東お多福山〜六甲メインコースは蟻の行列

奥池より眺める東お多福山(中央左)キショウブが美しい
平成20年 6月 7日(土)
【天候】うす曇り
【同行】別掲


 久しぶりに街オフ企画。恒例のその前に軽く登っておきましょう企画は、六甲は東お多
福山へ。六甲には珍しい草原の山だが、小生にとっては未踏の山である。六甲は人の多さ
に恐れをなしてあまり出向かない山域であるけれど、ま、一度は歩いておくにしくはない
と思ったところが、こんなに凄いとは思わなかった。何が凄いって、まるで蟻の行列の如
くのハイカーの列なのだ。次から次へと続いてくるので、おちおち立ち止まりもならず、
せわしいこと、せわしいこと。私的には「こりゃあ。二度と御免だね」。でも、東お多福
山から奥池への下山路はほとんど人にも会わず静かなもの。六甲はメインルートを外すに
限ります。(笑)

 集合場所の阪急芦屋川駅、午前9時。もう沢山のハイカーでごった返している。梅田の
紀伊国屋前もかくやと思わせるほどだ。2年半前の初冬に荒地山に登った時はそれ程でも
なかったのだが、シーズンともなるとやはりこんなに混むのか。何せ六甲のメジャー基点
だ。しようがないといえばしようがないのだが...。

 集合時刻9時前にはMさん、Tちゃんも顔をあわせて芦屋川沿いに山へ歩き始める。頂
上にアンテナを戴く鷹尾山へは折れずに高座川沿いに真っ直ぐ進んでゆく。三条第二砂防
堤が左に見える。暗い木立の中に白いウツギが良く目立つ。

 30分も歩くと、だいぶ山際に迫ってきた。横の川の流れもかしましくなってきた頃、
布引の奥の雰囲気に似た建物が現れる。この『滝の茶屋』がロックガーデンの入口らしい。
左に寂れた大悲閣なる大仰な名前を持つ旅館。茶屋は奥にもう一軒ある。昭和を髣髴とさ
せる古い『ロックガーデン』の文字。でもどう見ても『ロックガーデソ』です。(笑)

ロックガーデソ?

 高座滝は高さ10m位の滝だろうか。護摩堂が建っていて、最寄の岩には六甲を開いた
という功労者、藤木九三のレリーフが嵌め込まれている。RCCの創設者、ロックガーデ
ンの命名者だ。
高座滝の藤木九三のレリーフ

 高座滝の横を巻き上がっていくと、いわゆるロックガーデンと呼ばれる岩場が風吹岩付
近まで続く。岩場といっても中央稜なら、足元さえ気をつければ幼稚園児でも歩ける。流
石に六甲だけあって、幾つも脇道があって網の目のようであるが、ここは大人しく道標に
沿って歩いていく。仁川連絡線bR7、新神戸線bS5など二つの高圧鉄塔の足元を抜け
ていく。中でも仁川連絡線bR7は木立に囲まれた涼しい場所で、ベンチも置かれて憩う
のに丁度良い。先端の岩場に出れば神戸港も眺められる。

芦屋ロックガーデンのメインルート

 風吹岩に今日はイノシシはいない。代わりに夥しい人、人、人。そういえばここに着く
前も、それぞれの岩の先端を眺めたら必ず人が立っていたっけ。(笑) 

にぎやかな風吹岩

 ここから先しばらくは、前回、荒地山から金鳥山へ下りた時に通った道だ。軽四輪も通
れるくらいの幅広の道は表六甲から有馬へ抜ける六甲銀座だ。単独の人やグループが行っ
たり来たり。この辺りは『太陽と緑の道』に指定されているのだ。横池の分岐を横目に、
荒地山分岐の湿っぽいタワを抜け、黒五谷道を左に過ごして沢を渡ると、芦屋カントリー
クラブの敷地内に出る。車道を過ぎると水場。ここの水は飲めるみたいで、5、6人のハ
イカーが小憩中。その先のイノシシ除けのゲートを抜けると、再び上り調子の山道である。

 雨ヶ峠も多くのハイカーがたむろしている。ほとんどが土樋割峠へ向うようで、東お多
福山へ廻るハイカーは十分の一くらいだろうか。ガイドに従うと少しの登りでベンチが置
かれた場所に出る。あまり気付かないだろうが、ヤシャブシの木の下の笹薮には四等三角
点『天ヶ峠』が置かれている。勿論、三角点フェチの私は五体倒置礼を捧げるのであった。
(笑)

 三角点横のベンチで休憩中、Nさんに連絡を入れると、もう直ぐそこまで来ているらし
い。お茶を飲んだら急ぎましょう。

 「草原復元化試験作業中」なる立て札がある稜線は、六甲では珍しい草っ原である。最
高峰や西お多福山も眺められてなかなかいい所ではないか。アップダウンを繰り返しなが
ら高度は徐々に上がって、あれが東お多福山かと間近に来た頃だったか。見慣れた顔が向
こうからやって来た。Nさんだ。東お多福山の山頂は直ぐそこだというので、とりあえず
別れて北上すれば、ほんに100m程で東お多福山と書かれた立柱があった。ここは惜し
い事に三角点がないのだが、代わりにとりあえず立柱を撫でておく。(^^;

東お多福山。六甲には珍しい草原だ

 東お多福山山頂付近で昼食を取った後。さてどのコースを採るか。夕方からは飲み会だ
し、少しビールもきこしめしているし、「軽〜く、行きたいね」となれば最高峰はしんど
いからパスである。(^^; ならば西宮方面へ降りようか。ではNさんに案内してもらおう。
衆議は一決した。

 東お多福山を西側に下りれば土樋割峠から六甲最高峰へと向かう道。これと分かれて北
東に降りる道が奥池へ降りる道である。こちらはさっきのメインルートに比べたら全く静
かなものである。腰程度までササに囲まれた中にきっちりした道が続き、時折、奥池周辺
を中心に大きく展望が広がる。やがて山腹を洗掘された溝状の道を伝うようになる。その
曲がり鼻のリョウブの幹に、誰が落したかメガネが一つ、引っ掛けてある。まるでリョウ
ブがメガネをかけているみたいに見えてユーモラスだ。しかし、そんなのに注意を向けて
いると花崗岩の風化した砂に足を取られることになる。

クマザサの中、洗掘された道を降りる

 意外に早く民家が見えてきた。道はすぐに林から出ずに麓を巻いて行く。周囲は綺麗な
リョウブの林で、コゲラが数羽、高い梢を上下している。モミジイチゴの黄色い実を摘ま
みながら、緩々とした道を行けばやがて砂防堤が現れて、蛇谷の沢を渡ると土樋割峠から
下ってくる林道に合する。奥池の住宅地はすぐそこで、芦有ドライブウェイを横切ってす
ぐの生活道路を左に向かえば、判り難いがゴロゴロ岳と書かれた私製標識が見つかる。

 谷川を渡って街中の広い道を行く。静か。どちらを向いても大豪邸ばかり。ガレージだ
けで、我が家が2、3軒は建つなあ。しかもデザイナーに特別に依頼したらしい瀟洒な建
物ばかり。アーリーアメリカンあり、南欧風あり、近代建築風あり。何でもござれだが、
空き家も結構多く、ここいら辺りにも不況の影が忍び寄っているように思えてならない。

奥池の住宅地に出てきた(右の道)

 消防署の横から奥池の畔へ。二つの大きな池がある。厳密に言えば西にあるのが新しく
造られた奥池貯水池で、東にあるのが本来の奥池。水神さんの祠がある。奥池は造られた
のは案外古く、江戸時代末なのだという。指導的役割を担ったのは芦屋村の大庄屋で猿丸
という人らしいが、そういえば芦屋川の駅近くに同名の邸があったのを思い出す。珍しい
名だけに未だに子孫の方が住まわれているのであろうか。振り返れば東お多福山のなだら
かな山容が眺められ、奥池の岸辺に咲く黄ショウブをアクセントに画像に収めておく。

 側に建つのは六甲ハウス。何となく見知った名前だと思って調べてみたら、もう20年
も前に会社の研修で来たことがあるのだった。こんな池の畔にあったのか。全然記憶にな
い。(^^;
奥池から鷲林寺への道はこんな綺麗な道

 池の東の堤から道標に従って右へ。ゴロゴロ岳への尾根道を見送ると、コツクバネウツ
ギやモチツツジが咲く沢の音を聞きながらの快適道だ。注意していると真っ白なシライト
ソウも見つけることが出来る。ゴロゴロ岳の広い正規?ルートと合体して、左に折れてい
くとパノラマコースとやすらぎコースとの分岐である。当然、ここはパノラマコース。

観音山からの下りから見る甲山と北山貯水池

 そんなこんなで観音山は分からずに通り過ぎてしまったが、パノラマコースは最後が露
岩の多い急斜面で、西宮市内の北部を一望しながら下山できる。甲山や阪神競馬場、遠く
の白い立体建築物は中国自動車道か阪神高速道路らしい。近くの学校かららしいが歓声が
上がってくる。通過する高圧鉄塔は新神戸線bR5だから午前中に通過した鉄塔と同系統
のものとまた遭遇した事になる。最後に鷲林寺の小さな墓地の横に出て、登る時にはこん
なところから登るのかと迷いそうに思われる場所である。

 観音道と呼ばれる参道兼車道を下れば鷲林寺バス停10分ほど。バスは今しがた出たと
ころで、タクシーに分乗して苦楽園口に出たのである。

 メインコースはなんと人が多かったことか。でも少し外れると格段に人通りは少なくな
る。六甲を歩くなら少しバリエーションを利かせねば。そう思った一日である。



■同行 たらちゃん、なかいさん、みずたにさん(五十音順)

【タイムチャート】
8:50〜9:05阪急芦屋川駅(集合地)
9:30〜9:33ロックガーデン入口
10:00〜10:10高圧鉄塔(仁川連絡線bR7)
10:20高圧鉄塔(新神戸線bS5)
10:39〜10:46風吹岩
11:02荒地山分岐
11:20芦屋カンツリークラブ道路
11:37〜11:38雨ヶ峠
11:42〜11:50四等三角点『雨ヶ峠』(621.3m)
12:05〜12:45東お多福山(697m)
13:18蛇谷登山口
13:35〜13:52奥池
14:15ゴロゴロ岳分岐
14:35高圧鉄塔(新神戸線bR5)
14:51鷲林寺墓地横
15:08鷲林寺バス停



東お多福山のデータ
【所在地】兵庫県神戸市東灘区、芦屋市
【標高】697m
【備考】 六甲山のハイキングコースのメインストリートであるロ
ックガーデンから最高峰への途上にある山です。六甲に
は珍しく草原状を呈し、瀬戸内海、六甲山最高峰などが
一望できます。芦屋の奥池からだとお手軽30分程度で
登ることができます。
【参考】
2.5万図『宝塚』、『西宮』




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