると傾斜も落ち着いた。

 伏見峠まで焼く1時間弱。まあ平均的なペースだろうか。しばらくダイヤモンドトレー
ルを進んで展望台に上がる。岩湧山、三国山方面の和泉山脈に雲はないが、大峰方面は残
念ながら雲の中である。小雨がぱらついてきた。慌てて展望台を降りてロープウェイ駅方
面に下る。林の中なので雨は防げる。ツリガネニンジンが咲き始めており、1000mの
高地は早やなんとなく初秋めいた雰囲気がある。

キャンプ場付近に咲いていたフシグロセンノウ
 ロープウェイ駅から野草の道をゆるゆると登る。咲き残りのクサアジサイくらいでめぼ しい花が見つからなかったのだが、唯一、フシグロセンノウがその朱色で彩を添えてくれ る。そのうち、スピーカの音がだんだん大きくなってくる。香楠荘の前でフードファイト と銘打ったイベントが行われていたのだった。今しも、ざるそばを前にした子供が神妙な 顔をして、スタートの声をまだかまだかと待っていた。  灰色の雲も流れて陽射しも出てくる。遠地のベンチに座ってこちらもざるそば。出汁に 持参の氷を放り込んで冷えたところでつるつる。ああ、美味い。ついでにサラダ巻も戴く。 食後は熱いコーヒー。  展望台やロープウェイ駅の分岐を左に見て再びダイヤモンドトレールを辿ると、尾根の 上を行く小道がYの字に分岐する。道標に大阪府最高点とある。少し距離がありそうに思 えたが、何のことはない20m足らずで土俵みたいに円形の小高い切開きがあって、そこ が最高点だった。標高点ではないが高さ1053m。京都府の最高峰より高いのだ。(笑) 但し、展望は全くない。
まことにあっけなく大阪府最高峰(1,053m)へ
 以前は笹のブッシュだったようだが綺麗に刈り払われて、さらに西方向も帯状に刈られ たような跡がある。将来、キャンプ場の遊歩道でもつけるのだろうか?  トレイルにとって返して登り基調の道を葛木神社方面に進む。10分ほどで葛城四十八 宿第二十一番経塚、湧出岳の道標が出る。健脚向きとあるが高度差は50mばかり。所要 も10分程度とあるから、運動不足のこの身でも大丈夫だろう。(^^; 
湧出岳への登路。北からアプローチした方が楽だ
 左右から被さった笹が鬱陶しいが、深く洗掘された小道は明確だ。ただ、濡れているの でマムシがとぐろを巻いてやせぬかとそればかりが気がかり。幸い長物は現れず、周囲が 植林になると笹も消えて傾斜も緩み歩きよくなる。すると左手に電波塔の建物が姿を現し、 更に関電の電波塔が現れた先に展望塔と書かれた鉄骨建造物。その向かいに経塚があって、 マムシグサが一本、手向けられたように塚の前に生えている。一等三角点は経塚の向かい 側15mほど小道をつたった小広場にある。今回はどういうわけか三角点は頭になく、見 過ごしてしまった。(^^;  ところで展望塔とはなんぞや。そもそも『展望塔保存会』なる団体の手によって立入禁 止にされているし、今までトンとこれを登ったという話しも聞いた事がない。調べてみる と、金剛山周辺の市町村が戦前に共同で建てたものらしく、400燭光(だったと思う) の明るさを持つ発光設備を備えているという。1燭光≒100W電球の明るさと考えて差 し支えないから、大体100W電球400個分とすれば周囲からはよく目立つだろう。そ ういえば、未だ明けやらぬ早朝、奈良側の山麓線を車で走っていて山頂にまばゆいばかり の明かりを見つけて何だろうなといぶかしく思ったことがあるが、正体はこれだったのだ。  下山はそのまま北の方向へ。こちらは軽四輪も入って来れそうな一間幅の道。5分も下 れば見返り不動のまん前に出る。もう1kmもないので国見山方面まで行こうかとも思った がここはすんなり踵を返すことにした。  ブラブラと来た道を戻る。イベントも終わったようだ。静今朝を取り戻した林。久々に 秋を思わせる抜けるような青空が一部の白い雲の間から望めた。  翌朝、懸念された筋肉痛は幸いにして出ない。ただ、腿の付け根に少し痛みがあったの がブランクの証だろうか。軽い山歩きだったけれど、それにしても少々安心したのだった。
【タイムチャート】
08:50自宅発
10:10〜10:16ロープウェイ駅駐車場(駐車地)
10:20伏見峠登山口
10:48〜10:49最後の水場のある広場
11:05〜11:10伏見峠
11:15〜12:40千早園地付近(昼食)
12:46〜12:47大阪府最高点(1,053m)
12:50湧出岳の南の取付き
12:58〜12:59湧出岳(1,111.9m 一等三角点『金剛山』)
13:02湧出岳北の取付き
13:28伏見峠
13:58伏見峠登山口
14:01ロープウェイ駅駐車場(駐車地)



金剛山のデータ
【所在地】大阪府南河内郡千早赤阪村、奈良県御所市
【標高】 1,125m(葛木岳)
(一等三角点『金剛山(湧出岳)1,111.9m』)
【備考】 大阪府と奈良県の県境にあって大阪府の最高峰で、金剛
生駒紀泉国定公園に指定されています。大阪全域から葛
城山と並んで望むことが出来ます。山上に香楠荘があり
宿泊も可能です。近鉄富田林駅、南海河内長野駅からバ
ス便があります。
【参考】
金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図



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