峠山〜多紀アルプス春爛漫
 
平成19年 4月14日(土)
【天候】晴れ
【同行】別掲
Ca600m峰の西の肩付近から
木の間越しに峠山


 いまだサツキツツジには黄色い花が無いと聞いたことがある。その珍しい黄色の花を咲
かせるツツジといえばヒカゲツツジ。そのヒカゲツツジといえば丹波市春日町の向山が有
名。近頃はシーズンともなれば観光バスを仕立てたり、JRの駅にも近いのでJRのハイ
キングツアーなどで大挙ハイカーが押し寄せるほどだ。これもネットの普及のお蔭だろう。

 ただ、ヒカゲツツジは向山に限らず丹波地方の山々に多く、隠れた名所が数々あるのだ
が、筱見四十八滝付近もその一つ。ヤマケイにも取り上げられ、岩壁に無数に咲く花々は
なかなか壮観。というわけで8年ぶりに出かけた四十八滝。前回は9月だったのでこれほ
どの花があるとは知らなかったが、噂通りの素晴らしさだった。こんなことをいうと、こ
こも人が溢れるかなぁ。(^^; って、それほど自分に影響力もないのだが...。(^^;

 R173沿いの篠山の道の駅を過ぎると、並行する藤坂川ぞいは桜並木。花吹雪が舞い、
ちょうちん類を片付けるジモティのおじさんたち。まだまだピンクの並木を標識に従って
左折すれば筱見四十八滝へ8:20頃到着。キャンプ場の駐車場には流石に先着の車は無
い。
四十八滝の最初、手洗滝
赤いヤブツバキが滝つぼに

 用意を整えてまずは滝見物。周遊道をあずまや横から滝川を左に見て進む。昨夜来の雨
で岩盤が滑りちょいと危険。足元に注意しながら修験者がまず手を清めたという手洗い滝
を手始めに弁天滝へと登っていく。能勢を越える時には黒い雲から雨が落ちてきてやきも
きさせたが、その北から流れてきていた時雨雲も通り過ぎて朝日が当たりはじめる。タム
シバも散り始め、山桜も薄赤い葉が目立ちだしてきた。

岩の間に咲いていたシハイスミレ

 所々に展望台のような岩の台地がある。朝日の当たる向かいの岩壁にはクリーム色をし
た無数のヒカゲツツジの花が散りばめられていて、赤松の緑とあいまって山水画の世界だ
なあ。ヒカゲツツジといっても何も日陰にあるわけはないのだ。(笑)

満開のヒカゲツツジ

岩壁に咲き乱れるヒカゲツツジ

 山腹を巻いたり、谷川沿いに登ったり。長滝、大滝、一の滝、二の滝を見物して最後の
鎖場を登る。8年前は確か鎖が無かったような。高さ5m位の岩だけれども、手がかり、
足がかりが豊富なので誰でも大丈夫。ここも南側が大展望で上筱見の集落や百万石酒造の
白い建物が眼下にミニチュアのように。遠くは半国山、深山高原、高岳北尾根、弥十郎ヶ
岳の山々だ。
ヒカゲツツジの横を攀じ登る

 この岩の横は滝周回路と多紀アルプス縦走路方面への分岐になっていて、勿論、縦走路
方面へ向かったのだが、なんだか勝手が違う。なぜといえば以前来た時は平坦道だったは
ずなのに、今回は急峻な狭い道であるからだ。ヒカゲツツジの間に潜り込む様な感じで進
む。こちらの道はあまり使われていないようで、テープもあって踏み跡もしっかりしてい
る割に左右の枝が張り出しているところもある。山腹をへつりながら上がった所は八ヶ尾
山方面への道との出合いである。

 北方向へ続く尾根道を進むと、なんだか見覚えある風景だ。多紀連山縦走路の標識のあ
るCa600mピークではないか。8年前は峠山の山頂かもと勘違いした所だ。だんだん思
い出してきたぞ。という事はここを西に下れば平坦コースとの出合い?確かに降りてみる
と平坦コースがあって、その西にはキャンプ場から直接上がってくる道との出合いもある。
慶佐次さんも書いているように、道が錯綜してこんがらがりそう。(^^; ま、兎に角、我
々は西へ西へと向かえばよい。アセビが鈴なり、クロモジの黄色い花、タムシバの白さ、
ヤマザクラのピンクが目立つ丹波の山が一番いい時を迎えたようだ。90m程度の登り返
しで、それ程きつい登りも無く、滝の上の縦走路出合いから30分ほどで峠山に行き着く。
峠山も遠くから見れば独立峰でも、近づくと稜線の中の高み。北側は植林で南側は自然林
で周囲を見晴らすことは出来ないけれど、三角点中心に小さい広場になっているのでここ
で食事とする。

峠山山頂

 峠山を西へ下っていくと稜線沿いに黒い疑木階段が続き、降りた所にはベンチが置かれ、
疎林の向こうには幾つかのピークの向こうに小金ヶ岳が顔を見せている。ここからは林道
ほどもある遊歩道がつづら折れに下っていく。しかし、予算が続かないのか作りっぱなし
は否めず、本来の遊歩道はイバラやヤシャブシ、カヤトに占領され、その横に迂回路がで
きているという本末転倒の部分もある。まあ、これが本来の姿かも。(笑)

 ジグザグの遊歩道歩きで面白みに欠けるが明るいのが取り得の道を下って、小倉タワの
300mほど東の鞍部にやってくる。南の上筱見へは林道歩き。北の藤坂へは荒れてはい
るが古道が通じている。

峠山から無名の峠へ降り立つ
左が上筱見、右が藤坂、直進は小倉タワへ

 道標に従って、林道を南に下る。こういう地道の林道はえてして花々が多いものだ。チ
ャルメルソウ、ヤマネコノメソウ、コンロンソウだったか記憶が定かでないが、そんな花
々が見られる。右の沢が大きな流れになって音を立て始めると里も近い。水溜りにはヒキ
ガエルのおたまじゃくしが数千匹も群れている。このうち何匹が大人になるんだろう?水
は干上がらないのだろうか?そう思えば自然とは過酷なものだ。

上筱見最奥の茅葺の民家。日本の原風景です

 さて、林道出口からは萌黄色の山に囲まれて、上筱見の最奥の唯一の茅葺きの農家が見
える。誰の絵だったかどこかでこんな風景を見た記憶がある。耕作放棄された田畑も見ら
れるが、耕された田には早くも水が張られ、蛙の鳴き声がかまびすしい。畔には濃いピン
クの梅の花が艶めかしい。フキノトウもすでにトウが立ち、キンポウゲやカンサイタンポ
ポなど黄色い花が増えてきている。筱見観音の角を曲れば百万石酒造の建物横で、東多紀
アルプスの荒々しい姿が北に迫ってくるが、タムシバだろうか、白い花が転々とさながら
雪のようである。 草むらで鹿の角の根元を拾う。持ったのは初めてであったが、かなり
重量があるものだ。さぞかし鹿も重いことだろう。(笑)

 筱見四十八滝のキャンプ場の駐車場も満杯になっている。すると林道の方から男女団体
のハイカーが我々と同じように降りてきた。その方々の車だったらしく、広場は一気に賑
やかになる。今日も無事帰着というわけで、その時刻を書きとめんものとポケットをまさ
ぐる。あれ?無い。手帳が無い。忘れた場所をつらつら考えるとヤブカンゾウを収穫した
時か、それを袋に詰めた時かしかない。その場所を捜してみればやはりあった。ヤブカン
ゾウのゲット場所。うう。忘れ物だらけ。ボケてきました。

 帰路。藤阪川の桜並木には、散り初めの桜を惜しむ人々が行き来している。春の日がう
らうらと、その背を暖めている。春爛漫の丹波の半日でした。


■同行 北山さん、たらちゃん、水谷さん、もぐさん(五十音順)

【タイムチャート】
7:00桃山台駅西ロータリー(集合地)
8:18〜8:30筱見四十八滝駐車場(駐車地)
9:00シャレ滝
9:30大滝
9:36一の滝、二の滝
9:44〜9:52Ca550ピーク東南東350m付近(小休止)
10:17八ヶ尾山方面道出合
10:32平坦コース道出合
10:35キャンプ場道分岐
10:51〜11:25峠山(630.6m 三等三角点)(昼食)
11:44無名の峠
12:20上筱見の最奥の民家
13:05筱見四十八滝駐車場(駐車地)


峠山のデータ
【所在地】兵庫県篠山市
【標高】630.6m(三等三角点)
【備考】 東多紀アルプスに属する一峰で、小金ヶ岳の東に位置し
ます。昔、修験者は麓の筱見四十八滝で身を清め、三岳
方面へ歩いたといいます。ヒカゲツツジといえば西の春
日町の向山が有名ですが、ここも隠れた名所で、春は他
にタムシバ、山桜が咲き、春を満喫できます。
【参考】
2.5万図『村雲』



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