高ンボから大谷周回〜今年の山納め

奥猪名健康の郷本館と高ンボ
平成21年12月29日(火)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】水谷さん


 いろいろ私事も重なって、毎年行っている山納めに今年は行きそびれていた。その09
年も余すところあと3日という押し詰まった29日、近頃、摂丹の府県境に凝っているM
さんが山納めに北摂の高岳へ行くというので、渡りに船と便乗させていただくことにした。
静かな陽だまりの半日、温泉にも入っていい山納めになったのでした。

 高岳は過去何度か歩いているが、どうせなら2年前のしし鍋オフの翌日に登る予定であ
ったのに思わぬ雪の為に断念した「高ンボ」からのチョイバリルートはどうだろう。Mさ
んに連絡を取り、地図などを用意する。取付きは以前と同じ奥猪名健康の郷だ。

 午前8:40。駐車場に車はない。今から登る予定の「高ンボ」の三角形の冬枯れの姿。
早速準備を整えてまずは登り口を探さねばならない。先達のHPに依ればロッジの裏だと
か。本館前を抜けると『冒険の森』の看板があり、ロッジへ向かう坂道がある。これだろ
うと幾棟かのロッジの裏へ回ったが取り付きらしいものが見つからない。無理から登るこ
とはできそうだが結構な急斜面だ。それなら確実にと目の前の支尾根の突端へ回ろうとい
うことになる。

 コンクリート護岸の沢沿いに駐車場方向に戻っていくと、支尾根の先端部分に小広場が
ある。それを突っ切れば枝折戸みたいな扉があり、薄いが踏み跡が尾根を上がっている。
指導テープ類は皆無だけれど、これは使えそうだ。

アプローチに使った小道。ここを左へ

 ヤブもなく人一人歩ける幅の踏み跡。古いTVアンテナが倒れている。アンテナの立て
る為の道だったのかと思いきやそうでもないようで、踏み跡はさらに続いている。ふと気
づくと足元に古い赤プラ杭が埋まる。私有地の境界でも現しているのか、歩きよいのはそ
の切通しだからなのかもしれない。なにはともあれしめしめ。

 と、今度は錆びて赤茶けた太い針金が現れた。思わず足に引っ掛けそうになる。何かの
罠か?と疑うもこの先にも延々と伸びていて、それなら何かの囲いの跡かと思ったら、案
の定、針金に絡みついた杭が転がっていた。どうも奥猪名健康の郷の敷地境界を示すもの
のようで、前述のようにっかけると危ないけれど、いい目印でもある。

高ンボへの登路はこんな感じで歩きやすい

 そんな針金に導かれて、辺りに点々と露岩が現れた頃、左の斜面からテープが上がって
くるではないか。砂防堤らしきものが垣間見えるので、さっきの取付き探しでもう少し奥
まで探れば良かったのかもしれない。(^^; でも、支尾根の突端から登る我々の方が正当
なルート(何がその基準だか...。)であろう。(爆)

 それからは俄然テープが増えて歩きよくなる。とはいえ、登りは高い方へと進めばいい
ものの、下山に使う時は引き込まれそうな尾根があるのでコンパスで確かめながら注意が
いるだろう。

 合流点から7分くらいだろうか。斜面が緩まり小広い高ンボの山頂に出る。取付きから
約30分の道のり。そのアルバイトに報いる展望はないが非常に静か。プレートの類もま
ったく無く、石製の境界杭が一つ落ち葉の地面に立っているのみである。ところで『高ン
ボ』とは面白い名前だが、これとよく似たものに京都府の美山町の『ムシンボ』がある。
こちらは昔、「無心房」なる寺か庵があった由。高ンボにも似たものがあったのだろうか?

切り開かれた高ンボ山頂

 一休みして、大福餅を半分。炭水化物でエネルギー補給。東に広がる高岳北尾根に向か
って南東方向に進む。少し急な斜面を下ると顕著な尾根道で、大きな赤松も多く、昔はマ
ツタケが多く出たことであろう。再びの登りは露岩がだんだん増えてきて、次のCa610
mピークは一寸した岩峰。登路は露岩の間をすり抜けて進むことになる。その岩を出口か
ら眺めると、なんとなく胎内から出てきた感じがするので、この岩、ご神体にされてもお
かしくない感じがする。

 標高を大分稼いだのか高岳北尾根の向こう側に深山のレーダー雨量観測施設の白いドー
ムが姿を現す。その意外な近さには少々驚いた。左手が山抜けしたザレ場を越えると劇登
り。やがて尾根が北に折れる地点に到着。先達のHPではやや迷いやすいとあったが、小
さなピーク状の場所で、自然に北方向(左)に方向を変えることができる。そして傾斜のき
つい登りを続けて、711mピークに向けて再び南へ方向を変える。ここには『奥猪名』
とマジック書きのあるテープがある。

 この辺りまで来るともうほとんど傾斜はなくなり、小さな起伏が前後するだけ。この付
近でもササはほとんど枯れており、「山眠る」如く全く葉を落とした林が美しい。緑の葉
を残しているのはアセビと赤松くらいか。ここからはさらに深山がよく見え、R173か
ら瑠璃渓へ向かう府道沿いの造成放棄地の赤茶けた広大な荒地が痛々しく目に映る。

711mピーク手前から清澄な雑木林
中央右の鉄塔奥の稜線に深山の雨量観測用のドームが見える

 沢の源頭を巻く感じで左に円状にカーブすると、数年前のオフで昼食を摂ったことのあ
る711mピークである。名物の一本木にはルビー色したサルトリイバラの実が鮮やかで
ある。

 ここ711mピークは高圧鉄塔の資材運搬用のヘリコプター離着陸点だったらしく、円
形をした台地だが、それだけに北摂から丹波の名だたる山々の展望所だ。おびただしく林
立する鉄塔が邪魔っけだが、ざっと挙げるだけでも深山、高岳、弥十郎ヶ岳、三嶽、小金
ヶ岳、大船山、羽束山、大野山などなど。風もなくポカポカする。ちょっと昼寝でもした
い心境である。

 711mピークから巡視路を東へ。鮮やかに赤白に塗られた丹後幹線bP06の鉄塔下
はすぐで、ここから東に向かうと並行する丹波線bW6の鉄塔下に出る。さらに東に急降
下すれば沢谷の源頭となって、関電の鉄橋を渡って高岳北尾根の稜線上に出るはずだが、
高岳の頂を踏んでおくには南に行かねばならない。赤白鉄塔に戻って南に辿ると枯れた笹
原の間をを行くようになり、西から南へクランク状に進めば再び林の中のピンク紐がぶら
下がる広い防火を兼ねた道である。その間に丹後幹線bP07の鉄塔を左に過ごす。やが
て高岳への最後の登り。bP08の赤白鉄塔下を抜ければ、見覚えのある狭い高岳の三等
三角点である。

 ポカポカ陽気なので、誰かいるかと思ったけれど誰もいない。まあ年末も押し詰まって
山どころじゃないかもねえ。(^^; 減らず口をたたく。相変わらず山頂からの展望は良く
ない。北に深山が垣間見えるのと、西の鉄塔付近から、これも垣間見える感じで堂床山と
丸山、竜王山が見えるくらいである。というわけで、午前中はもう少し頑張って高岳北尾
根の展望のいい所を探して昼食にしようということになる。来た道を引き返して、左(西)
へ行けば711mピークへ出るT字路を、ここは右(東)に折れる。緩い斜面の上が北尾
根の始まり、摂丹国境の尾根だ。すぐの左手にテープがあるのは左直下の沢谷の源頭に、
関電の緑色の巡視橋が設置されているのだ。711mピークから丹波線bW6の鉄塔を経
て東行する巡視路の合流地点だろう。

 道は数年前よりも格段に歩きよくなっている気がするが、小刻みなアップダウンはしゃ
りバテの身にはこたえる。やがてもうあまり用をなさなくなった黒いシカ除けネットが現
れる。ネットの向こうは今時珍しい赤松林だ。そして北尾根の幾つかのアップダウンを構
成する小さなピークの一つが665m標高点ピークだ。西へ10mも行くと丹波線bW4
の鉄塔で、静かで日当たりも良いのでここで昼食とした。

 昼食場所から西へ降りて行っても沢谷の源頭に出られるはずだが、もう少し尾根歩きを
しようということで、665mピークに戻って北へ向かう。やがて黒ネットが右に下りて
行く場所に出た。そちらにも赤布が下がっているが、直進の尾根道にもテープがある。こ
ちらは関電巡視路で、こちらもすぐに曲がって関電巡視路特有の黒プラ階段が急斜面にあ
る。それを踏んでぐんと下ると小さな支尾根。左に曲がると丹後幹線bP04の下に出た。
朝歩いてきた高ンボと稜線が一目でわかる。その奥に大きいのは大野山だ。

丹後幹線bP04辺りから高ンボ。奥は大野山

 ここで巡視路は右に大谷へ降りて行くようだが、我々は更に尾根を進む。鉄塔建設予定
地みたいな更地の台地を過ぎると、尾根はやや北に振りながら高度を下げる。こんな所も
歩く人があると見え、時折、黄色テープが思い出したように現れる。だが尾根は顕著でヤ
ブもなく歩きやすい。コンパスで確認しながらアセビやツツジの雑木の間のうっすらとし
た踏み跡を辿る。
雑木に囲まれた大谷と沢谷の乗越。どちらにも行けるようだ

 向こう側の斜面が木々に透かし見えたら、目標にしていた大谷と沢谷を隔てる乗越であ
る。地形図でいえば550mの等高線表示の西側にあるタワで、実際に来てみれば非常に
柔らかな曲線で形作られている。芦生の峠道にも匹敵するくらい。そう、ここは北摂のミ
ニ芦生、北摂の山々を歩いているKさんご推奨の山域なのだ。南北どちらの谷を歩いても
いいのだけれど、ここは北の大谷へ出ることにする。すると古道の雰囲気のあるいい道が
現れた。さっきの乗越をゆく昔ながらの道なのであろう。地形に従ってゆるりと下る内に
沢の小さな流れの水音が聞こえてきはじめる。大谷へ出たようだ。そしてまもなく関電巡
視路に合流した。しかし、こんな場所にこんな古い杣道があるとはとても気付かない。下
山路に利用するのはいいが、逆に登りに使うのは難しい。20mほど先に関電の赤い火の
用心標識があるのでそれが目印になろうか。(でも近々もう一度行かねば忘れるだろうね
え)

 歩く内に少し記憶が蘇ってきたようだ。この雰囲気。雑木といい、沢の流れといい、ま
ことにミニ芦生そのものである。初めて案内してもらった時もいい所だと感じ入った次第
であるが、葉を落した裸木の林の今回も素晴らしい。沢水の流れる方向へしばらく歩くと
緑色に塗られた関電の巡視路の鉄橋が現れ、その先は踏み固められた小道である。奥山の
峠に至る道だと思ったが、確かめれば朱塗りの鳥居が鮮やかなお稲荷さんへの参道であっ
た。今なお手入れする人がいるようで、供物もあり、落ち葉とてないお稲荷さんの祠の周
囲。祠の前は今は荒れているものの、昔は田んぼだった風情が見て取れた。

 元へ取って返して大谷川沿いに200mも歩けば、砂防堰堤横の杉生新田、最奥民家が
見えてくる。土石流防止の為らしく護岸工事の行き届いた小道を、向こうから箒を持って
上がってくるおばあさん。HPによく出てくるおばあさんはこの方らしい。話を聞くとお
稲荷さんのこぎれいだったのは、このおばあさんがいつも清掃されていたからのようであ
った。
杉生新田から歩いてきた方向を振り返る

 後はテクテク、大谷川沿いに西へ歩くのみ。朝、歩いた稜線が左手に眺められ、円錐形
をした高ンボの姿をデジカメに収める。戻った奥猪名健康の郷は閑散として、駐車場は相
変わらず我々の車だけであった。

 時間もあることとて、久方ぶりに籠坊温泉は渓山荘へ。玄関が閉まっており、正月期間
は宿は休業であるものの、幸い風呂は営業中で、いい湯加減の瓢箪露天風呂を貸切状態で
満喫し、一日を締めくくったのだった。久方ぶりの北摂。いい山納めでした。



【タイムチャート】
7:30小学校前出発
8:40〜8:45奥猪名健康の郷(駐車地)

この間取りつき探索
9:02尾根先端取り付き
9:25テープ道と合流
9:32〜9:36高ンボ(591m)
9:51Ca610mピーク
10:25〜10:32711m標高点ピーク
11:02〜11:07高岳(720.8m 三等三角点)
11:40〜12:07665標高点ピーク(昼食)
12:40大谷・沢谷乗越
12:43大谷(関電巡視道合流)
12:49〜12:52お稲荷さん
13:18奥猪名健康の郷(駐車地)



高ンボのデータ
【所在地】兵庫県川辺郡猪名川町
【標高】591m
【備考】 奥猪名健康の郷の南東部に位置にあり、高岳北尾根から
派生する尾根の一峰です。高岳は北摂でも雑木の山で知
られ、とりわけ北尾根は静かな山歩きが出来ますが、高
ンボの尾根も非常に静かで山好きには堪えられない尾根
筋です。
【参考】
2.5万図『木津』



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