娘と行く若緑の赤坂山

明王の禿から眺める優美な山容の赤坂山
平成25年 5月 6日(月)
【天候】快晴
【同行】長女


 ダイエットしたいという長女。禁煙したいとお題目のように言っていたサラリーマン時
代の自分と同じで、何度も繰り返される言葉である。そこで半分冗談で「山でも行く?」
と聞けば行くと意外な返事。そこで花が多く、しかもそこそこお手軽で骨もある湖北の赤
坂山に決定する。

 6日は連休最終日。絶好の行楽日和でも世の方々は明日からまた仕事ということで、自
宅でゆっくり静養なのだろう。高速道も湖西道路も存外空いている。しかも志賀バイパス
が供用されていて非常にスムーズ。予定より15分ほど遅れて出発したものの、到着予定
の9時より前にマキノスキー場に到着。登山者用駐車場も一、二分埋まっている程度だ。
トイレなどを済ませて管理事務所の前を抜ける。芝生広場の向こうに連なる中央分水嶺の
山々の新緑が眩しい。

駐車場から眺める山並みに雪はほとんどない。前を歩くのは娘

 何としたことか登山口を間違えてしまった。(^^; 取付きは確かザレた斜面だったはず。
それが二つある。向かって右、赤坂山遊歩道の道標がある方を選択したけれど、何か様子
が違う。案内板があるがペンキがかすれて用を成さない。その先は遊歩道がなくなって、
狭い尾根上の踏み跡になって来た。テープがあるから多分このまま進んでも正規道へ合流
するはずだろうが、万一間違ってここでへそを曲げられてもと大事をとって振出しに戻り、
改めて50mほど奥のもう一つの方に向かう。そこには赤坂山登山口とちゃんと標識があ
った。(^^;

 暑い。登り直したから尚暑い。(笑) 土止め階段道、こんな長かったかなあ? ベンチ
のある展望地で小休憩。みんな同じ考え。数人が涼を入れている。ベンチの先に踏み跡が
ある。多分、さっきの道はここで合流するのだろう。

 階段道が終わると、なだらかな尾根道とややきつい坂道が交互に出てくるようになる。
左前方に見える稜線はまだまだ遥か上だが、土止め階段の急登の第一関門は通過。(^^; 
四等三角点『粟柄越』の茂みを右に見るとブナノキ平の東屋の広場はまもなくである。木
々の間から覗く明王の禿を望みながら再び一息入れる。

 クロモジが目立たない緑の花を咲かせている。若葉を揉むといい匂いだ。しばらく登り
続けると、左から水量のある沢の音。ロープが垂らされた砂防堰堤を右から攀じる。下界
じゃとっくに咲き終わったイカリソウの赤紫の花がまだまだ風に揺れている。初めて訪れ
た際、確かこの辺りからカタクリも現れた記憶があるのだが、今日はまったく見当たらな
いのは何としたことか。(笑)
明るい陽を浴びて登山道は最高の新緑


 登山道は右に折れて沢から離れるとジグザグを切り始め、一気に高度を上げていく。た
だ傾斜の割りにきつくはない。これが古い山道のいい所だ。曲がるごとにイワカガミの赤
いフリル。ブナも目立ちはじめて、ただ今、新緑最高の季節。顔まで緑に染まりそうであ
る。今日はこれを愉しみに来たのだ。

 高い彼方にあった猫鉄塔が間近に見えると一転、中央分水嶺はなだらかな高原状を呈し、
高さが2mを超えるような木はほとんどなくなる。ヤブの隙間を探すと、特徴あるカタク
リの葉っぱがそこここに。と、見つかった! ピンクの反り返った花が。粟柄越のお地蔵
さんの祠付近である。

 それにしても何だかいつもと様子が違う。いつもこの時期残っている腐った雪田が今年
は跡形もないのだ。今年の冬は雪が多いと聞いていたのに...。ま、足元がグチャグチ
ャにならなくていいが、といって何か物足りない気もする。人間なんてほんと勝手なもの
である。(笑)

 寒風方面分岐、美浜町方面の分岐を過ごすと、いよいよ赤坂山への最後の登り。馬頭観
音の岩を右に見て、花崗岩質の石ころ道を進む。さすがに5月で直射日光は強いが、吹く
風は乾いて心地よい。辿る内に山頂の先着者の話し声が次第に大きくなってくる。そして
お馴染みの山頂。やや霞があるものの、いつもながらの展望は素晴しい。浮き出た四等三
角点の周りには、10組あまりの登山者が思い思いに取り巻いて、食べたり、話に興じた
り。あら?四歳くらいの小さい子がお父さんに連れられてやってきた。ご苦労様。

 琵琶湖を見下ろしながら滋賀県側で昼食。なるだけ水平面を選んだつもりながら、やっ
ぱりシートが滑ってかなわない。食事中ずっと足を踏ん張っているのはつらいのので福井
県側に県境を越えた。(笑)

 久しぶりにゆったりと一時間ばかりの大休止。さて、撤収して後半。どうするか。三国
山往復は少し時間がかかるので諦めるとして、折角なので明王の禿までは行ってみようと
娘を促す。

 思ったよりきつい下りである。潅木帯にはなぜか今まで見られなかったイワウチワが咲
いている。カタクリ、イワカガミ、オオバキスミレも数を増し、まことに春爛漫。

 赤坂山の山頂からも見えていた土止めの丸木階段がすぐそこに近づいてきた。土が流れ
て丸木階段が浮き上がっているので歩き難いこと。ザレに滑りながら少し登り返して明王
の禿の鳥羽口へ。右の茂みに踏み跡があるので上がってみると、そこは花崗岩の風化した
崖の上である。足元は垂直に近い。一たびズルっと滑ると2、30mは滑落しそう。腹の
奥がむず痒い。くわばらくわばら。そうそうにもとに戻ることにした。(笑)

明王の禿から下界を見下ろす。琵琶湖が霞む

 登山道に戻って明王の禿の標識のある最高点まで更に登り返す。やって来た方向を眺め
ればコニーデ状の赤坂山の姿。こちらから眺めた方が姿が良く案外高い。今立っている場
所とは70mばかりの高度差がありそうだ。ロープの張られた岩場から琵琶湖を眺めれば、
目の前の山峡に在原の集落がひっそりとある。そんな山中にも猫の額ほどの水田が光る。
そんな営々とした人間の営みにはちょっと感動的でさえあった。

 再び花街道を赤坂山へ。さっきよりやや人が減ったが、まだ登ってくる人もいる。流石
人気の山ではある。ゆっくりと一時間半ほどかけて登山口。陽もやや傾いて、オートキャ
ンプの車もめっきり少なくなっている。

 ところでやっぱりなぜだかコーラが飲みたくなった。最初に見つけた民宿の自動販売機。
160円也。そこから5分ばかりのスキー場の管理事務所に戻ってきたら150円だった。
あちゃー。(x_x)

 娘と行く赤坂山。女性向きの山を選んだつもりだけれど、はて。また相手してくれるか
な。(^^;

やや細面ながら別嬪さんのカタクリ

こちらは岩棚に咲いていたオオバキスミレ



【タイムチャート】
07:15自宅発
08:55〜09:08マキノスキー場駐車場(駐車地)
09:12赤坂山遊歩道入口
09:20東屋
09:35赤坂山遊歩道入口
09:45赤坂山登山口
10:30〜10:33ブナの木平の東屋
11:18大谷山・寒風分岐
11:29〜12:20赤坂山(823.8m(四等三角点『赤坂山』(昼食)))
12:40〜12:45明王の禿
13:05〜13:07赤坂山(823.8m(四等三角点『赤坂山』))
13:15大谷山・寒風分岐
13:59〜14:00ブナの木平の東屋
14:31赤坂山登山口
14:50マキノスキー場駐車場(駐車地)



赤坂山のデータ
【所在地】福井県三方郡美浜町、滋賀県高島市マキノ町
【標高】823.8m(四等三角点)
【備考】 滋賀県と福井県を画する野坂山地に属します。山頂から
の眺めは雄大で琵琶湖、伊吹山が云うに及ばず、白山が
望める時もあります。また多種の花々が咲き乱れる山と
しても有名で、春はカタクリ、オオバキスミレ、イワウ
チワ、イワカガミが咲き乱れます。南麓にマキノスキー
場があります。
■関西百名山
【参考】
2.5万図『海津』



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