郭公鳴く梅雨の狭間の段ヶ峰 |
フトウガ峰より段ヶ峰 |
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この所、週末は梅雨の中休みというめぐり合わせが続く。今週もいい天気。うまく起き られれば久々に氷ノ山にでも遠征?と考えるでもなく考えていたのだが、Mさんから段ヶ 峰でもどう?とのメール。元々、頭の中だけの曖昧な計画なのでまだ大して具体化もして いなかったし、どうせ朝早く起きられないだろうと同行させてもらうことにする。 福崎から播但道を北上する。青空もあった大阪より曇は厚いが、かえって直射日光が遮 られて涼しいかも。生野ランプから栃原トンネルを抜けてすぐに右へ登るようにとゴルフ 場の案内標識が出る。九十九折れの道をしばらく上がった旧生野荘跡の駐車場には既に三 台の先行車。車を千町峠へデポしに行ったMさんを待つ間にも高原散歩らしい二台の車が やってきた。 Mさんがバイクで戻ってきた。想像を絶する悪路だったそうだ。途中の倉谷橋(杉谷) の登山口に車を置かざるを得なかったとのこと。それでも長い林道歩きが半減する。ご苦 労様です。 5年ぶりの段ヶ峰。相変わらず熊注意の看板がある。(笑) 当時よりうっそうとした感 じに見えた登山口であるが、それもほんの入口だけ、すぐに感じのいい道になる。のっけ から標高差約350mの急登だ。運動不足のメタボ一歩手前の体にはきつい。もう額に汗 が滲み始めた。とはいえ道は直登ではなく小さいながらも九十九折れ。しかも今日は風が ある。この時季にしては乾いた風にも助けられ、それほど消耗せずに登ることができる。 大きな岩の間を抜けると、ゴルフ場のグリーンと栃原の集落がもうはるか下である。 道が左に方向を変えると木立がまばらになり、達磨ヶ峰の肩の標識が出る。ここまでく れば後は楽。こんもりした達磨ヶ峰が先に見える。それに向かって進めば左手の南方向が 大きく開け、雄大な景色が広がっている。アザミに似たタムラソウの赤紫の花が風に揺れ る。 この辺りは昔は牛馬の牧草地だったとのことで春先は野焼きをしたのであろう。土が黒 い。ススキの間を前方の高みに向かえば達磨ヶ峰の三角点は五分ばかりだ。この付近から 見るフトウガ峰から段ヶ峰に至る長大な高原はいつ見ても非常に遠くに見える。標識には 段ヶ峰まで140分とあるが、初見参の時はその時間で本当に行けるのだろうかと思った ものだ。
アップダウンはない。鹿が食べたのか笹は背が低く、羊歯だけが目立つ。あれ?カッコウ の鳴き声が響く。もっと山深い所の鳥というイメージがあるのだが...。普通はホトト ギスかツツドリだろう。それが千m近いとはいえ、こんな人里近い山で聞けるとは。眼福 ならぬ耳福だ。(笑) 風の通り道なのか、大風で倒れた杉が枕を並べて倒れ、立ってはいても墓標の様に白骨 化した杉を見、やがて右に鹿ネットが出てくれば大きなコルの最低点。尼崎山の会の古い 道標が立つ。広く伐採された谷沿いに菖蒲沢へ抜けられるらしいが、鹿ネットで立入れな いからには廃道の運命だろうか。 ここまでくればもうフトウガ峰はすぐそこで、植林帯を抜けて右に小さな浅い谷沿いに 斜面を登っていけば道は植林沿いの水平道になり、更に右手の斜面に取りつけばもう潅木 はほとんどなくなり、一面の笹原となる。ごく小さな湧き水の湿地を左に、最初に目立つ 岩の裏に数年前に新設された四等三角点がある。但し金属標識。三角点教の信者には有難 みは薄いのだ。(笑)
本当に「段」=「だるい」=「なるい」地形だ。隆起準平原というのだろうか。ほぼ水 平の数百m先のフトウガ峰の山名板付近に人がいるのが分かる。笹原の中の踏み跡を進め ばあっという間に山名板に出て、杉谷への分岐を左に過ごして一旦下る。杉林の中に倉谷 の源流のような小さな流れにイモリが一匹。いつも不思議に思うのだが、こいつの先祖、 どこからやって来たのだろう。そして近親交配を繰り返しているはずなのだが...。 登り返すと段ヶ峰までもうほとんど勾配はない。400mでせいぜい十数mだろう。一 気に歩行スピードは上がる。まず二等三角点に挨拶。最高点より2mばかり低い。ここで も一つ疑問。なんで最高点に選点しなかったのだろう。まあ測量技術的な理由があるのだ ろうが...。 ところで、ここは宍粟五十山の一つ、杉山への分岐に当たっているようだ。ちなみに杉 山とは以前、西段ヶ峰と仮に呼ばれていたと思う西側に見える山らしい。それなら以前案 内してもらったことがある。アセビと石の配置が日本庭園を思わせる山だったことを覚え ている。
ず、従って山頂はほぼ独占状態である。歩いてきたフトウガ峰から達磨ヶ峰の稜線が一望 される。この景色を見ていつも思うのは達磨ヶ峰が遠いことだ。そして目の前の谷が深い こと。それが秋には赤に黄に染まってそれは見事になる。南には千町ヶ峰があり、奥に林 立するアンテナでどこからでも同定しやすい暁晴山が霞む。その手前に緑一色の擂り鉢状 の地形が目に留まる。昨秋に歩いた砥峰高原だ。だとすればその横は夜鷹山か。西には杉 山。遠くには藤無山そのまた奥には氷ノ山。北は播但を画す粟鹿山が高い。
こんな景色をご馳走に最高点標識の少し横で食事。風が強い。従ってちょっと寒いくら い。この頃、定番の”7−11”の出石そば用に持参した氷が不要なくらい。必要ないだ ろうとウインドブレーカーを持ってこなかったことが少し悔やまれた。
振り返れば日本庭園のような風景。規模は小さいけれど、台高の桧塚や桧塚奥峰の辺りに 似ている。やがて林の中の急降下に移り、杉林に変わってあっという間に左下には車道、 前方にはログハウス風の建物が見えてくる。千町峠の悠友山荘。姫路の方がオーナーだそ うである。
生野方面に向かって国道も顔負けの立派な舗装路を辿る。200mも進むと林道分岐が あって、さしもの舗装は途切れて、その先は今までの舗装路とは雲泥の差の荒れた林道で ある。ちょっとブルやローラーで整備すれば見違えるようになると思うのだが、今のまま では一般車での走行はとても無理である。(通行禁止の看板が生野高原ゴルフ場から1Km 辺り西に設置されている) 町道(林道)はほとんど自然林の中を行く。勾配も緩い。ただ、山の斜面は相当な斜度な ので沢は小滝を懸け、落石がいたる所に転がる。ちょっと雨が沢山降れば転がり落ちそう な石も多い。いたちごっこになるので町も維持を放棄して通行止にしたに違いない。(笑) そんなちょっとワイルドな林道には、ヤマボウシ、ヤマツツジ、トリアシショウマ、ヤマ アジサイ、ガクウツギが咲き、単調さをほぐしてくれる。 歩くこと小一時間。途中、連瀑のかかる谷を横切って、杉林が出てくると杉谷登山口の ある倉谷橋は近い。橋に着くと同時に、山頂近くですれ違った男性親子グループが降りて きた。 倉谷橋から旧生野荘跡の登山口までの道も町道(現在は朝来市道か)とは名ばかりのガ タガタ道である。底を摺る覚悟がないなら一般車は乗り入れない方が無難だろう。助手席 に座っているだけでも思わず足を踏ん張ってしまう始末。別荘が見えてきた時にはホッと 足の力が抜けたのだった。(^^; 雲が適当に陽を遮り、この時季の山行には理想的で終始暑くもなく、山頂ではむしろ吹 く風で少々寒いくらいだった今日の段ヶ峰。やっぱり緑の中を歩くのはいいです。運転の Mさん有難うございました。
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やっぱりカメラを向けてしまう達磨ヶ峰からの縦走路。段ヶ峰より |