牛首ノ峰

焼山の太尾の頭から牛首ノ峰。伯母子岳は
牛首ノ峰に隠れている。右の奥の山脈が
大峰山脈で釈迦ヶ岳の鋭峰が見える
平成22年 9月18日(土)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】幸さん、水谷さん


 足踏みしていた秋もようやく重い腰を上げたようで、熱帯夜も途切れた今日この頃。但
し、日差しはまだまだ夏である。今回も標高1000m以上の尾根歩き。去年も歩いた伯
母子岳西尾根へ再び出かけた。山頂には秋を告げる赤とんぼが群れ飛び、涼しい風が吹き
抜けていました。

 相変わらずブナ、ナラの林は清々しい。山仕事なのか遠くでチェーンソーの音が響く。
歩いていると鋭い声でカケスが飛び立つ。大きな鳥で鳩くらいもあり、飛び立つと白い模
様がよく目立つ。

 出発が遅かったので、牛首峰と誤った標識のある辺りで昼食を摂って伯母子岳へ向かう。
不思議に伯母子岳には我々以外には人がおらず、展望は独り占めならぬ我々占めである。
目立ったのはやはり大峰の山並みで、中でも釈迦ヶ岳は一際目立っているのだった。

 北摂からは流石に遠く、あまり遅い帰宅は翌日に響くので、20分ほど展望を楽しんだ
ところで帰途に着く。北の大股へのコースで遊歩道まで下山する。こちらも緩々とした斜
面で、ブナ、ミズナラの林だが北側でもあろう、深タワからの往路よりもうす暗い感じが
ある。

 もうそろそろと思うあたりで遊歩道と合流。避難小屋のある伯母子峠まで1kmの地点、
往路の取りつき点の深タワまでは20分弱である。

 折角なので、牛首ノ峰に登って行こうということになる。牛首ノ峰北側の道標のある小
広場から取付くのが一番早そうだが、遊歩道を伯母子岳へ行く場合も戻る場合も、道が自
然に牛首ノ峰への尾根から外れる個所がある。即ち、遊歩道が牛首ノ峰への登降を避けて、
脇をエスケープする地点である。そこをよく見ると薄い踏み跡らしきものと古いテープが
見つかる。下草がないのでどこでも歩けるが、ここはその薄い踏み跡に従って登ることに
する。
下草のないナラの純林を登る

 ナラとブナの自然林。ミヤマママコナが至る所で花盛りである。といっても、普通のマ
マコナよりも地味な花だ。踏まないように避けると、地面んい折り重なった枯れ木がガサ
ガサと音を立てる。枯葉と枯れ木でフカフカの土は良く滑る。兎に角、高みへ向かって直
登せずに斜めに斜めにと進んで尾根に上がり、ピークらしき所へ出る。でもここは山頂で
はないらしく、さらに西に高みがある。それへ指して尾根を辿れば南側がいい眺望。背後
にはほぼ同じ高さの伯母子岳。眼下は牛首ノ峰の山脚が深く落ち込んだ谷だ。

 焼山の太尾の頭からも望見されたザレ場を右に見て、やがて登りついた丈の低い雑木に
囲まれた山頂には「山」と刻まれた石標と幾枚かのプレートが架かっている。面白いのは
「人体部分の山云々」というプレートだ。干支の山や、山域を決めて全ての三角点を巡っ
ている人がいるのは知っているけれども、「首」や「腰」など体の部位のつく山ばかり巡
るマニアがいるとは知らなんだ。「でも、ここは人の首じゃなくて牛の首だがなあ」なん
てチャチャはこの際、止しにしよう。(笑)

牛首ノ峰山頂。2、3の山名プレートがある
石標は三角点ではない

 山頂からそのまま西へ行けば尾根の突端でまた遊歩道と合流するはずなので、何となく
人の大きさだけ木々の間に空間があるような薄い踏み跡をトレースしていく。営林署の係
員が歩いた形跡が見て取れるが、流石に一般の登山者はあまり歩いてはいないようだ。(^^;

 枯れている立木が多いので、斜面で変に立木にすがると大変。気を付けながら西方向に
進めば10分ほどで遊歩道と合流する。ここには取付きに黄色テープと「山は楽しい」と
書かれた木札が懸けられているが、周囲に完全に溶け込んで全く目立たなかった。

遊歩道との合流地点
矢印の箇所に黄テープがある

 三角点もないし、知る人も少なかろうが、とりあえず名のある山を一山制覇だ。(笑)
見よ!この達成感!なんて大袈裟なものじゃないが、まあ良かろう。カケスが馬鹿にした
ようにギャーッと奇声を上げた。

 また今日も誰にも遭わない山歩きだった。その代り、帰路に野迫川村のはずれに差しか
かった辺りで、イノシシに遭遇。その先では、往路で見かけたのと同じらしい鹿二頭にも
遭遇して、人間以外には多くの動物と対面した山歩きではあった。でもやっぱり北摂から
は遠いですね。




【タイムチャート】
7:20自宅発
10:40〜10:46伯母子岳登山口(駐車地)
11:021,294m標高点ピーク
11:33〜11:34口千丈山(1,330.8m(三等三角点))
11:40〜12:02焼山の太尾の頭(1,322m(昼食))
12:23牛首ノ峰(1,341m)の肩(道標あり)
13:20深タワ(大股分岐)
13:40〜13:58伯母子岳(1,344m)
14:09大股・伯母子峠分岐
14:25深タワ(大股分岐)
14:40牛首ノ峰の東の取付き
14:54〜14:58牛首ノ峰(1,341m)焼山の太尾の頭(1,322m)
15:08牛首ノ峰の西の取付き
15:41口千丈山(1,330.8m(三等三角点))
16:12伯母子岳登山口(駐車地)



伯母子岳のデータ
【所在地】奈良県吉野郡野迫川村・吉野郡十津川村
【標高】1,344m
【備考】 奧高野の護摩檀山から東に連なる山塊の中の独立峰です。
昔、長者が山深くに住む美貌の女性に乳母を頼んだとい
う伝説から命名されたと云われるだけあって、たおやか
な姿です。その肩を高野山から熊野へ向かう小辺路が通
じており、山頂からは360度の大展望が得られます。
奥千丈林道からコースはファミリーハイクに最適です。
■日本二百名山■近畿百名山■関西百名山
牛首ノ峰のデータ
【所在地】奈良県吉野郡野迫川村・吉野郡十津川村
【標高】1,341m
【備考】 伯母子岳から護摩壇山へ延びる尾根上に盛り上がる一峰
で、ナラ、ブナを主とする広葉樹の林に覆われた双耳峰
です。伯母子岳の登山道からは下草がなくどこからも登
れますが、今回のコースか、北に張り出す尾根の基部(
遊歩道の道標の立つ場所)からが楽です。
【参考】2.5万図『伯母子岳』、『護摩壇山』



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