御射迦山〜丹波並木道中央公園は麗らか

並木道中央公園の第一駐車場付近から御射迦山
平成25年 3月12日(火)
【天候】晴れ
【同行】単独


 花粉症は現在発症していなくても毎年徐々に蓄積されていき、ある閾値を越えると一気
に発症するという。今までスギ花粉の季節になってもそれほど気にしてはいなかったのだ
が、今年は何だか変だ。目頭が痒く、くしゃみが出、喉の奥がいがらっぽい。

 そんなわけで、快晴の12日。PM2.5や黄砂は前々日の雨のお蔭で小康状態が続い
ているにもかかわらず、「花粉は非常に多い」の予報が出ていた為に、家に大人しくして
いようと考えていた。しかし空を見ると久々の透明な青さ、気温も平年並みになるという
ので、思い切って出かけてみた。行先は丹波並木道中央公園にある里山。近頃こんな里山
をのんびり歩くのが好きであります。

 10時と遅めの出発。今日は大して距離もないし、暖かくなるのを待っての出発だ。
宝塚・西宮北の間だけ中国道を使って、後はR176。JR福知山線の丹波大山駅を過
ぎると、丹波並木道中央公園の大きな案内が出る。公園管理事務所の前の駐車場に車を
置く。車が幾台か。溢れる光の中で若いお母さんが幼児を遊ばせていたり、車椅子を押
す人が居たり。長閑な風景である。

 まずは管理事務所で公園の案内図を貰うこととする。若い受付の女性から手作り地図
の掲載されたパンフレットと、もう一つ、森のクイズラリーの回答用紙を頂く。それに
よると一周2.3km、1時間半のコースだそう。とりあえずこれに則り、のんびり歩く
ことにする。

 ランドマークになっている白壁塀の際立つ立派な茅葺民家がある。中に入れるような
ので帰途に寄ってみよう。

御射迦山入口

 その民家を横目に取付道路を進むと『みしゃか山入口』の案内が山際に立つ。「みし
ゃか(御射迦)」とは面白い名だが、御射とは鏑矢を射る神事のことだという。「御射
ヶ山」から転訛したものだろう。大山緑の少年団の標識が立つ杉林に向かって丸木階段
を登る。直登からすぐに南へトラバースするようになる。左下に木立を通して茅葺民家
が下に見える。やがて尾根に出ると、遊歩道は北へ方向を変えてまた登り始める。杉の
間にソヨゴ、ヒサカキ等が目立ち始めると、登山口から10分ほど、まことにあっけな
く御射迦山(三釈迦山)の山頂に出た。今はこんなにあっけなく登れる山だが、兵庫丹
波の山の著者である慶佐次さんが1987年頃に登った頃には、地形図に山名もないヤ
ブ山であったという。山頂中央には全く欠けのない綺麗な三等三角点標石が埋まり、北
方向が切り開かれて、黒頭峰、夏栗山、鋸山、西ヶ岳、三嶽と居並ぶ多紀アルプスが青
い。三嶽の手前は盃ヶ嶽らしい。そしてその手前には丹波の田畑やが広がる。御射迦山
の東尾根には山城があったというから、ここからも街道の人の動きを監視していたに違
いない。
御射迦山の山頂。展望台が解体されていました。
遠景は多紀アルプス

 先着の初老の方2名が弁当の最中。見れば公園が建てた展望台が倒れている。実は木
製の展望台が老朽化したので、アルミ製に建て替えるらしく、展望台の解体作業をして
いるのだという。聞けばお一人はJR篠山口駅近くの宇土観音近くからやって来ている
とのことだった。

 こちらもベンチをお借りして食事。久しぶりに定番のカップ麺と鯖ほぐし弁当である。
うらうらと日が射す下で風もない。至福に時間だなあ。そうしてお二人と雑談しながら
気が付けば1時間近くも経っていたのだった。作業の支障になってもいけないのでこの
辺でと切り上げる。

 一旦下って登り返す。稜線沿いの北側は緩やかな斜面である。御射迦山は小さな双耳
峰で100mばかりで里見山とも呼ばれる西峰に着く。小さなピークに見晴らしはない。
辺りは日が射して明るく、木々がやや疎らになると南側に白髪岳や松尾山が高い。

 森のクイズに答えながら進んで行くと、遊歩道は次第に尾根を外れ、332mピーク
近くで北に降りてゆく。稜線へ登る古い路跡らしいものがあったので少し辿ってみる。
倒木が多いが、赤いプラ杭もあり古い杣道の様である。332mピークは背の低い雑木
と朽木で全く展望もなさそうなので少し手前で元の道へ戻る。

 ややきつい斜面を下る。細くて灌木の林の中に古墳の痕跡の石が転がる。篠山には車
塚古墳など大きな古墳もあるから、この辺りも古くから開けた地域であったに違いない。
そんなことを考えながら10分ばかりで公園の取付車道に出会う。後は駐車地へぶらぶ
らと戻るのみ。大山庄の庄屋だったという旧中道家住宅に寄る。明治初期に立てられた
茅葺民家は、建物の規模に比べて土間が小さく、対して玄関は大きいという。江戸から
明治に時代が代わって、庄屋の機能も変化したからとのことである。物納から金納に変
わった為に、作物を留めておく土間も不要になったのに違いない。こんな所にも文明の
西洋化が感じられて面白かった。

並木道公園のランドマークの旧中道家住宅

 駐車場に戻ったのはまだ2時前。時間があるので、例のスプリングエフェメラルの地
へ寄って行くことにする。20分ほどR176を北上すれば目当ての土地。平日なので
誰もいないだろうと思ったら大間違い。その時も二組のグループが散策中。女性中心の
グループである。目当ての花は今年は寒かった為かちょうど盛り。午後で陽が陰って、
イチゲ類などは花を閉じていたが、まだセツブンソウも花盛り。地元の皆さんの保護の
甲斐あって、個体も増えているように思われる。姿のいいのを選んで十数枚写真を撮っ
て引き上げる。久方ぶりに抜けるような空の下、麗らかな半日を遊ばせてもらいました。

キクザキイチゲ




【タイムチャート】
09:40自宅発
11:25〜11:30丹波並木道中央公園駐車場(駐車地)
11:45御射迦山登山口
11:55〜12:45御射迦山(318.2m 三等三角点『大山下村』)(昼食)
12:55〜13:00里見山(Ca310m)
13:10〜13:05Ca332m峰の北
13:22公園内車道出合
13:32御射迦山登山口
13:41丹波並木道中央公園駐車場(駐車地)



御射迦山(三釈迦山)のデータ
【所在地】兵庫県篠山市
【標高】318.2m(三等三角点『大山下村』)
【備考】
篠山盆地の南、摂丹国境を画す太平三山の中央に位置す
お茶の産地篠山市味間の野を挟んで、篠山の名山白髪岳
の北に相対する低山帯に位置します。北側が兵庫県立丹
波並木道中央公園として整備され、現在はその園内に含
まれています。山頂からは多紀アルプスが一望され、ま
た、すぐ北の篠山川では恐竜の化石が発見されました。
【参考】
2.5万図『篠山』



御射迦山山頂から北から北東方向のパノラマ。黒頭峰、夏栗山、鋸山等が並び、右手には盃ヶ嶽の後ろに西ヶ岳、三嶽が顔を出す

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