大岩岳〜千苅ダムから東尾根周回

東大岩岳から見る大岩岳
平成25年 2月24日(日)
【天候】雪のち晴たり曇ったり
【同行】別掲


 2月の定例オフは北摂の手頃ポイント、大岩岳周辺。400m足らずの低山帯だが、兵
庫県の所有地で神戸市の水源だけに開発が禁止されているので雑木林が良く残され、冬場
に怖いハンターもこない。アプローチもいいし我々にとって嬉しいフィールドである。

 今年の冬は寒い。北日本は最大級の寒波襲来なのだそうである。7時半、豊中でも雪が
舞う。能勢方面も六甲方面もすっぽり灰色雲の中である。西宮北ICを下りてR176を
北上すると、辺りが薄い雪景色に変わってくる。一時はワイパーが必要になるほどのにわ
か雪。幸い、凍結するほどの寒さではなく、集合地のJR道場駅へ向かう途中の武庫川に
架かる橋の上も水溜り。とはいえ、雪嫌いの小生にとっては雪雲が一刻も早くさっさと抜
けてくれることを祈るばかりだ。(笑)

 かねて手を上げていたメンバ全員が定刻通り揃ったところで、出発点の千苅ダム駐車場
へ移動する。道場駅で集まっていた鳥見らしいアノラック姿のグループは百丈岩方面へ向
かったらしく、我々以外に先行者はいないようだ。準備を整えてダム施設と波豆川との間
の狭い道を進んでダム直下へ出る。二週間前に来た時と同様に、ダムの堰堤を溢れた水が
放流されている。ダムの障壁は白い水の幕。右手のトンネルからほとばしった水は滝にな
り轟音を立てている。水量は二週間前より多いようである。

水溢れる千苅ダムは壮観(2/10撮影)

 取付橋を渡る。兵庫登山会の大岩岳まで2.5kmの標識がある。波豆川左岸を200m
ばかり戻り、何かの大きな換気口を目印にして左のフェンス沿いに登る。神戸市水道局を
示す『神水』のコンクリ標識が立つ小さな沢を渡り、右に沢谷を見る頃、雪が本格的に舞
い始めた。風もあり、しんしんとした寒さではないので積もることはなさそうだが、辺り
が暗いのは心なしか気分が乗らないものである。

 上がっては下がるほとんど高度を稼がない道が続く。谷沿いに大岩岳にアプローチする
道を右に過ごし直進する。『山の友ここに眠る』とか書かれた小さな慰霊碑がある。左手
に姿を現したダム湖の水面も雪を吸い込んでどんより黒い。

 ようやく洗掘された山道が斜面を登り始める。やがてY字路。幾つかテープが巻かれ、
注意深く見ると左は大岩岳北尾根や清之瀬橋方面と小さな私製プレートが梢にぶら下がっ
ているのに気付く。そこから傾斜が厳しくなり、一気に高度を稼ぎ始める。気が付くと雪
がやんで、振り返ると視界が広がって対岸のゴルフコースのグリーンや向山が眺められる。
雲間から青空が覗いて日が射し始めた。万歳ッ! (^^;

 道が東に向きを変える頃には顕著な尾根を歩いていることがわかる。深さは3cm程度か。
前夜の雪が残りコシダが茂る小さなピークを抜ける。馬酔木やヒサカキには寒さにめげず
蕾がびっしりついている。そう、もうすぐ待望の春である。

 二週間前に昼を食べたCa360mの偽ピークを抜ける。山頂が少し平らになった大岩岳
が眼前にある。山頂の白い標識もよく見える。それを目指して一旦、鞍部に降り、登りか
えす。露岩が現れ、その間をよじ登る。まもなく大岩岳の山頂である。

前夜の雪が残る大岩岳の斜面を行く

 さっきの雪もよいなら無理だったであろう大岩岳自慢の展望も、今はいつものように広
がる。羽束山や大船山など兵庫北摂の山々が周りを囲む。辺りはまだらに陽が当たってい
るけれど、南東方向の六甲はまだ雪雲の中だ。そして摂丹国境の山々には雪が見える。と
ころで二週間前に来た時に初めて気づいたのだけれど、西谷の森公園の最高峰にある東屋
が思いのほか近いのだ。その北近くの竜王山も存外鋭い。

 大岩岳から馬の背の露岩が見えていた東大岩岳方面へ下る。西谷の森公園へ下るコース
分岐を過ぎてやや登り返した峠を左に行くと東大岩岳。短い急登の先に現れた大きな岩を
右に巻きながら東大岩岳の頂は峠から5分ばかりである。冬場以外は繁って少し歩き難い
が今は頗る歩きよい。20mばかり急降下すると馬の背の岩だ。

 大岩岳の山頂でも気づいたけれど、西谷の森公園がますます近い。直線で1kmくらいだ
ろうか、西の駐車場や取付道路を車が走るのが見えるくらいだ。ここへは何回も来ている
のに気付かなかったのは裸木の頃に来なかったからだろう。風を避けて馬の背の鞍部で昼
食とする。今年は寒いとはいえ、やはり春は近い。岩が温もっていて暖かい。朝とはうっ
て変わって青空に白い綿雲。陽の光が嬉しい。

東大岩岳の馬の背(竜の背)で日向ぼっこしながら昼食

 馬の背(竜の背)での昼食を終えて東大岩岳に戻って峠には戻らず直進して東尾根を辿
る。踏み跡とテープが適度にあって歩きよい。雑木林を暫く進むと神戸市の二級基準点が
置かれた岩場があって見晴らしが良い。前に盛り上がるのは丸山のようである。

 基準点の峰からまたぐんと下るとこの付近でよくある裸地だ。疎らに痩せた松が生える。
どこかで人声がする。振り返ると先ほどまで居た基準点のある岩場にカラフルな防寒着の
男女が現れた。手を振ると気づいたらしく手を振り返してくれた。

 コシダの密生する斜面。なんだか少し記憶がある。以前、7月だったか、丸山湿原に花
を見にやって来て、境野からの遊歩道の入口付近んの右斜面に踏み跡を見つけて辿った時、
蒸し暑さとシダの繁りに嫌気がさして引き返した所だ。シダが茂っているのは結局ここだ
けで、もう少し我慢して登っていれば裸地に出ていたのだった。年の所為か最近ますます
執念が足らん!と改めて思う今日この頃である。(笑) やがて左手下に林を通して貯水タ
ンクか何か青い設備が見えてくる。右に折れて斜面を下ると遊歩道に飛び出した。

 目の前が以前登った丸山だ。丸山湿原はこの山の向こう側。西に歩いて大岩岳へ到る西
コース、東コースの分岐を左折して更に橋を渡った先で左折する。向かいから単独小父さ
んが下って来た。環境保全のボランティアをしている方らしい。湿原の水溜りの中にカス
ミサンショウウオの卵塊があると情報を頂く。教えられた場所に行くと確かにカエルの卵
塊と同じゼラチン状の卵塊が水溜りの中に沈んでいる。上手く育つだろうか。というのは
丸山湿地の周囲の木々が必要以上に伐採、整理されているように思われ、明るすぎて土壌
が乾きすぎてしまうのではないかと思えるからである。素人考えの杞憂であればよいのだ
が....。

 湿原に今は花もないので湿原の縁を巡って分岐を川下川ダム方面へ向かう。ここは以前
歩いたことがある。途中に四等三角点『丸山』があるコースである。高低差がない雑木林
を抜けるといきなり開けた場所に出る。三角点はハイキング道の右手に続く土手の上にあ
る。前方に第二名神の工事現場が見え、高架橋の巨大な橋脚が完成しているのが分る。大
峰山や六甲の山並み、東にはホウケントウなどがうねる。流石、三角点が置かれただけあ
って、山の頂ではないがなかなかの景観なのだ。

 関電の火の用心標識が出てきた。直進すると川下川ダム。ここは火の用心標識の指す方
向へ折れる。黄色い119番標識もあって記号は確か「き200」だったような....。

 小さな沢を渡り、200mも進めば姫二火力線bP80の鉄塔だ。この辺り、鉄塔から
ぐっと下った後はほとんど高低差がない。その間、七度だったか沢の流れを渡る。それで
も着かず離れずだった谷川の水量は増え、谷が意外に深くなり最後は30m位の深い渓谷
になる。その渓谷と別れ、別の流れと方向を同じくするとやがて川下川ダム方面からやっ
て来た道と合わさる。

 相変わらず、幹の細い雑木林が続く。昼食時、竜の背から北西に灰色雲が見えたので、
遠からずまた雪が舞いそうだと思った通りまた雪が舞いだす。でもちらついただけでまた
薄日が射し始めた。前方からますます第二名神の工事場が近づいて見える。百丈岩方面だ。
ここに限らず、高速道路の工事で北摂方面は大幅に景観やアプローチが変貌しそうである。
勢いの弱い笹の生えるややぬかるんだ雑木林の中の道はまもなく波豆川にぶち当たってそ
の左岸を行く林道になり、100mばかり川上へ行くと東山橋。千苅ダムの発電施設の横
だ。川を渡るとアプローチの車道で、10分ばかり歩くと千苅ダム手前の駐車場であった。

車道側から東山橋を振り返る

 朝には雪があったのが信じられないくらい麗らかな日差しに、エピローグのお茶会。U
さんが用意してくれた紅茶でまったりとする。大岩岳東尾根周回。今日も無事歩けたこと
に感謝。Uさん、幹事、お疲れ様でした。



【タイムチャート】
08:45〜08:55千苅ダム駐車場(駐車地)
09:02〜09:10千苅ダム
09:50大岩岳・清之瀬橋分岐
10:20〜10:25Ca360mピーク
10:41〜10:55大岩岳(384.1m 二等三角点『千苅』)
11:04東大岩岳分岐
11:11〜11:12東大岩岳(Ca360m)
11:20〜11:50馬ノ背(竜ノ背)の岩場(昼食)
11:56東大岩岳
12:26西谷からの遊歩道と合流
12:45〜12:50丸山湿原
13:01四等三角点『丸山』(281.4m)
13:05東山橋・川下川ダム分岐(関電標識bP80)
13:07高圧鉄塔(姫二火力線bP80)
13:35川下川ダムコース出合
13:53東山橋
14:02千苅ダム駐車場(駐車地)

■同行: 裏人さん、幸さん、たらちゃん、二輪草さん夫妻、ひろぴぃさん、
     Sachiさん、もぐさん(五十音順)


大岩岳のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市・神戸市・三田市
【標高】384.1m(二等三角点)
【備考】
神戸市の千苅水源地の東に位置する低山です。水源地の
周囲は水源涵養林として兵庫県が所有している為、よく
自然が残されています。東麓の丸山湿原や西谷の森公園
が整備されたことで大岩岳東側は道標が整備されていま
す。最寄は阪急宝塚駅から阪急田園バスで西谷の森公園
又はJR福知山線道場駅です。
【参考】
2.5万図『武田尾』



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