三国平・長義山〜宍粟の山で森林浴

長義山の北斜面から北東方面の眺め。雲を被るのは高倉かくらますか。中央下に登山口の県道が走る

平成23年 6月19日(日)
【天候】曇り
【同行】単独


 高速道路の上限千円の割引も本日で終了。それで今回も少し遠出を画策したものの天候
が不順だし予報は猫の目状態で一定せず、どうしたものか思案投げ首。折角、遠出まです
るからには空振りはしたくない。やっぱり今日も北の方がまだましだろうと2、3候補を
上げてみる。更に雨に降られた場合でも傘を差して歩ける所はと絞ってみて、兵庫、岡山、
鳥取の三県にまたがる若杉原生林近くでの森林浴に決定。雨には移動中も含めて一滴も降
られず仕舞い。余禄に宍粟五十山も二つ踏むことが出来、こんなことなら本命の場所に行
ってたら良かったかな。(^^;

 中国道山崎ICから県道を西へ。途中に腰痛地蔵というユニークなお地蔵さんの案内が
立つ何度か走ったことのある道である。千種川にぶち当たったら川沿いに北上、瑠璃寺、
後山の登山口を過ぎるとやがて三室山への道との分岐に出る。ここを左折、渓谷沿いにひ
たすら登って千種のスキー場の前を抜け、更に登っていくと岡山県境手前に峰越峠がある。
路肩が広まっているのでここに駐車。すでに地元姫路ナンバーの3台が止まっている。曇
り空でも周囲の山々にガスはなく、天気の崩れはなさそうである。

 用意をしていると何処からかカッコウの啼き声。この声を聴くと清々しい山奥の高原へ
来た感じがするから不思議だ。♪静かな湖畔の森の蔭から...♪なんて童謡が頭の中に
刷り込まれているのだろう。(笑) 東屋の立つ旧道に入る。ここには二度ばかり来たこと
があるのだが、以前は気付かなかった「天児屋川源流」なる標識がある。その横にジモテ
ィのものと思しきクリーム色の軽四輪が止まって居、踏み跡もあったものだから、一寸ば
かし違うような違和感はあったものの、ここが取り付きだと思って踏み込んだ。

 赤いPPテープは確かにある。でも以前歩いた道は尾根筋だったような....。沢筋の道
はマムシが出てきそうな雰囲気で直ぐに踏み跡も怪しくなった。これは違うな。あっさり
諦めて元へ取って返す。するとなんだ5mも行かぬ内に見覚えある千種川源流探訪コース
の標識があるではないか。しかも三国平登山口なる宍粟五十山の真新しい標識までも。小
生は一体何を考えていたんだろうか。近頃とみにこういうことが増えたなあ。自分の目は
節穴じゃあないのか。忸怩たる思いがこみ上げた。(T_T) って、大袈裟。

 さて、気を取り直して改めて歩き始めようと思ったら、ワイシャツ姿で紺ズボンの見る
からに運転手らしい小父さんが立っている。なんでも若杉原生林の入口で山のグループを
下ろしたそうな。峠で待機するように言われたのだが、要するに待つのはここでいいのか
と確認しにきたみたいである。ここでOKですよ。常の小生とは違って親切に教えてあげ
る。(^^;

 この道は最初が急登。30mほど一気に登ったら後は小刻みなアップダウンが連続する
プロムナード。”A”から始まる『千種川源流探訪コース』の標識が地面に置かれている。

力強く幹を延ばす大ブナ

 美作側は植林、播磨側が雑木の県境尾根は年々歩きやすくなっている。ブナ、ミズナラ
類は大まかに言って直径20〜40cm位のものが多いが、中には苔むしてノキシノブやイ
ワガラミが巻きついた周囲2m近い大物も混じる。頭上ではホトトギスの啼き交わす声が
あちこちで聞かれる。ヌタ場に残る獣の足跡はクマのではなさそうだ。(^^;

 思ったより早く江浪峠の分岐に到着。前回来た時より俄然賑やかになっている。三国平
登山口、江浪峠分岐等、数々の標柱、標識がしっかりある。(『千種川源流探訪コース』
の標識はH地点)しかも以前は笹の藪に覆われていたはずなのに、綺麗な小道がつけられ
ていて大きく様変わりしている。探すのも難しかった江浪峠も、左に谷を見ながら道なり
に旧峠道(廃道)に出て右に折れればあっという間で、お地蔵さんとは二度目の対面であ
る。このお地蔵さん、昭和8年生まれと比較的若いお地蔵さんなのであるが、今までは藪
の中で、遭うのは熊か鹿ばかりで寂しかったのが急に賑やかになってびっくりしているこ
とだろう。
すっかり見違えるようになった江浪峠

 峠で小憩していると三国平の方から単独女性がやってきた。聞けば三国平はすぐそこで、
数人のグループの人たちが弁当を使っておられるという。熊笹の切開きをしばらく行くと
確かに人声が漏れてきた。

 三国平は地形図上の1128m地点。山というよりこのあたりでいう所謂”ナル”であ
る。昔は笹が跋扈していたらしいがそれも今は生気がない。大きな丸い切開きにそれほど
太くはないが樹高のあるブナが生え、ほんのすぐ近くで「テッペンカケタカ」とホトトギ
スが大声で囀るが姿は見えない。展望は高倉らしい優美な山に天児屋山へ続く標高点ピー
クが垣間見える程度だが、食事するにはいい所である。ちょっと早いがこちらも食事とし
た。

整備された三国平

 先着のグループには宍粟五十山選定に関係した小父さんが含まれていたようだ。顕著な
ピークでもないのに三国平を五十山に入れた経緯などの話が漏れてくる。播磨、美作、因
幡の三国の境目の台地なので入れておこうと思った云々、だそうだが、実は三県の県境は
地形図に従えば、源流探訪コースの江浪峠分岐地点なのだ。(笑)

 天児屋川源流モニュメントは江浪峠を南へ下った所にあるらしいが省略。お地蔵さんか
ら少し下がった峠道の真ん中辺からも水が浸み出しているので、ここを源流にしてもいい
んではなかろうか。(笑)
県道脇の登山口から長義山

 さて、往路を駐車地に取って返す。県道を300mほど南へ歩いて右にカーブした先に
長義山の登山口の標識があるのは往路で確認済みである。幅広の砂利道があるがほんのと
っつきの30mだけで、その左手には湿地のような水たまりがあり、上に被さるナナカマ
ドには数個、モリアオガエルの卵塊がある。小さな湧水の流れを越えて右の草地の斜面を
ジグザグに登っていくので、その斜面の向こうに長義山はあるのかと思いきや、踏み跡は
登るのをやめて浅い谷を左下に見ながら真っ直ぐ西へ向かう。倒壊した金属製の鹿フェン
ス沿いに進むとT字路になった小さな鞍部だ。標識は右、峰越峠だがあまり歩かれていな
いらしく踏み跡はほぼ消えている。

 ここで左に折れ、更に倒れたフェンス沿いに胸突き八丁の急斜面を登る。フェンスの向
こう側は笹などが茂る伐採地で高さのある木がほとんどない。下にライオンズの森と看板
があったから、水源を守る為の植林でもするのだろうか。でもほとんど植林された形跡は
ない。代わりに点々とコナスビの黄色い花。(笑) 伐採地とコナラやブナの二次林との境
目で一休み。振り返ると北東方向が広がって今日一番の展望なのだった。遠く三室山方面
の山々。その手前の山らしい形をした山は天児屋山だろうか。薄日が差してきた。

長義山山頂風景、手前が兵庫県で奥は岡山県

 二次林の中になると傾斜も少し緩み、テープを追いながらもう一登りしたところに長義
山の三角点があっけなくあった。長義山。『新・はりまハイキング』では「ちょうぎさん」
とルビがあるが、宍粟五十山の標識は「なぎさん」。美作の名山那岐山と紛らわしいので
「ちょうぎさん」の方がいいかも。(笑) 山頂は全く展望無しで美作側はヒノキ林だ。南
へダルガ峰、スキー場への縦走路があり、明快な踏み跡が続いている。そとういえばここ
は播磨、美作の国境稜線なのだった。お茶で口を潤し一息ついてから往路を引き返した。

 登山口に戻ると一台の軽がやって来た。降りて来たのは江浪峠で出会った豊岡から来ら
れたという単独女性。美作側からダルガ峰へ登ってきて、今から長義山に登るのだという。
昨日は淡路島の先山だとかで、我ながら爪の垢でも煎じて飲んでみたいエネルギッシュな
方である。(笑) 駐車場へ引き返す。さっきは見かけなかった小型貸切バスで待機してい
るのは朝の運転手かな?

 帰路。ナビで自宅へ戻るを選択すると何故か志引峠を越えて岡山県の大原方面へ先導す
る。多分、距離、時間、高速優先でこうなったのだろうが、鳥取自動車道、佐用ジャンク
ション経由で往路より50円高かった。上限千円の割引がなけりゃこのルート無視してい
る所だが....。(爆) 

 お手軽森林浴の巻。千mの高みでのトレッキングは夏でも涼しくて良さげ。また来てみ
るか。でも高速代が....。皆の思いは同じなのか、帰りの中国道は15時過ぎにもかかわ
らず、常習の宝塚西トンネル先頭の渋滞は見る見る伸びていったのでした。



【タイムチャート】
7:40自宅発
9:55〜10:05峰越峠(駐車地)
10:22源流探訪コース登山口
10:441,091m標高点
11:00〜11:01江浪峠分岐
11:05〜11:06江浪峠
11:10〜11:30三国平(1,128m)
11:41江浪峠分岐
12:12源流探訪コース登山口
12:18長義山登山口
12:23T字路
12:33〜12:38長義山(三等三角点)
12:52長義山登山口



三国平のデータ
【所在地】兵庫県宍粟市、鳥取県八頭郡若桜町
【標高】1,128m
【備考】 播磨、美作、因幡の国境にあることから三国平と名付け
られていますが、厳密には因播の国境にあります。小広
い台地で、従来は笹のブッシュでしたが宍粟五十山に選
定されたことで整備され、最寄りの江浪峠ともどもすぐ
に行き着けるようになりました。展望はあまりありませ
んが、高倉、三室山などといった因播、因但の山々が望
めます。
長義山のデータ
【所在地】兵庫県宍粟市、岡山県英田郡西粟倉村
【標高】1,105.6m(三等三角点)
【備考】 播磨、美作の国境稜線に位置する一峰で、県道からすぐ
に登れます。山頂は木々に遮られていますが、北側が伐
採されており、くらます、天児屋山といった北方の眺め
が秀逸です。尚、国境稜線には縦走路があり、ダルガ峰、
駒ノ尾、船木山、後山と千m越の稜線散歩ができます。
【参考】2.5万図『西河内』



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