秋を愛でつつ達磨ヶ峰から段ヶ峰

段ヶ峰最高点から東の生野方向を眺める

平成20年11月 2日(日)
【天候】薄曇り
【同行】単独


 文化の日を含めての三連休。土曜は朝寝したいし、月曜は雲が厚いとの予報。ならば残
るは中日の日曜のみ。さあて、どこ行くかなあ。新聞の紅葉情報。氷ノ山が見頃だって。
そこで夏に行った時の記録を見ると、早朝5時半過ぎに出発しているではないか。一寸し
んどいなあ。というわけで2時間もあれば行ける播但境の段ヶ峰へ向う事にする。

 達磨ヶ峰から縦走して前回はフトウガ峰で引き返したけれど、今回は段ヶ峰まで足を延
ばす積り。段ヶ峰へは7年ぶり、フトウガ峰には3年ぶりである。

 前回より30分出発を早める。といっても7時半。7時には出る積りだったが、単独行
の常、やっぱりグダグダ遅れてしまう。(^^; それでもガソリンを補給したり、コンビニ
に寄ったりしても2時間かからずに国民宿舎生野荘跡地にやってきた。10台位の先着が
ある。しかし「おやっ?」と思うことがある。確か生野荘の跡地脇から登り始めるはずで
は? それがゲートが置かれ立入禁止になっているではないか。覗くとプレハブ二階建て
の建物。ゴルフ場の管理事務所に様変わりしているのだった。

縦走路の新しい登山口

 新しい登山口はゲートから30mくらい手前で新設された案内板の横である。新設され
た道を斜め右方向に進んでいけば、距離にして100m位で元の登山道と合流である。太
い2本の松が目印で、使われなくなった登山道下に管理事務所の屋根が見えた。
 秋もたけなわ。登山道の脇にはリンドウが群れ咲いている。ツルリンドウはもう赤い実
で、咲き残ったアキノキリンソウがチラホラ。先行するジモティーのファミリーを追い抜
いて、刈られたクマザサの間の直登道を行く。一気に暑くなってきた。ザックからタオル
を出さねば。
登山道脇に咲くリンドウ

 達磨ヶ峰の肩。ここまで来れば一段落。幾人かが汗を拭きつつ休んでいる。振り返れば
もう周囲の山が見渡せ、ゴルフ場のグリーンが綺麗だ。時折、どこからかドーンという音
が殷殷と響く。栃原に射撃場があるのだ。ハンターに囲まれたトラウマなのかあんまり聞
きたくない音である。

ススキそよぐ達磨ヶ峰ノ肩から山頂

 達磨ヶ峰の狭い山頂で小休止。ほぼ水平になった道。両側はベニバナボロギク。それを
抜けるとCa920mピークとの間の鞍部でススキが原だ。その向こうにフトウガ峰や段ヶ
峰の台形形の山塊がある。まだまだはるか彼方の感じがする。GPSで調べると直線でフ
トウガ峰までは2.6km。登り返した所の道標では段ヶ峰まで115分だって。今、10
時25分位だからそれでも昼過ぎには着くだろうとの算段だ。

達磨ヶ峰西のCa920m峰から眺める

 そこからリョウブ、コナラの繁る樹林の中である。ほとんど標高差はない。シダの原を
抜けて、明るい915m標高点を過ぎて小さな岩が埋まる小斜面を下る。杉桧林が現れる
と周囲は鬱蒼と暗いが、Ca920mピークを登った先、右手に鹿ネットが現れたら最低鞍
部の伐採地だ。約40mの下り。尼崎山の会の道標がある。本来この峠からは北東の菖蒲
沢への道があったのだが、ネットで締め出されてしまい今は道らしいもの見えない。

 また杉の植林帯がしばらく続くが、抜け出すとやや北に進路は曲り始め、ようやく山道
らしくなる。何の木だか真っ赤に色づいた木が薄日に生えて美しい。左は手入れの行き届
かないか細い杉林、右手は雑木林と対象的な形がしばらく続き、フトウガ峰の山腹にぶち
当たった感じで左へ水平道をしばらく。やおら山腹を登り始める感じで笹原の間を登る。

なんの木だろう?紅葉が美しかった

 一気に視界が広がる。達磨ヶ峰から縦走してきた山並みを背に、山頂のアンテナ施設が
前方にある。段ヶ峰までの笹原は不思議な光景で、何でこんな山の上にこんな台地がと来
るたびに疑問に思うのだ。地学的は準平原と呼ぶのだろうが。

 フトウガ峰の山頂は以前と変わっておらず、あの時、食事で腰掛けた木柱が今も転がっ
ている。ザックを下ろして一服。段ヶ峰は西に見える長い地平線の様な山塊の中の一本松
が立つ所だ。今日はあそこまで行ってみるぜい。って、別に力まなくてもいいのだけれど。
(笑)
段ヶ峰への登山道から振り返る。フトウガ峰の山腹が綺麗

前方には錦をまとう段ヶ峰が近づいてくる

 笹原の中の杉谷分岐からやや北に振って、小さな鞍部に降りて行く。植林と雑木のコラ
ボだ。少し薄暗い林の中の最低部には水が湧き出している。これが倉谷川の源流らしい。
林から出るとそこは再び笹原で、片側はアセビとツゲに覆われた原だ。振り返るとフトウ
ガ峰の山腹がグラデーション。意外に綺麗ではないか。もう一週間か十日も経つともっと
鮮やかなのかもしれない。足元に目をやると道端にリンドウがあっちにもこっちにも。こ
ちらは今が旬のようだ。この辺りはもうほとんど水平道。倉谷をグルリと巡って段ヶ峰へ
廻る風に道は付けられている。ここまで来ると秋を愉しむ登山客も増えてくる。大方は手
軽な千町峠から登ってきたものと見える。段ヶ峰の最高点には松が一本生えているが、遠
目にも十人くらいがたむろしているのが見える。そこへたどり着く前にまずは三角点に挨
拶しておこう。最高点から50mほど手前だろうか。ササに囲まれた中に二等三角点と生
野町が立てた朽ちた木製標識がある。そして最高点へ。前回は白いガスで全く周囲が見渡
せなかったところだ。

 大方の方々が食事中。少し離れて小さな露岩の上に乗って持参の双眼鏡を眼に当てる。
フトウガ峰の山頂の人が手に取る用に見える。ああ、途中で追い越した家族連れだ。西に
方向転換すると千町ヶ峰。山頂近くに建物がある。個人所有の無線小屋だ。遠くにアンテ
ナを頂くのは暁晴山。ほかに西段ヶ峰や氷ノ山、粟鹿山、千ヶ峰、笠形山などが居並びい
い風景。視界が良ければ南に瀬戸内海も光るらしいが、残念ながら今日は霞がある。ここ
は少し混んでいるので最高点に戻ってゆっくり食事にしよう。

 あれ、新しいガスカートリッジがねじこめない。ネジ部を確かめると少しネジ山が甘く
なっているらしく、ガスの圧力に耐えられないようである。古いカートリッジでテンプラ
うどんはOKだったのが不幸中の幸い。食後のコーヒーはお預けだ。

 一人で食事の時はいつもゆっくりするのが我輩の定番。今日も気がつけば1時間以上も
グダグダしている。そろそろ腰を上げねば。最高点ももう人が減って今は2人組のみらし
い。

 アセビがもう早や来年の蕾を準備している。「アセビさん、鬼が笑うよ」関係ないか。
フトウガ峰も杉谷コースで降りるらしい3人組が分岐で小休止しているのみ。後は無人。
台地を独り占めするのも愉しいものだ。

 さて、フトウガ峰の笹原の間を歩いていると否が応でも斜めに節理のある露岩が目に付
くだろう。それに赤いシャツか何かが引っかかっているのを往路で目にしていた。先行し
ていた二人連れが休んでいたので遠慮したが、帰路は誰もおらず確かめてみれば、これが
なんと国土地理院の測量旗かのようであった。赤地と白地に国地院の文字。折れた赤白ポ
ールに結びつけて岩の割れ目に差し込んである。ということは何かあるな。期待を込めて
岩影を覗くとありました、新設の四等三角点。後刻調べたところでは、点名『倉谷』。段
ヶ峰から東を眺めてフトウガ峰との間の深い谷が倉谷だ。標高1071.7m。平成19年
8月28日に埋設されたと「点の記」にはあった。だが見慣れた花崗岩製とは異なって、
金属標をコンクリートで固めたものを埋設してある。あんまり有難みがないなあとは小生
の偽らざる感想ではある。

新設の四等三角点横にあった国土地理院の測量旗

 リンドウは少し花を閉じ始めている。一気に降りてきた登山口。車はもう1/3程度に
減っている。ザックを片付けて大きく伸び。今日もいい山でした。



【タイムチャート】
7:30自宅発
9:20〜9:30生野荘跡地登山口(駐車地)
10:05達磨ヶ峰の肩
10:15〜10:20達磨ヶ峰(912.7m(三等三角点))
10:47915m標高点横
10:59最低コル
11:26〜11:29フトウガ峰(1,082m)
11:57〜11:59段ヶ峰(1103.4m(二等三角点))
12:00〜12:03段ヶ峰最高点(1,106m)
12:05〜13:08段ヶ峰(1103.4m(二等三角点))(昼食)
13:35フトウガ峰(1,082m)
14:01最低コル
14:15915m標高点横
14:40達磨ヶ峰(912.7m(三等三角点))
14:47〜14:53達磨ヶ峰の肩
15:15生野荘跡地登山口(駐車地)



達磨ヶ峰のデータ
【所在地】兵庫県朝来市
【標高】912.7m(三等三角点)
【備考】 国民宿舎「生野荘」の裏山という感じの一峰ですが、北
から望めば生野高原では珍しく独立峰に見えます。山頂
からは余り展望がよくありませんが、山頂のやや東から
は銀山湖や千ヶ峰、笠形山、栃原の集落、ゴルフ場等が
指呼です。生野荘跡から35分、標高差350mの直登
です。
フトウガ峰のデータ
【所在地】兵庫県朝来市
【標高】1,082m (四等三角点『倉谷』1071.7m)
【備考】 段ヶ峰と共に生野高原を形成する峰です。明確な山頂と
いうものがなく、全山、アセビ、ササに覆われている為
に展望がよく、360度のパノラマが広がります。杉谷
コースが最も距離が短いですが、国民宿舎「生野荘」跡
から達磨ヶ峰を経て、段ヶ峰へ到る稜線歩きがお勧めで
す。
段ヶ峰のデータ
【所在地】兵庫県宍粟市(一宮町)・朝来市(生野町)
【標高】1,103.4m(二等三角点)
【備考】 JR播但線西部にあって、フトウガ峰、千町ヶ峰と並ん
で生野高原を形成しています。山頂はササと灌木が茂る
だけの為、360度の大展望が得られます。高低差のあ
まりない地形なので、霧、ガスが発生した際の用心の為、
コンパスと地形図の持参が無難です。
■近畿百名山 ■関西百名山
【参考】
2.5万図『但馬新井』、『神子畑』



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