ブラリと小野アルプス西コース

女池から小野アルプス。惣山(左)、紅山(右)
平成21年 2月 1日(日)
【天候】曇り時々晴れ
【同行】単独


 野暮用があってこの週末は山へ行くつもりがなかった。ところが、日曜の朝にポッカリ
と予定が消えた。まあまあの天気だし、ほんじゃあ、どこか行くかな。当節、どうせ朝遅
い出発だし雪のない低山しか行かないのだ。そうそう、6年前に行った小野アルプス。西
コースはまだだったなあ。

 気がつけば四週連続の播磨の低山。そして先週と同じ加古川北IC。去年訪れた城山の
北の麓を東へ走って来住へ。鴨池の元ボート屋の建物横の駐車スペースが空いたので車を
滑り込ませる。手早く身支度する。丁度、目の前がボート乗り場の跡で、家族連れがカモ
の群れにパンくずをやっている。集まっているのはほとんどがオナガガモだ。女池の白鳥
はどうだろう。何人かが双眼鏡片手に鳥見をしているが水面を見る限り、1羽しか目に入
らない。今年は少ないのであろうか。

 さて、女池の横を今日の取付きの予定であるアザメ峠方面に車道を進む。すぐに「きす
みの見晴らしの森」への分岐がある。なんだかアザメ峠までテクテク歩いていくのが面倒
になってきた。時間も遅いし、下山後に少し鳥見物もしたいしなあ。というような按配で、
あっさり方針転換。少し引き返してあっさりと「きすみの見晴らしの森」へ向かっている
小生である。
女池の南から「きすみの見晴らしの森」へ向う

 左に倉庫のような大きな建物を見て広い道を進む。すぐに通行止のロープが広い道には
出てきて、左手に林に入って行く道に誘導される。少し薄暗いが、そのまま進めば開けて
田畑が広がり、三角形の惣山や紅山を前方にいただくようになる。右に池を見ると分岐道
標。左に折れ、田畑の中を歩いて中央入口から見晴らしの森の中へ入る。

 里山の雑木林の中の散歩道というような風情。「祠を経て赤山」と指導標がある。高い
所へ行きたがる小生、それに引かれてメインルートを逸れる。祠といっても高さ30cm
ほどのもの。内部に丸い石が置かれているようだ。コシダに覆われた丸木階段の小道を登
ればすぐに痩せたササの中の赤山山頂。地形図にもヒョコンと小さなピークが描かれてい
る場所だ。赤松が多いのと、露岩が赤っぽいので遠くから赤っぽい山に見えたのが名前の
由来なのかもしれない。小道に導かれて南に辿るとすぐに降り始めて、中央広場と呼ばれ
るパーゴラのある場所に出る。この時、通り雨があって、バラバラと笹の葉に当たって、
必要以上に大きな音を立てた。周囲は背の高いコナラやカスミザクラの林だ。

 案内板で現在地を確める。池の縁を廻って惣山へのアプローチがあるようだ。すぐに現
れる分岐を右にとって池の縁をゆるゆると登る。さっきまで居た赤山の丘が池の向こうに
見える。それを楽しみながら回り込めば、岩倉峠への道から登ってくる登山道と合流する。
6年前はそこから登ってきたはずだがあんまり記憶に無い。つづら折れに上がって行くと
台地に出る。至る所に1mを越える丈のミツバツツジがあるので、春には赤紫に染まって
さぞかし見事だろう。やがて北を見晴るかす展望台。鴨池やゴルフ場。灰色の雲が流れ、
遠く北の山々にはけぶっている所があるのでにわか雨でも降っているらしい。風が強い。

惣山稜線から紅山。稜線が紅岩。左に権現池、
中央奥に志方の城山、左奥に高御位山を望む

 地形図を見てもわかる通り、惣山の北尾根は長くまっすぐだ。途中の露岩では小母さん
組が5名ほど食事の最中。前を失礼して山頂の潅木帯。右手に巨大な滑り台みたいな紅岩
があって、その山頂には赤いヤッケのハイカーが見える。

 山頂に着くと南の見晴らし岩に3名の熟年男女グループ。その中にボランティアの腕章
を巻いたおじいさんがいる。この辺りの事は何でも知っているとのこと。聞くともなく聞
くと地主さんなんですと。何処へ行く?と聞くので、紅岩から西コースで福甸峠へと答え
たら小野アルプスのハイキングマップをくれた。

 食事はこの露岩で。下を通る山陽道の車の騒音が上がってくるが景色は抜群。播州平野
を加古川がくねり、遠く六甲、丹生の山々。瀬戸内海が光り、明石海峡大橋に淡路島、家
島群島が浮かぶ。更に登ったことのある高御位山や飯盛山、城山、平荘湖、権現湖が指呼
できて懐かしい。こちら側は風もあまり吹いてこずいいのだが、坐っていると流石に汗が
冷たくなって少し寒くなってくる。カップ麺と食後のコーヒーで温まる。

 目の前の道を西に降りて惣山と紅山の鞍部、岩倉峠へ向かう。細い桧林の急斜面のつづ
らおれ。ギィーギィー木の擦れ合う音や、枝が落ちる音が響いてビクッとする。そこへ単
独兄さんが上がってきた。ビクッとしたの見られたかな?(^^;

紅岩を仰ぐ

 この紅山と惣山の間の道は県道なのだそうである。50mも南へ行くと岩倉峠で、標高
は79.8m、紅山南コースの入口である。少し湿った斜面を上がっていくと紅岩の露岩
下。ドーンと久しぶりに幅10mはある馬の背状の岩が斜めに延びている。弓なりに反っ
ているので最初はほぼ水平で、なーんだ、こんなものかと思ってしまうのだが、登るに従
って傾斜が増して、降りるに降りられず、途中まで来ると登るしかないと臍を決める羽目
になる。下はあんまり見ないように。岩に記された白いペンキに従うが、もっと歩き易い
所がある。岩の窪みに靴をかけて一歩一歩。途中に潅木が生えている。土もないのになん
でこんな所にと思うが、その幹を手に持てるので何だか安心だ。さっき眺めていた惣山の
尾根が東に見える。少し見覚えのある紅山山頂は標高は184m。以前置かれていた冷蔵
庫はもうなかった。

紅岩の上から足下を覗く。右は靴先、下は山陽道

 岩の縁に出て下を覗く。やっぱりここを下らずに良かったわ。(笑) 冬のくすんだ緑の中
に岩の梯子が下っているようだ。山陽道を疾走する車が小さい。山頂に立ってしばしの休
憩。

 紅山から北東への下山路は最初に訪れた時に使った道。ここから西は200mほど辿っ
たのみでそこから先は未踏である。丈の低い笹とミツバツツジ、イヌツゲ、ソヨゴなどが
多い雑木林に綺麗な踏み跡が続く。露岩の上を歩いてその先は鉢巻状に進む。その間には
東に紅岩を横から見る絶好ポイントがある。ここから見れば岩が大きく弓状に反っている
のがよく分かる。とっかかりのない岩だったらきついだろうなあ。と、単独小父さんが山
頂に立っている。北東側のコースから上がってきたらしい。

西コース途中の露岩から紅岩と惣山

 台地状でほとんど高度を下げなかった紅山もようやく下りに入ったようだ。トラロープ
のある露岩を下っていくと次のピーク、今回のコースで唯一三角点のある「岩山」が現れ
る。その斜面を登路が延びているのが見える。だからそろそろ鞍部が出てきてくれてもと
思う心を知ってか知らずか、小道はジグザグに急坂を下り、もうほとんど平地と同じくら
いにまで高度を吐き出して、そこはうすぐらい鞍部だ。道標あり。鴨池へのエスケープル
ートが北へ抜けている。石柱あり。頭に「オツカ」と刻まれているのはなんのことだろう。

 岩山の登りは明るい斜面である。また現れた露岩の斜面。白いペンキの印を目印に再び
雑木林に入る。コシダやウラジロが繁茂する中に四等三角点。山道の途中の林の中という
感じで展望はない。そのおかげかプレートらしいものもないのが良い。しかし少し西に出
ると、ここにも露岩があって紅山、惣山が重なって眺められるポイントがある。良く見る
と小さなテーブルマウンテンだ。

 次の鞍部には交差するはっきりした道らしいものはない。とはいっても地形図をみれば
北へ進めば200m位で福甸町の神社印の付近に出れそう。見るとやはりテープもある。
福甸峠へはもう一山越えねばならない。ここまで来るとピークも標高150mを割るほど
なので楽。もう直ぐそこは山陽道の権現池SA。というより上り線の裏山って感じだ。駐
車場は眼下、直線距離で100mくらいだろうか。ワンワン車の騒音が上がってきて、一
直線に4車線道路が延びている。その先が城山のトンネルだ。このSAの裏山、最高点と
思しき地点にあったプレートによれば「宮山」というそうだ。福甸町の神社が近いからだ
ろう。

 福甸峠はもう直線で200m程度なのだが、踏み跡はなかなか高度を落とさない。峠を
越える車の排気音が直ぐそこで聞こえるのだが...。くねくねと行ったり来たりしてようや
く方向が西に落ち着き、斜面を斜めにゆくと車道が木々の間にちらついてくる。オートバ
イが通り抜けた後、車道に降り立つ。14時21分。紅山から50分足らずである。

福甸峠。小野アルプス西コースの玄関

 あとは車道を東へ。途中、池の端にある福甸町の古墳へ寄る。墳丘は田畑にされてしま
ってほとんど残っていないが、その所為で羨道や玄室が露わになっている。来住野(きす
みの)と呼ばれたこの辺りの有力者の墓らしいとのことだが、どんな人々が住んで、どん
な生活を営んでいたのだろうか。思わぬ闖入者に池の葦の中で休んでいた水鳥が慌てて池
の中央へ逃げていく。

 こんな道草をしても30分足らずで鴨池に戻ってくる。パン屑をやる親子、双眼鏡片手
の俄かバードウォッチャー。小生もその一人だけれど...。(笑) 再び女池のほとりに立
つが、残念ながら白鳥はやっぱり一羽だけであった。

 これで一応小野アルプスを西から東までクリアしたことになる。200mに満たない里
の山々だけれど、主なピークだけでも10程度あって、全部踏破すると結構な標高差にな
る。適当に西、中、東と分けて歩くのがいいようだ。ミツバツツジの頃、どこかに自転車
を置いてまた行ってみたい。そんな小野アルプスである。



【タイムチャート】
9:50自宅発
11:15〜11:20鴨池駐車場(駐車地)
11:47きすみの見晴しの森中央入口
11:51赤山分岐
11:55赤山(Ca100m)
12:00中央広場
12:20展望台
12:26〜13:06惣山(小野富士)(Ca200m(昼食))
13:16県道下来住平荘線出合
13:17岩倉峠
13:32〜13:34紅山(184m)(昼食)
13:50コル
13:59岩山(163.8m 四等三角点)
14:12〜14:13宮山(Ca140m)
14:21福甸峠
14:45鴨池駐車場(駐車地)



小野アルプスのデータ
【所在地】兵庫県小野市、加古川市
【標高】150〜200m(最高峰 惣山200m)
【備考】 小野市と加古川市の境界に横たわる里山の連なりです。
近年、自然公園として整備されました。東から白雲谷温
泉〜NTTピーク〜アザメ峠、アザメ峠〜岩倉峠、岩倉
峠〜福甸峠に三分されますが、ハイライトは何といって
も紅岩でしょう。また、惣山からは360度の展望が得
られ、瀬戸内海から淡路島、播磨、丹波から北摂の山々
が一望されます。最寄りはJR加古川線小野町駅です。
【参考】2.5万図『三木』、『社』



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