最近トンと山にはご無沙汰。行けば気持ちがいいのは分かっているのだが、早朝出かけ
るにはまず一念発起が必要。その障壁は年々高くなる。(笑) おまけにこの蒸し暑さに腰
はますます重くなる。この三連休も大気が不安定、ゲリラにわか雨の恐れを口実にそんな
体たらくだったのだが、梅雨明けの海の日は流石にそういうわけにもいかない。少しは歩
かねば足腰がなまってしまう。(^^;
とはいってもグダグダしていた罰でもう遠出は難しい10時過ぎ。おまけに3時までに
は戻ってこいとの家人の指令。必然的に行き先は近場になる。というわけで出かけた先は
川西の雨森山。標高400m足らずの里山である。
一庫ダムを過ぎてR173を北上すると龍化吊り橋の案内が現れる。それに従って右の
脇道に入り、500mも走れば大路次川に架かる木製の吊り橋が見えてくる。橋の袂の路
肩が広まった部分には先行車が3台ばかり。大方、釣り客の車だろう。木陰に車を止めて
歩き始める。まずは吊り橋を渡り対岸へ。長さ約50m。耐久性の強い輸入材で出来た木
橋は結構揺れる。
眼下、大路次川の岸に遊歩道が見える。と、川が大きく左にカーブする岩の鼻に洞穴が
ある。一庫ダム湖(知明湖)の水位が下がったときに顔を出す旧R173の龍化隧道だ。
これは帰りは寄ってみないと...。(^o^)
吊り橋からゆっくり10分程度で雨森山の東登山口。案内板によれば、標高160m。
雨森山が384mだから標高差200m強。山頂まで40分とある。登山届やパンフレッ
トの置かれた木製ポスト。開けてみたが空っぽである。
この東側の登山口が出来た当座登ったことがあるが、余程道は広くなっている。作業服
を着た小父さんが熊手を持って道の整備。「沢山車が止まってるが」と尋ねるとボランテ
ィアで山の整備をしてるんだとか。別れて折り返すように登っていくと、すぐに近道コー
スとの分岐が現れる。急だとあるがこちらを選択する。コナラ、ミツバツツジ、ホオノキ、
ネジキなど、里山の二次林風景。人工林が全くないのがいい。雨森山の北側、経堂の空と
の谷筋には確か炭焼窯跡があったように思う。ずるずると滑る乾いた土の斜面があるが、
立ち木を手がかりに体を持ち上げていく。やがて現れた桜の道との分岐で右の通常コース
方面へ向かうと、第一広場と呼ぶのか林間の台地で、さっき小父さんが話していたボラン
ティアの人達が食事中である。
再び近道コースを採る。山腹を水平に巻くように南に廻る。途中に知明湖に架けられた
りんどう橋方面が眺められる展望地がある。長椅子が置かれているので一服。顔の汗を拭
う。
水平道は支尾根に出た所で一気に上り基調。といっても適当にジグが切ってある。やや
踏み跡が不明瞭なところもあるが問題はない。通常コースと合流したのは緑のフェンスの
手前50m位の所だろうか。立ち木に日生中央方面と案内標識がある地点。下山時にこち
らの近道コースを採るのは、案内がないのでちょっと判り難いだろう。
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山頂方向から振り返る。左が正規ルート
右手の近道ルートから登って来た |
丈の低いミヤコザサの中に綺麗な小道が続く。左にフェンスを見てやや下って登り返す。
山頂はもうすぐだ。
山頂広場には案に相違して誰もいない。六甲から日生ニュータウンの全貌が見渡せる西
側から涼しい風が吹き上げてくる。大きなホオノキが数本。そして天狗の団扇のようなハ
リギリ、クヌギにアベマキ。典型的な広葉樹林に囲まれている。東も一部が開けて、大路
次川の向こう側のゴルフ場の奥に妙見山と高代寺山が眺められる。
丸太のベンチに座って、この時季の定番、ざる蕎麦といなり寿司のセット。テルモスに
水と一緒に放り込んだ氷を漬け汁にと思ったが、氷が少なかったのか融けて跡形もなかっ
た。(^^;
雨森山はもともと「あまもりやま」と呼ばれていたが、麓に日生ニュータウンが造成さ
れた頃、新築の家が建つというのに「雨漏り」とはいかがなものかと「あめがもりやま」
に呼称が変えられたという話を聞いたことがある。もとより真偽のほどは定かでない。が、
それがあらぬか、俄かに空がかき曇ってざわざわと木の葉を叩く音がし始めた。雨だ。地
面のアリの動きも慌しくなってきた。広げた品物をザックに慌てて仕舞い込む。折り畳み
傘を携行しているのだが、幸い樹林帯が傘の役目を引き受けてくれ、あまり濡れる心配も
ない。
近道コースの分岐を過ごして大手道で下山。といってもジグザグ道のこちらもなかなか
急な箇所がある。ボランティアの方々のザックがぶら下がる第一広場を過ごすと、林道風
の地道。R173を通る車の音が大きくなってくると、樹間から圓山大橋だろうか、赤い
鉄橋がちらりと見えてくる。折り返すと近道コースの分岐はすぐ。更に下ると、ボランテ
ィアの人と土嚢を10袋ほど積んだ作業車が上がってきて、登山口の標識が見えた。
雨は上がったようなので、大路次川沿いの遊歩道に降りてみる。階段入口に「マムシが
出ました。注意」の立て札を見つける。「マムシが出ます」より信憑性があって少々不気
味。わざと階段を音を立てながら下りる。水没時は立入禁止の遊歩道も考えてみれば実に
変わっている。だから周囲の雑木に最近増水した痕跡はないものの、上流の夕立で急に増
水しはしまいかとあらぬ心配をしてしまう。びっくりしたのか、対岸の州に居たチュウサ
ギやカワウがバタバタと飛び上がる。
わざわざ龍化隧道へ来たのは実は2回目。ここから南の圓山隧道と共に昭和52年まで
丹州街道(R173)の施設として供用されていたという手掘りのトンネル。昔、筆者も大
路次川に泳ぎに来たことがあるので、その時バスで潜ったとすると都合3回である。但し、
どこで泳いだかは覚えていない。もっと下流だったのかもしれない。
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S52まで使われた旧R173の龍化隧道
手掘りのトンネルだ |
全長約20m、鑿の跡も鮮やなトンネルは、某篤志家が私費で掘削したらしく、その記
念碑が直上の湖の取付け道路脇に置かれている。(下流の圓山隧道の銘板も現R173沿
いに残されているとか)現在は機械で一日に10mも掘り進むというからほんの数日で貫
通してしまうけれど、当時の工期はいかばかりだったのだろう?
トンネルを潜り抜けると吊り橋が見えてきた。その吊り橋に一番近い取付け階段を上が
る。ボンゴシという聞いたこともなかった西アフリカ産の木材で造られていると説明にあ
る。渡ると結構揺れるのだった。
車着、午後1時35分。3時には間に合うだろう。(^^;
【タイムチャート】 |
10:45 | 自宅発 |
11:40〜11:45 | 龍化吊橋(駐車地) |
11:57 | 雨森山登山口 |
12:00 | 山頂近道分岐 |
12:22 | 一般道出合 |
12:28〜12:53 | 雨森山(384m 三等三角点『内馬場』) |
13:15 | 雨森山登山口 |
13:35 | 龍化吊橋(駐車地) |
※画像はタブレットで撮影。結構綺麗に撮れるものです。
雨森山のデータ |
【所在地】 | 兵庫県川辺郡猪名川町 |
【標高】 | 383.7m(三等三角点『内馬場』) |
【備考】 |
日生ニュータウンの北に延びる山稜の一峰です。民有地
から猪名川町に管理が移管され、『内馬場の森』として
整備されました。山頂広場からは六甲方面に日生ニュー
タウン、妙見山や高代寺山といった北摂の山々が望めま
す。 |
【参考】 | 2.5万図『妙見山』 |
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