暁晴山、夜鷹山〜ススキの頃に播磨お手軽二山

夜鷹山の展望台から眺める峰山高原。周氷河地形と云われる窪地で、中央に暁晴山その手前にリラクシアが見える

平成24年10月13日(土)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】単独


 何で登りに行こうと思ったのか定かでない。播磨や丹波の幾つかの山を登っていて、頂
上にアンテナを冠した山だからどこからも同定出来てその名前だけは知っていた。それで
ふと何の弾みかネットで暁晴山と検索したら、その展望の素晴らしさと同時に、近くの砥
峰高原が曽爾高原に匹敵するススキの名所であること。映画『ノルウェイの森』や大河ド
ラマ『平清盛』のロケ地であることを知った。三角点峰もちょくちょくあって、これはフ
ラッと行くのに面白いかもしれないと、早速、神河町の観光サイトから案内図をDLした
のである。

 中国道福崎ICから播但道で北上、神崎南ランプで県道へ降りる。ところでここで一寸
苦言。この播但道、未だに係員がいてETCゲートがない。いちいちETCカードを出せ
という。日頃、ETC、ETCと謳っておきながら何たる怠慢!その上、係員の中には横
柄な輩もいて、通してやるという態度が丸だし。善処希望!兵庫県道路公社殿!

 閑話休題。県道8号で大田原川沿いに西進し、高原ホテル『リラクシア』や峰山高原の
標識に従って舗装林道を登る。同乗者がいれば酔ってしまいそうなほどの羊腸の道だ。道
の勾配が緩むとリラクシアの歓迎アーチが見えてくる。峰山高原の一般駐車場はこのアー
チのすぐ横で、車100台以上は置けそうなほど広い。


【夜鷹山】

 そうそう、どれからどう登るか何も決めていなかった。ここで案内図を見て時間と勘案
し、まずは夜鷹山、その後に暁晴山に廻って景色を御馳走に昼食とする事に決める。いつ
もながらのアバウト感覚だ。一旦引き返して、アーチを出た所からすぐの、砥峰高原へ向
かう林道へ入り、しばらく高原ドライブ。途中、『ノルウェイの森』のロケ地の看板が出
ている。と云われても映画を観ていないのでピンとこないのだけれど。(^^; 更に走ると
夜鷹山の結構ボリュームのある姿が見えてくる。山腹は植林だが山頂部は雑木林の様だ。
やがて夜鷹山登山口の大きな標識が現れた。山側の路肩の広まった部分に数台の車が置け
る。
砥峰高原へ向かう林道沿いの夜鷹山登山口。すぐに鹿ネットがある

 よく手入れされた植林帯のなだらかな斜面を登り始めるが、のっけから鹿ネットの扉を
開けねばならない。(結局、同様箇所が山頂までに6ヶ所あった)上と下2ヶ所の針金の
フックを外す。右方向に小山を越えて、後は広い斜面を鹿ネット沿いに一本調子に登って
行く。気温は13℃だったが、スギヒラタケの白さが目立つ無風の植林の中ではすぐに額
に汗が滲んでくる。古い火の用心の標識を左に見てしばらくすると、早くも稜線が見えて
きた。一本調子もこの辺で終わって、やや右方向に山腹をトラバースし始める。植林を抜
けだす直前に一番苦労した鹿ネットの扉。フックがうまく外れず、下だけがめくれたので
抜け出そうとしたのはいいけれど、ザックが引っかかってまるでクモの巣に絡め取られた
か弱い蝶々??あげくにザックを下ろして網を手で外さねばならない始末。えらい目に遭
った。(^^;

 抜け出た所はシダがやや生えこんだ場所だが、右手が開け峰山高原とリラクシア、その
向こうの暁晴山が一望でき、なかなか雄大な景色である。深呼吸して立ち休憩。

 ここから踏み跡はジグザグに登って行く。鹿ネットがまた近づいてくる。最後に二度ほ
ど連続した鹿ネットを抜け出ると、それ以上高い所はなく、木製の展望台が現れ、奥に三
角点のありかを示す白いポールが目に入った。標高1,056m。登山口からゆっくり登っ
て30分である。因みに山頂の東側は雑木帯のブッシュである。

夜鷹山山頂の展望台。左奥に四等三角点がある

 展望台は木製ながらしっかりしている。2mばかりの高さがあって、上がるといい展望
が待っている。東に水面が見えるのは発電所のある太田池。北は生野の千町ヶ峰、段ヶ峰、
フトウガ峰の連山。西に暁晴山のアンテナ群と盆地状の峰山高原が広がる。周氷河地形と
云って、寒冷期の氷雪による収縮、膨張作用によって岩が崩壊し、流失したり沈降したり
して出来た地形だという。ところで夜鷹山とはどうして名づけられたのだろうか。些か単
純な発想だけれどヨタカが多かったのだろうか。それは兎も角、多分、何かの当て字だと
思うが、だれか御存じの方がおられたらご教示願いたい。

 小腹が空いたので景観を愉しみながらカロリーメイトを一口。お茶で流して一息つく。
さて、下山後はどうしよう。現在11時。方向転換して砥峰高原方面へ向かってもいいが、
やっぱりここから見ても景色の良さげな暁晴山へ行って、展望がてらの食事がベストチョ
イスだろう。というわけで当初通り、暁晴山へ向かうことにしよう。

 再び6つの扉を次々通過していく。往路はまた降りるので簡単に閉めておくだけだった
が、帰路は針金フックをきっちり留めながらの下山。シダの生えこんだ所で鳩くらいの大
きな鳥が驚いて桧の梢に逃げていくのを見かける。羽根の一部の青さが残像として印象的
だったことからして、鳴き声は聞かなかったけれど多分、ヨタカではなくカケスだったの
だろう。(笑)

 往々にして下りは早いもので、あっという間に最後の扉を閉めて車道に出る。車道は時
折車が行き来するのだが、登ろうと思う人はいないようで、誰一人遭わずに降りて来てし
まった。(^^; あちらは宍粟五十山なのでこんなことは無かろう。お茶で喉を潤して、リ
ラクシアへと戻り、再び一般駐車場に車を入れる。

リラクシア付近から眺める夜鷹山



【暁晴山】

暁晴山登山口。山頂の通信施設の管理道路を利用する

 リラクシアへの取り付け道路を進むと、左に暁晴山への管理車道がある(道標あり)。
車道歩きは嫌なものだが、ここは入口に車止めのチェーンがあるので車は来ない。周囲は
雑木の林で散策にはうってつけである。桜の葉が早くもほの赤くなり始めている。左に折
れる分岐を過ごして、徐々に高度を上げていく。10分ばかり歩くと右手に「建設省施設
管理道につき許可なく通行禁止」の旨の注意書がある分岐道路。山頂へはこれを登ること
になる。因みに直進すると最初の分岐道へ出るらしい。

 太い杉林沿いに真っ直ぐ伸びる車道はやがて左に右にと大きくうねりながら高度を上げ
ていく。植林を抜け出ると右手が開けて峰山高原とリラクシアの建物、それに暁晴山と相
対する夜鷹山の羽を広げたような姿がある。上に上がったらさぞもっといい景色に違いな
いと思わせるに十分な展望である。もう山頂のアンテナ施設は視野に大きく映ってすぐそ
こなのだが、車道は一旦大きく迂回していく。そしてようやく山頂へと直進していくよう
になると、右に「山笑うコース」の分岐が現れた。ほとんど高低差はなくなり、一帯は暁
晴山の山頂部。ほどなく国土交通省の暁晴無線中継所の前に立つ。

 無線中継所で舗装路は終わり、砂利道を最高点に向かうと50m足らずで一等三角点の
埋まる最高点である。そこに立つと文字通り360度のパノラマで、望める山々の同定図
が設置されているのがうれしい。(一部誤っているらしい(笑))

秋空の下、暁晴山の頂きの三角点とススキ

 山頂のの手頃な岩に単独小父さんが座っている。小野から来られたというがこの辺りは
言うに及ばずあちこちに足を延ばしておられるらしい。眺められる山々について教えても
らったが、主なところでは北西から北に氷ノ山、藤無山に妙見山。北東に千町ヶ峰や段ヶ
峰。東は千ヶ峰から飯盛山に笠形山がある。びっくりしたのはすぐ南側の何の変哲もない
山々が雪彦山だということだ。そして5月に歩いた水剣山が真西に起伏しているのも懐か
しいものだった。こう見てくると結構この辺りの主な山々には登っているのだなというこ
とが分かる。

 小父さんが折角テーブル岩を食事場所にと提供してくれたけれど、風が出てやや寒いの
で建物の南側の空地に居を移すとこちらは日差しが暖かい。気が付けば食後のコーヒーま
で一時間ばかり、小父さんと喋っていたのだった。(笑)

山笑うコース分岐から山頂を振り返る

 小父さんは山笑うコースで砥峰高原へのハイキングコースに戻るという。登って来た林
道を下るのも能がないのでこちらも同行させてもらうことにする。人が多い砥峰より暁晴
山の山頂のススキの方がいいよと云われる。確かにここもススキの群生が綺麗だ。踏み跡
はそのススキの草むらの中からすぐに灌木の生えた緩斜面の林の中と変わる。ところが最
初は有った赤テープがいつの間にか消えた。本来の山笑うコースは宍粟市福地へ向けて北
東方向に進むらしいが、こちらは斜面をどんどん降りて東方向に向かう。雑木の林はすぐ
に尽きて今度は杉の植林帯へと変わる。かまわずなおも下って行けば、樹間から白っぽい
地面が覗きはじめる。地形図にない林道が走っているのだった。

地形図にない林道に降りてきた

 小父さんと駄弁りながら砂利の敷かれた林道を南へとのんびり歩く。400mも進んだ
ろうか。チェーンの車止めを抜けるとそこは往路の管理道で、ハイキング道の分岐はすぐ
そこである。砥峰へ戻るという小父さんとはここでお別れだ。ブラブラと管理道を歩き、
登山口へ戻ったのは13時20分。のんびり子供を遊ばせる夫婦や犬の散歩をするご婦人
を遠目に、5分足らずで駐車場である。


【砥峰高原】

 最後に砥峰高原のススキを見物して帰ろう。再び車上の人となって夜鷹山の登山口を通
過して更に北上する。峠を越えると一気に景色が変化し、ススキに覆われた草原風景が目
の前に展開する。俄然、人と車が増える。とのみね自然観察館付近に幾つかある駐車場は
どれも満杯で、あふれて路肩に駐車する車も多い。ほとんどがススキ見物の家族連れやカ
ップルなどの観光客といったところ。当方も広くなった路肩が空いていたのでお借りする。

 自然館からのススキの原を一望する景色が良い。緩く起伏する高原にススキの穂が銀色
に波打つ。湿地にはカキラン、ウツボグサなど湿地性の植物も生育するとのことだ。昔は
この辺り一帯を軍馬の屋外飼育場に使用すべく周囲に土塁を築いたが、そのまま使われる
ことなく時が流れ、今は早春に山焼きをすることでこの景観が守られているということだ。
このススキの原で『ノルウェイの森』も『平清盛』も撮影されたとのことで、一廻りした
木道沿いに撮影地点を示す標識が立っていた。
 
 暁晴山で小父さんも語っていたが、こんなに人出が多いとは思わなかった。一渡り見て
帰宅の車で混まない内に山を下りることにし、帰路は県道を長谷ダムの横からJR播但線
の寺前駅前を抜けて神崎南ランプに戻る。秋晴れの中、ススキの高原でいささか観光気分
にも浸りながら、それでもしっかり三角点峰は二山制覇?の結構充実のお手軽山歩であり
ました。

砥峰高原のススキ



【タイムチャート】
07:35自宅発
09:55〜10:05夜鷹山登山口(駐車地)
10:30〜10:45夜鷹山(1,056.0m 四等三角点『夜鷹山』)
11:05夜鷹山登山口(駐車地)
【移動】
11:15〜11:19峰山高原一般駐車場(駐車地)
11:23〜11:25暁晴山登山口(管理車道起点)
11:31ハイキングコース分岐
11:42〜11:44国土交通省管理道分岐
12:00〜12:55夜鷹山(1,077.2m 一等三角点『暁晴山』)
13:02山笑うコース分岐
13:07林道
13:13登山道(管理車道)出合
13:15ハイキングコース分岐
13:20暁晴山登山口(管理車道起点)
13:24峰山高原一般駐車場(駐車地)



暁晴山のデータ
【所在地】兵庫県宍粟市、神崎郡神河町
【標高】1,077.2m (一等三角点『暁晴山』)
【備考】 播磨中央部の1000m前後の山岳が連なる中に周氷河
地形を示す峰山高原、砥峰高原の外周を形成する代表的
な山です。山頂には国土交通省の暁晴無線中継所がある
他、幾つかの無線施設がありどこからでも同定できます。
山頂は高木がなく360度の眺望で兵庫県の主な山が一
望の他、瀬戸内海、大山まで遠望できる時があります。
麓のリラクシアから40分です。
夜鷹山のデータ
【所在地】兵庫県神崎郡神河町
【標高】1,056.0m (四等三角点『夜鷹山』)
【備考】 暁晴山の東に相対する形でそびえる峰山高原、砥峰高原
の外周を形成する山です。山頂に木製の展望台があり、
北に千町ヶ峰、段ヶ峰連山、西に太田池、西に相対する
暁晴山と峰山高原が一望です。西の麓を走る広域基幹林
道峰山線に登山口があります。
【参考】
2.5万図『長谷』



砥峰高原のススキの原

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