緑に染まりに明神平

霧の中に現れたトリケラトプス。明神平にて
平成24年 6月10日(日)
【天候】曇り
【同行】たらちゃん


 なんだかんだと家族の用で二週連続山は無し。その間に世の中は梅雨に入ってしまった。
(^^; ところが天気の神様は気まぐれで、えてして梅雨入りが宣言されると梅雨の中休み
になることがある。この週末もそんな風で、日曜からは天気回復の兆し有り。久しぶりに
緑に染まりに行こう。

 Tちゃんが初めてGPSを買ったので、その実践練習も兼ねて明神平で遊ぶことにする。
8時半に大又手前のやはた温泉で待ち合わせ。平地では所々青いものが見えていたが、山
間部に来ると空は一面の曇り空だ。山の中腹以上はガスに覆われている。雨に遭わなけれ
ばいいが....。

 卯の花が満開の大又林道を終点へ。去年来た時には崩壊して半分しか使えなかった川沿
いの駐車広場も修復されて十数台は置けるようになっている。そこに先行車は5、6台。
雨を厭ったか意外と少ない。

 車両通行止の遮蔽物を抜けてしばらくの登山口からガクウツギが満開の作業道を登る。
ウィオーミングアップになるとはいえ、この作業道が案外きついのだ。その作業道。去年
の水害で大きく崩壊したままの姿をさらしている。数年前の治山工事で川に大きなステン
レス管を三つほど通し、その上を埋めて作業道が通してあったのを、流木や大石がそれを
塞いだ為に、溢れた土石流が下流の道をえぐったものらしい。その爪痕もよくしたもので
そこを登山者が歩くものだから踏み固めたトレースが出来て、歩き良くなっている。

登山口はまだこんな感じ。でも大分踏まれて歩き良くなっている
 前日まで雨が降ったので、大又川にはもっと水量があるかと思ったけれど、常とそれほ ど変わらないようだ。ロープを張った渡渉地点も難なく渡って、旧アシビ山荘の建物跡、 作業小屋の跡と歩き難い浮石だらけの登山道をこなすとキワダサコ谷の渡渉。ここまでじ めじめした小道だけに蛭が姿を見せてもおかしくないが、不思議と一匹として見かけない のはなぜだろう。分水嶺をなす明神平の南側、中奥の谷は蛭の宝庫というが....。  明神滝の下で一服する。暑い。タオルで何度顔を拭いたことだろう。今まで厚いガスに 覆われ夕暮れのように暗かったのが、雲の切れ間があったのかやや明るくなると、サワグ ルミやカツラなどの高木の緑が一気に生える。岩に着いたヒメレンゲの黄色も鮮やかであ る。  明神滝の上へ巻登る小道にはサワギクやフタリシズカが見られる。ここを登ってしまえ ば、水場からの最後の登りを残して、大きく蛇行しながらのプロムナードが待っている。 明神滝上流の岩だらけの沢を横切る。この辺りで標高は1200mくらいだろうか。赤い 滑らかな肌が目立つヒメシャラやコウチワカエデが目立って増えてくる。秋は紅葉の美し いエリアである。  小さな流れを二つほど渡り、植林帯を抜けると水場だ。細い塩ビパイプから清冽な水が 音を立てている。ここの水はまことに美味い。手のひらに貯めて飲む。少し漬けているだ けでかじかむほどの冷たさである。  いつもは金剛山まで望める展望地もガスで何も見えない。11時過ぎながら東屋には早 くも食事中の先着の男性2名。その後から単独の男性が1名。  小憩のあと、南へ続く踏み跡を辿る。白いガスが流れる明神平。アシビ山荘の建物さえ も微かにその輪郭が分かるくらい。いつもなら東屋から前山の方を見れば、登山者がいれ ばある程度判別できるのだが、今日は白い靄の中からニュッと突然湧いて出るような感じ。 テント泊したという男女、明神平が初めてらしい数人の若いグループがそんな風に突然現 れた。  明神岩横から三ツ塚との分岐を左のバイパス道に出て、ジュクジュクとぬかるんだ道を 行くと明神岳と三ツ塚の鞍部。やや盛りは過ぎているが、赤いヤマツツジが満艦飾。流れ るガスの中、今日一番の彩はなかなか幻想的な姿を見せ、しばし見とれてしまう。
ヤマツツジが満開で居残ってくれていました

 桧塚への踏み跡は大きな登りがないので汗が引く。時折、風が出るし途端にえらく寒く
なる。判官平でザックの寒暖計を確かめたら、信じられないことに12℃だった。道理で
手がかじかむほど冷えるはずである。シャリバテもあって今日も判官平付近で食事しよう
としたら、風が強く吹き渡る。このガスでは檜塚の大展望も望むべくもなく、明神岳の主
稜線直下なら風が防げるはずと戻ってから食事としよう。一旦晴れていたガスが前にも増
した濃さで流れ始める。再び幽玄の世界。名物イナバウアーの木も白いスモークが焚かれ
た舞台で一人静かに瞑想している。

 シャリバテの体には明神岳のある台高主稜線への70mばかりの登りでもきつい。よう
よう行き着いた尾根筋。やや北側の降りて店を広げる。笹ヶ峰方面から単独女性。シロヤ
シオも石楠花ももう終わりだったそうだ。

 まだ1時半過ぎだというのに東屋近辺には人っ子一人姿がない。相変わらず金剛方面は
靄の向こうなので皆さん早々と降りた様子だ。ひょっとして我々が最後?(笑) こちらも
東屋で休むことなく下山にかかる。九十九折れを下るに従って空が明るくなる。見上げる
と薊岳の傾いだような特徴のある姿があった。

 雨にも遭わず、降りて来たのは3時過ぎ。思いの外、時間を要したものだ。下界は青空
が広がり日差しもあってやや暑いくらい。あの山の上の寒さは何だったのだろう。何か夢
のようだ。(笑) 戻った駐車場には我々の他に残っているのは一台のみであった。

 小腹が空いた。戻ったやはた温泉横の茶店でコンニャク田楽を一串。久々な山歩き、結
構疲れがある。運動不足だなあ。筋肉痛が出なけりゃいいけど。緑に染まり楽しめたけれ
ど、明日が思いやられる明神平山歩である。 (^^;
檜塚の登山道付近点描



【タイムチャート】 
06:10自宅発
08:10〜08:25やはた温泉下駐車場
08:40〜08:50大又林道終点手前(駐車地)
09:41〜10:00明神滝下
10:45〜10:47水場
10:56〜11:02明神平の東屋
11:30〜11:35明神岳(1,432m)
12:06〜12:15判官平
12:55〜13:20明神岳北斜面(昼食)
14:00明神平の東屋
14:45〜14:56明神滝下
15:57大又林道終点手前(駐車地)



明神岳のデータ
【所在地】三重県松阪市
【標高】1,432m
【備考】
台高山脈の北部の奈良県と三重県にまたがる山です。余
り目立たず、登山道の途中のコブのようで、山名板がな
ければ見過ごすほどです。北麓の明神平はブナ林を伐採
して作られたスキー場の跡地で、水無山、前山、明神岳
の鞍部にあたり、天王寺高校の山荘と天理大学の避難小
屋、東吉野村が建てた東屋があります。周囲はブナの天
然林で、若葉と紅葉の季節、また冬の霧氷もその美しさ
に定評が有るそうです。尚、大又近くの大豆生(まめお)
には、村営やわた温泉があります。
【参考】
2.5万図『大豆生』



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