黒木山〜播磨の里山に吹く風は秋風

『湖畔の広場』から黒木山
平成20年 8月31日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独


 予報で降水確率が高いと聞いていたので、久しぶりに在宅でいようと思っていたら、朝
起きてみれば雲の切れ間に青空があるではないか。なんだこりゃ?予報を信じて全く行き
先も決めていなかったのだが、それならと、きつくもなく雨が降っても傘を差して歩けそ
うな...というわけで、かねて行って見ようと思っていた播磨の黒木山にターゲットを
絞る。例年になく早い最近の涼しさを前提に里山歩きを狙ったのだが、ぶり返した残暑に
辟易しながらも、木陰は正に緑陰。尾根にも適当に木々があり、汗を拭き拭きではあった
けれども、気楽な山歩を愉しむことができたのでした。

 慌てて家を出て何とか高速の通勤割引時間帯に滑り込み。滝野社ICからR175経由
でR427を北上する。見覚えあるのはこのルートが千ヶ峰へ行くときのコースだからだ。
後は糀屋ダム、なか・やちよの森公園の案内に従えばよい。県道から少し入るとダムのベ
ージュ色をした石積みが見え、まもなく『湖畔の広場』の建物が現れる。ここを今日の下
山地に定めて小型自転車をデポしておき、湖沿いに更に車を進める。山際には幾つも遊歩
道入口の標識があって、何処からでも登れるらしい。それらを過ごして吊り橋風の翠大橋
のたもとにある駐車場所に車を入れる。今日は半ズボンスタイル。虫除けを塗るなど用意
して、車で見かけた一番最寄の入口へ向かう。

『絆の広場』からスタート

 それは『絆の広場』と名前が付けられていて、傍に遊歩道案内図もある。それを眺める
と「むむ?」完全縦走するなら、更に橋の北側へ行かねばならないらしい。『桧の小道』
(だったか?)から入るのが正当のようだが、暑いのでもとよりそっちへ廻る気はなく、
そのまま道なりに進むことにした。

 標識の奥が『絆の広場』らしいが、余り使われていないようで雑草が生えてやや荒れ加
減。小さな沢沿いの遊歩道も荒れ加減で、タケニグサやジャケツイバラが我が物顔だ。そ
れはいいとして暑い時期に嫌なのがクモの巣。汗まみれの顔や首筋にへばりついた日には
気持ち悪くてやりきれない。そんなのにもちょくちょく出遭いながら緩い登りを進むとや
がて分岐。左に折れて休憩舎方面へ向かう山腹道を採ると、意外にすぐに明るい斜面だ。
ところが道は谷を下り始めた。登り返して『絆の森観察コース』の標識に従って行くと目
の前に広い谷が現れ、あれよあれよという間に稼いだ高度は全部吐き出して杉林の谷に出
る。あれ?杉林の向こうに車道が見えている。ならば最初から杉林のコースを選択すれば
よかったなあ。何のことはない、最初から登り直しである。(^^;

 杉林を抜け最初の分岐に出ると、『尾根縦走コース』なる表示が出てきた。が、少し困
るのは、要所に立つ案内地図に標識で示されるコース名が記載されていないこと。案内図
にそれぞれコースごとに色分けしてくれていたら判り易いのだが...。ここで道は西と
北西の二つに分かれるが北西方向の道が斜面を上がっていくようなのでこれを採ることに
した。 

 余り使われていないのか補強用の丸太も朽ち始めていてやや荒れた感じがする。風も吹
いて来ず暑苦しい中に、あのいやなクモの巣もあちらこちらに。それを我慢してつづら折
れに登りきると明るくなってまた分岐で、休憩舎はそこから目と鼻の先である。日向を避
けて東屋に入り一休みだ。ゴックリとお茶を飲んで汗を拭き拭き、東屋の先のバルコニー
状の展望台に行ってみる。
休憩舎

 なるほど『新はりまハイキング』に書かれている通り、低山とは思えない展望が広がる。
しかし、あまり土地勘がない。分かるのは西光寺山、黒田庄の妙見山くらいだ。翠明湖の
緑の湖面と白い翠大橋とのコントラストが綺麗だ。

 ここは山の中の小盆地だ。案内図によると標高287m。どこからか広い林道が上がっ
てきていて『湖畔の広場』へは2kmだという。尾根縦走コースの続きは案内図の向かい
に案内標識がある。最初の小ピークCa330mへの登りで、高さは40mくらいを一気登
り。そうすると後は顕著な稜線伝いの道となる。涼しい風が吹きぬけて、今までの暑さは
何だったのかという気になってしまう。(^^; 北西の特徴ある山並みは二度ほど登った笠
形山だ。コナラ、リョウブ、アカマツ、ソヨゴの里山風景の小道の足元にはツルリンドウ
が花をつけている。

登山道はコナラやアカマツ、リョウブの里山風景

 Ca370mピークまで来ると前方に黒木山らしい整った山が顔を出す。ここが『山の十
字路』なんだろうか。『渓流広場』1.4kmの標識がある。

 Ca370mピークからはかなりの下りで、しばらく尾根には上がらずに東側を巻きなが
ら進んでいく。
「暑いですねえ」
ここで今日初めて初老のご夫婦ハイカーにすれ違う。その後、再び尾根に巻き上がる。黒
木山の北の細長いピークで、その先のピラミダルな黒木山の頂には木立に隠れて、さっき
のご夫婦が云っていた東屋が見える。標識によれば黒木山へは縦走コースと別れてピスト
ンするらしい。あの東屋で食事にしようと動機付けしておいて、えっちらおっちら。30
mほどを一気に登ると東屋の前。三角点は東屋の直ぐ南の小さな裸地。国土地理院の刻字
がないので戦前のものらしい。いつものようにタッチ。

Ca370m峰からなかなか端正な黒木山

黒木山山頂風景

 なにはともあれ昼飯。久しぶりに鯵ほぐし飯に定番カップラーメン。涼しい風が通る東
屋、景色も良くて快適、快適。さっきまで耳障りだったセントラルサーキットのバイクの
音も昼食時間なのか静かになった。

 腹も膨れて落ち着いたところで展望を楽しむ。展望図も置かれているので参考になる。
北西には笠形山、入相山、飯盛山と並んでいて、奥には千ヶ峰がある。北にアンテナが立
つのは篠ヶ峰だろうか。東にあるのは高山は西光寺山らしい。南にも386mピークの向
こうに山が並ぶが、どれがどれだか。(^^;

 『尾根縦走コース』は前述の如く一旦北の小さなピークまで戻る。しかし、尾根とある
からてっきり南に続いていくのかと思ったら、グングン降り始めるではないか。尾根とあ
るのは、黒木山の東、『湖畔の広場』方面へ延びる支尾根のことらしい。黒木山の山頂近
くにあった『里山堪能コース』が北に向かっていたので、それを使えば更に南に行けたの
かも知れないが、先達のHPによれば大亀岩、どこがそうなのだか良くわからない岩だと
か。三角点はもう拝んだことだし、岩にはあんまり未練はない。戻らずそのまま下ること
にした。

 下から単独おじさんが上がってくる。今日2組目のすれ違いだ。黒木山の東側の尾根は
最初、結構急で薄い赤茶色の岩混じりだが、すぐに落ち着いて細い尾根の上の道になるの
が上からも良く見える。北側の378mピークから東に延びる尾根もなかなか良さげで、
ここにもルートがあるらしく明快な踏み跡が見える。振り返れば黒木山、低山ながらいっ
ぱしの顔で聳えている。
 縦走コースは尾根の端まで行かずに途中で北の谷へ降りる。(直進する南口コースとい
うのが尾根の先まで行きそうだ)北へ廻ると少し湿っていて、斜面はシダに覆われている。
その斜面をジグザグに降りていく。とそこは『木の上の遊び場』と名づけられた、全て丸
太材で造られたフィールドアスレチック風の建造物がある場所。黒木山の山頂でも子供の
歓声が聞こえていたが、ここで遊んでいた小学生達の声だった。右に曲って広い道に出る
と、公園付属の畑で、『湖畔の広場』の管理棟は間もなくである。木で作ったオシリカジ
リ虫や飛行機なんかのオブジェが散在している。そのオブジェ「なか・やちよべえ」と黒
木山をデジカメに納める。

 自転車に乗って湖畔を走る。アップダウンがほとんど無いので助かる。雨不足なのか湖
の水位も大分下がっているようで、枯れた立ち木が白骨木の様にニョキニョキと湖底近く
から顔を出している。風向きによっては少しアオコの臭いも鼻をついた。

 走る事約10分。駐車地には隣に1台車があるが、どうも山歩きではなく魚釣りに来た
らしい。着替えて残ったお茶を一気飲み。時刻は13時過ぎ。まだ早いので、地道を通っ
て、程近い篠山市は西光寺山のサギソウ見物でもして帰るとする。

 良く整備されているのに歩く人は少ないのか今日は二組のみ。秋風吹く残暑の静かな里
山歩きもなかなか味なものでした。

【タイムチャート】
8:30自宅発
10:15〜10:20翠大橋横(駐車地)
10:25『絆の広場』入口
11:05尾根縦走コース分岐
11:08〜11:15展望台二の谷山
11:32Ca370mピーク
11:50〜12:27黒木山(393.2m(三等三角点)(昼食))
12:32渓流広場、尾根縦走コース分岐
12:52木の上の遊び場
13:00湖畔の広場
13:17翠大橋横(駐車地)



黒木山のデータ
【所在地】兵庫県多可郡多可町
【標高】393.2m(三等三角点)
【備考】 糀屋ダムで堰き止められた翠明湖の西に広がる『なか・
やちよの森公園』の裏山で、公園内の最高峰となってい
ます。裏山一帯はハイキング道や散策路が整備されてお
り、体調に合わせて歩行距離を選ぶことが出来ます。低
山にもかかわらず黒木山や尾根上は展望に優れ、笠形山、
千ヶ峰、飯盛山、妙見山、西光寺山等の北播磨の山々が
展望できます。
【参考】
2.5万図『中村町』



休憩舎からの展望

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