坂越にて
 
平成19年 1月 8日(月)
天候:晴れ
うだつの上がる坂越の通り




 雪の降る時期は低山歩きに限るということで、青春18切符を利用して訪れた赤穂市坂
越。江戸時代、浅野内匠守が江戸城で刃傷に及んで切腹であい果てたことを伝える急使の
早駕籠が、坂越の峠で赤穂の城下を望んでようやくほっとしたと、何かの本で読んだこと
がある程度の知識しかなかったのだが、訪れてみると他にも数々の歴史に彩られた面白い
所である。古くは飛鳥時代。蘇我入鹿に圧迫された秦河勝が逃れてきて、その墓所が生口
島にあるらしい。更に隣の室津が有名だけれど、坂越も重要な廻船の寄港地であったこと
などだ。特に後者に関しては、それを偲ぶよすがが残されている。例えば、地酒の酒造会
社が今も残るが、参勤交代の本陣を勤めるほどの広壮な屋敷であること、真宗の寺が鄙に
は稀な立派な寺であることなどなどである。山歩きが主だったので街中をゆっくり散策で
きなかったけれど、目抜きの石畳の両側の家々は黒を基調に、落ち着いた風情である。

坂越の通りの角にあった道標
右、大坂 左、城下とある

 しかし何といっても、素晴らしいのは海の景色そして、そこから得られる海の幸かもし
れない。浜に設けられた海の駅には、各地からの車が集まっていて、食事の順番を待つ家
族連れが並んでいる。真っ赤なコークスの上の大きな金網で焼く魚介類は殊のほか美味だ。
とりわけOさんに教えてもらった焼きカキは、すこぶるつきの美味。焼いても縮まない身
はプリプリとして、レモン汁をかけるだけのいたってシンプルなものだが、それ自体が含
む塩味だけで十分堪能できるものだった。色々メニューはあるけれど、帰りの電車の都合
で、ほかに食したのはアナゴの白焼きに大エビ。熱燗の酒とあいまって、頬がほんのり赤
く染まると同時に、おなかもふっくら温まったのであった。活魚介類の即売もあって料金
もリズナブル。街中や茶臼山の展望台の散策とセットにすれば、京阪神からのいいドライ
ブコースではなかろうか。
市内循環バスは歌舞伎から
文字って「ゆらのすけ」




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