貴公子花紀行〜ポンポン山に花詣
 
今年も逢いました満開のフクジュソウ
平成20年 3月16日(日)
【天候】晴れ
【同行】別掲


 例年に無く雪が降った2月。それが尾を引いて3月も初旬は冷え込んだが、それがここ
一週間で一気に春めいてきた。自宅の植木類も芽が蠢き始めて、こうなると何となくソワ
ソワするのは何故だろう。そして例年出かけるポンポン山。今年の福ちゃんの出来は如何
だろうか?

 北大阪急行の駅まで朝日に向かって早朝の街中を歩く。一気に春めいてきたせいか、芳
香が漂う先に視線を向けると紫のジンチョウゲ。公園のモクレンも花芽をかなり膨らませ
ている。

 少し早く集合駅に着いて、コンビニで弁当とお茶を買い、店の外に出るともう、Mさん
の車が到着している。鳥取に向かう観光バスも停車していて、今日はどこの行楽地も混む
だろう。万博公園も梅まつりの最終日。おまけに入場無料でラジオの公開録音ときては混
む要素が三拍子。案の定、周回道路への流出経路は早くも渋滞が始まっている。それを尻
目に中央環状線を抜け、神峰山寺口の府道を北上して、樫田トンネルの手前で東へ折れて
大原野森林公園前へ出る。千里から約1時間の行程である。

 9時。おや?珍しく先行車がない。皆さん少し出足が遅いのでしょうか?公園の森の案
内所にも監視員の人の車だけ。ついでに寒暖計の目盛を確認。気温は8℃。

 案内所の建物の南側に降りて西尾根コースを採って出灰川に架かる橋を渡る。街中も春
めい感じであったけれど、山も今しも笑い出す寸前というか、木々の枝先がやや赤く煙っ
ているように感じられる。黄緑色の若葉でこんもり盛り上がってくるのも間近であろう。

 左の川を渡渉して背の高い笹原を突っ切ると竈ヶ谷の下流部である。ここかrアプロー
チするのは初めて。最初は杉の植林部も次第に雑木の谷筋になり、小道は谷川の右岸左岸
と所を移しながら上流部へ延びて行く。いつもより水流が多いようで、何度目かの渡渉で
バシャリンコと山靴を水の中に落してしまった。(^^;

渡渉を繰り返し竈ヶ谷を遡る

 好き勝手に枝を伸ばしているのはイボタノキだそうだ。キツネノカミソリが美味そうな
新芽を若草色に伸ばし始めている。これだけあれば夏は岸辺が黄色く染まるに違いない。
でもこれは毒草で同じ新芽でもカンゾウのようには行かないので念の為。

 30分くらい遡行しただろうか。岸辺の湿った土に黄色い絨毯が目立ちはじめた。これ
がヤマシロネコノメソウで、コガネネコノメソウの亜種なのだそうだ。ネコノメソウは花
も小さく目立たないものが多いが、これはなかなか鮮やかな黄色で、花もネコノメソウ属
の中でも大きい方ではなかろうか。暑いからかもう半袖姿のカメラ小僧さんが、接写に余
念がない。三脚も持参の方だったから本格的だ。某囲炉裏村の方かな?

ヤマシロネコノメソウ

 ネコノメソウのお花畑から200mも進んだろうか。見覚えある地点に出た。竈ヶ谷の
流れが二手に分かれ、炭焼窯でもあった場所なのか窪んだ箇所のある所だ。右手の杉林の
中の急登を登るとヤブツバキの林に出て、その上がフクジュソウの保護斜面である。

 急登ですれ違った小父さんは花はあるけれど、日が射さないので萎んだままだとやや残
念そうに降りていったが、来て見れば満開ではないか。少し前に日が射しはじめたけれど、
その僅かな時間にサッと花弁を拡げたらしい。何度か花時に訪れているけれど、これだけ
咲きそろったのを見たのは初めてである。そして見物人は我々以外に誰もいない。鑑賞通
路が狭いので混んでいれば長々と写真でも撮っていると顰蹙ものなのだが、今のところは
大丈夫だ。(^^;
フクジュソウ

陽を一杯に受けてフクジュソウ

 大きい花は差し渡し5cmもあるだろうか。キンポウゲ科特有の照りのある花弁が黄金色
に輝いている。数百の花々の競演はまことに圧巻である。保護される方の丹精が偲ばれる
一瞬である。そんなこんなでパシャパシャやっている内に、いつの間にかハイカーが増え
て、ぞろぞろと初老の団体さんがやってきたのをしおに、こちらは西尾根コースへ登り、
ポンポン山へと向かう。

 西尾根コースでは多くのハイカーとすれ違う。皆異口同音に「どうですか?」。こちら
も口癖のように「満開ですよ、でも人も満開です」(笑)

 『リョウブの丘』で小憩した後、徐々に斜度を増した登山路横の満開のマンサクを見て、
右から上がってくる出灰からのコースと合わせればポンポン山の山頂はもうそこである。
春霞か黄砂か視界は延びないが、伐採されて昔に比べて広々とした頂は気持ちいい。北東
方向の簡易ベンチに腰掛けてランチタイム。山頂に着いた当座から人が多かったが、食べ
終わる頃にはますます人が増えてきた。ざっと数えても50人は下るまい。人口密度で換
算したらまるでミニ金剛山状態だねえ。というわけで、食後のデザートの自家製の甘夏み
かんを食べたら場所を譲ろう。

 善峰寺や釈迦岳方面へ向かう東海自然歩道は軽四輪も通れるほどの、林道といってもお
かしくない広い道。えぐれた部分は水が滲みだして少しぬかるんでいる。釈迦岳の分岐を
過ぎた頃から左手を少し注意。木々の間に隙間がある時は、尾根が北へ伸びているのが分
かる。勿論、東尾根コースなんて道標は出ていないが関電の巡視路をかねているので、整
備された落ち葉道で、火の用心マークが目印になる。

 ここは昨秋、大原野森林公園から上がってきた道だが今回は逆コース。人も少なく静か
な道だ。それでも2組くらいのハイカーに出会う。トイレに外壁につけられた道標で誘わ
れる人が増えたに違いない。

 幾つかの鉄塔の下を過ぎて、『イヌブナの広場』。もう森林公園の区域内だ。ゴルフ場
になりかけたものを京都市が買い取った100haの公園の最南端である。縁台が設えら
れているので、ここでコーヒブレーク。コゲラだろうか、ドラミングの音。静かだ。

 『イヌブナの広場』から北へ。すると、
「うわっ?」
東尾根が赤松と他の数種類かの雑木を残して全て伐採されている。そういえば四ヶ月前に
東尾根から登った時、作業員の小父さんたちがチェーンソーを使っていたが、それがこれ
だったのか...。アカマツの森を昔ながらの方法で整備するのだと説明板はいう。お蔭
で景色も良く明るくなったのだが、私的に言わせて貰えばちょっとやり過ぎだあ!

東尾根はアカマツを除いて伐採されている

 ハゲチョロケの尾根筋を辿り、『野山の丘』から一気に擬木階段を降りる。出灰川のせ
せらぐ音が次第に高まってくる。同時に子供の歓声も聞こえてきて、案内所の屋根はもう
目前である。

 寒い寒いと云っていても巡ってきた春。気がつけば桜もツツジももうすぐに盛りを迎え
る。これから花詣でも忙しくなる。(^^; そうそう、ツクシ摘みの季節もあっという間だ
なあ...。早くも冷房が必要になった車内でつらつら思いながら花の山を後にした。



■同行 あかげらさん、みずさん

【タイムチャート】
8:00千里中央ローソン前
8:55〜9:00大原野森林公園前(駐車地)
9:40〜9:50ヤマシロネコノメソウ群生地
10:10〜10:30フクジュソウ保護地
10:40〜10:50リョウブの森
11:05〜11:35ポンポン山(678.8m 二等三角点)
11:48東尾根分岐
12:20〜12:35イヌブナの森
13:05野山の丘
13:07〜13:12森の案内所
13:15大原野森林公園前(駐車地)



ポンポン山のデータ
【所在地】大阪府高槻市・京都府京都市
【標高】678.8m(二等三角点)
【備考】
大阪府と京都府の境にあって、本来は加茂勢山と呼ばれた
ようですが京都西山の最高峰でもあり、ユニークな名前と
あいまってハイキングの人気の山です。善峰寺等の東海自
然歩道コース、出灰コース、神峰山寺コースなど多くのコ
ースがありますが、近年、北側の大原野森林公園からのコ
ースに人気が集まっています。
【参考】
2.5万図『京都西南部』


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