舎羅林山〜静かな里山散歩
 
平成19年 2月18日(日)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】後半から水谷さん
東多田より望む舎羅林山


 この週末は雨もよい。こんな時は行き先が決まらずともソワソワせずに良いので、のん
びりとしたもの。ところがラジオからは日曜は回復基調と予報官が意味深な解説。が、朝
が明けてみれば雨は上がったもののどんよりとした空。当然、テンションは上がらない。
加えて夕方からは野暮用もある。それでもこのまま家にいてもしようがない。で、軽い所
で前々から気になっていた川西の低山舎羅林山へ。

 一体、舎羅林山とは何処から付けられた名前なのだろう。シャラの木が多い訳でもない
し。それとも便秘が治るのかな?なんで?だって「サラリン、サラリン、サラサラリン♪」
とかいうO製薬の便秘薬のCMが昔々あったもんね。と一人漫才も出来る山。(-_-! でも
実は由緒正しい山なのである。源満仲が舎羅林山石峰寺を建立した事に始まるらしいと慶
佐次さんの本にある。まあ薀蓄はこの位にして、閑話休題。

 概して、市街に近い山というのは駐車地に苦労すると同時に、取付きを探し当てるのに
難渋するものである。この舎羅林山もその例に漏れない。地形図を見て最も顕著な尾根筋
は東多田付近からのものなので、ここを起点にとR173沿いの最寄のコインパーキング
を探すことにしたが、めぼしいものが無い。住宅地も古い町道を利用したものが多く、入
り組んでいて狭い。駐車違反もつらいし、ここは最寄のショッピングセンター「I」を利
用させて頂くにしくはない。「I」さん、どうも御免なさい。m(_ _)m

 憂いのない駐車地を確保して、能勢電多田駅南側の踏切を渡って東へ向かう。しばらく
行くと、新興住宅地の間に古い豪壮な民家が現れて、その向こうになだらかに起伏する舎
羅林山が姿を見せる。

 さて、取付き。上ヶ芝霊園が目印なのだが、最初に一つ案内板があったっきり、次が現
れない。あら?路地の奥は行き止まり。むむむ。しばらく考える。霊園と今風に云うが本
当は地元の古い墓地なのではないか。それなら、新興住宅に付けられた新しい道でなく、
農家などの前を通る古い道を歩いた方が良かろう。うむ。我ながらすこぶる合理的な考え
だと自画自賛。というわけで、戻ってそれらしい道を探すと。あったあった。東多田公民
館から立派な門まである農家の前を通る道。二つ目の霊園の案内板も出てきてこれでもう
間違いなし。(^^;
左が霊園、右の看板のある所が舎羅林山の取付き

 上ヶ芝霊園は思った通り地元の小さな墓地ながら駐車スペースもあり、簡易トイレもあ
る。でもジモティー以外は見つけるのは至難であろう。その墓地の右寄り、フェンス沿い
に綺麗な山道がスーッと林に吸い込まれていく。これが地形図の点線路に違いない。

 ほとんど傾斜も感じられない道だ。しかも洗掘されて古くから作業道として使われてき
たような雰囲気があり、赤プラ杭も埋まる。周囲はソヨゴ、リョウブ、ヒサカキの多い典
型的な北摂の里山の二次林だ。近くの学校のクラブ活動か何かの喚声が意外にはっきりと
流れてくる。それが左手深くに溜め池を見る頃には聞こえなくなり、後は野鳥のさえずり
のみの静けさだ。道はようやく北東向きの尾根に乗り始める。

コシダが茂る綺麗な山道

 徐々に傾斜も大きくなる。倒木も無くコシダやウラジロの茂る中を進めば、まもなく高
圧鉄塔(山下線bT1)が立つ台地に行き着く。更に東へ進むと赤茶けた裸地。昨日の雨
でよく滑る。何だか知らぬが、四足のケモノまでもが滑っているようだ。(笑)

 立派な十字路に出る。西向きには蒲鉾板大の小さなプレートが架けられていて『西平野
へ(多田、山頂コースもあり)と懇切なガイドがある。東へ向かうのは何処へ行くのだろ
う。伏尾台方面かなあ。それにしても流石に里山だけあって、縦横無尽に道がある。それ
らに魅かれもするが、我慢、我慢、今は更に高みに上がっていくだけ。(^^; マツタケシ
ーズンの名残か、張られた白いPPテープを右に見ながら、やがて傾斜が落ち着き道が西
に向き始めると、小さな露岩が増えてくる。そうして水平道を西に進めば頂上は直ぐだ。

舎羅林山の山頂

 山頂は失礼だがマイナーな低山にあるまじき?風格ある感じ。適度に露岩が配されてさ
ながら日本庭園の趣き。しかもネズの古木がいい。その下にケルン?が積み上げてあって、
三角点標石があるのだが、これが角が欠けて少々悲惨な状態だ。誰だ、こんなに痛めた奴
は?けれどもそれ以上に悲惨なのは北側の造成地。大きく抉り取られ、しかも造成途中に
業者が倒産したからほったらかし状態である。でもその功罪で唯一"功"を残したとすれば、
その展望で、北摂の山々の展望台と呼んでも過言ではない。先端まで出れば、左手には羽
束山や大船山、昼ヶ岳、大野山と三田方面の山。仲良く並ぶ堂床山、竜王山、三草山の左
に鎮座するの双耳峰は杉生の愛宕山だろうか。更に右奥中央に深山、剣尾山、高代寺山、
振野、妙見山、天台山、明ヶ田尾山、鉢伏山とざっと上げてもこれ位の名前が出る。そし
て一の鳥居付近のR173近くには、青山短大が造った例の城に似せた美術館も目に入る。

 湯を沸かして今日はレギュラーコーヒーを入れる。好物のタマゴサンドを頬張りながら
眺めていると、いつの間にか雲が切れ始め、高代寺山の山腹に明るいスポットが出来てい
た。

 さて、一息ついて後片付けをして山頂にお暇し、もと来た道を戻ろうとした時である。
誰かが上がってくる気配。と、名前を呼ぶ声。
「??」
「あれ、水谷さん.....。」

 額に何故かえらい玉の汗。実は南の伏尾台方面から取り付いたそうだけれど、民家を避
ける為に一部ヤブを漕いで来たのだとか。そういえば、矢問さんのHPに南に下るとどう
しても民家の庭先を通らねばならず、仕方なく戻ったという記述があったっけ。

 山頂に戻って再び小休止の後は、違う道で下山しようということで、山頂南西側に下っ
ている道を採る。こちらも明快な道だが、右は造成地の崖が迫ってきている。するとすぐ
に『立入禁止』立て看板が現れた。どうも倒産した土建業者のものらしい。物々しくロー
プを張ったこんな無粋な看板が2つある。次に現れるのは高圧鉄塔。山下線bT3。直進
すると能勢電の平野駅へ出るらしいが、ここで我々は左に折れる。すると、また明快な十
字路に出た。東は往路にあった十字路と繋がっているのだろう。西に進めば『小学校』と
標識がある。更に南へ進むと今度は山下線bT2の鉄塔が現れ、その後は照葉樹で薄暗い
小さな谷になるが、ここが今日一番の難所だった。なにせ、土質が雨でややぬかるんだ粘
土質の斜面で、枯葉とあいまってイノシシも滑った跡があるほどよく滑るのだ。こういう
時はトレッキングステッキが役に立つ。何とか尻餅もつかずに沢へ。ちょろちょろと一人
前に水が流れている。

 谷を横断し、登り返せば直ぐに明るくなって、切開きには見覚えのあるbT1の鉄塔は
すぐそこ。ここで往路に合流したのだった。

 喋りながらだとあっという間に登山口だ。霊園に戻ってぶらぶらと住宅地を西へ。山と
いうより丘といった方が相応しい舎羅林山を背後に見ながら多田駅方面へ向かう。その多
田駅の南の踏切りを渡ってショッピングセンター「I」の入口に入ろうとした時である。
左に一軒の和風レストランがあって、ガラス窓にイノシシ肉100g500円のビラが張
ってある。ほお?安いなあと思いつつふと手すりを目をやると異様なものが。なんと大き
な毛皮。やや?イノシシの皮ではないか。近寄ると左側の皮には乳首がついているからこ
れはメスであろう。かなりの大物だ。ちょっと毛を触ってみたけれど剛毛かと思いきや、
意外と柔らかいものである。哀れ今頃、肉はヒトの胃袋へ納まっているのだろうなぁ...。

手すりにイノシシの皮が干されている

 市街地に近い里山も、歩けばこんな面白い発見があるものだ。意外に広いものの舎羅林山。
これからもちょくちょくこんな場所を探して行って見ましょうか。水谷さん、有難うござい
ました。

【タイムチャート】
12:20自宅発
13:20〜13:30イズミヤ(駐車地)
13:45東多田上ヶ芝霊園
14:00〜14:02高圧鉄塔(山下線bT1)
14:10十字路
14:15〜14:55舎羅林山(264.5m 三等三角点)
15:00高圧鉄塔(山下線bT3)
15:05高圧鉄塔(山下線bT2)
15:10高圧鉄塔(山下線bT1)
15:25東多田上ヶ芝霊園
15:30イズミヤ(駐車地)

舎羅林山から北方を眺める

舎羅林山GPS軌跡 (罫線間隔は10秒=約300m)
 国土地理院2.5万地形図閲覧サービス、フリーソフト『カシミール』を利用しました)


舎羅林山のデータ
【所在地】兵庫県川西市
【標高】264.5m(三等三角点)
【備考】 川西市街の東に広がる丘陵状の山です。北側に大規模宅
地が造成され、この山頂もあわやという時に業者が倒産
し、辛うじて事無きを得た感じです。山頂は北側が開け
北摂の山々の展望台といっても過言ではありません。ま
た、植林もなく、よく二次林が残されており、里山の典
型としてこのまま保存してほしいものです。
【参考】
2.5万図『広根』



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