兜岳・鎧岳〜曽爾の魁偉な山へ |
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最初は福井方面へと目論んでいたのを奈良方面へと方向転換したことが正解だったよう だ。日本海側は雨である。SRCの11月定例オフは私めが幹事。その特権を活かして、 今迄登る機会を逸していた曽爾の兜岳・鎧岳に行くことにしたのだが、肌寒さはあったも のの、雨にも降られず、紅葉、黄葉の盛りには若干遅かりしきらいはあったけれど、短時 間だが面白い山であった。 いつものように千里中央7時出発。予報から雨など考えもしなかったから屋根を叩く早 朝の時雨には驚いたが、それもすぐに止んで雲は多いながらもまずまずの天気。名阪国道 も空いていて、予定より30分も早く現地集合地であるケアハウス「蘇いの森」と国保診 療所が並ぶ駐車場に到着した。9時過ぎにはSさん、Tちゃんも集合して総勢9名が集合。 まずは出発点の目無地蔵の前へと向かう。先行者の車もなく空地に3台の車を収容するこ とができた。向かいの荒れ地のススキが雲間から漏れる朝の薄日に光っている。 曽爾の山に登るのは何年振りだろうか。このあたりの山は古い火山だといわれるが、永 い歳月による風化から取り残されたような魁偉な形状をしたものが多い。その中にあって 兜岳、鎧岳は屏風岩と並び、とりわけ不思議な形をしている。嶽見橋から見上げる鎧岳な どはとても一般の登れる対象とは思えない。ところがそれを横から眺めると台形状をなし ており、例えていうなら大きなタンカーの船首といえばいいだろうか。登山路はその台形 の船首を避けて搦め手から延びている。それでも相当の急登、急降下であることに変わり はない。
取れる。数週間前に下見に来た時もジモティーのご夫婦が来られ、隼別皇子の悲恋など、 色々地元の話を聞かせてもらったのだった。その祠の前の小さな流れの横を縫っていよい よ山の中へ。植林下の歩き良いなだらかな道だが、時をおかず右側斜面の登りに変わる。 途中に現れた曽爾村のオフィシャル道標には「これより先急斜面注意」などとある。兜岳 山頂までは0.5km。確かにこの先かなりの急坂が続いた。 岩がちな登りになると周囲は雑木林に変わり、赤く色づいたイワカガミが足元に見られ るようになる。相変わらずの胸突き八丁は岩の上に落ち葉が積り、良く滑るので灌木にす がって体を持ち上げることになるが、南向きの斜面で枯れ木がほとんどないので助かる。 一気の登りに赤目へ抜ける県道はもうはるか下を縫っている。向かいの小高い山は国見山 方面だろうか。
なる。もっとも踏み跡は非常に鮮明である。その熊笹が途切れて小さな円形の広場になっ ている所が兜岳の山頂であった。ガイド本などにはきつい登りとあったけれど、目無地蔵 付近でもう標高は600m程度あるので、標高差は300m程である。流石に額に汗した けれど、SRCのメンバにとっては大したことはないであろう。(~~;
晴天の予報にもかかわらず、やはり冬。西から灰色の雲が空を覆い、いつ時雨れてもお かしくない空模様だ。北西風が強い。あまり展望もないので、小休止した後は峰坂峠に向 かって背丈ほどの熊笹を漕いで北へ急降下する。兜岳と鎧岳の間は吊り尾根で、今回はこ この歩きが一番面白いのだ。くしゃ小父さんの顔のような岩の横をすり抜けていくと、一 旦傾斜は落ち着いて小さな鞍部に出る。雑木が途切れて右手前方にはもう鎧岳の斜面が大 きく近づいてきている。日が射していれば黄葉がさぞかしきれいであろう。鎧岳の奥には 倶留尊山に曽爾高原、古光山の峨々たる山容がある。しかし見とれてばかりでは足元が危 ない。吊り尾根は雑木が隠してくれているからいいようなものの、それがなければ狭い所 では幅1mもないような難所?もあって、高所があまり得意でない小生にはかなり怖い思 いをしたに違いない。たまに現れるすっぽりと木立が抜け落ちたような間隙からは、急角 度に斜面が落ち込んでいるのを覗くことができる。
下の急降下だ。これが半端でない。立ち木に設置されたロープがありがたいと感じるほど である。(笑) 雨でぬかるんでいると滑るのでちょっと遠慮したいところである。道近く の桧の細い幹もみんなが持つからであろう、つるりとした感触である。(笑) 峰坂峠は植林の中でやや薄暗い。南に降りれば金強神社から葛へエスケープすることが できる。北にもいい道が通じていて、県道から分かれた林道につながるようである。鎧岳 には直進して小さな尾根上をゆく。桧林の並木道と見まごうばかりの広い直線状の切り開 きである。やがてまた現れた葛への分岐を過ごして、道は左の桧林の斜面を登り始める。 斜面は急だけれど、作業道を兼ねた登山道はジグザグに付けられており、兜岳から峰坂峠 への下りに比べれば、思いの外、すんなりの登っていくことができる。それにしてもこん な急斜面によくも植林したものである。頭が下がる思いであるが、その一方で、戦後間も なく、なんだか手当たり次第、闇雲に植林した感がなくもないのである。
した汗もかかずになんなく鎧岳の北の稜線に出る。道標に従って右に折れ、葉を落とした 自然林の中を100mも行けば、三等三角点の埋まる兜岳の山頂だ。残念ながらここも見 晴らしはほとんどない。ただ、木々は完全に葉を落としているので、先ほどまで居た兜岳 が木々の間から顔を見せる。西南には青蓮寺川沿いに延びる県道や曽爾の集落を望むこと ができた。
山頂の西南側は小広い落ち葉の緩斜面だ。その先は鎧の縅さながらの柱状節理の絶壁な のだが、今まで歩いてきてそんな絶壁の山に登っているのだとはとても思えない。ここは 稜線上に比べれば風も大したことなく、いいタイミングで昼食の時間と場所を手に入れた。 気温は8℃。流石にじっとしていると寒い。ラーメンの湯を沸かす間、ウィンドブレーカ を着込むことにした。 恒例となった記念撮影の後、下山にかかる。そこへ曽爾村の役場からか正午を告げる放 送が湧き上がってくる。そういえばさっきは救急車のサイレンも聞こえていた。険しいと いっても里山の風情は脈々である。 れされた植林の中の緩やかな尾根である。ちょうどタンカーの甲板を歩いている感じ。風 が強いのも海を行く船と同じである。15分程歩くとやがて下降点を示す道標が現れる。 葛バス停まで2.1kmとある。直進して876mピークへ向かう踏み跡もあるが、ここ は忠実に道標に従うこととした。
をひたすらどんどん下るのみ。傾斜が緩むに従って、下草も徐々に増えてくる気がする。 葛への分岐を右に過ごし、一際太い桧が数本そびえる下を抜ける。 左にゆっくり方向を変えた先でやや道が怪しくなったので少し思案。そういえば50m ほど戻った先にテープがあった。引き返してそちらに向かうことにした。鎧岳から降りて くる方から見れば右になる。しかし、これが思わぬマイナーコースであった。もとはちゃ んとした作業道だったのであろうが、枯れ枝や倒木などが自然に任された状態のまま横た わっている。ただ何とか道らしいものはわかるので、道なりに降りてゆく。やがて斜面を へつるようになると、里が近いのであろう、竹藪が現れた。道がなくなったが、下に民家 らしいものが見えるので、歩きやすい部分を選りながら進むと車道の終端に飛び出した。 地形図を確かめると、小文字の「y」に似た車道が下小場集落の辺りから伸びているが、 その「y」の右上にあたる部分に出てきたようだ。ふと見ると容器に自然木の杖代わりが 二、三置かれているので、下ってきたルートは全くのマイナールートでもなさそうであっ た。とはいえ、わざわざこの道を選択する人は少ないようである。(笑)
廃屋の庭先にセメント舗装の小道があるのでそれを辿って県道に出ることにする。茶畑 があって、山茶花に似た白い花を咲かせている。もう一軒の廃屋を過ぎると、目の覚める よう真っ赤な紅葉の散り敷く民家の横から村道に出るとまもなく県道で、診療所の駐車場 はそこからほんの200mほどであった。 目無地蔵前に置いた車を回収して駐車場でお開き。お亀の湯に入湯する組もあれば、嶽 見橋で鎧岳、兜岳の雄姿をカメラに収める組もある。すっきりとは晴れなかったが、久し ぶりの室生方面の山でしかも念願の山をようやくクリア。そして全員無事に家路に着いた ようでした。 ■同行: 裏人さん、かなぶんさん、呉春さん、さかじんさん、たかやんさん、 タラちゃん、水谷さん、ゆきんこさん (五十音順)
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