惜秋の裏六甲〜鬼ヶ島から有馬三山周回

水無山中腹から眺める鬼ヶ島
平成20年11月23日(日)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】別掲


 裏六甲でナメコ汁オフをしましょうというNさんの提案。某所でゲットした天然ナメコ
を冷凍してあるんだという。Hさんも冷凍していて持参するそう。未踏の鬼ヶ島の尾根歩
きもある。久しぶりの裏六甲。ナメコ汁の美味さもさることながら、自然林も多くて、な
かなかオツな裏六甲でありました。

 7:15自宅発。船坂峠を越えた四辻にコンビニが出来ていて、今日の弁当を購入。い
つもの如くカップヌードルも手に取ったが、「オッと待てよ。今日はナメコ汁や」あった
かものは要らないのだ。(~~;

 朝は渋滞も何も無いので早い。1時間もかからずに集合地の神鉄有馬口駅前に着く。そ
の目と鼻の先に教えてもらった通り終日500円の駐車場があった。準備を整えて駅に向
うと、メンバはもうプラットフォームに集まってい、丁度到着した電車にNさんが乗って
いる。

 本日のメンバは総勢5名。県道を東へ少し戻り、神鉄の踏切を二つ越えて民家の間を抜
けて、南東へ阪神高速の高架をくぐる。ゲートのある舗装路は高速道路の建設に伴う工事
道に使われていたとのこと。まもなく工事用の駐車場だったらしい広場出る。ここからは
従来の地道で左手は水無川の荒れた川原、文字通り水無しで堰堤だけが場違いに巨大であ
る。
阪神高速の工事用駐車広場から色づいた水無谷
右の林道が取付き道

 黄色く色づいたコナラやクヌギの中、右に深戸(フカンド)谷の分岐がある。お馴染み
の兵庫登山会の道標が立ち木に懸かる。それを過ごして直進すると、広場からゆっくり歩
いて10分くらいだろうか。再び分岐が現れる。鬼ヶ島の取付きはここ。存外澄んだ水が
流れる水無川に架かる橋の手前である。ここにも兵庫登山会の道標がある。

水無川に懸かる小橋手前の登山口
兵庫登山会の道標がある

 しばらくは水無谷に沿って進む。少し荒れ気味で、ヤブツバキやヒサカキなど常緑樹が
多いのでほの暗い感じがするが、斜面に取り付いて一気に登り基調になると、雑木が増え
てきて明るくなる。タカノツメ、コウヤボウキ、ミツバツツジ。勿論、北摂や丹波で良く
見られるソヨゴ、リョウブ、ネジキ、アセビも多い。しかし、そんな植生に関心が行かな
いほどの急登だ。だからといって気安く立ち木に掴まれば、枯れたのもあるからおいそれ
とは握れない。だから歩く人の足でステップが切られているようになっているのには助け
てもらった。ゼイゼイ息を切らせて、時折、後ろを振り返っては高度感を確かめる。暑く
なるが気温が低い所為か汗が出る程ではない。この位の気温が山歩きには最高なのではな
いか。昼食時に調べたら気温は8℃であった。

鬼ヶ島の稜線から落葉山。妙見堂の緑の甍が見える

富士山に似た灰形山。左端に落葉山が覗く

 少し傾斜が緩んだところで初めて大きく視界が広がる。谷向こうの山上の林の中にお寺
の伽藍が見える。落葉山だ。してみると向かいの尾根は有馬三山である。落葉山、灰形山、
湯槽谷山と段々に高くなっていくのが歴然だ。

 そこからは再び常緑樹の林。真っ直ぐ進むとこの辺りのマザーツリーとも呼ばれるとい
うアラカシの株立ちの大木が現れる。幹廻りは根元で3m近くはあるのではないか。灰褐
色の幹はごつごつとして老いた頑固者そのものだ。この木を支点として左に折れ、細い尾
根道を進んで行くと鬼ヶ島の山頂は直ぐである。松が幾本か生えていて、瀬戸内海の島に
も見える小さな鋭角の山である。その姿は一旦急降下して灰方山へ登り返した時が最も端
正だ。それにしてもどうしてこんな名前がついたのだろうか。

鬼ヶ島登山道途中のアラカシの巨木

 標高差にして30m位下って登り返した水無山は、私製プレートが無ければ通り過ぎて
しまうようなアカマツ混じりの小さな露岩の山である。突然岩混じりの狭い尾根になって
面白くなりそうと思った矢先に山頂を示すプレートが現れる。でも高度感は結構あり、北
方向に五社や有馬口方面の砕石場や三田方面が望める。目の前、切り立った深戸谷をはさ
んで相対するは逢ヶ山。半分植林の饅頭笠のようなこんもりした山。未踏の三角点峰だ。

 休憩もそこそこに再び鞍部に向って急斜面を降りる。植林だが雑木も混じっていて、と
りわけウリハダカエデが多く、水無峠と呼べばいいのだろうか、鞍部はその葉っぱで臙脂
の絨毯を敷き詰めたみたいだ。ここは十字路になっており、私製道標がある。西に行けば
逢ヶ山や深戸谷へ行く道、東は水無滝を経て水無谷へ出て、いずれも有馬口へ戻れるのだ
そうだ。なかなかいい道だとは、この辺りを庭にしている、Nさんのことばだ。

ウリハダカエデの紅葉が散り敷く水無山と高尾山の鞍部

 小休止して目の前の高尾山の斜面に取り付く。ここも胸突き八丁の急登だ。木の根の浮
いた間に足をかけ高度を上げる。六甲には珍しくとは失礼だけれど、カエデなど落葉樹の
自然林の雰囲気がなかなか良い。時折、射す淡い日の光に透けた葉が綺麗だ。そのうちに
逢ヶ山や通過してきた鬼ヶ島、水無山も眼の下になってくる。

高尾山への自然林の中の激登り

 傾斜が緩んだところがあっけなく高尾山で、小さなプレートのみの小さな広場だが、逢
ヶ山からの道との合流点でもある。Nさんによればタカノツメの群落があるとのことで、
山頂にザックをデポして逢ヶ山へのコースを少し辿ってみたが、ほとんど散ってしまった
後のようで、梢にはほとんど葉がない。と、下から単独おじさんが上がってきた。

プレートがないと山頂と分からない高尾山

 元へと取って返して東方向へ。ミヤマシキミのルビー色の実が目立つ常緑樹帯だ。この
辺りは少し広がった尾根を踏み跡が蛇行しながらなのでやや分かり難い所であろう。テー
プも少し疎らである。しかしまもなく尾根も狭まって顕著な踏み跡になる。

 ササが増えてきて人声が聞こえてきたと思ったら、番匠屋畑尾根コースとの合流点だっ
た。出合にはオフィシャル標識が立っている。以前は高尾山へのガイドがあったというこ
とであるが今はない。流石にメインルートに来るとハイカーが多くなる。今も50人位の
団体とすれ違う。今まで単独小父さん以外に山中で人には遭わなかったから、その落差に
びっくりだ。(笑) ここからは雑木林の中をゆっくり登っても10分足らずで昼食予定
の湯槽谷山の頂きに出る。

 ここは展望こそ無いが、その分風を防いでくれていて、今の時期は大いに助かる。一番
いい位置に陣取ってナメコ汁の始まりだ。ヌメリの中にも腰がある。流石に天然。結構大
きな鍋に満杯あったのだが、あっという間に全員の胃袋へ直行となった。他にもHさんの
栗ういろうとかGさんのマタタビ酒とか、何でした?あの黒いネズミの糞の様な佃煮は?
ナツハゼでしたっけ。おっと失礼。他にも一杯出てきた。そうこうしている内に向かいで
は、後から来た小父さん連中も鍋を囲みだした。これからは暖かいもの限りますなあ。あ
あ、鼻水が出てきた。(笑)
天然ナメコ一杯のナメコ鍋

 有馬三山を歩いたのは5年前だったと思うがこんな感じだっけ。良く覚えているのは湯
槽谷山の北側の延々と続く丸木階段である。一直線の階段のように思ったが意外にくねく
ねしていたのだった。もっと植林帯の面白みが少ないような感じが残っていたのだけれど
湯槽谷山の下りを除くと基本的に明るい雑木尾根である。当初の予定だった紅葉谷への分
岐を過ぎて灰形山へ。ロープウェイのゴンドラが降りてくる。その向こうは六甲山の最高
峰だ。痩せ尾根注意の神戸市の看板に5年前は少し緊張したものだが、それほどビビるほ
どのこともない。有馬の旅館群が眺められ、かえってそちらの方が紅葉して綺麗だなあ等
と笑いあう。

 灰形山を下るともう有馬は近い。鞍部から右に400mも行けばロープウェイの有馬の
駅である。我々は勿論、有馬三山の一つ落葉山に登る。しかし何だか前と違って、落葉山
トレッキングコースなるものが整備されている。それを伝うと有馬グランドホテルの側に
も出られるが本来そちらが本コースなのだそうだ。つづら折れを辿って行くと繁みの中の
切り開きに四等三角点が現れる。記憶違いだろうか?ここもこんな感じではなかったよう
な....。妙見堂は以前は天台宗の寺院だったそうだが今は日蓮宗の寺。が、三十三箇所の
石仏が以前の名残を留めている。境内からは有馬の温泉街が見渡せる。そこから喧騒の音
が潮騒のように伝わってくるようだ。

妙見堂参道石段の紅葉残照

 妙見堂の参道の石段付近は終盤を迎えた紅葉が美しい。翌日が風雨だったので粗方もう
散ってしまったのではないだろうか。そういう意味では日曜は絶妙のタイミングだった。
石段におりしく紅葉、梢には残照に映える紅葉。春より華やかなシーン。落ち葉をかさこ
そ言わせながら降りていく参道は西国三十三箇所の石仏が続いている。降りて行くほどに
番号が減っていくので麓が一番の青岸渡寺ということになる。

 少し広々とした場所に出る。すると数人のハイカーが空を見上げているのが目に付く。
そこには目が覚めるように真紅に色づいたカエデが枝を広げている。山ではほとんど葉が
散っていたり黄色っぽいものが多かったから、これは今日一番の色づきだ。否、今年一番
だろう。誰しも思いは同じと見えて、皆さんの足もピタッと止まったきりである。(笑)

妙見堂参道で一番鮮やかだった紅葉

 この付近は妙見堂の桟道の外は有馬グランドホテルの敷地内のようだ。落葉山周辺のト
レッキングコースもグランドホテルが整備したのであろうか。参道はホテルの裏側の路地
のようになって、ジグザグに折れると見覚えある五つの赤提灯が懸けられた参道入口に出
た。

 観光案内所や土産物屋、バス乗り場に近いので観光客でごった返している。三連休の中
日。明日は雨の予報。紅葉狩りなら今日をおいてないだろうということか。しかも猿回し
の大道芸が出ているから更に混んだいたらしい。妙見堂の境内でも聞こえていたトコトコ、
太鼓の音はこの猿回しの太鼓だった。若い女性の猿回しに相応しい大人しいお猿さんであ
りました。

 車の量も半端でない。温泉街は狭いから離合集散もままならないようだ。これは迂回し
て帰らないと...。神鉄に乗って有馬口まで一駅。車窓から見える阪神高速から降りて
くる車も多そうである。それにしても一駅230円。高いなあ。(^^;

 有馬口駅。ここでオフは散会。朝は曇っていて少しくすんでいた山々の黄葉も、西日に
照らされて明るく輝いて見える。朝、ガラガラ駐車場もほぼ満杯になっている。久しぶり
の裏六甲。六山制覇。なかなか楽ししゅうございました。セットして頂いたNさんに感謝
です。

 迂回したR176も混雑でした。(^^;





■同行 呉春さん、なかいさん、ハム太郎さん、ランナーさん


【タイムチャート】
7:15自宅発
8:15〜8:30有馬口駅前駐車場
9:03〜9:05鬼ヶ島登山口
9:46〜9:55鬼ヶ島(580m)
10:20〜10:22水無山(Ca650m)
10:30〜10:35コル
10:55〜11:05高尾山(739m)
11:38番匠屋畑尾根道出合
11:45〜12:42湯槽谷山(801m)
13:15〜13:25灰形山・紅葉谷分岐
13:38〜13:42灰形山(619m)
14:22落葉山(533.0m 四等三角点)
14:25〜14:30妙見寺
15:05妙見寺参道口



鬼ヶ島のデータ
【所在地】神戸市北区
【標高】580m
【備考】 有馬温泉の西に延びる有馬三山の更に西、六甲の主脈か
ら北に張り出した尾根上にあり、南の水無山から望むと
ピラミダルな形状をしています。この付近はカエデなど
の自然林が残り、人気の六甲でも珍しく格段に歩く人も
少ない山域です。尚、面白い名前の由来は不明です。
【参考】2.5万図『有馬』



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