稲村ヶ岳〜ブラッとフラッと大峰の香りを嗅ぎに |
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ここのところ帰宅が遅くて、しかも急に暑くなったりしたので夏バテもあるのだろう、 土曜は朝からグータラ。ウトウトしては目を覚ましの繰り返し。けれどもこの家の蒸暑さ は半端じゃない。日曜はやっぱり涼しい山へ行かなくては。そういえば今年はまだ大峰の 香りを嗅いでいない。というわけで、ブラリでかけた稲村ヶ岳であります。 道路事情が良くなって、私宅からも2時間ちょいで行ける様になった洞川。いつもの様 に母公堂の前に車を止める。その前に手作りパン屋さんでアンパンを一個。120円だっ たか、130円だったか。法力峠で齧ったけれど美味いパンだった。 水越付近でパラパラと来て、「うっ?天気良くない?」と思わず見上げた雨もそれっき りで、天川へ来ると日も差してくるようになる。杉林の中、薄いピンク色をした肉厚の蕾 が目立つ。アジサイの葉っぱ二枚が合体したような葉が特徴的なギンバイソウだ。この杉 林は意外と傾斜があって、五代松新道との合流点まで来るともう汗だくだ。稲村ヶ岳まで は5.7kmもある。桟橋を渡ると右に水場。冷たい水を口に含むと生き返る心地がする。
蒸し暑い杉林の中はアジサイ系の花が目立つ。コアジサイ、クサアジサイ、ツルアジサ イなどなど。洞川の街並みが見下ろせる辺りではマタタビが盛りである。そんな中、蝉と 小鳥の声が響き渡る。蝉もジャージャーと暑さを際立たせるだけのクマゼミでないから、 まだ耳に心地良い。 法力峠には道標が増えている。一本だけあればいいようなものだがねえ。小休止してア ンパンを齧る。ここまで1時間近くかかっている。暑い所為か、体力が落ちているのか。 稲村ヶ岳にはあと3.7km。登山口からは2.9kmということだ。 峠を後にしてトイレだったような廃小屋を過ぎると、緑濃き雑木の森で、イタヤメイゲ ツの林、高みはまるで人手で植えたようなシャクナゲ林である。面白い植物でもないかと 左右に目を配っていたその時である。赤紫っぽい色彩が目の端に映った。ふとそちらに頭 を振り向ければ、ショウキランの群生なのである。この時期、弥山のオオヤマレンゲを見 に行ったりする際に、その登山道脇にちらほら咲いているのを見つけることはあるが、こ れほど大量の花を付けた大株というか群生というかを見たことは、生まれてこの方初めて である。花は100個以上、株も数十本はあろう。柏餅に似た香があるはずなのだが、嗅 いでみてもあまり香はなかった。花が大量すぎて香が追いつかなかったのでもあるまい。 やや盛りを過ぎていたのかもしれない。
れども裏切られを繰り返す内に、見覚えのある水子地蔵の辻を曲ると、ミヤコザサが繁る 日本庭園風になってきて、やっとバイオトイレが緑陰の中に茶色の屋根を見せる。登山口 から約2時間。長かったあ。テーブルで一休み。乾いた涼しい風が谷から吹き上げてくる。
また一休みして、さて、いよいよ稲村ヶ岳の核心部だ。笹原の一本道から徐々に山道は 険しさを増してくる。ウグイスがほんの間近で美声を聞かせてくれる。シャクナゲのブッ シュの向こう側だ。 |
稲村ヶ岳展望台から眺める大峰山脈主稜 |
大日山の尖峰が針葉樹の向こう側に緑濃い姿を現す。はじめて見た時にこんなの登れる の?と思ったくらい、いつ見ても惚れ惚れする形である。残雪がある時は怖いくらいの崖 下道も雪がないと楽なものだ。大日山には帰りによる事にして、キレットから稲村ヶ岳へ、 ツクシシャクナゲの群落の中を進む。大きくUターンして御殿屋敷といわれる頂上へ。だ が、いつもと違って、山頂はえらいことになっていた。
も、少し空いた場所に割り込んで、大峰の主稜線をデジカメに収めておく。それにしても かしましい事。ここでの食事は到底ムリなので早々と降りてミノクサ尾の尾根に少し入っ て倒木横で食事とする。このあと、団体客とは大日山の登降、稲村小屋での休憩と、事あ る毎にタイミング悪くかち合ってしまうのである。(^^; 復路でもこれから登頂しようとする十数人の団体とすれ違う。間が悪く、トラロープが 懸けられた斜面である。ここでも長い間待たされる。(^^; 大日山でも稲村ヶ岳の頂上で食事中だった団体さんの下山を待って登ることに。そして 梯子の下でまたまた。やれやれ。 大日山も昔に比べて整備され登りやすくなっており、ベニドウダンだかの小さな花が風 に揺れている頂上には祠が2つ並ぶ。向かって左の祠の左側に薄い踏み跡があるが、今は 通行禁止のようだ。南を向くと稲村ヶ岳の姿が形良い。それにしても大峰は山深い。山ま た山。波の如く山。 山上辻でも団体さんと遭遇。しかし今度は入れ違いに下山してくれて、テーブルが空い たので助かる。どっかと座って涼風の中でホットレギュラーコーヒーブレークだ。山での レギュラーコーヒーはブラックが美味いのだ。 これで少しすっきりしたかな。帰りの車は西日がきつくフロントグラスから射し込んで、 嫌が応にも意識を現実に引き戻すのでありました。あーあ。
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