春遠からじ白山・妙見山
 
尾根道から眺める白山と妙見山(右奥)
平成20年 2月16日(土)
【天候】晴れ時々雪
【同行】別掲


 今日の山の舞台は西脇市に合併した黒田庄町の名山、白山と妙見山。近頃、”妙見直列”
に凝っているMさんに同行させてもらったのである。”妙見直列”とは丹波や北摂の山の
著書が多い慶佐次盛一氏が初めて提唱した説で、兵庫県中町の妙見山から能勢の妙見山を
結んだ直線上には、奇しくも幾つかの妙見山が並んでいるのだ。それを敷衍すれば、星田
の妙見宮やひょっとしたら伊勢神宮までつながるのかもしれないが、これは全くのあてず
っぽうだ。(笑) 予報は冬型気圧配置が強まって寒さが懸念されたが、行ってみれば風も
なく陽射しは暖かく、妙見山頂付近にはかなりの積雪があったけれど、春遠からじを実感
できた山行きでもありました。

 気がつけば、近頃とみに加古川づいている。先々週の志方城山もそうだし、先週の平荘
湖畔もそう、そして今回の白山、妙見山も加古川の近くである。節約の為に少し早く出て
下道走行。夜に降ったのか途中の峠などは薄っすら雪化粧している。それも黒田庄に入る
とほとんど消え、北側の山陰や日陰に残っているくらいである。ほっと胸を撫で下ろす雪
嫌い?の私であります。

 フォルクスガーデンの駐車場を集合場所にして定刻10時、Dちゃん、Lさんと合流。
秋谷池横の駐車地に移動して、南に張り出した支尾根から取り付く。初めて登ったのは2
002年だから6年ぶりか。その時は尾根道が分からずに左の谷に付いた薄い踏み跡を進
み、それが途中で消えたのを、最後はシダヤブを強引に突破して尾根に出たのだけれど、
今では道標もあって、間違えようにも間違ることが出来ないはっきりくっきりの道が尾根
上についている。
秋谷池横の登山口。6年前は左の谷を強引に突破したのだが、
中央の尾根を伝う明快な道がある

 そのくっきりと付いた踏み跡をぐいぐい登って、あっという間に高度を稼ぐ。下から見
えていた岩盤へもそんなに時間はかからない。振り返れば秋谷池は雪で縁取られたエメラ
ルドグリーン。その向こうはフォルクスガーデンの遊歩道がある円錐形の小ピークで、雪
で白い曲線が遊歩道の在り処を示している。

下からも見えていた馬の背を進む。

 明るい馬の背を通り、小休止を取りながらでも30分足らずで尾根に出られる。ここか
ら西に見るアンテナ山は格好がいい。しかし、ここに立つ道標も秋谷へ降りるように指示
していて、アンテナ山に向かう地形図の点線路はあまり使われていないようで、以前より
生え込んでいる。

 ここからは小規模ながら楽しい吊り尾根歩きだ。里山なので色々な音が這い登ってくる。
道路工事か何かの音、バイクの排気音、JR加古川線の列車のレールの音や汽笛などなど。
尾根に登って10分ばかりで前坂コースとの出合。白山まで1900mの道標が出る。

 どういう意味なのか「またみのずれ」と書かれた地点は北の展望が良い。雪雲に覆われて
いるらしい空の下、周囲より一際高く、頂上にアンテナを頂いた山は粟鹿山。はっきりとし
た雪の痕跡はないが、右肩に顔を覗かせる床尾山らしき山並みは真っ白である。すぐ足元に
は緑色の池。その岸近くのこんもりした森が道標にある滝尾神社だろう。

北は雪雲。粟鹿山の肩からは雪を戴いた床尾山が覗いていた

 それが「狸穴」に来ると今度は西北方面が開ける。真正面に加古川が流れ、至山や石金
山があって、遠くに白い笠形山や千ヶ峰が並んでいる。木谷池源流の標識があるが、さっ
き北側に見えていた池のことだろうか?

 四等三角点『南山』のピーク北側を道は巻いて進む。日が射さない為か雪が一気にふえ
た。巻き終わった辺りが「とがのお」。ここから6年前は南山の三角点ハントに向ったの
だった。今は何となく踏み跡が出来ている。他にも三角点ハンターがいるみたいだ。(^^;

 滝尾神社からのルートと2度ほど合流しながら、門柳から谷筋を登ってくるコースとの
出合を経て、道はにわかに険しさを増す。「権現」跡は白山権現でも勧進してあったのだ
ろうか。露岩が浮き出た屏風のような岩壁前の猫の額ほどの場所だ。やがて妙見山への道
と分かれて、胸突き八丁をしばらく登れば白山の山頂である。

白山山頂の展望岩

 以前もここで昼食だったのだが、今日もここで昼食。北の方角の空はさっきから灰色雲
が蔽っていたが、風に飛ばされたかこちらにもその雲がやってきて、瞬く間に雪が舞い始
める。でも存外、それ程の寒さはない。それが昼食後、白山から北東に妙見山に向かう尾
根に入った途端、積もった雪の量が格段に増える。北側の山陰に入ったこともあろうが、
白山と妙見山との間が降雪の境界域なのかもしれない。そういえば、志方城山でジモティ
ーの小父さんが千ヶ峰の東の越知谷から南は滅多に雪が積もらないといっていたことを思
い出す。そんな線がこの辺りにもあるのだろう。

飛雪の白山山頂から妙見山

 小さなピークをいくつか越えていく間に標高は100m程度上がっていく。植林やアセ
ビのおかげでほとんど両サイドの風景は見られない。ある鞍部で食事中の7、8名の男女
パーティと遭遇する。今日初めて会う別のパーティだ。白山の方はほとんど雪は無いと伝
えると『この先は20cmくらい雪がありますよ』との答え。雪嫌いの私には限界?の積雪
量だなあ。(^^;;
妙見山ハイキングコース案内板
6年前から新装されている

 確かに妙見山に近づくに従って積雪量は増えていくようだ。案内板のある十字路や「つ
えたて」の分岐を過ぎ、山頂直下の斜面を雪に足を取られつつ登った先、木々の間にぽっ
かりとある三等三角点は標石だけが雪から顔を出しているのみだ。

 ザクザクと良く締まった雪を踏みしめて小さなアップダウンをこなしていく。妙見山の
最高点は三角点の置かれた峰ではなく、更に2、300m位、東へ行った場所に二つの高
みがあるのがそれである。Ca630m。最も東にあるのが「まばお」と名づけられた展望
地。名前の由来は良くわからないが、南側の展望が良い。うっすら瀬戸内海まで眺められ
たのだが、驚いたのはDちゃんが撮った明石海峡大橋。肉眼ではうっすら橋の橋脚の支柱
がわかる程度だったが、望遠で、更に画像処理を施すとはっきりとその支柱の形状までが
わかるのだ。残念だったのは東側が雑木で視界がなく、とんがり山方面が見渡せなかった
ことだ。そんなわけで妙見直列を肉眼で確めることはできなかった。

妙見山の由来となった妙見堂

 イノシシが耕したようなちょっと荒れた「まばお」を後にして南の尾根を下る。すぐに
明快な道が現れる。山頂付近に比べて雪の量は少ないのはやっぱり南向きだからか。尾根
から分かれて右に折れ、杉林の山腹を降りるとちょっとした広場に妙見堂がある。今は北
の麓にある荘厳寺が管理していることが真言札から分かる。堂宇は墨で板に書かれた落書
きに、召集されて武運長久を願うらしいものもあることから、昭和10年代に建てられた
らしいが、湿った場所にある割りに新しい感じがする建物だ。

妙見堂から雪の道を門柳へ下る

 神姫バスのハイキングがあったのか至る所に標識が残置してある。「かぎかけ岩」を過
ぎるとコシダ、ウラジロシダに覆われて見難くなった道は滑って危ない。案の定、滑って
したたか右の太ももをうちつけてしまった。(^^;

 下に別荘地の建物のカラフルな屋根が木の間越しにちらちら見え始める頃、398m標
高点の前後辺りが一番シダが繁茂している。この光景、前回、歩いた時を思い出した。

ウラジロシダが繁茂する門柳への道。

 398m標高点を過ぎると道は西に辺りから展望地になっている小さな裸地は、今さっ
きまで歩いていた妙見山から白山の稜線が眺められる。このように歩いた尾根筋を眺めら
れるのは楽しいものだが、尾根から見る白山は格好よかったのに、ここから見る白山は背
後の山に溶け込まされて全く目立たない。

 この付近まで降りて来ると、小さな流れも現れはじめる。それを渡る小さな橋もあって、
溝沿いのじゅくじゅくした小道を抜けると細い地道の林道に飛び出す。(下の画像)
以前は越えるのに苦労したイノシシ防御用の電柵も今は通電されていない様で、外した後
は架け直して欲しい旨の注意書きがあるのみだ。

林道との合流地点(門柳)

 住吉神社までやってくると、妙見山で食事していたパーティが車の横で装備を解いてい
る最中である。
「あれ?いつ、どこから降りられたんだろう?」ちょっと不思議な感じであった。

 村道をぶらりとフォルクスガーデン方面へ戻る。小雪がちらつくがあまり寒くはない。
6年前当時もこの道を歩いて戻ったのだったが、周囲の景色はほとんど変わっていない。
春の芽生えを待つ間のゆっくり流れる時間。これこそ日本の良き農村風景だ。そんな中を
ジョウビタキ、メジロの姿を楽しみながらの散歩である。そしてこれも6年前と同じよう
に、JAの経営する黒田庄の名産品を売る店に寄って、例の如く黒田庄牛コロッケを購入
する。そこから車を置いたフォルクスガーデンは目と鼻の先である。

 本来なら門柳温泉に寄っていく所だけれど、交通の便の悪さか廃業して久しく、ここは
Lさん推奨の比延の「へその湯」で一風呂浴びて帰途につく。丁度いい雪加減、湯加減。
南に向かうほどあんな雪が嘘のように灰色雲も消えて青空が広がる。春遠からじ。山が春
に又来いよと言っているようでした。



■だめちゃん、みずさん、レオンさん

【タイムチャート】
9:50〜9:55秋谷池横駐車場
10:00白山登山口
10:25稜線の道標
10:37前坂コース出合
10:55〜10:56狸穴
11:05トガノオ
11:11滝尾神社分岐
11:22門柳コース出合
11:34〜11:58白山(510m)
12:39つえたて分岐
12:41妙見山(622.0m 三等三角点)
12:55〜13:00まばお(Ca630m 妙見山最高点)
13:06〜13:13妙見堂
13:33398m標高点
13:40〜13:43道標のある展望地
13:55林道
14:55フォルクスガーデン駐車場



白山のデータ
【所在地】兵庫県西脇市黒田庄町
【標高】510m
【備考】 加古川の東、播丹界に位置します。岩の多い山容で山名か
らして白山信仰に関連する修験の山だったと思われます。
南麓にオートキャンプで定評のある東播磨日時計の丘公園
があります。
妙見山(山南町)のデータ
【所在地】兵庫県丹波市山南町、西脇市黒田庄町
【標高】622.0m(三等三角点)
【備考】 白山とともに播丹を分ける山です。山頂付近に妙見堂があ
り北辰信仰の山ですが、能勢、加美町の妙見山と共に一直
線上にあるのは不思議な符合です。南麓に門柳温泉があり
ます。最寄りはJR加古川線本黒田駅もしくは谷川駅です。
【参考】 2.5万図『谷川』
「大阪周辺の山250」ヤマケイ



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