丸山湿地周辺を歩く


丸山湿原の案内図
平成21年 7月12日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独


 大体、前日に行き先も決めず、朝起きて天気がよけりゃどこかへ行くかというような場
合はえてして何処へもいけないものだ。この週末もそんな轍を踏んでしまった。予報に反
して日射しが窓から入ってくる。行き先は決まっていない。ムムム。だんだんクソ暑くな
ってきた。同じ暑いのなら、昼からでも前から少し気になっていた丸山湿原でも行ってみ
るか。

 朝昼兼用の食事をしたためて家を出る。といってももう12時半だ。以前、よくうろう
ろした宝塚北部の西谷地区。いつ以来だろうか?

 阪急田園バスの境野切畑口バス停横から西に入ると、あれ?数年前に歩いた保与谷池の
手前に立派な建物が建っているではないか。『県立宝塚西谷の森公園』とある。黒岩付近
には東屋まで望見される。建物の東側には遊歩道。シシ撃ちの鉄砲の音に脅かされたのと
は隔世の感である。

 さて、公園前を過ぎて左に折れると公園の第二駐車場。なんとクズが蔓を伸ばして占拠
してしまっている。駐車場を造ってみたけれど、利用者はそれほどでもなく...という
感じだろうか。この先、境野大池の先まで車は入れるのだが、駐車場の最奥はクズも蔓延
っていず、1台車も止まっていたので当方もここに駐車することにした。

境野大池の水面に映す点名『境野』

鮮やかな朱色が目立つヤブカンゾウ

 日差しは真夏。しかし5mくらいの風が吹いているので木陰に入れば存外涼しい。ぶら
ぶらと山際へ向かう。ヤブカンゾウの朱色が鮮やかである。と、右手に発泡スチロール製
の大きな竜の頭部が虚空を睨む。誰が作ったのか不可思議なオブジェ。点名『境野』の丸
い山容を青い水面に映す大池を左に見て、オカトラノオの白い花の穂を愛でつつ、暫く歩
くと林道終点。右に幾つも脇道がある。昔、大岩岳に登らんと初めてやって来た時、迷っ
た場所だ。直進して車止めのチェーンを跨ぐと左に丸山湿原を示す新しい道標が立ってい
る。更に進んだ緑のフェンス付近にテープが巻かれ大岩岳、丸山湿原は右とマジック書き
がある。ところが直進方向につい最近草を刈った跡がある。辿ってみると10mくらいで
途切れるが薄い踏み跡がありそうだ。でもクモの巣やマムシが出てきそうで思わず後ずさ
る小生である。(~~;;

 本来はここにオフィシャルの道標があるべきだろう。テープに従って右のフェンス沿い
に進む。あれえ、奇麗な道ではないか。昔の明快だが狭かったのとは大違いだ。チダケサ
シが咲く中を数分で丸山西分岐。大岩岳東コースとの分岐だ。ここには訪れる人をカウン
トする面白い仕掛けがあった。地面に積まれた小石を竹筒の中に人数分だけ放り込む寸法。
ここを管理している丸山湿原群保全の会が作ったらしいが、へんな機械でカウントするよ
り余程いいなあ。左に折れて橋を渡るとすぐにまた分岐。大岩岳西コースとの分かれであ
る。
大岩岳への登山コースを兼ねた遊歩道

 旧道が閉鎖されており、その旧道と並行に新設された右手の道を行く。下にずっと旧道
が見え隠れしているので、これなら別に新しい道をつけなくても旧道を利用すればいいの
にと思ってしまう。(笑) 

 木柵が出てきた。いよいよ丸山湿原の最初の湿原だが、イグサやカヤツリグサみたいな
イネ科の植物に覆われている。湿原というよりただの乾燥した荒地のような雰囲気だ。し
かもイシモチソウやモウセンゴケは小さな植物なので柵からでは遠すぎて、あるのかない
のか良く分からない。でもよくよく見るとカキランがある。花はもうおしまいで花柄が茶
色くなっていたが、これが唯一、湿原であることを物語る植物なのだった。

 東回りコースと西回りコースの分岐に出る。こちらがメインの湿原でどちらからでも回
れるのだが東から廻ってみる。所々に置かれたベンチ。湿原は柵から遠くて良く分からな
い。しかもこちらもかなり乾燥気味で、かえってアカマツ、コナラ、アベマキ、リョウブ、
ソヨゴ等からなる里山の雰囲気を色濃く残した周りの雑木林の方が見ごたえがあるのは少
し皮肉である。

リョウブの花

 やがて湿原と離れた道は関電巡視路との合流点に出る。道標がある。そのまま小川沿い
に下れば川下川ダムに出ることが出来るらしい。関電巡視路が周回路を兼ねていて、巡視
路特有の黒プラ階段を登っていくと裸地になって、高圧鉄塔(姫二火力線bP81)の下。
もっともハイキングの人は鉄塔を迂回せよと注意書きがあるが、誰も守っていないでしょ
う。(笑) リョウブの白い花の下の道はほとんど高低差がない。あっという間に十字路。
道標には第一湿原西分岐とある。折角なので、三角点教の信者としては一つ三角点探訪に
行かねばならない。この十字路を南に行けばあるはずだ。

 巡視路なのでいい道である。徐々に下り勾配のクネクネ道を細い流れを渡って暫く。北
摂特有の雑木林が途切れて高圧線下に出る。50mも歩くと右の低木に「P」と書かれた
テープがある。地形図を見ると、西宮市と宝塚市の境らしい。薄い踏み跡がありこれかと
暫く進むが、三角点は見当たらない。少し戻ってえぐれた道の土手の上に出てみたら案の
定見つかった。点名『丸山』。四等三角点だ。ピーク上でもないが、存外見晴らしは良く、
振り返れば、さっき下にいたbP81の鉄塔、眼前には六甲連山が見渡せる。とりわけ高
く見える東南の山は大峰山である。時折、線路の音がするのはJR福知山線だろう。

点名『丸山』(281.4m(四等三角点))

 三角点が見つかって満足、満足。十字路に戻って、右手に湿原が見えてくるとすぐに東
西回りコースの分岐だった。グルッと一周、散策には丁度いい距離。でも真夏はちょっと
遠慮したいところだ。(笑)

 車への帰途。もう梅雨明けと思わせる青空の下、陽がやや傾いて少しは凌ぎやすくなっ
た道々。小さな溜め池にはモリアオガエルの卵塊。稲の早苗がサァーッと一斉に頭を下げ
て風の道を示す。それに合わせたのかヒグラシが鳴いた。今年初めて聞く声だ。久しぶり
の北摂。ブラリ散歩でした。



【タイムチャート】
12:40自宅発
13:40〜13:45境野大池北の駐車場(駐車地)
11:57林道終点
14:03〜14:05丸山西分岐
14:17第一湿原北分岐(湿原東西周回コース分岐)
14:30第一湿原南分岐(川下川ダム分岐)
14:37〜14:38高圧鉄塔(姫二火力線bP81)
14:45第一湿原西分岐
14:53〜14:57点名『丸山』(281.4m(四等三角点))
15:04第一湿原西分岐
15:06第一湿原北分岐(湿原東西周回コース分岐)
15:30林道終点
15:50境野大池北の駐車場(駐車地)



丸山湿地のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】Ca250m
【備考】 宝塚市の北部西谷近郊の里山にある湿原で、周辺は大岩
ヶ岳などのハイキングコースがあり、以前に比べ道標も
整備が進み歩き良くなりました。湿原は地元の有志の皆
さんで保護されていますが、素人目には徐々に乾燥が進
んできているように思われ、このまま維持が難しいよう
に思われます。
【参考】2.5万図『武田尾』



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