石切山、釣鐘山〜川西の裏山散策

釣鐘山から眺める石切山
平成24年 1月 8日(日)
【天候】曇り
【同行】単独


 今回も思い立った時に登れる近場の山。それもなんと正午を過ぎてから出かけたもの。
阪神間以外の山に出かけるとなればまず考えられない。近頃、こんなお手軽山歩きが増え
ています。(^^;

 北摂の山々へ向かう時にはよくお世話になる県道川西篠山線。阪急川西能勢口駅を北に
抜けた所で西に折れる。途中、突き当りを右に行くくらいで、愛宕原ゴルフクラブを目印
に行けば後は道なりである。ゴルフ場への道のすぐ手前に満願寺の参道がある。山門石段
前にも駐車できるが、参拝客にはお邪魔なので山門前を左に入った満願寺の駐車場をお借
りする。(駐車場への道が少々狭く且つ曲がっているので、擦らぬよう少々注意)

 来た道を戻って豆坂口のバス停から釣鐘山、石切山と辿るつもりだったけれど、そのま
ま満願寺の横からゴルフ場のネット沿いに北に進む。この道は多田神社へ続くハイキング
道でもある。右に小さな池があって、墓地を前に右(東)に上がっていく車道が分岐する。
それを緩やかに登って行けば大きなマンション風の建物。「花屋敷せいれいの里」という
老人ホームである。その建物の前はこれまた大きな運動場で、少年サッカーの試合でもあ
るのか大勢の子供たちが喚声を上げている。路肩の車は父兄のものであろう。

 宝塚市水道局の施設前の三叉路を左に行くと長尾台ふれあい公園だ。道は林に突き当た
るが、右の公園の縁沿いに小道が続いている。すぐに湯山台方面からやって来た小道に合
流する。そこから一登りで北方面が眼下に広がる展望地に出た。

 満願寺から来たという単独小父さんと一緒になる。高代寺山や妙見山などのお馴染みの
山々を前に、日生方面の住宅地がびっしりと並んでいる。よくもまあこれだけ造成したも
んだ。(笑)

 緩々と尾根を登って行く。今日は高所からの下り基調なので、ほとんど標高差がないの
だ。(笑) 話し声が聞こえてきたと思ったら、今度は南方向が広がる展望地で、先着の小
母さん二人組が腰掛けに座って食事中。当方はその後ろから展望を楽しむ。梅田地区、A
TCの高層ビルの向こうには大阪湾が広がる。北西側から流れてきた曇に覆われはじめた
空の一角が空いているのか海が光っている。海の向こうに続く陸地は一瞬、淡路島かと思
ったが、二上、葛城、金剛と起伏する山並みから、すぐに泉州方面だとわかる。その手前
にライトが二つまばゆく輝いているが、おそらく関西空港であろう。それにしてもこんな
300mにも足らない低山からこの展望。コストパフォーマンス抜群の眺めであるなあ。

石切山山頂は展望無し

 この北向きの展望地から20mも行くと三角点が埋まる山頂だ。といってもここには山
名プレートが幾つかかかるのみで木々に囲まれ展望は全くなし。ところが山頂を過ぎた所
にまたまた北向きの展望地がある。さっきと同じく木材を利用した腰掛けもある。こちら
には誰もいなかったので、遠慮なしに座って持参のみかんを口に入れる。伊丹空港が真正
面方向だ。眺めている最中も一機が着陸して空港エプロンに近づいている。滑走路端には
もう一機。徐々にスピードが上がる。遅れて出力を増したエンジンの爆音が聞こえてくる。
フワッと上がる機体。ゆっくり左の六甲上空へ旋回していく。

石切山からの眺め。中央が伊丹空港。大阪の高層ビルの
奥に生駒から二上、葛城、金剛の山並みがある

 深く掘れて岩が顔を出す下山路。目の前に柿の木があって紡錘形の小さな熟柿がたわわ
に飴色に光る。この下りでは二組のハイカーとすれ違うのみ。もっと多いかと思ったけれ
ど意外に静かだ。市街地に囲まれている割には案外、生活音も上がってこない。やがてア
ンテナ施設が立つ釣鐘山の山頂が視界に入ってくる。

 釣鐘山との鞍部には宝塚造形大学(宝塚大学)の立入禁止の札と慈光会敷地の札が両サ
イドにある。石切山側から峠までそこそこの下りであったから、かなり登り返さないとい
けないかと思われたが、考えれば釣鐘山は石切山に比べればだいぶ低い。ほんの少し登り
かえすだけで山頂であった。(^^;

 釣鐘山というだけあって丸い感じの頂には、NHK川西池田TV中継放送所がある。サ
ンテレビも同居している様子。頂からは今度は北側がやや開け、川西から五月山方面の展
望が効く。目立つのは阪神高速のビッグハープ。西友の赤い看板もここまで来ると大分大
きく見えるようになる。釣鐘山も石切山も宝塚市にあるけれど、こう見てみると川西市の
裏山みたいであるなあ。

 アンテナ施設の建物の裏に廻ると、ほんのすぐに五輪塔が現れた。『釈迦牟尼仏』と銘
板があり、慈光会の施設と分かる。かがり火を焚く大きな鉄籠が目立つ。そこからはよく
整備された緩い石段が誘う。石段は途中で三本に分かれ、東から懺悔坂、感謝坂、精進坂
というと説明板にあった。麓の川西市街からも良く目立つ白い建物を見に行ったら、これ
は『空堂』というそうであるが、それを見物に行ったら自ずから一番東の懺悔坂を下るこ
とになった。決して懺悔することが多々ある為にここを選んだのではないことをここに懺
悔しておきます。(笑)

 懺悔坂には四国八十八カ所の柔和な石仏が所々に置かれてある。中に涅槃仏が置かれて
いるのも、少々物珍しい。あれこれ見ている内にどこまでが慈光会の敷地なのか、いつの
間にか民家の前である。急なコンクリート階段を下る。目の前に大阪平野が広がって景色
は抜群だが、これだけ傾斜がきついと生活に何かと不便じゃないだろうか。大きな家が多
いのでそんな下賤な心配は不要かもしれないが、若い内は良いとして、お年寄りにはつら
いかもしれないなあ。

 車も通れる生活道路に出たので地形図で現在位置を確かめる。西へ南へと進んでいけば
慈光会の大きな石標の前に出た。そこからすぐのY字路が豆坂口だ。豆坂口バス停には今
では珍しくなった懐かしい円筒形の郵便ポストが置かれている。(100mも坂を上がっ
た所にももう一つ同様のポストがあって驚き)バスは30分に一本程度あるようだが、と
りあえず車を置いた満願寺へ歩くことにする。

豆坂口バス停付近。奥は釣鐘山
右に行くと慈光会、左が満願寺へのバス道

 ところで余談になるけれど、この車道歩きが今回で一番しんどかったのではなかろうか。
というのは豆坂口バス停付近で標高65m、満願寺で標高160mだから凡そ100m登
らねばならない。おまけに途中にあるバス停まであと50mという所で、バスが追い抜い
ていって前方のバス停に停まった。降りる人が多いのか暫時停まっており、ひょっとして
乗れるかなと淡い期待を抱かせたところでヒョイと出発してしまう。これにはがっくり。
でも結果的に乗れなくて良かったかもしれない。宝塚大学のキャンパス前を過ぎれば、最
高点の峠はもうすぐそこで、それからは下り道だったのだ。(^^;

 おや?歩いていてふと気づいたが、街区表示がいつの間にか川西市になっている。さっ
きまで宝塚市だったような。そう、ここ満願寺の周辺のみは川西市の飛び地なのだ。素朴
な疑問だが、やっぱり子供たちは途中にあった最寄りの宝塚市立長尾台小学校には行かず
に、川西市立の小中学校へ行くのかな。だったら単なる行政区画の為に不便だな。そもそ
もなんで飛び地ができたのだろうなんて思いながら歩いていると、もう愛宕原のゴルフ場
の案内は眼の前なのだった。(尚、netで調べたところによると、多田神社のある旧多
田村と関係が深かった満願寺だが、周囲の山は周辺の村々の入会地で、山親は西の宝塚の
切畑村が勤めていた関係上、満願寺は川西市に編入され、周囲は宝塚市になったとのこと
である。なるほどねえ)

 午後からフラッとやって来た石切山。住宅地の中に孤島のように残された二次林だが、
よくも植林もされずにこれまで来られたことよ。これからも大切に残されることを願うば
かりだ。新たな三角点に出会えたし、ツツジの季節に時間があればひょいとまた来たい手
軽な山歩道である。



【タイムチャート】 
12:15自宅発
12:50〜12:55満願寺駐車場(駐車地)
13:15長尾台ふれあい公園横の取付き
13:18〜13:23北側展望地
13:28〜13:45石切山(283.7m(三等三角点))
14:00〜14:04釣鐘山(205m)
14:20慈光会の懺悔坂入口
14:30慈光会石標
14:31豆坂口バス停
14:56満願寺駐車場(駐車地)



石切山のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】283.7m(四等三角点)
【備考】
多田源氏所縁の古刹満願寺の東に延びる里山で、中山連
山の東端を形成します。低山ながら展望がよく、北は三
草山、高代寺山、妙見山など能勢の山々、南は阪神地区
から大阪湾、大阪空港、関西空港などが一望できます。
ミツバツツジが多く新緑の季節は最高でしょう。
釣鐘山のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】205m
【備考】
石切山の東に饅頭を伏せたような山様が目立つ山です。
現在は大半が慈光会の宗教施設となっていますが自由に
登れます。山頂にはNHKの放送施設があり、展望は東
側がよく、五月山の山並みや川西市街、阪神高速道路の
ビッグハープが望めます。
【参考】
2.5万図『伊丹』『広根』



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