粟生高原自然歩道〜静かな山歩道

箕面市粟生間谷の府道沿いの案内板。横は勝尾寺川
平成21年11月23日(月)
【天候】晴れ
【同行】単独


 高原とはいっても400m足らずしかない。そんな自然歩道が箕面にある。従来は勝尾
寺東尾根と呼ばれていた緩やかに起伏する里山の尾根だ。何となくテンションが上がらな
いここ最近。夜来の雨も朝方に上がったし、大気も久方ぶり暖かいし。ふらっと行ってみ
ようか。

 勝尾寺川に架かる西田橋を渡って左に折れると粟生高原自然歩道の案内板がある。この
府道を通る度に前々から気になっていたものだ。粟生高原なんて今まで寡聞にして聞いた
こともなかったし、この案内板も粟生自治会名のものなので極々私的なものと思っていた
が、箕面市の広報紙にも記載されたことがあるようだ。

 案内に従って府道茨木能勢線を横切って北に向かう。棚田の間を抜けるとすぐに山際。
左手に立つ南無阿弥陀仏と刻まれた石碑は、この先の浄土宗法蔵寺のものらしい。舗装路
は右に折れる。南側が広がり、大阪の都心や生駒の山並みも見渡せる。こじんまりした法
蔵寺の前で道はまた折れる。虫取り網を抱えたおじいさんと孫が降りてくる。

 左に大きなヤマモモの木と祠があったので寄ってみる。何を祀るのか知らないがその横
には不動明王の摩滅した石像があった。その斜め向かいが素盞鳴尊神社で石鳥居から石段
を登っていくと、砂利を敷いた境内に想像以上に立派な本殿と社務所がある。素盞鳴尊神
社は粟生の総鎮守らしく創建は平安時代末期にも遡るといい、昔は粟生天王社と呼ばれて
いたという。境内の石造りの清めの水盤は享保年間のもの。水盤の建屋を覆うように茂る
ヤマモモは大きな洞を持つ古木だ。境内をぐるりと巡ると、彩都造成で移動を余儀なくさ
れた『山ノ神』の石碑が2基、ひっそりと置かれていた。

立派な素盞鳴尊神社

 境内を出て先ほどの舗装路を更に辿ると、それはアンテナ施設を過ぎた所で尽き、よう
やく山道に変わる。取付きにはオートバイ禁止の注意書きと車止め、何本かの杖が常備さ
れている。
自然歩道の山道の始まり

 予想外に広い道である。両側は白褐色の幹をしたヤマモモ。それにしてもヤマモモの木
が多い。実は食べられるので救荒の意味も兼ねていたのだろうか?

 カシやシイの常緑樹が主体の林は少し暗く陰気だ。我輩にはやっぱり落葉樹がいい。ほ
とんど急な坂は無く、それでも何時の間にやらCa300mの小ピークにやってくる。枯れ
た松の幹が倒れてやや荒涼とした風景。自然石を荒く削ったような境界石標がポツンとあ
る。

自然歩道はこんな感じ

 小さな峠からはこのコースで唯一、東方向が見える場所がある。といってもほんの少し
の間のみで、その後はアベマキ、クヌギの明るい林で落ち葉で黄色い道となる。やがてCa
310mピークを巻く道。左手にクリーンセンターの白い煙突が見えてきたと思ったら、
勝尾寺の遠鐘が響いてくる。左手に木の枝の合間から勝尾寺の境内が覗く。三重塔や墓地
がよく見える。境内はカエデが多いので、そこだけが紅く染まっているみたいだ。

 道は一旦、ぐっと下がって登り返す。桧林の縁をかすったりしながら、376mピーク
の西側をかわす。かつてはササユリやシュンランも見られた山道という事だったが、盗掘
などで今はほとんど見られないという。残念な事だ。道はまもなく浅い枯れ沢みたいな場
所に出て、前方の景色が木々を透かして見えるようになったら、突然コンクリートの壁堤
の上に出た。その向こうは荒れた広場で東屋があるものの、今は半分資材置き場。変電所
の取付け道路がその外周を巻く。壁堤を辿っていくと、変電所の取付け道路で、茨木市泉
原への踏み跡は寸断されているが、向かい側には続きの階段が残されている。しかし箕面
の広報誌によれば粟生高原自然歩道はここまでらしい。変電所の取付け道路を西へ行けば
府道に出てバス停もあるが、一息入れて往路を戻ろう。

目の前に現れた東屋のある広場。資材置き場になっていた

広場のコンクリート壁の上から秋色の鉢伏山方面を望む

 広場の向こうの山並みには高圧鉄塔が立っているので鉢伏山方面であろう。雑木の斜面
はいい色に染まって秋を実感する。

 歩いていると車やバイクの音が谷底から上がってくる。そちらを覗くと府道を勝尾寺の
方から降りてくる車が数珠繋ぎだ。今日は箕面のドライブウェイは一方通行。おそらく勝
尾寺か箕面公園に紅葉狩りにやってきた車だろう。こちらはテクテクと徒歩だけに渋滞知
らずだなぁ。(笑)

 往路は単独小父さんとMTBの初心者みたいな兄ちゃんグループとすれ違ったけれど、
復路は皆無。目立つ看板が出ているのに、少々地味な自然歩道ではある。素盞鳴尊神社に
戻って、ヤマモモの近くでコンビニで買い求めたサンドイッチを頬張る。

 素盞鳴尊神社の標高が178m、途中のピークが376mだから標高差は200m。”
高原”とはちとおこがましいけれど、静かな歩きが楽しめる粟生の自然歩道である。



【タイムチャート】
12:40自宅発
13:15〜13:20善福寺参道脇(駐車地)
13:32〜13:37素盞鳴尊神社
13:58Ca300mピーク
14:18376m標高点ピーク横
14:21〜14:30東屋のある広場
14:51Ca300mピーク
15:04〜15:10素盞鳴尊神社
15:19善福寺参道脇(駐車地)



粟生高原自然歩道のデータ
【所在地】大阪府箕面市
【標高】Ca180m〜Ca400m
【備考】
箕面市粟生外院から茨木市泉原へ抜ける勝尾寺川沿いの
府道の東側の尾根筋にあり、従来は勝尾寺東尾根と呼ば
れていた尾根を辿る古道です。なだらかな里山を概ね南
北に辿り、尾根とはいえ、大半は植林や雑木林の中で展
望は思うに任せませんが、時折、箕面市街や勝尾寺境内
が顔を覗かせる箇所があります。
【参考】
2.5万図『広根』



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