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広島遠征2日目。所はととろ山荘。6時過ぎにゴソゴソと起きだしたら、予報に反して どんよりとした空模様。時間が経過しても一向に明るさを増してこない。どうも前線がま た北上してきたらしく、いやーな予感。大丈夫だろうか。一瞬、不安が胸奥をよぎるが、 大体今までわざわざ広島へ来て、歩いている最中には雨は大して降ったことがないという 逆ジンクスをここは信じるしかない。(^^; ととろさん手ずからの味噌汁を戴いて、8時半頃だったか、またの再会を約して『とと ろ山荘』を後にする。吉和から三次へ。中国道を約1時間。あら?東へ行く程に雲の切れ 間が現れて明るくなって来たではないかいな。江の川を渡って国道58号を北に進むと高 曇り。車の下に影も少し出来てこれは逆に最高の山日和ではないか。大加茂さんの携帯で は瀬戸内方面は雨らしいが、これなら大丈夫だろう。(^^; 県境を越えて島根県。頓原から県道に入ると台形状の大きな山が前面に現れてきた。こ れが目指す大万木山らしい。付近一帯は島根県の県民の森。ブナをはじめとする自然林の 素晴らしい山だという。期待が膨らむなあ。 奥畑の集落を過ぎるとすぐに案内板のある別れ道が現れる。片方は門坂、もう一方は位 出谷の登山口へ繋がる道だ。先を行く大加茂さんは左に折れて門坂へ行くようだ。後を追 うと傾斜のきつくなった林道はものの200m程で突き当たりの駐車場に出る。もっとく ねくねと登るのかと思いきや、何だかあっけない感じだ。実は分岐の地点でもう標高60 0mもあるのだ。駐車場は10台も収容すれば満車になるくらいのこじんまりしたものだ が、運良く我々2台分のスペースが空いていた。 大万木山は島根県側からは渓谷コース、権現コース、滝見コースの主要3コースがある が、今日は滝見コース→大万木山→渓谷コース→横手コースで周回の予定。準備をしてい る間にあれ?ポツポツッときたがそれっきり。見上げれば雲は白っぽい灰色。何とか持ち こたえてくれそうである。 「うんこらしょ」 大加茂さんはHクンを背負子に担ぎ上げたが、体重15kg+背負子2kg、もうそろそろ限 界だろうなあ。親として嬉しいやら辛いやらの心境であろう。
『熊、マムシ注意』のっけからちょっと脅かすではないの。渓谷沿いの道だしなあ。し かも周囲は全くの自然林。現れてもおかしくはないねえ。でも、大勢だから熊はいいけど 長いものはねえ。などととりとめもないことを考えつつ出発。 左は水音が高く響く谷である。すぐに横手コースの分岐がある。道標には位出谷へは1 .3km、山頂へは3.1kmとある。下りはこの横手コースで戻ってくる予定だ。遊歩道は 急な斜面には丸太階段が設置してある。
見コースは権現滝が見られるので命名されたようだが、滝音もあまり響いてこないところ をみると、それほど大きな滝とは思えず、あえて遊歩道を下って見に行くほども....。と いうことでこれはパス。登山道から覗けるかと期待したけれど、木立に阻まれ姿を拝むこ とはならなかった。 谷に沿って進み、避難小屋が見えたら山頂までの1/4来たことになる。小屋の中を覗 くと、囲炉裏があって、洒落ではないが隅に炭が積まれている。清潔な小屋でシュラフが あれば十分宿泊する事が出来そう。 曲がり角に人の身長くらいの高さの岩がある。『一服岩』というらしい。坐ることはで きないが、上部が平らなので昼寝には良さそうではある。(笑) ここで行程は約1/3。 その一服岩の角を曲がって何だか開けた場所が上にあるので上がってみたら、これがなん と林道である。ガイドには悪名高い林道と書いてあるのだそうだ。完全舗装の2車線路、 予算がつかなくてここで工事は中断されている由。登山道はここで寸断され、暫くはこの 林道を歩かねばならない。200mばかり進んで右にある道標に従って再び山の中に入る。 ゆっくりとしたジグザグ道はやがて「等検境」と呼ばれる面白い名前の峰と毛無山との縦 走路と変則でぶち当たる。
少しばかり一本とって明るい自然林を辿る。毛無山への道を採ってもまた合わさるよう なので、忠実に大万木山のコースをとる。本当に静かだ。ミソサザイのさえずり他、ツツ ドリ、カッコウの声が遠く近くでするばかりだ。
いる他、ベンチも置かれた場所からは北東方面を望むことが出来る。大山は見えぬかと背 伸びしたら、代わりに海みたいな薄く平たいものが見える。宍道湖ではないかということ だ。秋、視界が伸びる時等は隠岐まで見えるそうだ。そしてベンチから離れて木々の間か ら西方面を望むと、特徴ある青い山並みが波打っている。これは三瓶山らしい。宍道湖と いい三瓶山といい、思えば遠くへ来たもんだ。
祠の横から再び傾斜を増した道は丸木の階段だがそれは短く、くねくね羊腸の道は尾根 に出てやがてブナの目立つ林となる。ようやく大万木山らしい山影が左手前方方向に姿を 現す。この辺りだったろうか。数人の登山者グループとすれ違った。後から考えれば、こ のグループが今回出会った唯一の人達なのだった。(^^; ガイドにある水場(実は小さな水の流れ)を右に見ると、タニウツギやコアジサイ、ヤ ブデマリなどの混生する中の登りになる。左に傾ぐように曲ればこの付近からはサンカヨ ウの群生地であるはずなのだがと目を凝らせると、ある、ある。特徴のある掌状の葉。勿 論花なぞはもうないが、青黒い実をつけているものがある。そして豊かな自然林だ。
まもなく、大きなブナの向こうにひっそりと静まる避難小屋が目に入る。登山口からゆ っくり2時間強。ここまで来れば山頂の平坦地だ。丈の低い木々の間を南に150m。草 原になった山頂に到達する。
け車があったのに、もうみんな降りてしまったのだろうか。最も短時間で登降出来る権現 コースを利用する人が多いのかもしれない。それにしてもまだ1時過ぎなんだがなあ。ガ イドにもある山頂の一抱えもある大ブナの下にテーブルとベンチがあるのでここで食事。 よっこらせとザックを下ろす。 気温は15℃。半袖でじっとしていると流石に寒くなってくる。もうカップラーメンを 食べるのには暑いかなと思ったら丁度良いくらいだ。食後のレギュラーコーヒーで暖?を とって、記念撮影の後は下山するのみ。 権現コースはベンチの近くから北西の方向へ直降しているらしく、前述の如く短時間で 登降できる道みたいだが、傾斜がきついのでHクンを背負っては厳しい。少し時間が押し ているけれど、ブナ林はまだ山頂台地沿いに続くので、それを堪能しながら予定通り渓谷 コースへ向かって歩くことにする。 国土交通省の大きな無線反射板を右にすると徐々に下り坂。縦走路の左右はかなりのヤ ブで、この道がなければかなり難渋するだろう。従って見通しはない。1144mピーク への登りになると、後ろに今まで居た大万木山の丸いのっぺりとした山頂が望める。ここ まで来ると渓谷コースの下山基点は目と鼻の先だ。
渓谷コースの降下点から南には大階段展望台があるということなので、足を伸ばしてみ る。およそ50mも南へ歩いて行くと、展望台の標識がある。大階段とあるから大きな階 段があるのかと思ったら、丸太階段が長く続いているからだった。展望は南と西に開けて いて長く裾野を引く琴引山と頓原らしい町並みが望める。大階段を行けばその琴引山まで 縦走できるらしい。西に三瓶山も見えるというが何時の間にやら雲が出て隠れてしまって いる。
いコースだ。コース沿いにも太いブナが林立し、その間をいつの間に忍び寄ったか、白い ガスが流れ始めて、見る間に周囲を乳色のとばりに包み込んで行く。だが、いやな雨はま だしばらく大丈夫なようで、小鳥の鳴き声が遠く近く。 ガスは山頂に上がって行き、視界がまたクリアになる。木の間隠れに下界の集落が玩具 みたいに水田の間に張り付いているのが見える。やがて沢音がかすかに響き始めて、遙か 下に滝が見えた。竜門滝だ。滝直下に行く道は倒木や雨などで脆くなっているらしく、通 行禁止の標識が出ている。登山道から眺めるだけにしよう。(^_^)
竜門滝のある谷沿いを行く沢コースと合流する辺りが『静かの森』。濃さを増した緑に 彩られた自然林の斜面を見晴るかす事が出来る。山の深さや静けさを堪能するひとときで ある。その間も沢を何度も渡渉しながら、雲が厚くなって夕闇みたいに暗さを増した谷を どんどん下る。 周囲の景色に溶け込んだ避難小屋の屋根が見えてきた。その小屋の前で一休みだ。横手 コースがこの先で分岐しているはずであるが、ガイドには時間が4、50分かかるように 書いてあり、大加茂さんもHクンを背負って更に山道も辛かろう。というわけで、位出谷 へとりあえず出ようという事になる。その時である。広島に来て聞き慣れてしまった感の ある鳴き声がまた響く。お?またまたアカショウビンの鳴き声。直ぐ近くの頭上からだ。 中国山地にはかなりの個体数が渡ってきているとみた。
えられないのだが、何せ広島市内からは遠いので早めに降りたのだろう。20台は駐車で きる駐車場を占領して一休みしながら荷物を見てもらっておいて、大加茂さんと私は車を 回収に林道を行く事にした。遠くでまたアカショウビンの鳴き声がした。 林道なので勾配はあまり気にしないでいいだろうが、その分、ある程度は時間がかかる だろうと思っていたのに、あっけないほど近くに武智神社の赤い鳥居がある。ここが権現 コースの登山口である。曇りで午後も4時近いので鬱蒼とした森は魑魅魍魎が出そうなく らいの暗さだ。ここから横手コースに復帰してもいいけれど、熊でも出そうで、今からじ ゃ御免蒙りたい雰囲気がある。(^^; 案外早く門坂まで行けそうではと思ったとおり、左手下に田圃が垣間見えてきて、その 内に往路の車道分岐。こうなると後は駐車場まで200m程度の登りだ。そして出発して からものの15分か20分で門坂に着いたのだった。 こんな林道歩きでも面白いものは見つかるものである。大加茂さんがキツネかタヌキの 姿を見つけたり、サイハイランを見つけたり。でもサイハイランの周囲はイラクサが繁っ ていて、デジラメ撮影中にチクチクやられて痛いわ痒いわったらありゃしない。(笑) あ とで調べるとイラクサには蟻酸が含まれているそうだ。?? 車を回収し位出谷駐車場へ戻る。2日間にわたる四回目の広島遠征オフも大団円。天候 にも恵まれて、また多くのランにも会えて満足の2日間であった。大加茂さん達とは三次 まで同道し、分かれる。二日の間、お付き合い頂き有難うございました。また今度は秋の 比婆山縦走なんぞが良さげです。それまでにガソリンが安くなっている事を祈って、頓原 を後にした。 ■同行 大加茂さん夫妻とHクン、もぐさん(五十音順)
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