天下台山〜またシダの海を漕ぐ

岩屋谷コース途中の東屋から見る東尾根コース

平成25年 9月29日(日)
【天候】晴れ
【同行】別掲


 最近は天候も極端が多い。例えば先日の台風18号。それ自体は大した台風ではなかっ
たのであるが、秋雨前線を刺激した為に大雨が降り、各地で浸水、土砂崩れなどの被害を
もたらした。その影響で今月の山の会の例会も当初の近江の飯道山から播磨の天下台山に
方向転換を強いられることとなった。天下台山は今年の春に一度訪れたことがあって、バ
リエーションルートで羊歯の海を泳いだのが印象に残っている。今回はらくらくコースで
行きましょうということなので安心していたけれど、なんのなんの。やっぱり少々、羊歯
の海を漕ぎ渡ることになりました。(笑)

今回の基点は天下台山の北にある岩屋谷公園。北尾根コース、東尾根コース、岩屋谷コー
スなど、天下台山へ登る北の重要ポイントになっている。山陽道の竜野西ICから降り、
R2に出て岩屋谷公園を目指す。公園への指示標識が小さいので見落とさないように。要
はR2に出たらパチンコ店のある那波野東の交差点を南下し後は道なりに行けばよいのだ
が、住宅街は道が狭いので注意がいる。公園にはダムからの川沿いに10数台は駐車可能
な駐車場がある。何か行事があるのか八分目程度に埋まっていたが、東尾根に登っている
最中に運動会の声援が聞こえていたから、その父兄の車だったのかもしれない。

 目の前に往路にとる東尾根コースのアップダウンが見えている。因みに東尾根は岩屋池
の東側もしくは天下台山北尾根の東側の尾根という意味らしい。空気は乾燥して爽やかな
ものの、直射日光はまだまだ厳しい。らくらくコースだろうと一人合点していて水は50
0ccしか持参してこなかったのがひょっとしたら悔やまれるかも。そんな思いが頭を掠
めたが、それが現実になるとは。(^^;

岩屋谷公園のトイレ横が東尾根コースの取付き
小さな私製プレートが樹にぶら下げてある
 準備を終えてまずは取付きへと公園の中へ。トイレの建物の横から奥の薄暗い林の中へ 小道が通じている。これが東尾根コースの入口だ。踏み込むと入口で感じたよりしっかり した道なのは高圧鉄塔の管理道だからだろう。ジグザグを切りつつロープも設置された露 岩の急登を一気に突き上げると相生支線bP4の鉄塔下に出る。向かいは復路に使う予定 の、所々露岩が顔を出す天下台山の北尾根。麓の箱庭のような街並みを山陽新幹線がスピ ードを上げて走り去る。風に乗って運動会のプログラムを告げるスピーカー音が聞こえて くる。  鉄塔を過ぎると小道はしっかりはしているが踏み跡程度に狭まる。両脇からコシダがか ぶさり、ノイバラ、サルトリイバラの棘やネズミサシの尖った針葉が煩わしい。下山後、 確かめたらズボンにはあちこちホツレが出来ていた。低山にはブランド物の高価なものを 着てきては駄目、某○○クロで十分です。(^^;  再び潅木帯を縫う。風が通らず一気に汗が噴出す。そこが稜線だろうと期待すると更に 高みがある。低い割に結構登りがいがある。それでも一気に70mばかり高度を上げると さしもの急登も終わりを告げる。稜線と思ったのはCa170mのなだらかな高みで、P2 20から北北西に伸びる尾根だ。前方にはこんもりしたCa210mのピーク。  相変わらず風は通るような裸地もなく、暑いの何の。本当に彼岸過ぎなのと疑いたくな るくらい。まあ空気が乾燥しているので梅雨時よりましだけれど。水は500ccしか持 参していない。節約しなくっちゃ。  登ってみると何の変哲もないCa210m山からやや大きな下り。しかも尾根が東方向に 向かう為、ようやく見え始めた天下台山が近づいてこない。ちょっと疲れる。(^^; 助か ったのは深く見えた鞍部が意外に浅かったこと。但し、鞍部ほど羊歯は繁茂し、ウラジロ が主となると高さも背丈ほどになってうっとうしい。
東尾根コース途中から天下台山
 P220は相生市と姫路市の市境をなす。ここまで登山口から一時間強。天下台山まで ほぼ半分の行程といったところか。距離の割に時間がかかった。ここで那波野の若宮神社 からの踏み跡と合して踏み跡はようやく南へと方向を変える。ソヨゴ、勢いのない赤松、 前回登った時にも思ったことだがヤマモモが多い。その間を幅の狭い踏み跡が入り組んだ 尾根上をうねって行く。時折、古く色褪せた赤テープが細い潅木の幹に巻かれており、迷 う心配はあまりないが、周囲が見渡せないのでどの辺りが見当がつけにくい。相変わらず というか羊歯の勢力が強い。太陽光線が当たるとモワッと粉のようなものが立ち上がるの が分かる。そして、今日は誰も通っていないのか女郎グモの巣が頻繁にあり、顔にまとわ りついて暑さを倍加させる。もっとも小生は最後尾なのでその点は安心なのだが...。(^^; しかしこの時季、クモはまだしもスズメバチが怖いのだけれど、幸いアブらしき羽音を一 度聞いたのみであった。
東尾根コース途中から天下台山
 再び、右前方に反射板を戴いた天下台山が見え始める。要するにこの東尾根コース。直 球で天下台山に向かわずに、大きいカーブかスライダーで向かっているようなもの。しば らく歩いても反射板の方向が変わるだけでその大きさは余り変わらないのだ。それでも、 P220を越えると大分、反射板も大きくなってきた。  先ほどまでとは異なって、常緑樹が優勢な緩斜面の登りに入る。人一人が通れるほどの 空間があって、棘のある植物に悩まされずに済むと思うとは歩が進む。100mばかりで 東西に走る明瞭な踏み跡と出合う。赤白ポールなどがあってなんだか見覚えがあると思っ たら、プレートがあって前回訪れた際に休憩したP286である。前回はここを東進して 旧揖保川町の黒屎池方面に進んだのだった。天下台山まではまだ小一時間はかかりそうな ので、12時も過ぎたこともありここで食事タイムとする。誰も通らないとは思うが、こ こはエチケット。ルートの上は避けて、そこからやや入った木々のまばらな場所に陣取る ことにした。  30分ばかり大休止して続き。ここからは前回歩いたルートを逆に歩くのだが、季節も 違うこともあってかなんだか記憶とイメージが違う。こんなところ通ったかな?しかし、 P286のピークの西斜面を下って、天下台山の台形状の全貌を見、山の中の平坦な箇所 に出て、新道と旧道の別れを示すプレートを見て思い出した。  ダイセル播磨線bVの高圧鉄塔下に出ると、後は関電巡視路。とはいえ、今日は誰も歩 いていないのかクモの巣は相変わらず。馬場坂地蔵への道と合して、やがて岩屋谷コース の本道に出る。ツリガネニンジンが一株、九十九折れに緩やかに登る道端に咲いている。 ヤマハギも花をつけ、まだまだ暑いとはいってもお山はやはり秋の風情である。つづらを 登っていくとまもなく山頂の岩が見えてきた。
天下台山山頂を南から
 水戸大神の磐座と思われる大きな露岩が目立つ天下台山の頂上は合流してから10分足 らず。その上は360度遮るものはない。視界がよければ大鳴門橋から四国まで見えると いうが、今日はせいぜい小豆島まで。とはいえ、家島群島や相生湾の入組んだ入江、赤穂 や牛窓方面まで見渡せたのだから了とせねば。ただ、トーチカ型の案内図には島や橋の名 前はあっても山の名前が書いていないのがトレッカーには物足りない。  山頂で一息入れた後、Gさんの足の具合も今一だし、小生含めて他の皆さんも諸事繁多 で最近山歩きがご無沙汰の様子。北尾根で下山の予定を変えて、今度こそらくらくコース の岩屋谷コースで下ることにする。ツリガネニンジンが揺れる往路を戻って、谷コースと 合流した石仏コースの道を右に過ごす。整備された道があるとこんなにもスムーズなのか。 道の有難みが身に沁みる。(笑) あっという間に東屋に出る。ここで小休止。左に北尾根、 右に往路に登った東尾根コースのアップダウンが見渡せる。暑い最中、よくもこんな低山 を歩いてきたものだ。(笑)  階段道が尽きると山間の林道となり、それは堰堤工事の取付け道路だったらしい幅の広 い舗装路にとって代わる。岩屋池が右手にあるはずだが水面がはっきりしない。更に下っ て池の側の告知板で分かったことだが、改修工事で水が抜かれているとのことであった。 後はもう淡々と歩くだけだ。虫取りらしい親子連れ、東屋で憩うグループのみの静かな公 園。遠くでまだツクツクボウシの鳴き声が聞こえてくる。  駐車場の車も数台に減っている。時刻は14時過ぎ。この分なら宝塚西トンネルの渋滞 にも巻き込まれずに帰れよう。思いの他、時間を要した東尾根コースでの天下台山。今の 小生にとってはちょうどいい運動量だったようで、おかげでその夜は珍しく6時間近くも 途中覚醒せず寝ることができた。皆さんありがとうございました。

【タイムチャート】
08:30
千里中央駅(集合地)
10:18〜10:22岩屋谷公園駐車場(駐車地)
10:27東尾根コース登山口
10:36高圧鉄塔(相生支線bP4)
11:40P220
12:03〜12:33P286(旧揖保川町コース出合)(昼食)
12:55〜13:00高圧鉄塔(ダイセル播磨線bV)
13:05 地蔵コース出合
13:07岩屋谷コース出合
13:15〜13:30天下台山(321.4m 二等三角点『相生』)
13:50〜13:55東屋
14:21
岩屋谷公園
14:28岩屋谷公園駐車場(駐車地)
■同行 呉春さん、水谷さん、もぐさん(五十音順)
天下台山のデータ
【所在地】兵庫県相生市
【標高】321.4m(二等三角点『相生』)
【備考】
 相生市街の東にあって市民の山として親しまれる山で
す。山頂は天下台と名付けられただけあって、文字通り
全方向を睥睨できます。東西南北から多くのコースがあ
りますが、マイナールートの中にはシダ等が繁って歩き
難いコースがあるの低山といっても注意が必要です。
尚、ガイドについては『とんび岩通信』
が推奨です。
【参考】
2.5万図『相生』『網干』




山頂からのパノラマ
 
東方面 姫路市街の向こうに高御位山や明神山が認められる
西方面 相生湾から瀬戸内海の風景が美しい

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