高見山北尾根〜静寂の尾根を差杉峠へ

木津峠から眺める夕景の高見山
平成20年12月 7日(日)
【天候】快晴
【同行】別掲


 良く冷え込んだ週末は和歌山はじめ各地で初雪の便り。Hさんが高見山北尾根へ行きま
せんかとMLに募集を出す。先週の明神平の白い風景に感化されたようだ。高見山へは何
度か登っているけれど北尾根は未踏。地図を見ると三角点峰もあるし、古峠もあるしです
こぶる魅力的だ。本来、私は雪嫌いだけれど10センチ位までならいいとしよう。(笑)

 この企画に応じたのは3人。車も4人乗りでジャストサイズだ。まだ日の出前の6時半
出発し、集合時刻の8時、榛原付近でHさんの車と合流し、2台でR166を一路、高見
山に向けて走る。新木津トンネルを抜けると、山頂付近が白く輝く高見山の鋭鋒。これは
期待通り霧氷が楽しめそうだ。まずは平野の高見山登山口へ向かう県道を北上し、滝野の
集落を過ぎた辺りで東に入る林道に入る。これが差杉峠への林道で、少し進んで左に砂防
ダムが見える辺りの路肩に1台の車をデポ、次いで道を戻って出発点の大峠に急ぐ。

 大峠の登山口への道は林道然としているがもともと国道だったので全線舗装路。しかし
日陰の水が滲み出している崖には大きなツララが出来ており、路面が凍結している。そん
な箇所がニ、三あったが概ね路面は乾いていて想像したほどひどくはない。順調に大峠に
到着すると、先着の車が10台ほど止まっている。

大峠(高見峠)からの登り。この標高ではほとんど雪はない

 車外へ出るとブルッ。ザックにつけた温度計は−5℃を指している。これ以上ない青い
空、大気がキーンと引き締まっている感じがする。ただ風がほとんどないので陽だまりは
暖かく、木々にも地面にも雪はほとんどない。コンビニおにぎりを一個齧りながら準備を
終え、予定時刻より10分ばかり早めに高見山の南斜面に取り付く。小ぶりの鳥居をくぐ
って雑木林の中のジグザグ道だ。ほとんどが落葉樹の樹林帯。ウリハダカエデやリョウブ、
ヒメシャラなどの木々はみんなすっかり葉を落とし裸木である。株立ちの木が多いのが面
白い。その樹間を進み、椅子とテーブルの置かれたテラスのような場所に出ると南が大き
く広がる。国見山などの台高主稜の山々だ。8合目以上は白く化粧しているのは霧氷の花
が咲いているらしい。前方の高見山も茶色の斜面が8合目より上は真っ白である。

テーブルのある台地から山頂を望む
快晴の空の下、8合目以上は白い

 高度を上げるに従って雪の量が増えてくる。といっても降ったのは数センチ。それより
木々の枝先にびっしりとついている時ならぬ白い雪の花が美しい。急登に額が少し汗ばむ
が流石に汗だらだらというわけではない。時々立ち止まって白い淡い花を鑑賞する間に1
枚上着を脱いで調整する。
霧氷の山頂付近から北東方向の曽爾の山々
左から鎧岳、兜岳、屏風岩。中央右の鋭鋒は古光山

 やがて1時間足らずで山頂の高角神社の祠が見えてくる。山頂の方位盤や展望台には十
数人の先着の登山者が展望を楽しんでいる。明神平方面も霧氷のようでこちらと同様に登
山客が楽しんでいる事だろう。空気も澄んでいて大峰の大日山、大普賢岳などもはっきり
見え、西には音羽三山の向こうに金剛葛城も見渡せる。北は曽爾方面の山々が一望。更に
三峰山と贅沢な眺めである。何度も高見山にはやって来ているが、これだけの眺めは初登
行の秋晴れの時以来2度目である。

霧氷の花咲く高見山頂から金剛・葛城方面

 2時間くらいゆっくりしていたいところであるがまだまだ先は長い。早めに未踏の北尾
根に向かうことにする。神社の裾を廻って左に出、桃俣コースの踏み跡に一歩を踏み出す。
流石に北側は雪が少し多い。木々の霧氷が絶品だ。それを狙っているのか単独小父さん。
ザックを道に放り出してカメラに専念だ。
北尾根縦走路から山頂の高角神社

 桃俣コースへ入って直ぐの露岩のピークはいい展望台だ。とはいえその付近はゴツゴツ
して傾斜もきつく歩き難い。用意のアイゼンを装着する。しかし、露岩がむき出しの部分
も多く、雪ならぬ落ち葉の団子が出来たりなどしてかえって歩き難い。(笑) 傾斜が落ち
着いたところでアイゼンを外す。距離にして100mも歩いていないのではないか。

霧氷の花咲く北尾根を行く

 オニギリ形の小さな雑木ピークの手前。地形図の大ガレの印の場所に出る。想像以上に
東側は激しく崩壊して吸い込まれそうな錯覚におちいる。年々崩壊はひどくなっているそ
うだ。下部は土止め工事がされているが、風化したザレだから止めどなく、このまま崩壊
が続けばキレットのようになって歩けなくなるのではなかろうか。幸い雪が少なくなって
いていいようなものだが、山頂の北側程度の雪があると歩くのが少し怖いだろう。

 高見山から1時間足らず。アセビが多い台高主稜を進むと間もなく三峰山分岐で、ガイ
ドには「サイ面谷山」とされている場所だ。ほぼ等角度で三方向に稜線が出ている。三峰
山方面もヤブと聞いていたけれどこちらも案外歩きやすそうに見える。振り返れば高見山
が白いピラミッドのようだ。

 ここで台高主稜とはお別れすることになる。桃俣と大きく書かれた標識に従い、北東か
ら北に方向を変えて桧と雑木の境界を進む。この差杉峠への稜線には黄色いプラ杭が埋設
されていていい目印になる。御杖村と菟田野町の町村界尾根にあたるからであろう。雑木
も枝が切り払われている様子があって、ブッシュもなく思いの外、歩きやすい。右手には
トクマ山など台高主稜が屏風のように続いているのが手に取るようである。 

 次第に細る尾根を辿って前方に天狗山の高み。また登って下るのかと思いきや、踏み跡
は幸い天狗山の東側を巻くようだ。右に桃俣と書かれた標識も置かれているのでそのまま
天狗山の直下を巻いて通過して平坦な尾根に出る。しばらくルンルン気分で飛ばすが、ふ
と、待てよ。地形図では確か天狗山で黒石山方面と桃俣方面の分岐となるはずがそれらし
い地点はなかったし、地形図の点線路の誤りなのかもと思い直した時だ。Hちゃんが左を
指す。その方向に目を向ければ谷を挟んで向こう側に大きな岩が屹立しているではないか。
あれが大天狗岩じゃないか?ということは我々はもう桃俣道に入ってしまっている?天狗
山のトラバース道にあった「桃俣」がヒントだ。つまり天狗山はジャンクションピーク、
山頂が尾根の分岐なのだ。今から思えば道標が右にあったのは天狗山を巻くのは桃俣道だ
と教えていたのだ。手抜きは駄目の見本みたいであるなあ。(^^;

 引き返しのしかも登り返しは気分も少しがっくりきているからつらい。シャリバテもあ
いまって、少し顎を出しながら、天狗山の山頂が見える辺りで右(西)にトラバースし、
フカフカ落ち葉の尾根に出る。それにしてもちょくちょく地図を見ていたのと、途中に大
岩があるという予備知識でロスは最小限に抑えられて良かったことになる。

 尾根は南西方向に向きを変える。時間もいいのでCa870mの最初の大きなコルで昼食
とする。雑木林の落ち葉フカフカの柔らかい平面。前方に台形状の高見山。しかも風無し。
絶好のシチュエーションではないか。

ブナ林の向こうに大天狗岩

 食事は30分ほどの大休止で切り上げて、再び尾根を北へ。小さなアップダウンをこな
すと、大ブナの向こうに垂直の岩壁をもつピークが見えてくる。大天狗岩だ。その西側に
トラバースする道がある。そのトラバース道を2、3m進むと岩への登路を示すテープ。
それを過ごして進んでいくのだが道幅が狭いのと、落ち葉が重なっているのとで足元には
注意がいる。少し緊張しつつ岩を巻き、立ち木を掴みながら再び尾根上に体を持ち上げる
と、うって変わってこちら側はわりとなだらかである。辺りはブナやヒメシャラの疎林。
左手にますます台形状になった高見山がある。

ここから見ると意外にダルな高見山

 岩から10分足らずで行き着く地形図上の938mピークが小天狗山。別称、船峯山。
それを示すプレートなどはなく、ヒメシャラの目立つ狭い頂きである。南に今歩いてきた
大天狗岩の峰がゴツゴツとしている。木々が葉を落として明るい尾根が続く。

北尾根はこんな至福尾根

 この付近からだろうか。西側が皆伐された斜面が続く。展望が広がり音羽三山や金剛葛
城の山並みが広がる。前方には黒石山らしき盛り上がりが近づいてくる。眼下遙か下には
伐採木を運び出す作業道があり、谷沿いに目を移動させると遠くに集落がある。平野の集
落であろう。他には人家らしきものは何も見えない。

 気温が上がってきたのか日が当たるとポカポカする。鞍部で一休みして登り返す。ササ
が出てきたが整理されているようで元気がない。桧林と雑木等が混ざった斜面を50m程
度登る。その先に黒石山がある。

 黒石山には三等三角点と幾つかの私製プレートがぶら下がるが、目立つのは中央に置れ
たセメントブロックである。裏には「マッシュ白鳳」とある。囲炉裏の御住人とのことだ。
色が醒めたハウチワカエデの枯葉がうず高く積もっているので、もう少し前なら綺麗に紅
葉していたに違いない。

 ここまで来ると尾根歩きも残りおよそ1/5だろう。しかし少し等高線が複雑になる。
Ca900mの無名ピーク付近が注意どころ。左に入り易いが、ピークでよく周囲を見渡し
てみるとテープが見つかる。ほぼ直角に東に折れる。桧林を150m程行けばまた直角に
北に折れる。ここは北から登って来た時には南から東へ進みやすいところだ。ここをこな
せば割とらく。ガイドに高山(高岳)とあるピークは雑木と植林とほぼ同じ高さのピーク
が二つある。プレートがあるわけでもなく良く判らない。まあどちらでもいいけれど、雑
木山の方が格調があるかなあと云う程度。そしてこの雑木ピークでまた直角に折れる。

 ガイドにもあった鹿除けネットが右側に現れる。しかも針金で作った鹿除けだ。所々そ
れを支える針金が落ち葉の下に隠れているので、油断するとトラップされることになるの
で危ない。

 893m標高点は雑木のピークだ。分厚く降り積もった落ち葉の広場は清々しい。しし
ここからが劇下り。80mくらいを一気に峠に向かって下るのだ。立ち木に掴まりながら
足場のいいところを選りながら下っていく。そしてやや斜面が緩むと背丈くらいの高さの
クマザサの繁みが出てきた。踏み跡は明瞭だが、ササがかぶさってくるので前が見えず歩
き難い。それでもなんとか漕ぎながら前を見やると大きな杉の倒木の横に自然石の石塔が
見えてくる。クマザサ原にポッカリ小さな空き地。そんな感じの差杉峠(西杉峠)である。
古い道標には東側、桃俣三季館。西側、投石の滝とある。そうしてササの踏み跡を辿ると
役行者の祠を見つける。
差杉峠はササ峠

 ガイドには伊勢街道から鷲家から西吉野方面に抜ける大峰への近道だったのではとあっ
たけれども、さもありなんと思わせる行者の像だ。しかし誰も使わなくなった今日では、
杉が倒れササに覆われ、さびれ、うらぶれた感じが否めない。

ササに埋もれた祠には役行者

 さて、一服したあとは車に戻るのみ。峠から桃俣方面へはポッカリとトンネルみたいな
空間がくだっているが、滝野方面はクマザサに覆われている。しかし足元の踏み跡はしっ
かりしており、10mも泳ぐように進めば浅い谷の左側、植林の縁を縫う踏み跡となり、
次第にしっかりとした道となる。やがて鬱蒼とした桧林の下となる。日が西に傾いた所為
だけではない夕方のような薄暗さは、単独行なら少し気持ち悪いほどだ。そんな時、崩れ
た石の祠にお地蔵さんを発見する。上手く両側の石壁が崩れ合唱した形になり、間の空間
に石地蔵が収まっている感じである。光背を見ると明治三×年とあったから、日清戦争時
代頃のものらしい。その頃はよく歩かれていた道なのだろう。そうこうする内に谷筋に水
が流れ始める。道が崩壊した箇所もあるが、2、3度その流れを渡っていくと、踏み跡は
半間幅間で広がって、峠から30分ほどであろうか林道に飛び出した。ここから登る際に
は少し分かりにくいかもしれない。左の木に虎テープ、沈下道のコンクリートが現れたら
合流する右の谷を見ると、目立たない小さな道標が見つかるはずである。

 ここからはズンズン下るだけ。谷川は徐々に音を大きくして行き、車の回転場みたいな
広場を経て、意外に早く10分も歩けば車をデポした場所であった。

投石の滝。左の石棚に不動明王像が

 大峠に戻る前に投石の滝(なげしのたき)見物に滝野の白馬寺に寄っていく。滝野はこ
の滝があるからつけられたのだろう。僅か10軒足らずの集落だが、菟田野への道もあっ
て昔から交通の要衝だったのだろう。が、樹齢700年の大ケヤキも数年前に枯れて伐採
されてしまったそうだ。滝はその寺から谷を100m遡った所にあって、千年杉の右のな
かなか優美な滝だ。高さはほぼ15m。水量も豊富で滝壺の横の窪みに小さな不動明王の
石像が立つ。白馬寺は不動明王の寺、神仏混交の時代には滝がご神体だったのであろう。

 戻った大峠にはまだ数台の車。山頂を立ち去りがたい人達が多いと見受けられる。我々
も同じようなもので木津峠に立ち寄って山頂辺りが白い天を突く高見山をカメラに納めて
帰阪。千里中央で打ち上げ会と称する飲み会をして散会だった。企画を挙げてくれたHち
ゃんに感謝、運転してくれたMさんに感謝です。



■同行 あかげらさん、ハム太郎さん、水谷さん

【タイムチャート】
6:00千里中央駅(集合地)
9:05〜9:15大峠
9:35〜9:40テーブル広場
10:10〜10:15高見山(1,248.3m(二等三角点))
11:07〜11:10三峰山分岐
11:25〜11:35天狗山(993m)(※引き返す)
11:45〜12:10天狗山・大天狗岩間のコル(昼食)
12:18大天狗岩
12:31〜12:33小天狗山(船峯山)(938m)
12:41伐採地
12:50〜12:53黒石山・小天狗山のコル
13:10〜13:16黒石山(915.4m(三等三角点))
13:25Ca900mピーク
13:35高岳(Ca920m)
13:45893mピーク
13;53〜13:56差杉峠
14:20林道終端
14:30林道の車デポ地(道標あり)



高見山のデータ
【所在地】奈良県吉野郡東吉野村
【標高】1248.3m(二等三角点)
【備考】
奈良県と三重県の県境、台高山脈の主峰で、R166の
木津峠からの姿は、近畿のマッターホルンの名に恥じな
い秀麗さです。隣の三峰山(みうねやま)と共に霧氷で
有名。その季節には近鉄榛原駅から奈良交通の霧氷バス
が出ます。
■日本三百名山■近畿百名山■関西百名山
黒石山のデータ
【所在地】奈良県吉野郡東吉野村、御杖村
【標高】915.4m(三等三角点)
【備考】 高見山の北尾根上に一峰で、山頂はササと雑木と植林に
囲まれた小さな広場で、展望もあまりよくなく地味な山
です。北の差杉峠からが登り易く約30分で山頂ですが
コンパス、地形図は必携です。
【参考】2.5万図『高見山』



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