ブラッと行く播州小富士山・仁寿山

麻生八幡宮横から小富士山
平成23年 2月27日(日)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】単独


 月末の休日は山の会の定例オフがある。しかし、今月は予報悪化で中止になった、ので
あるが、その後、低気圧の動きが遅れ日中は大丈夫と予報が好転する。えてしてこういう
ことがあるものだ。

 というわけで、今日は前から目をつけていた播州の低山へドライブがてら出かけること
にした。播州小富士山と仁寿山である。 9時半位に出かけりゃいいだろうと準備をして
いたが、ふと思いついて野暮用の電話をしていたら意外に長引いて、お蔭で10時出発と
ますます遅くなってしまった。まあ、それでも正午前後には山頂で昼を頂けよう。(笑)

 中国道、山陽道、播但道、姫路パイパスと乗り継いで姫路東ランプで一般道に降り、奥
山集落に向かう。北上してR2の高架を潜ると姫路の中央部とはいえ田園風景が広がり、
前方にはこの付近に多い。五分刈のようなポッコリした山並みがあり、その内の一つがピ
ラミッド型。目指す小富士山はあれらしい。民家の前のT字路を左折すると池があり、Y
字路に説明板と大きな石碑が立つ。仁寿校址の石碑だ。右手が仁寿山の管理道のようだが
車止めがあり、やむなく左手の植栽畑に続く道を進むと、すぐに1台駐車できる空地を見
つける。造園業者の看板があるのでその顧客用なのだろうかと思ったが、誰もいないこと
もあって、甘えてしばらく無断借用させてもらうことにした。(^^; (実は奥山植木公園
という施設だったらしいと後で知る)

 さっきのT字路を直進すると間もなく麻生八幡宮。姫路市の説明板によれば、この辺り
は古来、継庄と呼ばれ石清水八幡宮の荘園だったので、八幡神を勧請したらしい。拝殿前
には多くの絵馬が掲げてあり、中に天保年間の俵を前にした大黒像がある。先の説明板に
は神功皇后が三韓征伐で西下するおり、小富士山(麻生山)に登って戦勝を大国主命に祈
願したとあるので、大黒さんを描いたのだろうか?それとも単純に米に関係した福の神だ
からか。だが第一、大黒さんかどうか分らない。とりとめのない想像である。

拝殿前に掲げてあった天保年間の献額

 八幡宮横の池は改修工事の真っ最中で些か風景が良くないが、この辺りから眺める麻生
山はほんに播州富士の風情。近づいていくと山際の民家の横にコンクリートの階段がある。
播州の平野部には独立して突然盛り上がったような山が多いが、浸食されずに固い部分が
そのまま残ったのが山になったようだ。小富士山もその例に漏れず、すぐに岩盤の上を歩
いていることに気づく。登山口には麻生八幡宮の社有林とあったから小富士山は神奈備山
でもあるらしい。

 道の要所に置かれた小学生が使うような木椅子は朽ち果てる寸前。と、左手に大きな岩
が現れた。振り仰ぐと棟方志功の絵に出てくる顔にそっくりに見える。その岩の前にはお
不動さんの石仏があり、岩の真ん中の溝に鎖が垂らしてあるが、危ないので右手の巻き道
を採る。やがて出た大岩の上は景色が良い。臨海部の煙突。その向こうに播磨灘が霞む。
ザックを下してフェースタオルで顔を拭って一息つく。この辺りは岩盤上を行く。不思議
なことに小さく刳り貫かれた池があって、緑色した水の中で赤いものが動いている。池の
上部にかぼそい湧き水があるようで、緋鯉が棲んでいるということは水が涸れないのだろ
う。ここにもはっきりした顔立ちのお不動さんが立っていた。

 池の上側は階段状に節理した岩で凝灰岩らしい。再び道は低木の中となってしばらくす
ると弘法大師の像が現れ、朽ちた道標のある所の右手から、四郷から上がってくる小道を
合わせると、前方に古い建物を見るようになる。飾磨郡西国札所第一番とか。でも無住の
寺のようで、納経などどうするのだろうか?(笑)

華厳寺。左右に風化した石仏がある

 
華厳寺の広場から北東、高御位山連山

 剥落の激しい石仏が並列する華厳寺の境内を抜けると、丸い小広場となってベンチが一
つ置かれている。小富士山の山頂は想像したよりはるかに広い。東や北側は灌木に遮られ
るが、南から西の眺めは抜群だ。TV電波中継所のアンテナが林立する仁寿山が西に広が
り、眼下、南には車を置いた地点近くの池がある。飾磨の街並みの向こうには、播磨灘に
浮かぶ小島や遠く相生、赤穂方面が一望である。低い山なので犬の鳴き声や救急車のサイ
レンなど生活感溢れる街の喧騒も上がってくる。

 うらうらと暖かさの中、ベンチで昼食をしたためていると単独兄さんがやってきた。今
日遭遇した初めてのハイカーだ。(^^;
単独兄さん「仁寿山へはあそこから降りるんですかねえ?」
小生「多分そうだと思いますが...。なにせ僕も初めてなもんで...」

 一休みすると仁寿山の方へ下りて行かれた。しばらくして仁寿山方向を眺めると、くだ
んの兄さんがCa120mピーク付近を歩いて行くのが見える。振り返ったようなので、手
を振ると答えてくれた。(^^/
小富士山から見る仁寿山。手前はCa140mピーク

 15分ほど遅れて当方もスタート。華厳寺の方へ向かおうとしたら、今度は単独小父さ
んがやってきた。ザック類を持っていないのでジモティらしい。挨拶を交わして広場と寺
の境内の中間から西へ降りていく。笹やコシダを刈り取ってあって歩きやすいが結構な急
坂だ。と、左の小道からさっきの小父さんが現れた。頂上広場にも西へ踏み跡らしきもの
があったのでそこから来られたに違いない。結局、この先の鞍部までご一緒すことになり、
北の姫路市街の中央に見える巨大な四角いものが修理中の姫路城だなどと色々教えてもら
う。

 道が二股になる。右手はCa140m峰の迂回路で、左の尾根道の方が面白いとくだんの
小父さん。さっきのお兄さんもこちらを通ったようだ。というわけで我々もCa140m峰
を歩く。確かにここからだと小富士山がよく見える。

 古墳の石室らしきぱっくり口をあけた穴を過ぎると、さっき分岐した道と合流点だ。す
ると一分もしない内に鞍部の十字路へ出た。小父さんはここから四郷へ行かれるという。
まっすぐ行けば仁寿山ですよと言い置いて、小父さんは北へ降りて行った。

 少し生えこんだ小笹の中を登ると間もなく管理車道へ飛び出した。仁寿山への道は管理
車道を横切った向かい。目立たないが白いPPテープが結んである。ジグザグに小道を行
くと、大きなアンテナ施設が頭上に覆いかぶさるようにある。振り返ると高い木が一本も
ない荒れた斜面が小富士山の北斜面に広がっていたが、想像通り数年前に山火事があった
のだという。この辺り、数年毎に山火事が起きている。多分大部分がハイカーの煙草の火
の不始末だろう。ほんと、煙草をやめていて良かった。

 クリーム色の中継施設の建物に出たら仁寿山の東尾根で山頂までは20mほどの登り。
また管理道路に飛び出して、早速、三角点を探す。ところがこれがなかなか見つからない。
「??」右往左往した果てに、NHKの放送中継施設と姫路JSMRシステム局の間の狭
いフェンスの間に、ふと例の『三角点を守りましょう』の白標柱を発見!そして幅5cm
くらいの『仁寿山』と書かれた小さな私製プレートもあるではないか!そしてフェンスの
向こうを見て...。これはちょっとやそっとでは見つからぬはずである。

 なんとフェンスの向こうはNHKの敷地内で、三角点標石はコンクリートで固められて、
頭しか見えていないのである。しかも二等三角点なのである。なんと可哀そうな!

 ポカポカしては四月並みの暖かさ。目当ての三角点も確認したので管理道のガードレー
ルの外で姫路の市街地を見ながらコーヒーブレーク。時折、轟音を残して「のぞみ」が爆
走していく。小富士山もこちらから眺めるととても富士には見えない。(笑)

 往路の登って来た尾根を下って、クリーム色のアンテナ施設横を管理車道へと降り立つ。
存外の急斜面。おまけにザレているので滑らぬように注意が要る。それにしてもあのクリ
ーム色の中継施設はなんだろう。名称を現す表示は一切なく、赤外線感知装置みたいなも
のが周囲に巡らされている。何か怪しいなあ?(笑)

仁寿山の二等三角点『仁寿山』
白い標識柱の影の先の草が生えた部分に
コンクリートに固められた頭のみが見える

仁寿山から見る小富士山
とても富士山とは見えない(笑)

 鞍部へ降りても良かったけれど、そのまま管理道を下ることにする。すぐに大きくUタ
ーンした先には、鞍部からの小道が降りてきている。やがて右手に、岸辺にはベンチが置
かれた溜め池が現れた。そこへ降りるに赤いヒラヒラがこれでもかとぶら下げてあるのが
ちょっと「???」だったが、後で考えれば奥山公園の敷地の印だったようだ。

 やがて仁寿山校の記念碑の辻。姫路藩の家老だった河合寸翁の創設した私塾では、かの
頼山陽も講義したのだとか。その当時の建物の図が説明書きと共に描かれている。それに
よれば仁寿山頂に亭があったようだが、今はTV施設が幾つも林立していて、河合寸翁が
見たらさぞかし仰天することだろう。(笑)

 車はすぐそこ。ザックを置いて、ペットボトルの茶をぐっと飲み干す。今日もお手軽三
角点ゲット。近頃、こんな安穏な山歩きばかりです。(^^;



【タイムチャート】
10:00自宅発
11:35〜11:40奥山植木公園(駐車地)
11:47〜11:50麻生八幡神社
11:54小富士山登山口
12:15〜12:17華厳寺
12:18〜12:38小富士山(麻生山)(173m)(昼食)
12:51〜12:52四辻のある鞍部
12:55管理車道出合
13:03〜13:04クリーム色のアンテナ施設
13:07山頂の管理車道出合
13:12〜13:35仁寿山(569.2m 三等三角点)(小休止)
13:44管理車道出合
13:54奥山植木公園(駐車地)



麻生山(小富士山)のデータ
【所在地】兵庫県姫路市
【標高】173m
【備考】 市川と姫路バイパスに囲まれた一角にある里山です。南
から見ると小富士といわれる通りピラミッド型をしてい
ます。山頂には華厳寺があり、奥山や四郷から参道が延
びています。意外に山頂は広く南の展望が絶佳です。
仁寿山のデータ
【所在地】兵庫県姫路市
【標高】175.2m(二等三角点)
【備考】 小富士山の西に位置する二等三角点の山です。江戸時代
は姫路藩の家老、河合寸翁の私塾「仁寿山校」がありま
したが、今は放送局の中継所が所狭しと建っています。
喬木がない為、展望が良く、姫路市街をはじめ播磨灘、
小豆島が眺められます。
【参考】2.5万図『姫路南部』




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