不動滝から秋色のシビレ山

朝日に映え秋色のシビレ山(奥の右側の鉄塔付近)
中央に見えるザレたミニ馬の背などを歩くいいコース
平成21年11月29日(日)
【天候】晴れ
【同行】別掲


 11月のSRCの定例オフはUさんの庭とも云うべき丹生山系のシビレ山。昼前に腹ご
なしに登った後は車で移動して、雌岡山の北側の麓にある楽農レストラン「かんでかんで」
で地場の野菜がメインのバイキングランチを楽しむという趣向。今回も『大人の遠足』。
楽しみです。(^0^)

 このアプローチは標識などもなく、文字通り知る人ぞ知るで全く気づかないだろう。県
道38号(三木三田線)沿いに立つ勝雄の民家横の生活道を入り、田畑の中の小さな橋を
渡って山際に当たったら右に折れる。そして山沿いに200mほど。そこがシビレ山の北
からの取付きである勝雄不動明王の駐車場である。駐車場といっても林の中、5、6台が
せいぜいの小さな広場。不動明王の赤い幟が林立する。

勝雄不動明王の参道がアプローチ

 淡河川の支流の小さな谷川沿いに勝雄不動尊の参道を行く。淡河八幡の禊ぎ場の案内板
がある辺りで谷川を渡り、左岸の山肌に沿って進むと右に山道が分岐する。本来はこの道
が正規ルートなのだというが、それでは面白くないと劇登りを行くんだそうだ。(^^; 吹
き鳴らされるホラ貝の音が漏れてくる。駐車場に数台の車が置かれていたが、今日は月例
の日だそうだ。しばらくすると小さな物置みたいな建物が現れ、大きな岩を垂れるように
滝が流れる。地形図にある不動滝だが水量はほとんどない。その滝の岩の横に安置された
役ノ行者像がえらく痩せた姿なのが面白い。建物から出てきた3、40代の女性は滝に打
たれる準備なのか白装束。(滝行をするこんな若い女性を見たのは初めてだ)ジャージ姿
の若い男性もいて、このお不動さんの信者は平均年齢が若いのかなあ。(笑) 

難所の劇登り(笑)。よく滑ります

 修行の邪魔をしてはいけないので(「もう充分してる」という声も聞こえてくるが...)
勝雄不動尊の境内から少し戻って山肌を削ったような道を辿る。左手の谷底から般若心経
を唱える声が上がってくる。その谷の向かいは岩崖に松が点々と生えて一幅の山水画。と
景色を楽しんでいるのも今の内で、ここからが今日一番の難所。(^^; 標高差は20m位
だがもろい花崗岩の崖に近い急坂である。立ち木が枯れていないので、掴んでも大丈夫な
のが幸い。トラロープも設置してある。ただ、靴で石を落としやすいので注意がいる。少
し緊張しつつ登ってしまうと背後は秋のいい景色。勝雄の集落や四国淡路道。朝日に光る
黄葉の山並みが、山蔭の暗さと好対照に綺麗に浮き出ている。

劇登りの上から山影とのコントラストと
秋に染まる勝雄方面。中央の川は淡河川

 尾根を辿る気持ちのいい道になる。早くも前方に高圧鉄塔を頂いた稜線が見えてくる。
以前、丹生山からシビレ山へ廻った時、高圧鉄塔の下で休んだのを思い出す。それだから、
もうシビレ山は近いと思ったが、どう歩いたのかいま思えば意外やそこから結構な歩行距
離があった。

 山並みの上へ顔を出した真正面からの日光がまぶしい。道はザレた花崗岩の砂尾根を辿
ったり、ウラジロシダに埋もれたり。ソヨゴやミツバツツジ、赤松などの低木に囲まれた
りを繰り返す。そうする内に、また浅い谷間を進むようになる。綺麗に石組みが残った炭
焼き窯がある。煙突の穴もくっきりあるので比較的最近まで使われていたのかもしれない。
といっても20年以上は経っているだろうが...。

 谷の源頭近くにやってくる。道は左に折れて谷から離れ、ジグザグに登り始める。この
道のつき方を見てもこの道は古いようだ。そして間もなく現れたのは茶色い落ち葉に敷き
詰められた峠で、いい山道が越えているのと出合う。ここは変形十字路になっていて、前
述した山道とシビレ山に直登する踏み跡(これは関電巡視路だ)、登ってきた不動滝への
道が集まっている。このいい山道はどこへ続くのだろうか。その一部は後で判明する。

関電の標識が立つ峠。右に登るとシビレ山

 しばらく休憩を摂ってシビレ山への急登を進む。左手には朝日山(四等三角点『シビレ
山』が置かれている)と思しき山が眺められる。が、登りは存外、きつい。一寸息が切れ
る。えっちらおっちら、タカノツメの甘い香りがする中を登って行くと、また明快な踏み
跡に出合う。これは丹生山からの縦走路なのであるが、以前、この道を歩いてきたはずな
のに記憶は曖昧だ。なんとなく頭の中と実際とで方向感覚がずれているからだろう。(実
は地形図を家に忘れてきてしまったのだ)右に折れればすぐにシビレ山の山頂である。

 雑木の中でまったく展望は無い。山名板が架かっているだけではなはだ殺風景。オフの
集合写真を撮ったら、少し先の例の高圧鉄塔へ行こう。

 前回はこの高圧鉄塔(西神支線bQ0)の下でジモティーの小父さんと喋っていて、こ
の付近のことを色々教えてもらったものだ。淡路道の橋の横の山がここと良く似た響きの
名を持つシブレ山。コウモリ谷はマナーの悪さに山主が立入禁止にしたなんて...。あ
の頃よりは大分、山も同定できるようになって、須磨アルプスなぞも良く見えていること
を知る。

 まだ10時過ぎだというのにそろそろお腹も空いてきて、昼食のランチバイキングに気
もそぞろになってくる。ゆっくり鉄塔から移動して下山にかかる。せっかくなので朝日山
も踏んで帰ろうということになって、来た道を戻ってシビレ山山頂を過ぎ、登ってきた小
道を左に過ごす内に、だんだん以前の記憶が蘇ってきた。この先に古代祭祀跡の石、その
先に赤土の急坂があるはずだ。

 古代祭祀跡を抜け、太陽と緑の道でもある山陽自然歩道と合流して、左折すれば朝日山
との分岐。といってもメインルートを逸れて2、30mも登れば四等三角点のある山頂な
のである。以前より雑木の背が高くなって見晴らしは悪くなっているが、それでもまあま
あの眺めが得られる。もう丹生山は指呼の間で、丹生神社の杉林も直ぐそこだ。

 再び山陽自然歩道と合流して、咲き遅れたコウヤボウキの花なんぞを眺めながら、しば
らく歩くと丹生神社の裏参道との出合だ。右に行くと丹生山方面。ここは左に進む。Uさ
んも珍しくこの道を利用するのは初めてなのだそうだ。一間幅の道には所々に丁石も置か
れて古い風情。カエデのような派手な色はないが、タカノツメやコナラなどの渋い色合い
の木々が多い。道はシビレ山や朝日山を巻いているようで、やがて分水界に近くなったの
か、谷はその形状をなくし、周囲はほぼ平坦となる。少し道は分かりづらくなるがテープ
などを追えばよい。すると古い石の道しるべのある三叉路。『左 ○○三木、右 淡河○
○』云々の文字が見える。そこから左の道を20mも行けば、なんだ往路で小休止した峠
なのだった。
峠の東側の三叉路にある道標。赤ペンキはいただけない

 これでグルッとシビレ山付近を一周したことになる。往路を引き返して、あのザレた坂
を下るのは止しにして巻き道を辿ったが、どこで巻き道に入ったのか喋っていて記憶が定
かでない。(^^; 黄葉、紅葉に染まる中を下って、やがて合流した参道から覗いたが、行
場にはもう誰もおらず、当然、駐車地の広場にも他に車はなかった。

帰路にて鮮やかな黄葉を愛でる

 出発地点の広場到着はちょうど正午である。そそくさと山道具を納めて、もう一つの目
的、車で20分ほど、雌岡山の麓のレストラン「かんでかんで」へ予定通り移動する。雌
岡山を目指してそのレストランに到着すると、沢山の車が駐車場を埋めている。予約では
1時間待ちだそうな。そこで待ち時間を利用して、すぐそこの雌岡山へ姫石神社と裸石神
社を見学に行く事にした。

 駐車場から山手へ向かうとブドウ園などがあって、その先にフェンス沿いの道がある。
空腹には少しきついが10分くらい我慢すると神出神社の御旅所前の取付け道路へ飛び出
す。ここを左に折れると姫石神社と裸石神社への案内標識があった。鬱蒼とした杉林を下
っていくと、右に姫石神社、左奥に裸石神社が現れる。姫石神社の御神体は地から湧き出
したような大きな岩。真ん中が割れてこれが象徴なのだろうか。続いて裸石神社。本殿の
裏が観察できるようになっていて、ガラス戸の向こうには男性器と女性器の象徴が文字通
り鎮座ましましていた。ご立派! アワビの殻も一杯奉納してあるのも面白い。

裸石神社本殿裏に文字通り鎮座する象徴
掲載していいのかな....(笑)

 裸石神社の横を上がると神出神社。その立派な社殿の前は南側を見下ろす展望所になっ
ている。目の前の池は金棒池だ。左手には雄岡山。西神ニュータウンや淡路島等が眺めら
れていい景色。この付近の伝説が書かれた説明板を読みながら、その景色を愛でるとなお
面白い。そんな中に大意こういうのがあった。昔、雄岡山の神が浮気をし、雌岡山の神が
止めるのも聞かずに淡路の女神の所へ行こうと鹿に乗り、海を渡ろうとしたところ、猟師
に鹿を射止められて、たちまち赤い石になって沈んでしまった。これが『明石』の地名の
由来なのだという。チャン、チャン。

 山から降りて地場の野菜を買ったりしていたら名前を呼ばれた。やっと順番が来たよう
だ。野菜づくしのバイキングでお腹いっぱい。料金1,500円。しっかり元はとらせても
らいました。(笑)

 今日も大人の遠足。山にグルメにこれに温泉がついたらもう最高なんですがねえ。(笑)



■同行  北山さん、幸さん、高やんさん、たらちゃん、中井さん、水谷さん、蓮さん

【タイムチャート】
7:00千里中央駅(集合地)
7:50〜8:10谷上駅(第二次集合地)
8:30〜8:45勝雄不動明王駐車場(駐車地)
9:00〜9:05勝雄不動明王
10:00〜10:05シビレ山北の峠
10:14〜10:16シビレ山(465m)
10:18〜10:26鉄塔(西神支線bQ0)
10:35古代祭祀跡
10:37山陽自然歩道出合
10:46〜10:47朝日山(512.8m 四等三角点)
10:50山陽自然歩道合流
10:55旧参道出合
11:08〜11:13シビレ山北の峠
11:52勝雄不動明王参道出合
12:00勝雄不動明王駐車場(駐車地)



シビレ山のデータ
【所在地】神戸市北区
【標高】465m
【備考】 丹生山の北に位置する尾根上の一峰です。鉄塔の立つ台
地は丹生山、帝釈山よりも展望が良く、東播磨方面が一
望できます。面白い山名の由来は、山頂の古代祭祀跡と
関係するのではないかと思われます。尚、点名『シビレ
山』は東の朝日山のことです。
【参考】
2.5万図『有馬』、『淡河』



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