向山連山、呵呵大笑 |
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MIXIには友人の新着メッセージが表示されるという便利なシステムがあるけれど、 先週のある日、丹波のたぬきさんのメッセージが届いていた。曰く「向山のヒカゲツツジ ツアーを募集中とのこと。調べてみたら前回、向山にお邪魔したのは平成17年。久しぶ りに歩いてみようか。早速、応募のメッセージを送る。そして当日集合したのは8名。裏 作で少し淋しいですとの母タヌキさんのお話だったが、なんのなんの。ヒカゲツツジのト ンネルこそ無かったものの、そこかしこに満開の木があり、充分満足できる開花具合であ りました。 高速料金が割引で大幅に安くなって3回目の休日。タイミング的には最後の花見でもあ り、天候にも恵まれて混むだろうと7時10分前と少し早めに出たのだが、千里IC付近 の中央環状線は早くも大渋滞。不覚にもここまで予想はしていなかった。(^^; 急遽、伊 丹経由で宝塚ICに出、なんとかロスを取り戻して8:40、目的地の水分れ公園駐車場 に到着する。数台の車が駐車しており、丁度、福知山から参加された沢田さんがおられ、 初対面の挨拶をする。 準備し終わる頃にはタヌキさん夫妻も、谷口さんも集まって来、総勢8名、初対面の人 も多いので、自己紹介兼ねて挨拶した後、今日の出発点の鳳翔寺へ向かう。 鳳翔寺の前には道標も立てられている。猪除けの柵に設けられた扉を開けて進む。ヤブ ツバキ、杉などを残して他の雑木が伐採されて明るい。ほんの小さな沢に砂防の石積みの 工事まで為されているのでこの時に切られたのだろう。実はここは過去2回下山に使って いるのだが、初めて歩くような感覚だ。整備が進んで一変したこともあろうが、登ると降 りるでは受ける印象が全く違うことが大きい理由だろう。 のっけの急登はやがて山腹をつづら折れするようになって少し楽になる。ヤブツバキや ミツバツツジの赤や薄紫が鮮やかである。そして見覚えのある岩が現れる。『天狗岩』と 新しい標識があるが、古い標識にはいそ部神社の岩座とある。岩上に立つと石生の街や西 側に広がる山々が一望である。このルートにはこの後も天狗岩の他に亀岩、博打岩、イル カ岩など幾つかの岩が現れるが、つい最近名づけられたということだ。
山と続く尾根が眺められる場所だ。標高416mとあるが、調べてみると416m標高点 は実際はもう少し東のようである。 少し進んだところで、我々とは逆廻りで観音堂から朝早く出発した矢問さんが降りてき た。場所は領家の頭を過ぎた頃だっただろうか。お会いするのは数年ぶりだが全く以前の ままの様子。「クモの巣を払っておきました」とはうれしい言葉。何せメガネにクモの巣 が絡みつくほど面倒なものはないのだ。(^^; この付近から、ちょこちょこっとヒカゲツ ツジが顔を見せ始めるようになる。でも何度も登っている我々は、こんなものではないこ とを知っている。(笑) さて、一旦平坦になった道が南多田の明教寺への分岐を過ぎる頃になると再び急になる。 清水山の最後の登りである。きついが距離は短いのでしばらくの我慢。やがて、関西電力 の反射板が木々を通して認められるようになり、裸地になった山頂に着く。柏原方面の展 望が利く場所からは反射板が邪魔だが、東に三岳や鋸山、三尾山が眺められる。更にピラ ミダルな猿藪と高山、西光寺山が良く目立ち、清水山から南に長く延びる尾根の先には八 幡神社の三重塔が突き出ているのが分かる。
ところで道標は清水山の別名を剣璽山としている。歩いてきた途中にも剣璽山(416 mとされる山)があった。「剣璽」は三種の神器の剣と勾玉のこと。いそ部神社は名前( 山へんに石)が示す如く、もともと背後の山と岩座を祭神にしたというから、その山がど れに当たるのか少し混乱しているようである。 この先の向山連山は小さなアップダウンを繰り返し、最高峰の五の山(592m)を経 て、谷中分水界を囲むようにして三の山、二の山と低まり、最後は観音堂で姿を消す。こ れからそれを辿っていくことになるのだが、まずは一旦下って珪石山の横の珪石の露天掘 り跡。見上げれば、背の高い山桜から花びらが雪のようにハラハラで舞い落ちてくる。ま るでこれから本格的に現れるヒカゲツツジの露払いをしているようである。 この縦走路で一番気に入っているのは、珪石山から進んで譲葉山分岐を越えた所にある 蛙子峰や蛙子展望台付近の岩場とヒカゲツツジである。とりわけ珪石山からいそ部神社へ と下る尾根の中腹を彩る山桜とタムシバは、文字通り山笑う風情。点々と白いタムシバに ピンクの山桜。落葉樹の若緑とあいまってえもいわれぬ風情。露岩にはヒカゲツツジ。そ れもほんの少量の岩屑と腐葉土を土壌にして岩にへばりつく30cm足らずのヒカゲツツ ジが花をつけているのは、その生命力ともにいかにも健気だ。
夫婦はもう向山平で食事中との無線交信。この後はほとんど大きな起伏もなく向山平。こ こはいつも昼食を摂る場所だが、北の黒井城址が望めるところに腰を下ろして店を広げる。 食事をした向山平から向山の三角点は150m足らず。三角点横に3名のパーティが休 憩中であったが、おもむろに始めた五体倒地には、こいつ一寸おかしいんではないかとビ ックリされたことだろう。確かにまともとはいえないかも...。(笑) 今年は裏作ですよと母たぬきさんはおっしゃる通り、三角点峰から四の山にかけて、ヒ カゲツツジの花のトンネルとなる群生地は確かに花が少ない。しかし、尾根道には盛り沢 山の花を付けた木も多く、悲観するほどでもない。ことに午前中に通過した蛙子峰の岩場 やこの先、松の台展望台付近には素晴らしいものがあり、中にピンクの縞が混じったヒカ ゲツツジもある。ただ、晴天が続いたおかげで、日陰はそうでもないが、日当たりのいい 岩場では土壌が乾燥して花が萎れ加減なのが璧に瑕であろうか。
四の山(511m)からは劇下りだ。丹波の山は尾根や山頂直下にこういう劇下りが多い。 山のみならず膝も笑い始める。クロモジやミヤマシキミの花に目を留めながら、「この辺 りでヒカゲツツジの木も終わりです。」すかさずタヌキさんのガイドが入る。そしてこれ もすかさず、代役は私という風にミツバツツジが存在を示すように赤紫の花。地面はこぼ れ落ちたアセビの壷形の花で一杯である。 フィナーレ近く。岩座展望台で歩いてきた尾根筋を眺める。いつもながらこうして眺め るとよく歩いたものだと思うもの。そして平地を眺めれば駐車場は満車状態。水分かれ公園 のさくら祭りに繰り出した人々が多いのであろう。
谷中分水界との尾根と別れて、滝山古墳のある二の山。ここには大きなミツバツツジが あるのだがもう盛りを過ぎている。このミツバツツジとヒカゲツツジとの花期はなかなか 一致しないものらしい。 ヤブツバキの咲く広い尾根を下っていくと、こちらにも鹿よけのフェンス。扉を開ける ともう下に観音堂の甍が見えてすぐに観音堂登山口。立派な道標が備えられている。ここ も桜が満開で、うらうらとして時間があれば昼寝をしたい風情である。
駐車場に戻ると、会社の行事が終わった父タヌキさんから桜餅入りアンパンと飲み物の さし入れが待っていた。山を登った後は無性に甘いものが欲しくなるのだが、正にグッド タイミング。パクパク、ゴクゴクあっという間に平らげた。 清住のカタクリを見物するという皆さんとはここでお別れ。まだ3時前と早いので、一 般道経由で帰ることにする。本日、お世話戴いたタヌキさんご夫婦、ご一緒戴いた皆さん に感謝です。見上げれば、呵呵大笑する向山連山が我々を見下ろしていたのでした。 ■同行 あかげらさん、あまさきさん、GORYUさん、さわださん、谷口さん、母たぬきさん ふるもとさん、水谷さん(五十音順)
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