大原野から余寒のポンポン山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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今年も咲いたF草 |
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今年は記録的な暖冬で、スプリングエフェメラルと呼ばれる花々も開花が早いようであ る。そのお蔭で、わがMLもかまびすしいこと。今日は主要メンバのほとんどがポンポン 山へ。勿論、お目当てはあの花です。 低気圧が通過した後の余寒。予報は晴れだというが、朝から灰色雲が空を覆う。箕面か ら茨木の山あいを抜けて、二科経由で高槻の樫田に出て樫田トンネルには抜けずに東進す る。西京都変電所の宇宙基地の様な設備を横目に狭い府道を進むと大原野森林公園がある。 狭い路肩には、見知った車も駐車している。(笑) 少し戻った路肩を借りて車を止め準備していると、とうとう小雪がちらつき始めた。想 像以上に寒い。森の案内所の寒暖計は2℃しかない。慌ててスキー帽で耳を隠し、手袋用 意。 森の案内所から道なりに歩けば自然と西尾根コースに出る。出灰川沿いに進んで、三つ ほどそれに架かる橋を渡ると植林下の山腹を巻く山道になる。20分程で出灰へ延びる林 道とお別れして、いよいよ尾根コースだ。リョウブの丘まで1.6km。 赤松の痩せ尾根を抜けてツツジの丘を過ごせば、ひねたササが現れて、見覚えある分岐 に到達する。前を歩いていた二人の小父さんハイカー、おもむろに左に折れた。 「F草ですか?」 「そう」 ニヤッと笑うおじさんたち。 憚られたりしたものだ。何となくそれらしくついていた踏み跡も、今は丸木階段も整備さ れて両側にはロープが張られ一方通行に進むようにしてある。目的の斜面では地元の監視 員の方が暖を取りながら談笑している。
「美人がいないですねえ」 「こんな天気なのでねえ...。盛りは来週かな」などと監視員の方と話をする。その監 視員の方が詰める場所から下にまだロープが張られ、谷底まで降りて行けるようだ。する と下からどこかで見知った顔の男性が上がってくる。用意周到の長靴姿。 「あら?スナフキンさん」 今日、来るとはMLにあったけれど、まさか遭遇するとは思わなかった。だが大分早めに 来た彼も他のメンバには会っていないということだった。 谷へ降りてみよう。ヤマシロネコノメソウが咲いているそうだ。存外、明快な踏み跡が 斜面を下りて行き、植林下の急斜面を過ぎると谷に出る。竈ヶ谷だ。この竈ヶ谷という名 前もやはり炭焼き窯が多い事に由来しているのか?。沢沿いの至る所に崩壊しかかった窯 跡が残っている。その沢を遡る。1m程度の滝ともいえない小さな滝を見て、右に曲ると 小広い広場になっていて、標識には『ケヤキの森』とある。なるほど斜面は落ち葉の絨毯、 ケヤキの裸木が居並ぶなかなか雰囲気のいいところである。そして沢沿いには意外に明瞭 な踏み跡が残っていて、このことからも、里山として昔は村人の生活の場であった事が良 く判るのだ。
ネコノメソウは流れの中の岩だとか岸だとかに生えることが多いので、それらしき所を鵜 の目、鷹の目すると...。なんだか径5ミリ足らずの黄色い花が見つかる。多分これだ ろう。ところがデジカメに電源を入れるも「ウイ〜ン」と唸るだけ。 「やや?電池切れか?この肝腎な時に...」 予備の電池に入れ替えるもこれも駄目。ついてない。デジカメって初期の駆動電力がかな り必要みたい。持参のGPSの交換電池にはちゃんと使えるのに...。ここは諦めるし かない。(^^; 元へと戻ると次から次へと来客は増える。そろそろ場所を譲ろうか。森林公園の中は通 常の場所では火気厳禁。限られた場所でしかストーブ等は使えない。というわけでリョウ ブの丘へ向かうと前方からまたまたスナフキンさんだ。リョウブの丘では何人かが食事中 だというが、見知った顔はいなかったそうだ。行ってみれば確かに2、3の組が昼食中で あったが、見知った顔はやはりない。折り良く床机が一つ空いたので昼休み。ラーメンの 湯を沸かす間にも小さなアラレがパラパラと枯葉を叩く。と思う間もなく青空から陽が射 すという目まぐるしさである。丁度、数年前に来た時もこんな天気だったのを思い出す。 熱いコーヒーを飲み終わり、さて後半はどうするか迷ったが、ポンポン山の頂上までは 600m。ここまで来たら「○○と煙は高い所へなんとか」。山頂へ寄ってみたくなる。 食事の後は一寸しんどいものだけれど、もうそれ程の登りもない。マンサクらしい満開の 黄色い花を見て、山頂直下の階段を登れば見慣れた山頂、と思いきや、ここもえらく様変 わり。より広く伐採されて展望は良すぎるほどになっている。丸太を利用したテーブルと 長椅子を並べた露天の休憩施設もどきのものまである。幾ら東海自然歩道だからといって、 あまり触ってほしくないと思うのは小生だけだろうか。必要最小限、あるがままがいいん ではないかなぁ。 肝腎の視界の方はまあまあで、大阪市内の高層ビルの手前に淀川が鈍く光り、生駒も北 西方向から眺めると、葛城、金剛と重なって見えて、へえ、あんな形をしているのかと思 ってしまう。北東は京都市街が近く、京都タワーや本願寺の甍らしい大屋根も見分けられ るほどである。遠く愛宕山や比叡山、更に比良の山々が霞む。西方向には北摂の山々が並 ぶはずだが、唯一良く判るのはアンテナ施設を冠した黒柄岳のみである。風が冷たい。余 り長居は出来ず、来た道を引き返す。 F草群生地の分岐まで戻ってきたら、見慣れた帽子が群生地へ向かっていくではないか。 もぐさんと呉春さんの一行である。スナフキンさんや、たらちゃんとさかじんさんのグル ープ、水谷さんのグループにも会ったそうだ。とすると、スナフキンさん以外のメンバと は、小生がリョウブの森で食事中にすれ違ったみたいだ。 ていたことを確かめよう。というのは前述の如く、ここからポンポン山方面に向かう時、 道なりに行けば西尾根コースをとってしまうのだが、東尾根コースというのがあるはずな のだ。その取り付きは何処なのだろう。正解はトイレの建物の裏の尾根なのだった。目立 たないが、オフィシャル道標も立っている。今度は一度、そちらからアプローチしてみて も面白そうだ。 F草の開花時間に合わせて、少し遅くスタートしたこともあるが、途中、何やかやで、 結構、時間を喰ってしまった。時間があれば小塩山にも行くつもりが、下山が2時半近く になってしまい、あきらめてまた今度。その取付きだけ調べてみると、森林公園のゲート 前の関電の巡視路が小塩山の登山道になっているようであった。 薄い陽射しにまた小雪が舞う。装備を解いて車のリアゲートを閉めようとふと見上げた 時だ。目の先に緑の長い葉。葉っぱを根元からしごくとザラついた感触。シュンランであ る。何気なく見つかるのだから、やはりある所にはあるものだ。(笑) 考えてみればこの辺りは取りこぼしの山が多い。小塩山同様に明神ヶ岳も黒柄岳もそう だ。帰途はそれぞれ取付きを確かめることにし、中畑のバス回転場や樫田トンネル南口に 寄ってみる。それぞれ登っている人がいる様で、それらしい車が止まっている。また近い 内にお邪魔します。その時はよろしく。口で呟きながらトンネルを抜けて帰ろうとしたら、 再び小雪がちらついてくる。余寒のポンポン山でした。
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