一本松山〜山麓ぐるり一周

県道の橋の上から一本松山
平成23年12月24日(土)
【天候】晴れ
【同行】単独


 年々秋が短くなってくる気がする。ということは小生にとって山歩適期が短くなるとい
うこと。急に寒くなって遠出をする気も起らず、ついついカウチポテトを決め込みたくな
る。ホント、困ったことです。(^^; というわけであらためて近場をエアリアマップで見
てみると、存外歩いていない所が多いのに気づく。また最近、自治体も住民の健康を気に
してか、里山など新たに整備している箇所も多い。今日はそんな箇所の一つ、猪名川町が
整備している歴史街道の一部、銀山の道を少し歩いてみた。

 県道12号線(川西篠山線)沿いにある道の駅『いながわ』の駐車場をお借りする。こ
こは手打ち蕎麦が有名だがその内にとは思いながらも残念ながらまだ賞味したことがない。
今日も素通りになりそう。(^^; 支度をして大原野方面に向かう県道68号線に出てすぐ
の、川床川に架かる橋を渡る。たもとには銀山に通ずるハイキングコースの道標があり、
『銀山(青木間歩)2.5q、悠久の館3.4q』の表示がある。

歴史街道は右手です

 万善荘と呼ばれる新興住宅地を道なりに行くとすぐに突き当たり。左に小ぶりな児童公
園を見つける。正面に小道が二つあるが、細流の左岸沿いの狭いコンクリート道に歴史街
道と標識が懸けられている。隘路はここのみで、すぐに軽四くらいなら走れそうな林の中
の道になる。右に大きな穴がぽっかり口を開けていたが、この辺りに多い鉱口跡かもしれ
ない。

 右に上がっていくジグザグ道を道なりに登っていくと、そこは砂地が露出した小さな尾
根である。見晴らしがよく、振り返れば道の駅や能勢に続く山並みなどが見渡せる。左前
方にはこれから登る一本松山らしい高みが見えている。

 尾根は緩やかな勾配で再び灌木の林に入り、やがて一本松山から伸びる尾根筋の峠に着
く。十字路になっていて東西方向に踏み跡があり、東方向が一本松山への登路で、灌木に
巻かれたテープにマジックで小さく山名が書かれている。

銀山へ向かう峠。左が一本松山の取り付き

 一息入れて一本松山へ向かう。所々、北摂によくあるコシダに覆われた個所がるが踏み
跡は明快。時に現れる枝道には虎ロープで通せんぼがしてある。両脇にロープが張られた
個所もあってよく整備されている印象であるけれど、要するに松茸山でコース以外には立
ち入るなってことだろう。松といってもヒョロヒョロした痩せた木ばかりだけれど、そう
いえば、さっきの峠に朽ちて倒れていた看板に、松茸シーズンにみだりに立ち入ると疑わ
れる云々の注意書きがあったのを思い出す。

 ほとんど展望らしきものもない内に、少し急になった斜面を行くとすぐに緩やかになっ
て、疎らな桧林の下に北摂でよく見る無線屋さんの山名プレート1枚と、綺麗な四等三角
点が『三角点を大切に』標柱と共にあった。但し、山の名の由来になるような目立った松
は見かけない。
一本松山の山頂風景


 麓から眺めるほど山頂は狭くない。ただ、展望はあまり良くなく、木の間越しに城山が
南に見えるぐらいである。踏み跡は峠からの踏み跡含めて3本ある。北へ向かう一本はち
ょっと見たところ生えこみがきつそうだったが、東南方向のものは明瞭。北田原の方にで
も降りていくのかもしれない。

 そんなわけで長居もせず登路を引き返す。あっという間に峠に戻る。ついでに反対側の
尾根にも少し分け入って見る。テープ類はほとんどなし。時折、古くなった透明のPPテ
ープがヒラヒラしているくらい。でも人一人が通れるほどの空間があり、やはり松茸を探
す為の道なのだろう。西の大日山へと繋がっているのかもしれない。

 元来た道を一旦戻りかけたが、気が変わって銀山側に降りてみることにする。冬木立の
中、伐採された枝が円柱形にかためて傍らに積まれている。よく整備された道は10分足
らずで銀山側の平地に出る。池が二つあって、大きい方が中池、小さい方が口池。池に挟
まれた十字路に近畿自然歩道の道標と案内図が設置されている。猪名川町には彫刻の道な
どがあり、至る所に彫刻が置かれているが、ここにも道祖神に似た彫刻が置かれていた。

 さて、この先のコースをまだ決めていない。案内図を確かめてみる。南へ直進は銀山方
面。瓢箪間歩までは1.2km。西へはうす暗い道が延びているが、ソエ谷峠への自然歩
道を城山の北麓付近から別れる林道に最終的につながるようだ。東へ向かうのは近畿自然
歩道で道標には『大井バス停3.2q、屏風岩3.5q』とある。大井バス停はマス釣り
場近くのバス停である。峠へ戻れば駐車地点に最短であるが、この際だ。もともと大きな
山ではないし、一本松山を一周してやれ。というわけで、この自然歩道で南田原方面へ出
ることにする。

 その時、静かだった周囲にエンジン音が響く。銀山の方からモトクロスバイクがやって
きて池の端で止まった。ドライバーはジモティの小父さんらしくこの辺りをよく御存じで
いらっしゃる。大井方面の道はどんな具合か?と聞くと「ちょっとガラガラした道だけど」
との答えだ。礼を言って池の堰堤を行きかけると小父さん、元来た道を戻っていく。バイ
クで遊んで行かないのかな?どうしたんだろうな?それともひょっとして怪しい人影(つ
まり小生)を見かけて職務質問でもしに来たのかな?(笑)

 池の堤を進むとバイク除けの柵。抜けると小さな池(石金池)があり、向こう岸に廃屋
が一軒。やがてやや荒涼とした砂地が現れる。新しい道標が設置してるのと対照的に、山
壁には古いハイキングコースの道標が立てかけてある。小さな流れを渡って、これまた小
さい峠を越えると後は緩やかな下りだ。再びザレた砂地に出るとまた小さな池(ジャリ池)
が左に現れた。その堤から取水溝を右に見て、池から流れ出る沢に沿うようになった道は
軽四輪も通れるほどになる。地形図を見るとかなり狭隘な谷筋を通ることになっているが
案に相違して平坦な道である。ただ、杉桧の植林の下は薄暗く、見どころとて無し。自然
に足早になって進めば右手にフェンスに囲まれた大きな溜め池が現れる。と、背後でバサ
ッと大きな音と共に大きな水音もしたような。(^^; ビクッと足をまた早めるとその先に
車止めがあり、林から抜けて周囲が一気に明るくなる。ダムのような池の堰堤が見える頃
には道も舗装路に変わり、一瞬高鳴った動悸も収まった。一体、さっきの音は何の音だっ
たのだろうか。見に戻る気もないのだけれど...。(^^;;

 山の麓の林の縁を忠実に巡るように歩いてきて、ようやく正面に南田原の集落と高代寺
山、妙見山が見えるようになる。里山らしくここまで山へ入る小道があちこちにあり、そ
の中の、入口に古い墓が数基ある小道は一本松山の東南の232m山にでも続いているの
だろうか。猪名川町の体育館を取り巻く『ふれあい公園』の北側の縁に出て、やがて左手
に地形図でも寺院マークがある寺(光台寺)の甍が眼に入ってくる。

南田原の白壁の美しい農家

 南田原付近はまだ懐かしい農村の風景が残っている。苔の貼りついた古い柿の木。朱色
の実が空の青に鮮やか。元は茅葺きだった農家の白壁が早や傾いた冬陽に眩しい。しかし
真っ直ぐ県道に出る道がなくくねくねと遠回り。(笑) 八幡神社の社頭を抜けて東洋家具
の建物横でようやく新しい県道に出られたのである。

 道の駅まで2km。車ならあっという間の距離だけれど、歩けば小一時間はかかる。右
に丸山、左に一本松山。県道の猪名川にかかる新しい橋からの姿がなかなか良い。木喰仏
の東光寺の前を進んで、一度、日帰り風呂に入ったことのある岩屋館、屏風岩と進んで道
の駅『いながわ』へ戻る。あれ?また手帳がない。なんてことだ。しかしこれで厄落とし
したと思えば....。社会的にも私的にも波瀾万丈のこの一年。来年は昇り竜といきま
すかどうか。本年の山納めになりそうな里山ぐるり一周でした。



【タイムチャート】 
11:35自宅発
12:35〜12:40猪名川町道の駅(駐車地)
12:43みどり橋
12:57〜13:00
13:15〜13:20一本松山(301.4m(四等三角点))
13:32〜13:50
14:00〜14:10近畿自然歩道出合
14:40ふれあい公園北側
15:00県道川西篠山線出合
15:35猪名川町道の駅(駐車地)



一本松山のデータ
【所在地】兵庫県川辺郡猪名川町
【標高】301.4m(四等三角点)
【備考】
猪名川町にある里山で、県道川西篠山線を走ると東の丸
山、相対して聳える端正な姿が目に入ります。猪名川町
万善と多田銀山を結ぶ峠道が西の中腹近くを走っていま
す。東の麓に木喰上人の像がある浄土宗の東光寺、北の
麓には猪名川町の道の駅があります。
【参考】
2.5万図『武田尾』『木津』



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