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梅雨の時期は週末にうまく天気が持ってくれるかいつもやきもきの連続だ。今回のMさ んも、オフの決行か中止かでかなり悩まれたことだろう。結果は決行して大正解。しかも 下山後にポツポツくるという絶妙のタイミングの良さ。そして前々回の六甲とは対照的に、 我々以外の誰とも遭わない静かな山歩きを楽しむことができたのでした。 降水確率60%以上という高い確率を証明するように、明け方、どんよりしていた空も 6時頃になると白っぽい青空が覗いて明るくなってきた感じだ。昼過ぎまでは何とか持ち そうな気配である。7時。桃山台駅の西ロータリー。5人のメンバーが集まり、途中の深 草BSで1名ピックアップして総勢は6名。今日の目的地は高島トレイルの中でも比較的 マイナーな二の谷山だ。ピンとこない人も多いだろうが、それもそのはず今のところ、W ebにもほとんど紹介されていない山なのだ。高島トレイルに入れられなければ、地元の マニア以外は多分登らないだろうなあ。(^^; 通い慣れた国道R367。安曇川沿いに進み朽木を抜け、今津町保坂でその旧道らしい 道に左折して、9時前、起点の水坂峠に着く。高島トレイル二の谷山登山口の真新しい案 内標識があって、向かい(東)の杉林を登れば湖北武奈ヶ嶽の水坂コースである。
側溝にいたカジカに似た魚を追いかけたり、ミズタビラコの花を見つけてデジカメに収 めたりしている内に、今日の下山口、途中谷へ車を廻しに行ったMさん達が戻ってくる。 準備を終えて9:20登り始める。突然腹に響く連続した爆発音は饗庭野の自衛隊演習場 からのようである。 登山道は関電巡視道をかねているらしい。コンクリート製の古い配水施設か何かの残骸 を横に見て杉林の中の細い支尾根に乗ると、まもなくワラビシダの繁る高圧鉄塔下に出る。 荒川十村線bU6とある鉄塔は高さ10m程度のミニ鉄塔だ。だが展望が抜群で、水坂ト ンネルを出たR303が足元に見える。しかし何といっても目の前に根を張る湖北武奈ヶ 嶽がデーンと大きく、更に三重嶽らしい姿も遠くに霞んでいる。この前、それらに登った と思うと感慨も一入だ。
目を凝らすと10mほど離れた枝先に、黄色と黒っぽい色のコントラストが目立つスズメ くらいの鳥が小枝にとまっているのが目に入る。キビタキだそうだが、声を聞いただけで は私にはどれがどれだか...。音感の悪い者にとっては毎度毎度、とても同定できそう にないわ。(^^; この辺りの山の常で、分水嶺の主稜線に出るまでは急な斜面である。気温はそれほどで もないが梅雨時なので少し湿度が高く、林の中は風も通らないこともあって次第に汗ばん でくる。といって持参した団扇をザックから出すのも面倒だ。そんな間に200mばかり の標高を一気に稼いで486m標高点辺りまで来ると、涼風も出て心地よい。斜面のあち こちで白く目立つのはやや盛りのすぎたヤマボウシだ。そういえば今目立つのは、ハナヒ リノキもさる事ながら、米粒に似たネジキやエゴノキ、ヤブデマリなど白い花が多い。尾 根にはホンシャクナゲの群落も見られたが、もとより花の時期は終わっている。
小休止した486m標高点から先、登山路は南に方向を変えて小さなアップダウンの稜 線を進む。木の間に見えているのは、前衛のCa550mピークだろう。 時折、左右が開けるのだけれど、望まれる山が何だかはっきりしない。琵琶湖なんぞが 見えてくれればいいのだが、今一かすんでいる。尾根は細まったり、広まったりしながら もほぼ真南へ続く。概して分かりやすい尾根だが、唯一、Ca550mピーク付近は尾根 が広くてしかもやや方向を変えるから、テープがないと分かりづらいところだ。 Ca550mピークのおよそ200m南のCa540mピークを越えると、そこはほと んど高低差のない台地で、やや低まった窪地には秋深くなれば紅葉がさぞ素晴らしかろう と思われるカエデの群落がある。ここも日本庭園っぽい雰囲気を漂わす。そのカエデの窪 地を過ぎ、緩斜面を少し登ってピンクのヤマボウシの目立つ小高い台地で見つけた久しぶ りの標識には『板戸の鎧岩』の文字がある。
その標識に従ってそちらを覗くと、向かいの山(これが二の谷山だろう)に木々に包ま れた岩壁が見える。この時期は緋縅ならぬ緑縅の鎧か。踏み跡らしきものがあるので下る と、そこは谷の源頭らしき場所で白い砂地になっていて、その先は水が涸れ加減のヌタ場 である。ここも中央分水嶺。ここより北に降った雨は日本海、南に降った雨は琵琶湖に注 ぐのだ。ここで小雉を撃てば北と南に泣き別れなんて...。そう思うと何だか不思議な 感がする。 鎧岩のある向かいの山へ薄いが踏み跡が見える。正規のルートではないようだが、雑木 に巻かれた古い赤いきれっぱしもあるのでこちらから登ってしまおう。ズルズル滑るほど の斜面だが、手足を活躍させればそれほどのこともなく、4、50m登ると難なくトレイ ルの正規道に合流する。正規といってもこちらも似たり寄ったりの斜面である。(笑)
ある小ピークである。bP09と刻まれた石標があるが、もとより三角点ではなく、営林 署か何かの境界標識だ。ここから二の谷山へは100mとあり、右に折れて1分もかから ずに欠けのない二等三角点を見つける。しかしここは二の谷山の最高点ではない。更に西 へ200mほど行くと3mばかし高い標高点があるのだ。左(南)側はヒノキの植林、右 (北)側は雑木林の山頂稜線を進むと、まもなく標高点ピークに到着する。更に西に向う 踏み跡もあるが、これは西側の高圧線を経て巡視路で林道に下りる道のようだ。残念なが らここもあまり展望はなく、代わりに大きな水溜りがあって、周囲の木々にはモリアオガ エルの卵塊が幾つかぶら下がっているのだった。
やや灰色を増した空の雲行き。雨の降らぬうちにと、戻って三角点と最高峰の中間地点 付近で早めに食事を摂ることにする。 後半は桜峠←→二の谷山の分岐点まで戻って続きの尾根を南の桜峠方向へ向かう。桜峠 までは2.9km。右手が植林、左手が雑木林の歩き易い尾根が続く。オフィシャルテー プもあり、尾根も顕著で迷うようなところはない。545m標高点は桜峠まで1.6km の標識があるから、1.3kmを20分で歩いたことになる。ここも高低差のないのっぺ りした台地なので、標識がないとやや分かり難い場所である。
下降する地点が現れる頃だ。オフィシャルテープに導かれ200m。前方の林が開けて明 るくなった。さっきから聞こえ始めた車の音もだいぶ大きくなる。見れば地形図の土砂採 取場の上部に出てきたのだった。これは先達のブログにもあったところだ。バッサリと切 れ落ちた土の崖。でも石切場の如き凄さはない。但し、脆いので気をつけるにしくはない。 地形的にはそんな無残な姿だが、展望はお蔭ですこぶる良く、眼下には環境センターの白 亜の建物。南方向には蛇谷ヶ峰の大きな姿があって、その肩の向こうに比良の武奈ヶ岳が 薄っすらと霞んで覗いている。その時だ。「鹿です!」Yさんが指差す方向を見れば採取 場と林の境目に茶色い姿が静止している。しばらくじっと声のする方向の様子を窺うと、 白い尻を見せて林の中に消えていった。
さて、下山路は崖のお蔭で左(東)の方向に振られ、崖との境目の小さな尾根を降りて いくようだ。かなりの急勾配だが、手を支えられる雑木も多くあまり苦労はしない。やが て桧林の中に出て、R367のセンターラインも白くはっきり見えてくる。そして桜峠と して高島トレイルの案内標識の立つのは、土砂採取場への緩い谷がR367と突き当たる 部分である。
ろうか。バイパス工事や環境センター工事、土砂採取場、自衛隊演習場など人為的な地形 の改変が度重なってしまったのだろうか。そこから南へしばらく歩くと土砂採取場への取 付け道路があって、横の水溜りにはモリアオガエルの卵塊が幾つもぶら下がっている。だ が水の中ではイモリがいて、オタマジャクシが落ちてくるのを今か今かと待ち構えている。 厳しい生存競争を垣間見る一瞬である。 Mさんらが登山口に置いた車を回収している間に、こちらは夜の酒の肴にとお気楽にワ ラビ採り。遅れて出てきた若い葉柄を摘む。春先より苦味というかアクは強いようであっ たが、醤油マヨネーズで和えると、なかなかいける味ではありました。(笑) ポツポツと来たが直ぐに止む。時間が早いので朽木の道の駅、温泉施設に寄り道して、 帰途に着く。山行中、全く人に遭わなかった二の谷山。こんな静かな山があってもいいで しょう。 ■同行 あかげらさん、ikomochiさん、みずたにさん、もぐさん、Yukinkoさん(五十音順)
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