羊歯の海掻き分けて天下台山

古池コース途中から天下台山(中央)
平成25年 3月17日(日)
【天候】晴れのち曇り
【同行】別掲


 山の会の3月の例会は青春18きっぷを利用して一寸遠征し、相生の天下台山。40
0m足らずの低山だが、瀬戸内海に近く風光明媚で四方から登山道があって相生市民に
親しまれている。普通ならそのメジャールートを辿るのであるが、そこは名うてのSR
C。マイナールートを選択。大人の背ほどもあるシダと格闘しながらの登山となったの
でした。

 8時、大阪発の新快速に乗り、姫路で乗り換えて相生着は9:29。相生駅前といっ
ても南側にはコンビニさえもない。弁当は途中で調達することにしていたから、これは
やばいと慌てて駅構内の売店で弁当を買う。(もっとも古池の住宅地の幹線道路沿いに
ローソンやTSUTAYAがあったのだが...(^^; )

 今日はどこから登るか聞いていない。が少なくとも所謂メジャールートではなかろう。
確認するにも、地図を持ってきたはずだが途中で落としたようだ。(この日はインケツ
ってやつで、地図以外にコンパスは落とすわ、幸いすぐ発見したけれどカメラを入れる
巾着袋を落とすわで散々だった)まあ、地図は他のみんなが持っているので安心だが。

 駅から南東方向へ20分ばかり歩いた古池の住宅街。確かに大きな池があった。古池
延命地蔵尊の祠がある四辻で、ささゆり苑という斎場方向に折れ、、すぐの道を左折し
て山際に寄ると、コンクリ堰堤に出くわした。古池登山口と細やかな私製標識もある。
今日はここから登るのか。小生、のんきなものである。

古池コース取付き

 流石に瀬戸内の暖かい気候の恩恵を受ける低山。ヤブツバキなどの常緑樹が多い。や
や薄暗い中に積年のうず高い落ち葉に埋もれた古そうな踏み跡が谷沿いに続く。これも
古い砂防堰堤を見て、右に曲がって谷筋から離れる。下から掛け声が聞こえてくる。近
くの高校からの様である。

 今まで落ちで滑るものの歩き易い路だった。一転、シダに覆われた洗掘された道に変
わる。見れば、日の当たる場所はウラジロやコシダが至る所繁茂して踏み跡を隠してい
る。間もなく、北尾根や、ササユリコースへの十字路分岐に出てシダの海は一応解消さ
れたのだが(横切っているのが関電の巡視路ということなので当たり前か)、この先、
何度となくシダの海に難渋することになるとはこの時点で全く知る由もないのである。

 直進してササユリ苑コース方向へ歩を進めるが、また踏み跡が判り難くなってきた。
というよりシダが行く手を隠しているのだ。掻き分けると明快な踏み跡が見つかるし、
雑木の枝を払った跡もあるので手入れはされているようだが....。肩まで繁るシダの海。
下が見えないので木株や石などがあっても分らない。えらいこっちゃ。(笑)

こんなシダの海が待っていた

 岩場に出て一息つく。西方向、更に前方には東屋や反射板を頂く山が現れた。反射板
のある方が天下台山。そこへ取付くにはちょっと深い鞍部を上下せねばならないようだ。
300m一寸の低山なのになかなか懐が深い山である。

 えぼし岩のある253m峰を巻いて行くとささゆり苑コースとの出合。直進して岩が
ちの山腹をへつりながら進む。北尾根ショートコース(これもちょっとヤブっている)
と交差して、その先、鞍部目指してシダ原を下る。この辺りが一番シダの海が深かった
のではないか。鞍部を過ぎて登りにかかってもシダは深い。早春の時期で良かった。暖
かい時期だったら、巷で噂のマダニに気を付けないといけないかも....。(~~;

こんなシダの海がまだまだ続く

 南へ南へと悪戦苦闘は続く。さしものシダの海も浅瀬にがなってきたらしい。(笑) す
ると、右手の林の奥に何やら赤っぽい棒状のものが放置してあるのが見えた。何か工事
用具か大型ごみ放置してあるのではといぶかしんでいると、踏み跡は自ずからそちらに
向かう。と、唐突に水戸大神参拝道の白い標識、ついで立派な道に飛び出した。すぐそ
こには長命水の手水鉢代わりの岩だ。東部墓苑からのメインルートに飛び出したのだっ
た。先ほどの赤っぽいもの。実は長命水の向かいに立つ、水戸大神の人の腰くらいの高
さの可愛い鳥居だったのである。額には水戸長命水とある。それではということで長命
水を一口含んでみる。癖のない水である。

ちらちら見えてた赤い物は
水戸大神の可愛い鳥居だった

 大手道は軽四輪も通れるような路である。次々とハイカーが上がって来、中には犬を
連れた人もいる。正直、今までの苦労は何だったの?思わず浮かんだ感想である。単独
で初見参なら多分メインルートを使っていただろう。経験者と来るとこれだから面白い
ことも事実だ。(笑) 大手道を進んで東屋方向に折れ、東屋ピークとの分岐に置かれた
ベンチで小憩。山頂へは大手道の横に作られたショートカット道を採る。ベンチから見
えた岩場の横を通る道だ。ショートカット道と行っても山頂付近が割になだらかなので
それほどしんどい路ではない。10分足らずで山頂だ。しかし、時計を確かめると登り
始めてから都合2時間ほども要している。300m程度の山なのに侮れない山である。

磐座と思われる大きな露岩が目立つ天下台山山頂

 あちこちのコースから登ってきた10人程度の先客がいる。山頂は南北に長く、細い
松が疎らに生える。露岩がごつごつした南側に山名板や三角点が置かれている。水戸大
神の石柱があるので露岩は磐座かもしれない。その岩の上からは低山ながら文字通り全
方向に視界が広がる。以前登った尼子山や雄鷹台山、坂越の山々、龍野の新龍アルプス
等も見えているのであろうが、如何せんこの辺りは不案内だ。すると下から大勢の話し
声が聞こえてくる。さっきまで我々が居たベンチから団体さんが上がってくるようであ
る。こちらは場所を譲って北側の反射板の傍の日当たりのよい場所を占めて昼食とする
ことにした。

 山頂に詳しいハイキング地図案内があったけれど、下山は東尾根方面へ向かうとのこ
と。南北に長い山頂のほぼ中間地点から東側へやや急な斜面を道標に従って下りていく。
岩屋谷公園まで2.3km35分とあるが、「ん?」どこなんだという感じ。(笑)

東尾根コース途中から見た跳び箱型の天下台山
西から見る姿とは大きく異なる

 まもなく岩屋谷コースから離れて、東尾根・野瀬奥山、馬場坂地蔵方面に進む。関電
道なので笹が刈られたりして良く手入れされている。更に地蔵道から分かれて東方面に
進む。またマイナーコースでシダ攻撃に遭うのかと身構えるが、Pさんによるとそんな
ことはないとのことだ。(安心)。すぐに高圧線を横切る。鉄塔はダイセル播磨線bVの
表示がある。この辺りはなだらかで左手に跳び箱のような天下台山の全体像が眺められ
る。西側から見る姿とは大分様子が異なる感じである。その平坦地をくねくねと蛇行し
ながらおおむね北方向へ進んで行く。やがてややきつい登りをこなすと286m標高点
峰。東尾根コースと黒屎池コースとの分岐点だ。但し、林の中で見晴らしは皆無である。

 原不動滝への分岐を過ごす。黄色いプラ杭が行先を先導してくれるのは、相生市と旧
揖保川町との市町界を辿っているからだろう。ヤマモモの木が多い。以前、紀泉の国境
を和歌山方面へ降りた時もヤマモモが多かったが、ここのあるのも大木が多い。自然木
なのか飢饉に備えて人が植えたものか。どうであろうか。

 急な下りもなく、高度も200mを割ってしばし、そろそろ飽き始めた頃、突然、パ
ッと林道出合に飛び出した。いやあ、思ったより長かった。施設道標があって、林道を
南は『馬場・黒屎池』、北は『原・大正池』。直進するいい道もあって『亀岩・展望台』
とある。Pさんに聞くと黍田富士方面へ出られるのだとか。但し、『原・大正池』へ直
接行くより1時間以上余分にかかるのだそうだ。で、今回はカット。

名前が可哀そうな黒屎池

 本当に黒屎なのか?南へ100mほどにある池に寄って行く。畔に出る。山中の静か
な池の青緑色した静かな水面は思ったより綺麗で透明である。黒屎池なんて誰が名付け
たのだろう。取って返して北へ進み、二つ目に現れた池の方がよほど真黒な水面で、黒
屎池と呼ぶに相応しい感じがしたのだった。もう一つ、最初に現れた水の涸れた池は、
枯れた木が池の底から林立していて、よほど上高地の大正池らしかった。(笑)

 下るに従って林道は幅広となって、やがて前方に田畑が広がり、原の集落が見えてく
る。その手前、新幹線があっという間に通り抜けていく。新幹線の高架を潜り右に折れ
る。旧街道の宿場のような面影を残す原の集落を抜けて、黍田富士を右手に、新龍アル
プスの的場山を左前方向に見ながら、揖保川町のJR竜野駅まではおよそ小半時の道の
りであった。

 月例会で全員、公共交通機関利用の時は...。そう、ただでは帰らない面々が揃っ
ている。というか、近頃は女性陣の方が熱心なのだ。(爆) というわけで梅田界隈で引
っかかって、白い泡を吹く黄金色の液体で喉を潤したことは言うまでもない。が、羊歯
漕ぎの後遺症はその後に出た。帰宅して風呂に入るとえらく沁みる箇所が多い。酔眼で
も小さな擦過傷が脛や腕のあちこちにあるのが分る。低山ながら侮れず。それだけに天
下台山は面白い山であった。幹事のPさん、同行の皆さんありがとうございました。



【タイムチャート】
08:00JR大阪駅
09:30〜09:40JR相生駅
11:07〜11:10古池登山口
11:23〜11:27北尾根・ササユリコース分岐の十字路
11:34〜11:36北尾根。長命水コース分岐
11:39〜11:42長命水
11:51〜11:55ベンチのある東屋分岐
12:03〜12:39天下台山(321.4m 二等三角点『相生』(昼食))
12:55高圧鉄塔(ダイセル播磨線bV)
13:11〜13:16286m峰
13:29ヤマモモの木のあるピーク
13:56林道出合
13:58〜14:00黒屎池
14:25〜14:30大正池
15:05JR竜野駅

■同行:呉春さん、たらちゃん、みずさん、pikkuさん、sachiさん(五十音順)


天下台山のデータ
【所在地】兵庫県相生市
【標高】321.4m(二等三角点『相生』)
【備考】
 相生市街の東にあって市民の山として親しまれる山で
す。山頂は天下台と名付けられただけあって、文字通り
全方向を睥睨できます。東西南北から多くのコースがあ
りますが、マイナールートの中にはシダ等が繁って歩き
難いコースがあるの低山といっても注意が必要です。
尚、ガイドについては『とんび岩通信』
が推奨です。
【参考】
2.5万図『相生』『網干』



■天下台山GPS軌跡   古池コースから東尾根、黒屎池コースの組合わせ
(罫線は10秒=約300m国土地理院電子地図サービス、フリーソフト『カシミール』を利用しました)

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