玉瀬の里山遊歩道散策

玉瀬の里山案内図。いい散歩道になります
平成23年12月 4日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独


 丹波へ行くのによく利用する長尾山から三田へ抜ける道。宝塚市の西谷地区付近がこの
時期は黄葉で綺麗なので、はっきり目的地も定めずやって来た次第。西谷の釣り堀横に抜
けるバイパス道を古宝山を南に見る辺り、土建会社の残土置き場のような場所近くのちっ
ぽけな溜め池の傍に駐車場所を見つける。振り返って眺めた古宝山は頂上付近の木立が目
立ち、ここから見てもおっぱい山だ。(笑) 

 最寄に近畿自然歩道の標識があるのを知っていたのでとりあえずそちらに向かう。この
道は添谷(ソエ谷)峠を越えて川西市の多田銀山へ抜ける道で、銀山が盛んだった頃は足
繁く通われていたであろう。今は遊歩道となってバイパスとの交差点には入口を示す標識
があるが、その標識横のヤブに隠れて、往時を示すかのように『奉納○○、施主○○』と
刻まれた砂岩の柱が立っている。

秋色深い銀山道入口

 以前は水田だったのが休耕田というかもう耕作を放棄されたような数反の荒地。小さな
流れに沿って200mも行くと思いも懸けずベンチが二つ。背後の案内図によると、宝塚
市が里山として整備したそうで、距離は短いものの尾根コースと谷コースでぐるりと一周
できるようだ。ぶらり散歩にはうってつけだ。今日は軽〜くこのコースを採ってみる。お
っと腹の虫が鳴った。気づくと12時もとっくに廻っている。ベンチに腰かけてまずは腹
ごしらえをすませよう。

 赤い服装の人が奥からゆっくりやって来た。地元のおばあさん。炬燵でテレビを見てい
ても腰が痛いだけなので歩いている。今日もソエ谷峠まで歩いてきたという。いい機会な
ので色々話を伺うと、若い頃は香下の観音さんまでよくお参りに行ったものだとか。香下
の観音さんとは羽束山の香下寺のことだ。古宝山や八王子山に登ったことがあるというと、
頂上の祠は地元の婦人会が世話したものだとか毎年の祭りにはよく登ったものだとか、語
る口調も懐かしそうであった。

 時折、灰色の千切れ雲がやってきて日が翳る。その中でじっといしているとやはり寒く
なってくる。そろそろ冬ならではの空模様になってきた。真冬ならチラチラ風花が舞って
いることだろう。腰を上げて出発。両脇の小山が迫ってきて休耕田が途切れると、痩せた
小笹の茂る雑木林。道はソエ谷沿いに軽四輪なら十分通れるほど広い。

 10分程歩いて小川を渡ると道標。谷コースと尾根コースの分岐だ。峠まで尾根コース1
300m、谷コース1400m。先に尾根コースへ。今までと違ってこちらは普通の山
道である。小さな流れを渡ると登り基調になり、あまりはっきりとはしないが支尾根に乗
る。最初の小さなピークに登ると周囲が見渡せる。名もない小さな高みや山並みはひょろ
りとした松やコナラ、ヒサカキ、赤い実をつけたソヨゴなど、常緑樹と落葉樹の混交林だ。
次のピークは頂上を巻きながらのほぼ平坦な道で、右手に谷コースの迫ってきたらもう合
流点だった。
分厚い落ち葉に覆われたソエ谷峠

 ソエ谷峠はそこから間もなくで、前回訪れた時から数えればかれこれ7、8年にはなる
だろうか。落ち葉の絨毯が敷かれただだっ広い感じがする峠には近畿自然歩道の道標があ
る。以前、懸けられていた大きな私製の道標は支柱が朽ちたのか地面に投げ出されている
が、東の銀山方面への道には車止めが健在である。直進すると竜王山に登れるが、その左
の尾根を伝うと北穴虫の三角点ピークにも伝ってけるようだ。少し竜王山方面に入り込む
と東に猪名川町から川西にかけてのニュータウンの街並みがびっしりと見える。手前の鋭
い山は釣鐘山かとも思ったが、昔登ったことのある城山だろう。

 今度は谷コースで戻る。すぐに尾根コースとの出合。大きくカーブする所には山陽自然
歩道の古い標識がある。右手に往路の尾根筋を見ながらゆっくりと下る。道はこの辺りで
も車が通れるくらいの幅のあるダート道で歩くに支障はないが、雨で中央の土砂がえぐら
れていてとても一般車では入れない。

青い水もが静まる添谷池

 やがて右手に添谷池の薄いエメラルド色の水面が現れる。存外澄んでいて、向かいの山
を逆さに水面に映している。何か鳥が羽を休めているかと思ったけれど何もいない。静か
である。そこから200mほどで尾根コースとの分岐地点に戻る。

 ぶらりとほとんど計画も立てずやって来た西谷周辺。里山公園があったのには少々驚き
だったが、おかげで軽い山歩を愉しめた。早や日は傾いて空気にやや赤っぽさを混ぜてい
る。穏やかな西谷は大原野の里。遠くの田んぼで籾殻でも焼くのか、一筋の煙が上がって
いた。



【タイムチャート】 
13:50玉瀬遊歩道入口
14:06尾根道・谷道分岐
14:27尾根道・谷道出合
14:29〜14:40ソエ谷峠
14:43〜14:45添谷池
15:00玉瀬遊歩道入口



玉瀬地区里山遊歩道
【所在地】兵庫県川辺郡猪名川町
【標高】250〜300m
【備考】
兵庫県が里山林等整備事業の一環として玉瀬地区の里山
に遊歩道を整備しました。もともと多田銀山への古道が
通じており、近畿自然歩道でもあります。
【参考】
2.5万図『広根』



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