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雄鷹台山〜坂越の牡蠣とちょこっと山へ

後山(三角点『砂子』)から眺める千種川沿いの坂越市街と瀬戸内海

平成22年 1月17日(日)
【天候】晴れ
【同行】別掲


 本年第一回目の大人の遠足は、3年前に一度訪れた坂越の牡蠣が忘れられず、再び坂越
の牡蠣グルメオフだ。但し、一応、山を楽しむ会であるだけに、食べ物だけでは沽券にか
かわるというわけで、山もセットしてみました。赤穂の裏山ともいうべき雄鷹台山である。
標高300mにも満たない里山だけれども、なんのなんの。思いの外、なかなか手強い山
であったが、その分、下山後の牡蠣は格別で、新鮮な焼き牡蠣をもう見るのも沢山という
ほどたらふく食べて、大阪方面行への車中の人になったのである。大阪で二次会に繰り出
した人もいたようだが、満足感いっぱいのうちに無事、オフはお開きになったのでした。

 大阪駅8時発の新快速で1時間45分の旅。播州赤穂駅は流石に忠臣蔵観光の街の駅で、
駅ビルは人口5万程度の市にしては立派すぎるほどの建物である。コンコースには浅野内
匠頭の辞世の歌が掲げてある。『風さそう 花よりもなお われはまた 春の名残を い
かにとかせん』ですか。でも行書だか草書だかで書かれたものはほとんど読めないなあ。
駅前のロータリーには市内観光用のレトロな臙脂色のボンネットバスが停車している。

 雄鷹台山はJR線の北側にたたなづく山並みである。露岩が目立つあの辺りを歩くこと
になるらしい。まずは駅の北口に出て、電車から目星をつけていたコンビニで簡単な食料
を仕入れる。海の駅が混んでいて、すぐに牡蠣にはありつけないであろうという時の為の
予防策なのだ。(^^;

大師堂

 コンビニから少し戻って、小道を山際へ向かうと、登山口である大師堂への階段が目に
入る。八十八段あるとかいう石段をトントンとはいかず、ワイワイ、写真を撮りながら登
ると大師堂の前だ。ゴミ一つ落ちでおらず、今なお近隣の信仰を集めているようだ。大師
堂の向かって右から岩の目立つ道を行く。大きな岩場のある二合目。赤穂の市街が眼前に
広がり、大寒間近の冬とは思えない中、いい景色。ここからは尾根の上で傾斜は緩やか。
四国八十八箇所の石仏が置かれていて、その参道が登山道を兼ねている。かなりの年月を
経ているのか根元がかなり太いドウダンツツジが道の両側に並木みたいに植えられている。
時折、プラスチックの札がつけられているのは多分、本数を表しているだろう、「850」
というのがある。春の花、晩秋の紅葉はさぞ見物だろう。赤穂線のレールの継ぎ目を走る
電車の意外に大きい音が下から上がってくる。

四国八十八ヶ所の石仏と雄鷹台山

 赤穂支線bTの高圧鉄塔下。東屋は老朽化して危険とある。登山ノートがおかれている
のを拝見すると、毎日登山に来ている人達がいるようだ。

 山頂に近づくと、がやがや大勢の声が林の向こうから漏れてくる。どこかの山の会らし
い20人くらいの中年グループ。東屋の周りで食事の最中である。その横を抜けて、こち
らは小広場の小学校の記念碑の前で小休止。展望は木々が邪魔していて、少し背伸びをし
ないと望めない。

 ここから先は道幅が林道ほども広がる。両脇は今度はスダジイやヤマモモなどの常緑樹
だ。ガイド本によれば防火帯なのだそうだ。雨の少ない瀬戸内に住む為の生活の知恵だろ
う。ほぼ水平だが大まかなアップダウンが2、3度。ユニチカプロテック坂越線の高圧線
に沿って進む。右手に砂子(まなご)からの踏み跡が上がってくる。JRの電車から見た
大きくザレた砂防堰堤の谷を伝う道はこれだろう。そしてまもなく高山分岐。赤穂から歩
いてくる場合は、ついそちらに向かってしまいそうになるから少し注意が必要な所。坂越
へはV字型に折れて、間近に見える鉄塔を目指して歩く。この辺、道幅は数mもある。

 bVの鉄塔横に三等三角点。山名板があって、ここは「後山」(砂子山としたHPもあ
る)と呼ぶんだそうである。ベンチが置かれ、高い木もないので展望はすこぶる良し。ほ
ぼ360度。坂越から赤穂の街並みと千種川の河口に播磨灘。東には尼子山や山陽自動車
道。往復1時間半というアンテナを頂いた高山は結構遠くに見える。坂越から上がって来
たらしいプードルを連れたご夫婦がやってくる。よく登っているそうで、犬もいつも定位
置に座るんだそうだ。(笑)

 ご夫婦に場所を譲って坂越方面へ降りるとしよう。こちらも異様に広い道というか防火
帯。あまりに広く切り開かれている為か、Ca200mピークの下りは風雨で完全にザレて
いて、少々危険なほどである。標高差は50m。中央部を避けて林の境目近辺を雑木の幹
を持ちながら下っていく。下から見上げてもかなりのものだ。

ザレた防火帯。実際は画像より急です

 ここからは大きなコブもなく、眼前に見えているユニチカの工場用の高圧線の巡視道を
兼ねた小道をどんどん降りていくことになる。麓の小ぶりながら清楚な神社の境内が、田
畑の間にこんもりとある。かなりな急傾斜ではあるものの、つづら折れなので厳しくはな
い。やがて墓地に出てきた。その参道を少し降りると用水路を渡って遊歩道。そこが浜市
の登山口で、小さいがオフィシャル標識が立っている。すぐ横が西山寺という寺院。墓地
はそのお寺の墓地だったようだ。

浜市登山口。左上に墓地


 遊歩道を歩けば元の大師堂の前に出るらしいが、もちろんそちらには向かわない。なに
せ本命の坂越の牡蠣が待っているのだ。後山の山頂で坂越の街に一番の近道はどれか、大
体目星をつけていたので、まずは県道を横切って旧坂越橋へ。橋を渡り車通りの多いR2
50を横切る。振り返れば雄鷹台山の山並みの今歩いて来た稜線の、最初から最後までが
見渡せる。苦労したあのザレた斜面は下から見ても本当によく目立つ。旗本退屈男の向う
傷とでも言おうか。ちょっと痛々しい感じだ。

千種川付近から雄鷹台山(左)、Ca200m山の斜面に
ザレた斜面が見える

 ところで今は車が頻繁に走って全く風情はないが、この付近の今でも澄んだ水の流れる
千種川の堤には高瀬舟の船着場があり、塩田で出来た塩を運んでいたそうだ。吉良との確
執を生んだといわれる塩である。R250は旧街道でもあり、主君切腹を知らせる早駕籠
もここを通ったのだろうか。堤防下へ下る旧街道に沿って坂越の街に入る。今でも風情の
ある街並みで、やがて、観光トイレのある木戸跡で本道と合流することになる。ここは古
い街道の名残の道しるべがあるのでよく覚えている。広い大通りは塩の運搬で豊かであっ
た当時の栄華を今に残す門徒寺や、明治期には銀行業も生業にしており、今でも地酒『忠
臣蔵』(いかにも地元らしい名前だ)を醸している酒造元の広大な屋敷が立ち並ぶ。黒瓦
と白壁の織りなすコントラストが美しい目抜き通りだ。

坂越の清らかな白壁の路地

 そのまま道なりに行くと瀬戸内海で、海沿いに左(東)へ。大避神社の奥宮のある島を
右手に過ごし、下山して1時間位は歩いたろうか。やっぱり海の駅は盛況で、車があふれ
んばかりに駐まっている。人を掻き分けて受付に行けば60分待ちだという。一応、名簿
に名を記してうろうろしていたら、屋外の牡蠣食べ放題のテーブルが空いたという。風も
なく暖かいので屋外でも良かろうとこちらに鞍替え。座ると早速、大きな網籠一杯に牡蠣
が積まれてきた。それからはひたすら牡蠣を食す。ここの牡蠣は加熱しても不思議と縮ま
ない。パチンと殻を開いて湯気が立つぷりぷりの牡蠣は、海の自然の塩味がついているの
でレモン汁を振り掛けるだけで十分。パックリと一口で濃厚な海のミルクの味を堪能する。
ちょっと焼酎をもらって最高。30個は食べたかなあ。「あ〜あ、喰った、喰った」「も
う牡蠣は当分要らぬわ」とうそぶいてたけれど、翌日はもうそんなことは忘れている。酢
牡蠣でも食卓に出たら喜んで食べていたろう。(笑)

 3時半を過ぎた。90分一本勝負もタイムアップ。って、次の客はもういないので、係
りの小父さん時間超過を許してくれたみたい。満腹を引きずって海の駅を引き上げる。日
が翳ると流石に寒い。やや暮れなずんできた空。16:41発の普通電車。坂越駅には若
いかわいい女性の駅員が応対してくれる。

 飲み足りないメンバは大阪で二次会を開いたようだが、里山歩きに牡蠣を堪能したグル
メオフ。今度は酒蔵巡りと絡ませたいねなどと話しつつお開きでした。



【タイムチャート】
8:00大阪駅
9:45〜9:50播州赤穂駅
10:05〜10:06大師堂参道前(登山口)
10:11大師堂
10:25〜10:30二合目の露岩
10:38〜10:40高圧鉄塔(赤穂支線bT)
10:51〜11:00雄鷹台山(253m)
11:23高山分岐
11:25〜11:37後山(251.1m 三等三角点『砂子』)
12:13浜市登山口



雄鷹台山のデータ
【所在地】兵庫県赤穂市
【標高】253m
【備考】
神戸市の千苅水源地の東に位置する低山です。水源地の
【参考】
2.5万図『相生』



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