雪彦山グルッと一巡り |
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ここのところ週末は天気がいい。ウィークエンドトレッカーにとっては有難いが。土曜 は野暮用があったので、今回は久しぶりに日曜の出陣。目指すは播磨の名山雪彦山。地元 出身のKちゃんらと初めて登ったのは7年前だったか。さすが三彦山の一つ。目に飛び込 んできたその峨々たる山容にびっくりした覚えがある。今回はまだ歩くルートも決めてい ないアバウトさだが、とりあえずまずは主峰大天井岳に登ることにして、それでは頑張っ て歩いてみよう。。 相変わらず単独行の場合は出発が遅い。今日も8時前。それでも道路が空いていたので 予定の9時半スタートには余裕で間に合いそう。夢前町前ノ庄から夢前川沿いに県道をど んどん北上し、迫り来る山肌を縫うように走る。道の両側が満開のシャガの花で白く見え る。 賀野(かや)神社の鳥居を右に見て少しばかり進んだ先に有料駐車場がある。先行車は 数台程度で空いていたが、小生が用意をしている間にばたばたと3台ほどの車がやってき た。 谷筋ではヒルが出没するという愉快でない話題もあって、念の為、スパッツ装着で歩き 始める。右へ駆け上がる賀野神社方面への林道を過ごして直進。すぐに虹ヶ滝への道とも 分かれて左の山肌を直登するガレ道を行く。大天井岳に直接向かう出雲岩コースだ。手製 の簡略コース図が立てられているが、これはこの先の要所にあり、存外、役に立つ代物の だった。(作られた方、御容赦とともに感謝) 地形図を見ても、のっけの急斜面は半端じゃない。他にもっと登りやすい所もあるんじ ゃないか?何も選りによってこんな道と思わないでもない。その上、岩がちのガラガラと 歩きにくい道だ。でも時間は節約できるなあ。(笑) あっという間にバンガローの屋根な どが下に小さくなる。管理事務所前に居た家族連れもここコースで登るようで、下から子 供の甲高い声がする。 10分程で不動岩。それほど特徴のある岩でもない。ここは黙々と登るのみ。暑い。立 ち止まって流れる汗を拭くのは今年初めてだ。更に黙々と10分。右手がポッカリ明いた 露岩の上に出る。見たままそのものの展望岩とプレートにあり。これから向かう雪彦山の 核心を成す大天井岳他の岩峰が深い谷を挟んで目の前である。雪彦山遭難対策協議会のプ レートもあって、周辺で滑落などの事故が多いことを物語っている。(年に1人は亡くな っているとか....。(@。@)) いつの間にやら、ワイワイ下から聞こえていた家族連れの声もしなくなった。胸突き八 丁が続くので少々疲れたのかも。が、これで静かになったと思ったら、大きなモミが根こ そぎ倒れている行者堂跡の台地を過ぎて、また登りになった辺りでまたまた人の声。それ が今度は上から降ってきた。まもなく小父さん二人が降りてくる。眼鏡を展望岩で忘れて きたのだという。それらしいものには気付かなかったがなあ....。(笑) 杉林の広い山道となり、モミの大木には赤ペンキの大きな文字で「ガンバレ」。励ます のはいいけれど、ちょっと美観を損ねるんじゃないのかなあ。道はしばらく水平で北へ方 向を変える。近くでツツドリの声が響く。再び傾斜が増して岩が重なる中の道となり、山 腹を巻いていく内にいよいよ最初の2mほどの鎖場を下る。 のしかかるような岩壁が現れた。出雲岩。岩には沢山のカラビナが打ち込まれていて、 多くのクライマーが挑戦したらしい跡が残っている。確かに折り重なったり大きくオーバ ーハングした岩は、今地震が来たらどうしようと思わせる位に圧倒的な迫力で覆い被さっ てきて、クライマーには挑戦的だが、岩に落書きするのはいただけない。人工的なのか自 然にできたのか、岩壁下に窪みがあって小さな役行者が祀られている。そう、岩は祈りの 対象でもあるのだ。青々したギボウシが手向けの供花みたいである。 大小重なって歩きにくい岩越えの経路は、派手なショッキングピンクの矢印で誘導され るのだが、これもなんともけばけばしいものだ。しかも矢印が最善の経路ではなく、わざ と登り難くしてあるのではと思えるくらい変なところにつけてある場合がある。まあ、方 向さえ間違えないように自分の行き易い経路をとればいいのだけれど、やっぱり矢印には 釣られてしまうのです。(^^;
間にもぐりこみながら鎖を頼りに登る。トレッキングポールが邪魔だ。(笑) ここら辺り は足を踏み外すととんでもないことになるので、脳天気な我輩も少し緊張気味。とりわけ セリ岩の突端辺りは出雲岩の上部になるのだろうか、○○が縮みあがる感触。しかしそれ だけに展望は抜群で、眼下は深い森。遠く明神山のとんがり具合が秀逸である。 胎内潜りみたいなところはパス。セリ岩から迂回路を採る。さっき赤茶色の蛇が逃げて いったのが頭にあるものだから、マムシ注意の看板を見て、目を皿のようにして足元に視 線を注ぐ。次いで馬の背と呼ばれる節理のある岩の連なりを越える。そしてミツバツツジ が咲く最後の登りにあえぎながら、雪彦山の中心、これで二度目の大天井岳の頂に出る。 役行者と不動明王を祀る祠を中心に6畳くらいの狭い山頂である。
うも地元の方で、なんと登頂記念バッジを500円で売っているらしい。頼みもしないの にコース案内もしてくれる。(笑) 曰く、ここから30分ほどの所に三角点が置かれた( 三辻山)ので、地図ではそこが雪彦山になっているが、地元で雪彦山といえばこの大天井 岳のことであること。鉾立山が最高峰であること、ドロカベコースはずるずる滑りやすい こと、あげくに地蔵岳コースは鎖場の連続で危険だぞと脅かす。(笑) 確かに地蔵岳コー スはスリル満点やったなあ。うんうん。 さて、ここで食事も良いが前述のようにまだ11時。狭い場所に人も多い。それよりこ の先どうするかであるが、そうそう、やっぱり三角点教の信者としては三角点を拝まねば 始まらないだろう。(笑) というわけで、またまたとりあえずは未踏の三角点峰を極めに 行こうと決める。 大天井岳の狭い山頂を後に、少し下ると左に天狗の鼻が上を向いたような天狗岩。更に まもなくで右に地蔵岳コースを分ける。すると二人づれの小父さんが上がってきた。肩で 息をしながら険しかったとのたまっている。確か、始めて来た時は10mくらいの鎖場は 迂回路を通ったっけ。(^^; それに地蔵岳に移る時に岩のとっかかりがなくてちょっと青 くなったのを思い出した。 ガイド本にあるように縦走路は先ほどまでの岩場の歩きに比べれば地味で、植林が多い ものの、ウグイスの谷渡りなぞが聞けてそれなりに楽しめる。やがて新下山道分岐の標識 の前に出る。地蔵岳への下りに比べて険しさはどうなんだろう?少々興味があるが、ここ は図根点のある838m標高点ピークを越えて北へ。三角点までは30分とか。 関・鹿ヶ壺方面の分岐を左に過ごし、植林の斜面を登り返す。恐竜の背状の岩はすぐ下 に巻き道。(^^: ここで鉾立山まであと1kmだ。そして三角点峰の東斜面の一気登り。シ ャリバテもあってハアハア、ゼイゼイ。ヨッコラショ。山頂は植林の中の切開きである。
る。その横にポツンとある三角点標石は小さい。「ん?やっぱり....。」埋まっていたの が四等三角点とは少し意外だった。有名な山に高等な三角点があるとは限らないのだ。(笑) 伐採された手頃な丸太に座って食事とする。日が照って明るいからまだしも、時折、風 が出て、背の高いヒノキ同士の梢をこすってキィー、キィー音を立てるのは、一人きりの 場合、あまり気持ちのいいものではない。(いやだねえ)と心の内でつぶやいていると、 折りよく数人の若者グループがやってきて一気に賑やかになった。あれ、山頂で一緒にな った姫路のご夫婦もこっちにこられたようだ。 食後のコーヒーを飲み終わり、ワイワイと楽しそうに食事中の若者グループ(若い女性 もいた!いいなあ (x_<)☆\ )に別れを告げて、周回路をさらに北へ向かう。相変わ らずの桧林だが手入れが行届き明るい。小さなピークを越えると辺りはまた雑木林。鞍部 の広い庭園といった風情で、木が疎らに生えた斜面右手にドロカベコースの分岐がある。 件の大天井岳の小父さんの話によれば、滑りやすい道だということだが、周回路のショー トカットの一つだ。 鉾立山まで100mの案内が出る。そんなに近いか?おかしいなと思いつつも、丈の低 いアセビの茂る斜面を登っていくと本当に鉾立山だった。どうも地形図の942m標高点 ピークを鉾立山と勝手に思い込んでいたらしい。実際の鉾立山はその西のCa950m山だ った。確かにこちらがこの付近の最高峰。しかも西側が伐採されて大展望で、西播磨から 但馬の主だった山々が居並んでいる。旧安富町が設置した同定図があって判りやすい。三 角の藤無山、大振りの氷ノ山、アンテナを頂く暁晴山。三室山に後山など岡山県境そばの 山も眺められる。見通しが利けば大山まで見えるのだというが、今日は流石にそこまでは 無理である。 |
鉾立山からの北西方向の展望 |
道は徐々に東に振り始める。やせ尾根になった繁みの中に、旧安富町が設置した今度は 南側の同定図がある。南側は大天井岳でも存分に見られたので、もうあんまり感激はしな い。確かに七種山や明神山は指呼だが遠くの六甲や明石大橋は生憎見えず仕舞いだった。 峰山方面との分岐のある942mピーク。虹ヶ滝への下山路がある。尾根はまだ続いて いるが植林の若木の倒木が多く地形図の点線路は歩き難そう。右の杉桧林に入って斜面に つけられたジグザグ道を伝って沢の源頭へ降りてゆく。休憩中なのは鉾立山で先行してい った若者グループである。 左の斜面の杉や桧が台風だろうか無残に倒れていわゆる倒木の嵐。一時は通行不能だっ たろう。そういえば例の私製案内図にも「通行不能」と書かれてあって、それに取消し線 が引かれてあったのを思い出す。現在は道にかぶさった幹も切断されていて歩くに支障は ないが、荒れた感じは否めない。 ちょろちょろ水もだんだん水量が増えていく。その間、何度も沢を渡渉する。もっと歩 きにくいかと思っていたけれど、ほとんど畦道風の立派な道である。林業用の作業道兼用 なのだろう。所々、古い石積みも見られ昔から手入れされたそま道であったことがわかる。 立木に大きな矢印があるT字路は多分、ドロカベコースの出合だろう。きれいな林道風 の道が西からやってきている。鉾立山経由より2、30分はショートカットできるようだ。
横の夢前川源流の流れは谷底深くになったり、すぐそこになったり。水音が大きくなっ たと思ったら、なめ滝が現れた。普通、谷は下るに従って広くなだらかになるものだが、 徐々に岩がちの荒々しい感じになって来る。雪彦山の岩壁の直下に近づいてきているのだ。 道も悪路になって、滑ると危ない箇所も出てくる。ここは三点確保の基本に戻ろう。 虹ヶ滝は二筋に分かれた優美な滝であるが、大きなものではない。その直下辺りで対岸 に渡る事になる。本来は左岸に道があったのだろうが橋も落ち今は廃道。しかしこちら右 岸の道は岩が濡れて、ちょっと危険で気を抜けない。そこへ地蔵岳からのチムニーになっ た下山路が降りてきている。更に一番滑りやすかったのは流れ横切って向こう側の旧道と 合流する地点だ。ここは本当によく滑る。危うくズルッと行きかけた。(^^; 朽ちたベンチのある尾根を乗っ越すとあとは昔からの滝見物の遊歩道。山腹をトラバー スする緩い道。大きなトチノキ。以前来た時、栗に似た栃の実を初めて拾ったのを思い出 した。 どこが「大曲」なる場所だか良くわからないが、多分、賀野神社方面とぐっと折れて谷 へ向かう遊歩道とを分ける辺りだろう。遊歩道を降りる方が登山口は近いだろうが、やっ ぱり雪彦山の正面の姿が見たくて神社へと直進するとすぐに林道の角に飛び出す。すぐ上 に東屋。ドライブがてらやってきたらしい家族が休憩中である。これでグルリと雪彦山を 巡ったわけだ。右手にその雪彦山の岩峰を見つつの林道歩き。4、500m歩くと立派な 賀野神社の社が見えてくる。元々は法道仙人の創建になる神仏混淆の社。明治の廃仏毀釈 で寺が破却されたという。祭神はイザナギノミコト他。やはり山がご神体なのだろう。こ こから見る雪彦山はすばらしい。 賀野神社を出て登山口までは更に林道を2kmあまり。見る角度によって雪彦山の岩峰群 の姿も変化する。大峰の五百羅漢に似た感じもある。でも逆光なのでデジカメで撮るのは どうかな?道端では早くもタニウツギが旬を迎えて風に揺れていた。 へアピンカーブを数回。最後のカーブをくるっと巡ると駐車場前に出て、今日の山歩は 大団円。薫風が吹く皐月晴れの一日。今日も山で楽しく遊ばせてもらいました。幸いにも 悪名高いヒルには遭遇しませんでした。
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