志方城山〜白鳥ついでに展望の山へ

志方町野尻付近からの城山。手前は山陽道
平成20年 2月 2日(土)
【天候】曇り
【同行】単独


 毎度毎度の事ながら寒いのは苦手。出かけてしまえば出かけてよかったと思うのだけれ
ど、そこに至るまでの敷居が高い。(^^; 大体、前日に行き先を決めて準備していなけれ
ば、当日は得てして行きそびれるもの。今回もそんな感じ。そんな時、以前出かけた小野
アルプスの近くの池に白鳥がやってきている話を聞き込んだ。元々、バードウォッチャー
でもないので、それだけで単独で車を走らせる動機にはならないのだけれど、地形図を眺
めていると近くの志方に一等三角点の山があるではないか。うむ。これと絡めて出かけて
みようか。(^_<)

 ゆっくり9時の出発。コンビニに寄っても10時半には現地着。ゆったりだなあ。でも
高速道の割引が利かないのが璧に瑕だが...。

 山陽道の加古川北ICは高御位山や加西アルプスの善防山への最寄のIC。県道を南に
向かい、志方東小学校の交差点で東に折れる。志方の集落を抜ける道は近畿自然歩道に指
定されており道標がある。城山登山口の標識を見て狭い道を50mも進めば麓の駐車場だ。

 無料の駐車場があるとは有難い。その前は小さな祠が祀られた神社だ。石燈籠は文化年
間のものと結構古いのだが何を祀った社か分からない。戎さんか大黒さんの楽焼みたいな
のが転がっているのと関係があるのかしら?

城山への道。しばらくは簡易舗装の林道を行く

 養鶏場らしき建物の前、T字路を右にとる。簡易舗装路がゆるゆると登っている。すぐ
に現れる小さな広場はパラグライダーの広場だ。ここから飛ぶのかここへ降りてくるのか
はたまた実際に使われているのかさえ、門外漢にはとんと分からない。

 うっすら程度の影さえ作れないほど弱々しい日の光の中、10分も行くと道標があり、
左手が旧登山道とある。傍らに大きな岩が仁王立ちしている。これが毘沙門岩と呼ばれる
岩だろう。岩の真ん中辺りが彫り込まれ、右手に剣を持した毘沙門天の石像が見える。花
やシキミが供えられているので、今でも地元で大切にされているのであろう。

毘沙門岩。この右手に旧登山道がある

毘沙門天像

 勿論ここは山道らしい旧参道をとることにする。トラロープが用意してあるが持つほど
の事はない。毘沙門岩の上に出てそのまま道はジグザグに登っていく。よく手入れされ、
幅も50cm位はあって非常に歩きやすい。だからいつの間にか高度を稼いでいて、気がつ
けば集落の家並みも小さくなっている。右手に覗く、山頂付近に岩がせり出した特徴ある
山は高御位山。南に見える山頂に反射板のあるもっこりした山は平荘湖北の飯盛山だろう。

 小さな広場に出る。すぐ先に見える石段の道はさっき分かれた本道であろう。広場の先
端に行くと展望台みたいに見晴らしが良い。それもそのはず、ここもパラグライダーの広
場なのだったのだが、本来は中道子山城の二の丸跡なのである。本道と合流して少し進む
と関西電力の反射板があり、ジモティーの小父さんが雑草刈りをされている。挨拶して擬
木の階段を進めば櫓門跡、大手門跡があって、窪んだ地形は米蔵跡。そこから山頂の想像
するより大きな広場に出る。これが本丸跡で中央に地形図にも記されている『赤松城址』
と刻まれた大きな石碑。その前に一等三角点の大きな標石がある。

志方城山の広い山頂と一等三角点

 加古川教育委員会の説明によれば、中道子山城は室町時代の大名赤松円心の四男氏範が
造った城という。最後は秀吉の三木攻めで落城したというが、規模は丹波の黒井城跡より
広いのではなかろうか?建物の礎石もしっかり残っている。今も地元の方々が数人来られ
て整備の真っ最中。そのお蔭で流石、一等三角点の山。展望がすこぶる良い。端に立って
北西方向を眺めていたら、地元の小父さんがやってきて、色々教えてくれる。北西の高い
山が笠形山で、その北に延びる雪を被る山が千ヶ峰。更に笠形山の奥の雪原は砥峰高原方
面らしい。北には西光寺山や白髪岳が見え、小野アルプスに山陽道、権現池PAが指呼だ。
東には六甲や丹生山系がうずくまり、雄岡山、雌岡山が古墳のようで、その手前、加古川
がうねうねと瀬戸内海へ流れ込む。南は淡路島や明石海峡大橋、高砂、加古川市街の発電
所や製鉄所が煙を吐き、瀬戸内海にポコンと浮かぶのは上島だ。ただ西側に三の丸跡があ
って雑木で見えづらい。この辺りは全部、みんなで整備しましたと小父さん。先だっても
城跡を研究している会の面々がやってきて、雑木を伐採してくれたので遺構が良くわかる
と好評だったそうだ。確かに土塁が盛り上がっているのが良く分かるのだが、でも私に言
わせれば、あんまり整備しすぎなのもねえというのが本音なのだが...。(^^;

城山山頂から北東方向を眺める

 しかし、小父さん、大柿さんを知っていらっしゃる。加西市の普光寺の鎌倉山もご存知
だったから、結構あちこち山歩きをされているらしい。山の整備が楽しいと笑っておられ
た。

 さて、こんな景色を眺めながらベンチで昼食。暖かいものをと今日は冷凍の野菜煮込み
うどん。溶けたらヤバイとコンビニ袋でザックの外に吊ったのは正解。やっぱり少し滲み
出していた。危ない危ない。

 食後のコーヒーを飲んで、今度は双眼鏡で景色を眺める。チカッっと光が反射したよう
な...。紅岩付近に誰かがいるようだ。

 腹が膨れたら少し山頂をうろうろしてみよう。トイレ横から西側に出てみると井戸の遺
構がある。まだ水を湛えているとのことだが、落下防止に金網が張ってあって内側を覗く
ことは出来ない。そこから南へ出ると三の丸跡。巡るように四国八十八箇所の石仏がズラ
リと並べてある。グルッと一巡りすると最後に大峰参拝記念らしいユーモラスな役行者。
続いて弘法大師の石像、子供を抱いた子安大師の石仏。更に金毘羅神社まで。これは加古
川の水運の安全祈願だろうか。何でもあり、まさに神仏のテーマパーク。まことに賑やか
である。
なんともユーモラスな役行者

 下りは本道を降りる。擬木の階段が続き林道終点の広場には地元の小父さん達の軽四輪。
山頂から1km。20分ほどで旧登山道の分岐へ戻る。すれ違ったご夫婦は双眼鏡をぶら下
げ、バードウォッチング目的のようだ。そういえば往路でメジロを見かけたからこの界隈、
野鳥が多いのかも知れない。ぶらぶら下ると、駐車場はすぐそこである。

 それでは白鳥を見物に鴨池へ移動しよう。鴨池は男池(おいけ)女池(めいけ)の俗称
らしく、地形図にその名は無い。ここには小野アルプス縦走以来だから何年ぶりになるか
しらん?HPを調べると03年1月だから5年ぶりか。まことに歳月は矢の如し。

 県道を山陽道方面に少し戻り、志方東公園へ分岐する県道へ右折すると、後は自然に鴨
池へ出る。途中、山陽道を潜った辺りで、城山が眺められるポイントがあったので、デジ
カメに収めておく。(冒頭の画像)

 福甸(ふくでん)の集落に入ると、バードウォッチャーや見物人の為の臨時駐車場が設
けられている。先着の幾台かの車が駐められ、三脚を担いだ小父さんも、小さな子を連れ
た家族連れもいる。まずはゴルフ場を目の前にする男池へ。ボート小屋もこの季節は閉鎖
中。そのボート乗り場付近は水面近くまで降りることが出来、鴨が沢山群れている。そろ
そろ近づいても恐れる風もなく、岸に上がって翼に顔を埋めているものもいる。但し、あ
る一定の許容距離はあるようで、それ以上に近づくとやはり逃げる。何だか落語の「鷺と
り」を思い出す。フフフ。でもオナガガモ、マガモ、キンクロハジロなどがいるらしいが
鳥音痴の小生、どれがどれだか。野鳥図鑑を持って来るべきだった。(^^;

男池のオナガガモの雄と雌

 続いて道を隔てた女池へ向かう。目当ての白鳥はこちらにいて、池の中央を遊弋してい
る。数えてみると23羽だ。掲示板には白鳥の種類はコハクチョウであること、くすんだ
灰色をしたのはヒナであること、シベリアから飛来し3月には戻っていくこと、ここが白
鳥飛来の南限であること、故意に近づくと驚いて飛来しなくなるので脅かさないでなどと
列挙されている。また、観察地点も数箇所に限定されているらしい。民家の庭先や耕作地
へ無断で入り込む輩が多発したのであろう。それにしても、見物人が放置していくのであ
ろう、食べ物の包装紙が散乱しているのはいただけない。こんなことだから、制限されて
しまうのだ。
小野アルプスをバックに女池で泳ぐコハクチョウの群れ

 コハクチョウはそんなことを知ってか知らずか、鴨とともに悠々と泳いでいる。案外、
可愛い声で啼くものだ。土手ではデジスコ、一眼レフのマニアが寒空にシャッターチャン
スを待っている。とても私には真似できない。ご苦労さんです。

 妙に腹が減ってきたなあ。やっぱりうどんだけじゃねえ...。車に戻ってアンパンを
頬張ろう。まったり土曜日の昼下がりである。


【タイムチャート】
9:00自宅発
10:25〜10:30志方城山公園駐車場(駐車地)
10:43〜10:45毘沙門岩(旧登山道分岐)
10:58〜11:00パラグライダー広場
11:07〜12:25志方城山(271.3m 一等三角点)
12:45毘沙門岩(旧登山道分岐)
12:54志方城山公園駐車場(駐車地)



志方城山(中道子山)のデータ
【所在地】兵庫県加古川市
【標高】271.3m(一等三角点)
【備考】 加古川市の北に位置し、山頂は平坦で、かつて赤松円心
の四男、氏範によって築かれた中道子山城がありました。
地元の方々の整備のお蔭で、流石、一等三角点が置かれ
たのに相応しい大展望が得られ、瀬戸内海から西播の山
々までを一望に収める事ができます。
【参考】
2.5万図『笠原』『加古川』



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