満燈山〜春寒の里山の森

東尾根から眺める端正な満燈山
平成22年 4月3日(土)
【天候】晴れ一時小雨
【同行】単独


 いろいろ取り込み事などがあったりして、このところ山はご無沙汰。ことにここしばら
く日曜は動けないので、山へ行くなら土曜という事になるが、何せテンションが上がらね
ばどうすることもできない。(笑) それがこの週末は久しぶりに軽く行ってみようという
気になる。さてどこが良かろう?そうそう、去年、マツタケシーズンで歩きそびれた『さ
さやまの森公園』の東尾根でも行ってみましょうか。

 8時すぎに家を出て、いつものスタンドで燃料補給。間が良く無料エアチェックもやっ
ているとのこと。少々空気圧が気になっていた折から、頼むと「タイヤそろそろスリップ
サインですぜ」のご託宣。わかっているのだけれど、来年車検だし買い替えも一応念頭に
あるしで躊躇していたら、「車検まで持たせるのはちょっと無理ですわ」とこめかみ辺り
へ止めの右フック。こりゃ、しゃーない。安いタイヤが午後に入荷するというので「夕方、
交換に来るわ」と返してしまったのだった。ムムム!えらい出費や。一応安くてもBS製
のスニーカーにしておく。ブランドに弱い吾輩である。(^^;

 箕面トンネルから箕面森町を抜けR477。例の妙見山ケーブルの北の桜の園を車道か
ら見物する。おりしも一人のアマカメラマンが三脚を車から降ろしている最中。うす曇で
撮影にはうってつけかも。

 流石に気候が大阪に比べて冷涼なのかささやまの森公園の桜は蕾。でももう一週間もす
れば見頃ではないだろうか。ダム湖畔のそんな桜並木を抜けて駐車場へ。10時過ぎ駐車
場で準備。犬を散歩させている人はいるが、山へ行こうという人は皆無のようだ。少々淋
しいが、一人ザックを背負って管理棟横の道を歩き、栗林沿いのママ谷と呼ばれる谷道に
折れる。オオムラサキの飼育ゲージの前辺りだ。すぐに広い作業道は手入れの良い杉林の
中に吸い込まれる。奥からチェーンソーの唸り声がが響く。

ママ谷沿いの杉林

 左に『杣の道』の西回りの分岐がある。これを過ごして、勢いよく流れる沢沿いに右に
折れるとまもなく現れる『杣の道』の中央道分岐。これを選択して手入れの行き届いた杉
の支沢をゆるゆると行くと、まもなくさっきの西回りの道と思しき道と合流する。ここを
右に行けば、やがて木橋の手前で満橙山分岐の指導標が現れる。ここも小さな沢を遡行す
る道で、もとは杉林の手入れに使われていたのであろう杣道だ。ようやくいつも見慣れた
踏み跡然とした小道になった。細流の水もなくなり、山懐に入るに従って傾斜も増してき
て、伐採木で作った階段道となるが、落ち葉や枯葉で覆われて擬木階段よりは余程良い雰
囲気だ。

 小さな沢筋から急傾斜の山肌に取り付き、ジグザグに高度を上げて、最後は山肌を水平
に巡って雑木の尾根に出る。やはり尾根上は風が強く、しかも今日は北よりの風なので肌
寒い。かてて加えて灰色の雲が空を覆い始めた。一雨来るか?

 ほぼ真東の方向へ登っていく。サックリ、サックリ。踏み締める落ち葉の音が心地よい。
まもなく大きな高圧鉄塔(丹波線bV0)直下の伐採地。嗚呼!すこぶるつきの展望だ。
北方向。見覚えある多紀アルプスの起伏に盟主三嶽がすぐわかる。右に小金ヶ嶽、峠山、
八ヶ尾山。まるで恐竜の背のようだ。どこのゴルフ場だか、くすんだグリーンもよく見え
る。満燈山は鉄塔の伐採地からすぐ東の雑木林の高みがそれのようだ。そこへ向かって関
電巡視路の黒プラ階段が一直線に上がっている。赤松混じりの山頂まではもう少しだけ登
らねばならない。

 静かな山頂は勿論誰もいない。プレート類もなく、オフィシャル標識と『境』と彫られ
た花崗岩の石柱がポツンとあるのみ。北東向きに赤テープがあるが、兵庫・京都の府県境
沿いに天引峠へ抜けるものなのかもしれない。

静かな満燈山山頂

 一息入れて南方向へ歩く。急な下りの手前に深山遠望と書かれた少し上向きの標識があ
る。なるほどここから見る深山はなかなか堂々とした山容だ。北摂の最高峰とはいっても、
剣尾山方向や天王から眺めれば高原の単なる高みに過ぎなく思えるのであるが、ここから
は流石という感じで、白亜のレーダドームと深山宮の巨石が置かれた辺りがピョコンと一
際飛び出して見えていた。
尾根上から深山。画像では分かりにくいが
中央の突起上にドームが見えた

 鞍部へは急な下りで雑木を掴んでスピードを制御しないといけない。もったいなくも稼
いだ高度を一気に吐き出してしまった。ただこの辺り、東の京都側は植林があっていまい
ちなのであるが、西側の谷の源頭付近の雑木林がなかなかの風景である。振り返ると満燈
山。三角形のなかなか目立つ姿をしているではないか。さっきからこの満燈山の山名はど
こから来たのだろうと思っていたのだが、この姿を見て頭に浮かんだのは饅頭。饅頭は中
国では”万頭”。で満燈山となったのでは? 多分、万燈会が行われる盂蘭盆の時期に雨
乞いに登った山というのが真相なのだろうが、まあ、"せんみつ"とも呼ばれる我輩のこと、
戯れにふと思ったまでの話である。(笑)

 大きな岩が踏み跡の左手の斜面の上に現れた。手元の地図で蛇岩とされる岩のようだ。
高い所へ"登りたがり屋"なのでとりあえず岩の上へ。あまり見通しは良くない。木立を透
かして満燈山と鉄塔が眺められる。眼下に標識があるのでそちらに下りてみると蛇岩の謂
われが書かれてある。曰く、蛇が多く棲んでいたからこの名が付いたのだと。ベタな名づ
け方だが、地名なんてえてしてそんなものだろう。(笑)

蛇岩。あんまりそれが出る季節には行きたくない所?

 踏み跡があるので、なんの躊躇もなくそのまま歩く。気持のいい尾根だ。しかし幾ら歩
いても満燈山が右手にあるなあ。で、ひょいとポケットから出したコンパス。
「???。ムムム?。アリャ〜?」

 何かの間違いじゃないの?目指す南方向とは逆に、北方向に向かっているではないか。
最初は混乱したが、その内、岩から下に標識が見えたので何のためらいもなく下ったけれ
ど、どの降りた処が悪くて、北西尾根へ乗ってしまったのだという事が、頭の混乱が静ま
るに従ってやがて腑に落ちてきた。戻るに10分もかからないのだが、この後、土筆採り
に行く気でいたからあえて戻る気もなし。また今度来ればいいさ。単独行の気楽さである。

 そのまま下るとまもなく整備された道に合流する。さっき途中の道標にあった『雑木林
の散策路』に出たらしい。というわけでそのまま尾根道を進むと、尾根の先でダム湖を眺
められる東屋が現れた。丁度いい。ここで昼食にしよう。ダム湖を見つめつつラーメンを
食う。気温は5℃。風強し。寒〜ぅ。春とも思えないぞ。雨がついに降ってきた。そのま
ま下山とあいなる。

 尾根の先端を下りていくと『エビズエの道』に合流する。管理棟へそのまま下る小道も
あるが、エビズエの道をそのまま辿ることにして南方向へ。バラバラと常緑樹の葉を打つ
雨の音が一旦は強まったが、幸いすぐに止んでくれた。ほぼ水平の道はやがて、前回に大
正古道を歩いた時に出てきたヒッ谷道に出合うこととなった。

 隠し田跡を右に見て、蜂の巣注意の看板がある辻に行きつくと公園のメイン林道だ。そ
のままゆるゆると歩けば、モリアオガエルの小池を経て往路と合して管理棟である。

 さて、持ち物を整理して、急ぐこともないので車で公園内の道路をゆるゆると湖畔沿い
に戻っていた時である。黄色いものがパタパタ飛び上がると、なんと写真の小鳥がサイド
ドアの上に乗ってきたではないか。続いてフロントのワイパーの上に乗って、シールドの
ゴムをチョンチョンつつきだした。やがて後ろのリアゲートに。ちょうどリアミラーの下
だ。どうもミラーに映る自分の姿が気になるようである。鳥にもギリシャ神話に出てくる
ナルキッソスみたいな奴がいるらしい(笑)カメラを向けても全く逃げる素振りも見せな
い。人を恐れん奴っちゃ。なんていう鳥なのかな? カラ類かと思っていたけれど、キセ
キレイと教えてもらった。それにしてもこんな近くで野鳥を見たのは初めてだった。

西助手席のドアに留まるキセキレイ
ミラーに映る姿に恋してる?

 先週は全く影も形もなかった土筆だが、例の秘密の場所にやってくると、ニョキニョキ
と姿を現している。まだ若干早かったようだけれど、1時間くらいでレジ袋半分ほど頂い
た。今年もハカマ取りで指の先が真っ黒だあ。(笑)



【タイムチャート】
8:15自宅発
10:10〜10:15ささやまの森公園駐車場(駐車地)
10:30杣の道の満燈山分岐
10:53〜10:56高圧鉄塔(丹波線bV0)
11:00〜11:05満燈山(566m)
11:17〜11:20蛇岩
11:34高圧鉄塔(丹波線bV1)
11:40〜12:05雑木林の散策路(東屋)(昼食)
12:09エビズエの道
12:20ヒツ谷出合
12:30ささやまの森公園駐車場(駐車地)



満燈山のデータ
【所在地】兵庫県篠山市神戸市、宝塚市、三田市
【標高】566m
【備考】
ささやまの森公園の東側にあって、京都府と兵庫県の境
をなす尾根上に位置する低山です。西南方向から眺める
と、意外に目立つ山容しています。山頂は赤松やコナラ
などの雑木に囲まれ展望はありませんが、西側にある高
圧鉄塔からは三岳から八ヶ尾山にかけての多紀アルプス
をはじめとする丹波の山々が望めます。
【参考】
2.5万図『埴生』



おまけは能勢の桜の園の風景

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