若丹尾根逍遥〜五波峠から権蔵坂 |
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近頃、毎年歩く秋の芦生。五波峠から権蔵坂まで若丹国境稜線を辿って権蔵谷の古道を 下り、櫃倉谷に合流して須後へ戻るルートだ。近年にない猛暑に見舞われ、秋は来ないの ではないかと思われた今年だけれど、やっぱり静かな秋は野山に舞い降りていたのでした。 低気圧が抜けて冬型の気圧配置。かやぶきの里の駐車場から見上げた抜けるような青空 に、日本海側は雨が残るのではの懸念も一気に払拭される。須後に車をデポしておいて、 スタート地点の五波峠へ。麓ではまだまだ青い木々も、標高600mではそろそろの風情。 夜半の時雨でしっとりと湿り気を帯びたブナやナラの林の斜面を登る。黄葉は一様ではな く濃淡微妙な配色である。それが朝の日に映える。 中山谷山へ分岐ピークから急斜面を下る。この辺りから先は尾根が単純ではなく、しば しばあらぬ方向へ出て、立ち止まって方向を確かめざるを得ない。指導テープもほとんど なく、何回歩いても「はて?ここは?」と思ってしまう。今日もやっぱり同じ轍で、中山 谷山が正面に見える台地で小休止した後、うろうろしてようやく去年印をつけた木の前に また来てしまうのだった。(^^;
中山谷山が正面に見える台地では、中央に立つリョウブはもう葉を全て落として冬芽の みになり、間もなくやってくる寒い冬におさおさ怠りなしと自慢しているかのようだ。向 かいの波打つ山並みも、もう赤や黄色が少し目立つようである。 歩く方向を北から再び東に変える。澄んだ空気の中、左手に八ヶ峰が指呼の間。青葉山 の双耳峰も近い。あの向こうはもう日本海だ。 ここまで来れば尾根もはっきりして権蔵坂まで迷うこともない。狭くなった稜線をユズ リハの群落を抜け、最後に杉桧の疎林を下ると、小畑登さんの説明板のかかる権蔵坂。こ れで三回目の峠らしい峠だ。
とは落ち葉のじゅうたんを敷き詰めたような素晴らしい場所だ。溝は左からの小さな谷が 合流すると細い流れが出来、やがて音を立てて流れ始める。今日はちょっと水量が多いよ うだ。下流ではもう濡れずに渡ることは不可能で、「ええい!ままよ」とばかり山靴に水 が入るのもものかわ。バシャバシャと流れを渡ったことだった。
権蔵坂からの道は来る度に踏み跡が消えていくようだ。あるのはほとんどその痕跡みた いなもの。歩き良い場所を選って歩くしかない。石の上は苔が生えて滑りやすく、斜面も 粘土っぽいので、気を付けないとズルズルと滑落しそうで冷や汗をかく時がある。権蔵坂 を下る段になって急に時雨たので余計その感が強い。幸い雨は間もなく上がり、また抜け るような青空になった。今の内だ。少し谷が広がって明るく日の当たる場所で昼食タイム。 去年もあった大きな倒木が今年も行く手を阻む。木と地面の僅かな空間を潜り抜けたり している間に、いつの間にやら権蔵谷は櫃倉谷と合流していたようだ。ロープのある小さ な岩の崖をへつる部分がそういえば合流地点だった。去年長靴で来て滑りそうで肝を冷や した所である。今日は山靴でその点少し安心なものの、沢を気にせず歩くことはできない。 なかなか両方とはいかないものである。(^^; やはり少し水量は多い。櫃倉谷に懸かるこの辺りでは最大の滝も轟々と音を立てて流れ ている。このあと何度渡渉しただろう。しまいには靴に水が入ろうが全く気にしなくなっ てしまう。(^^;; 大トチの川原を抜け、坂谷の合流点に来ると、中のツボ谷が合流する広場は間もなくで ある。広場の中央にあるいつも綺麗に染まるモミジはまだ青く、カエデ類が紅葉するのは もう少し先のようである。 横山峠を一登りして急斜面をつづら折れると最後の渡渉地点。靴はもう水浸しなので怖 いものなし。エイッ!ヤッ! この後はおよそ1時間の林道歩きだ。その内に乾くだろう。 内杉谷の林道合流まで30分。芦生演習林事務所のゲート前までまた30分。テクテク 歩くと、まだ3時だというのに薄暗く、もう夕方かと見まごうほどに日の短さを実感する。 秋分を過ぎ、もう夜の方が長いのである。五波峠へ車を取りに行き大阪に戻る頃には、辺 りは夕闇でした。 ■同行: 裏人さん、呉春さん、幸さん、タラちゃん、水谷さん pikkuさん(五十音順)
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