高御位山〜春まだ浅き播磨アルプス

痛々しく黒く山火事の跡が癒えない高御位山
平成24年 3月25日(日)
【天候】晴れたり曇ったり
【同行】みずたにさん


 本当は久方ぶりに宍粟の山に行くつもりであった。しかしながら予期せぬ雪景色に準備
不足は如何ともしがたく、南播磨へ転進。南向きで陽だまりハイクが可能な高御位山の東
縦走路を歩いてきた。冷たい北西風が強かったけれど、浅い中にも春を感じられるお手軽
ハイクでありました。

 7時と早めに出て山崎ICまでやって来たけれど、途中の中国道から北に見える笠形山
や七種山方面の山々に時節に合わぬ雪がついているではないか。内心「ええっ?」という
感じである。早朝ににわか雨があったらしく路面も濡れている。それが山では雪だったよ
うだ。そういえば予報も未明に一時みぞれという予報だったような気がする。しかも快晴
だった大阪に比してこちらは灰色の雲が足早で、山崎の街中から眺める北方の山々も白い
ベールをかぶっている。吊尾根歩きなどもあるのでもっとコンディションが良い時を選ぼ
うということで、天候の心配のない南方面へ転進することにする。行先はのんびり日溜ま
りで飯が食えればと1時間ほど走った高御位山だ。R27で南下してR2へと乗り継いで、
10時半に阿弥陀新池の駐車場に到着する。

 数ある高御位山の登山口の中でも、ここは最短コースである長尾コースと東尾根を辿り
ながら登る北山コースの出発地点。高御位山にはもう一昔前になるが、西の鹿嶋神社から
百闃竅A鷹ノ巣山と西尾根を歩いて到着した山頂から、長尾コースで下った覚えがある。
今日は下山は山頂に着いてからの気分次第ということでまずは長尾コースで登ることにす
る。

 駐車場に出ると四つ辻に長尾登山口と北山登山口の道標がある。集落の中を北に歩いて
ゆく。畑の畔にはオオイヌノフグリ、ホトケノザ、ハコベなどがちいさな花を綻ばせてい
る。さっきまでの雪景色が信じられない。(笑) のんびり歩いてもすぐに長尾登山口だ。
山頂まで45分。こんなだったかな?記憶は薄れている。薄暗い竹藪の中を登っていくと
直ぐに岩がちの登山道で、右に小道があるので覗くとなんと十字架が彫られた墓がポツン
と一基。他に石に文字は見つからずいつの時代のものなのだろうか。隠れキリシタン?想
像の羽根は伸びていく。(笑)
長尾コース途中にあった墓碑。キリシタンの墓?

 駐車場から前方に広がる高御位山を見た時、何だか山肌が異様に黒い感じがしたものだ
が近くに来て分かった。山火事の跡である。松やソヨゴ、ネズが炭化した幹をさらしてい
る。ジモティらしい単独小父さんが降りて来たので聞いてみると、山火事があったのは一
昨年の暮れだったらしい。数年前に峰続きの桶居山に登った際も山火事の跡で荒涼とした
世界だった。原因は大方、ハイカーの捨てたタバコの火ではないか。すぐ下には民家もあ
ることとて、よほど気をつけなければいけない。民有地を歩かせてもらっているのだ。下
手をすれば通行禁止にされても仕方がないのである。

 さて、大きな岩盤の上を歩く。階段状に刻みがあるチャートというのか、鉄錆みたいな
赤茶けた色が混ざる大きな一枚岩だ。まもなく姫路火力東線bR6の高圧鉄塔の下。鈍色
の播磨灘が市街の向こうに広がってきた。浮かぶ小さな島は上島だろうか。ここまで来る
と高御位山の山頂の岩の上を歩く小さな人影が良く見える。一息入れてからその山頂を目
指す。

 再び岩盤上を上がる。傾斜が厳しくなってきた。白いペンキで〇印や矢印が書かれてい
るのでそれに従ったり、岩から土の地面に逃げたりしながら高度を稼ぐ。山頂の反射板も
次第に大きくなってくる。さっきまで冷たく感じた強い風が心地よい。帽子を押さえなが
ら、『天乃御柱天壇』と刻まれた碑の前に到着。登山口からほぼ35分である。

 山頂は色々なコースで登って来た大勢の人で賑やかである。ことに今日はどこかの町内
会か子供会の催しでもあるのか、小学生くらいの子供とその父兄が多い。混雑を避け、高
御位神社の奥宮にお参りして、比較的空いていた磐座の東側に陣取って腹ごしらえするこ
とにした。

 遮るものが全くないので流石に山頂は吹きさらし。日が翳ると寒いので食べ終えれば下
山である。鷹ノ巣山へと尾根を西進して中央の馬の背を下るのもいいが、山頂から眺める
と東から南側に回り込む尾根に踏み跡が見える。高圧鉄塔からも東にいい尾根筋があると
思っていたが、それが北山コースらしい。こちらにはまだ行ったことがないのと、駐車場
所にも近いので、帰路は東の縦走路(加古川市と高砂市の市境尾根)へと廻ることに決定
である。

 こちらからも多くのハイカーが登ってくる。高御位神社の奥宮の表参道はこちらのよう
でよく整備された道がある。がそれも途切れて大きな岩盤の下りになる。かなりの傾斜が
ある。適当に凹凸がありざらついているのでいいが、つまづきでもしたら大事に至りかね
ない。足元に注意しながらも、振り返れば舞台が張り出したような山頂の岩が見事である。
昔の人が見たなら、文字通りの石舞台、神が降臨する磐座に見えたことだろう。

北山コース途中から山頂の磐座

 こちらも山火事の被害にあったのか黒焦げの木が立つ。その間に松だとかの苗木が植え
られて旧に戻そうという活動もされているようだ。一旦、鞍部に降りて登り返す。石標の
代わりに十字とbQ4と数字が刻み込まれた自然石を見てCa180mの山頂に出ると成井
コースとの分岐点だ。東に少し歩くと小高御位山だというが全く気付かずに通過する。

 再び下って姫路火力東線の高圧鉄塔を抜けるとまた登り。この辺り、小刻みなアップダ
ウンが続く。Ca130mの小山を越えて降りた鞍部からまたまたCa170mピークへとこ
のコースで最大、60mほどの登り返し。これはちょっと食後の体に堪えた。(^^;

高砂火力線bQ4付近から下山路を見下ろす

 Ca170mピークは分岐があり、北池35分、北山20分と道標が立つ。北山コースは
高砂火力線の高圧鉄塔の巡視道を利用しているようであるが、bQ4の鉄塔付近から見下
ろすと、かなりな急斜面。脆い石が崩れたザレた小道は良く滑る。小刻みなジグを切って
ようやく穏やかな尾根筋に出てホッと息をつく。

 採石場跡の荒涼とした姿を左に見る。まるでアメリカの西部のテーブルマウンテンみた
いな姿が残る。眺めれば石屑が堆積した横に墓地があるが、うるさくて故人もおちおち眠
れなかったことであろう。(笑) 小さなピークに出た所で、道は二股に分岐する。我々は
北山コースと別れ、阿弥陀新池方面に最も近そうな高圧鉄塔の見える方向に逸れて右を採
って下る。

 高砂火力線bQ3の鉄塔を過ぎてすぐの下山口には何の標識もない。大きな杉が数本か
たまってこんもりと梢を伸ばすのが目印である。ということはやはり正式のコースではな
い関電の巡視路を利用したサブコースということだ。

ここへ出てきた。杉が数本かたまっているのが目印

 出合った水路沿いにものの5分で阿弥陀新池の端。風は冷えるがやはり春。水も温むの
か二尺はあろうかという大きな鯉がごそごそ蠢いていた。食事込みで二時間ちょいの縦走
路東側周回。一旦、帰宅してから居酒屋へ出直そうかという相談が成り立つにも十分の時
間を残す、春まだ浅き播磨の低山山歩である。



【タイムチャート】 
10:10阿弥陀新池(駐車地)
10:13長尾登山口
10:30〜10:32高圧鉄塔(姫路火力東線bR6)
10:52〜11:15高御位山(304.2m 三等三角点)
11:35Ca180mピーク(成井コース分岐)
11:38高圧鉄塔
12:03高圧鉄塔(高砂火力線bQ4)のあるCa165mピーク
12:20高圧鉄塔(高砂火力線bQ3)
12:22登山口
12:25阿弥陀新池(駐車地)



高御位山のデータ
【所在地】兵庫県高砂市・加古川市
【標高】299.8m(三等三角点)
【備考】
東播磨丘陵地の最高峰。その姿から播磨富士とも呼ばれ
ています。峰続きの鷹ノ巣山から続く稜線は岩尾根が連
続し展望が良く、播磨アルプスと呼ばれ親しまれていま
す。麓に駐車場があり、縦走して出発点に戻ってこれる
のでマイカー登山にも向いていますが、岩尾根では足元
に十分注意が必要です。JR山陽線曽根駅から神姫バス
の便があります。

■関西百名山
【参考】山と渓谷社 分県登山ガイド『兵庫県の山』


高御位山から北山の稜線コースを眺める。右端に阿弥陀新池がある

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