大人の遠足、鯉が窪湿原


鯉ヶ窪池由来
平成21年 8月23日(日)
【天候】曇り時々晴れ
【同行】別掲


 先頃の山の会の年次総会(そんな大袈裟なものではないが(笑))で定例化の決定を見た
記念すべき第一回月例オフの行き先は、岡山と広島の県境、新見市哲西町の鯉が窪湿原。
なにぶんにも勉強不足でその名前さえ知らなかったのであるが、「西の尾瀬沼」の異名を
とる湿原なのだとか。確かに来てみれば、ツーリストの主催するバスツアーも訪れており、
知る人ぞ知る場所であったのでした。

 この鯉が窪湿原がある哲西町は最近、新見市に合併されたそうだが、鯉が窪湿原を町お
こしに使っているようで、到る所に湿原の町哲西町の看板がある。R182沿いの道の駅
『鯉が窪』で小休止。米粉で作った食パンを一斤、土産に買う。道の駅の前を川沿いにク
ネクネと1.5車線程の舗装路で低い山あいを抜ければ駐車場が見えてくる。10台程度
を収容できる駐車場があって、広島支部の研さんは既に到着していて、もう、くるっと下
見をしてきたそうだ。

 湿原入口の管理事務所で協力金200円也を払うと案内図をもらえる。それを案内に遊
歩道を辿るのだが、管理事務所の背後の湿原で早くもお目当てのオグラセンノウが見られ
る。ここ以外では九州の阿蘇でしかみられない貴重な花だとか。花弁が切れ込んでおり、
フシグロセンノウとエンビセンノウの中間タイプのような形状で、湿原の中では最も鮮や
かな赤を見せている。他にはサギソウ、ビッチュウフウロ、シモツケソウ等が見られるが、
湿原への踏み込みで荒れており、早晩、柵で規制しなければならなくなるだろう。

 ミニ湿原を後にすると、鯉が窪池の堰堤が見えてくる。池は元禄年間に築造された人工
池で、満水時には2.7haの広さがあるそうだ。何度かかさ上げされたその堰堤には、
予め調べてきたのだが、四等三角点『鯉が窪』がある。標石が完全に埋まって一寸見には
分かり難いが、灰皿のあるベンチが目印だ。(点の記に灰皿まで記載あり)

鯉が窪池には錦鯉が泳ぐ

 堰堤で風に吹かれて昼食。池には名前の如く沢山の錦鯉が群れていて、事務所で餌が買
える様だ。ここを起点に池の周りの遊歩道をぐるりと廻るとほぼ2時間。ハンカイソウ、
シラヒゲソウ、ヒツジグサ、サワギキョウなどが観察できる。ことにシラヒゲソウは初見
参。見れば見るほど不思議な形状をした花で、シラヒゲと名づけられたのもむべなるかな
と感じ入った次第。

 時間があったので次はオモツボ湿原へ。ここも鯉が窪湿原と同様に池の周りを遊歩道で
巡るようになっており、数々の湿原の花が見られるのだが、それよりもニホンスズランの
方が有名らしい。そのスズランの方は養生の季節と見えて、肥料の牛糞だか鶏糞だがの匂
いが周囲に充満していて、春のスズランの馥郁とした香りとは好対照なのだった。

 湿原からの帰途は、鯉が窪湿原からR182へ出る途中に立つ『矢田の石仏』にも寄る
ことをお勧めする。鎌倉時代の作といわれ、岡山県でも最も古い石仏の一つに数えられる
と説明板は語る。1.2mの高さの石に彫られた阿弥陀如来像は、やや摩滅してわかり難
いが、そのアルカイックスマイルが柔和でいい仏さんである。

 湿度が高く少し蒸し暑い日であったが、大人の遠足として満足の一日。以下にその時出
会った花々を上げておこう。



■同行: 北山さん、研さん、幸さん、たらちゃん、たるるさん、みずたにさん、
     もぐさん(五十音順)

【タイムチャート】
計測していません



鯉が窪湿原のデータ
【所在地】岡山県新見市哲西町
【標高】Ca550m
【備考】 中国山地の南に位置する高原の一角を流れる高梁川の小
支流が発する鯉が窪池の周囲に広がる湿原です。「西の
尾瀬」とも呼ばれる数ヘクタールに及ぶ湿地には、ビッ
チュウフウロ、シラヒゲソウ、オグラセンノウ、サギソ
ウ、リュウキンカなど、時々の湿原を彩る花が多数見ら
れます。最寄の道の駅「鯉が窪」の米粉パンも美味です。
【参考】2.5万図『備中矢田』




鯉が窪の花々

オグラセンノウ(ナデシコ科センノウ属)
エゾミソハギ(ミソハギ科ミソハギ属)
ビッチュウフウロ(フウロソウ科フウロソウ属)
シラヒゲソウ(ユキノシタ科ウメバチソウ属)
アギナシ(オモダカ科オモダカ属)
ヒツジグサ(スイレン科スイレン属)
サワギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)
サギソウ(ラン科ミズトンボ属)

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