六甲高山植物園、ついでに石楠花山
 
六甲高山植物園東入口
平成19年 6月23日(土)
【天候】晴れ
【同行】単独


 たまにはブラブラ散策もいいものだ。急に天気が好転したものだから、何処という行く
当てもない土曜日。それなら、コマクサが咲いているという六甲の高山植物園なんかどう
だろう。それでは早めの昼食を掻き込んで行ってみましょう。

 途中で腹が減るだろうから、サンドイッチとお茶を買い込んで、宝塚から県道を登る。
家を出て1時間と少しで高山植物園の東入口だ。芦有ドライブウェイなんか使うなんて勿
体無くて...。(笑) 

 実は六甲山の高山植物園は、幾度も前を通ったことがあるにもかかわらず、一度も訪れ
たことがない。もう一つの森林植物園も以前、オフの際に1、2度歩いたことがあるくら
い。それがなんで行く気になったかといえば、きっかけは十三駅で乗り換え待ちの間にふ
と見かけたポスターなのである。それで帰宅して高山植物園のHPを見たら、コマクサも
ササユリも咲いているとのことだった。駐車場代500円、入園料600円也。東入口に
は軽食堂がある。

 園内は予想より広く、ゆっくり回って2時間位要しただろうか。ロックガーデン、湿原、
山のエリアなどがあり、多くの人達が散策している。最初に目立ったのはヤマオダマキ。
シモツケソウに似たキョウガノコ。そしてオオバオオヤマレンゲ。これは大峰で咲くオオ
ヤマレンゲとは少し種類が異なり、おしべが赤い種類である。ササユリはやや盛りより早
く、ちらほら咲きだったけれど、固まって咲くのでなく、あちこちに飽くまで自然に近い
形なのがいい。しかもナルコユリと並んで咲く姿は面白い。それにしても今までに一度は
見たものが多い。ということは伊達に山歩きをしていないのだと、妙なところに感心して
しまう。(笑)

 ロックガーデンでは、なんといってもコマクサ。タカネナデシコ、キンロバイ、チシマ
ギキョウなどなど。池の向こう側に進むとニッコウキスゲが咲き始めていて、黄色い花が
風に揺れている。

 休憩所の周りはアジサイの園。コアジサイが芳香を放ち、シーボルト以来、久しく見つ
からなかったシチダンカ、ガクアジサイ、エゾアジサイ、ヤマアジサイなどが妍を競って
いる。ヒメリュウキンカに似たエンコウソウが咲く木道を伝って、小便小僧の広場から戻
る。この辺りでとりわけ興味深かったのはツツジの林。シロヤシオ、アカヤシオ、オンツ
ツジ、ベニドウダン、サラサドウダンなどが植わっていて、その違いが良く判る。紀南に
咲くオンツツジは初めて見たけれど、その葉はことの他、大きいものであった。

 続いてアルプスの岩場ではエーデルワイス。名前から想像するといかにも可憐な感じが
するけれど、母子草みたいなもんで、日本ではウスユキソウが近縁だそうだが、やっぱり
小生にとってはコザクラ系が好みだなあ。(笑)

 と、なかなか楽しませてもらったが、折角、六甲まで来たのだから、一つ、三角点をゲ
ットして帰ろう。ターゲットは石楠花山。前述の如く、以前、六甲でオフがあった際に登
りそびれた山である。六甲山域は広いけれど、意外や三角点が少ないのだ。石楠花山は摩
耶山の北にあって、世間で言うところの独立峰というほどの山ではないが、前記の理由か
ら何となく取りこぼしたみたいで気になっていたのだ。

 植物園前から移動して、六甲のメインストリートから森林植物園方面へ向かう。時折見
える下界の景観は梅雨時にしては素晴らしく、大阪湾から紀州方面まで一望だ。おっと、
見惚れていると危ない、危ない。

 ドライブウェイから炭ヶ谷経由神鉄花山駅への道標が立つ所を折れると、一寸した広場
になっていて、更に先に林道が伸びている。但し、今日はロープの車止めがある。もとよ
り、奥まで行く積もりはないから、広場に車を止め、靴を履き替えていた丁度その時であ
る。ガサガサと笹薮が揺れる。すわっ、熊かイノシシかそれとも...。と身構えたらなんと
ザックを背負った小父さんだった。ホっと安堵。
「今日は」
「ああ、どうも。あのう...ここ会社の私有地なので駐車を遠慮してもらってるんですよ」
「はあ、そうなんですかぁ」
「実は、大型ゴミの不法投棄や盗んだ車をここへ捨てていく輩とか、真砂土を勝手に掘っ
ていく者が多いもんですから...。車上狙いもあって、それで交替で見回ってるんです。も
う直ぐ交替がくるはずだけど...。何台か処分したのに、ほれ、そこの廃車もそうですよ」
確かに錆びついた廃車が1台。
「いやあ。石楠花山に登りに来たんですけど、そんな事情ですか」
「うーん。それじゃあ、ここじゃなくてこの先の林道を80mほど進んだ所へ停めて下さ
い。私の車も停めてますから」
「いいんですか?」
「ロープ緩めて、戻る時にまた元に戻しておいてくれればいいですから」
お言葉に甘えてダートの林道をガタゴト進むと、云われたとおり3台ほど停められる空き
地がある。
石楠花山山頂へ延びる林道

 再度、歩く準備。といっても往復1時間もかからんだろう。広い林道を進み、花山駅へ
のハイキング道と分かれる。この付近、マムシ谷や獺谷なぞ、おどろおどろした地名が多
い。昔から六甲の裏の薄暗い谷だったのだろう。

 ほとんど坂道はなく水平。ズンズン進むと林道の終点は大きな広場である。ベンチも置
かれた二階建ての展望台もある。中央には神戸市の消火栓。展望台に上がると淡路島や明
石海峡大橋、高取山、菊水山など須磨方面が見渡せていい景色。

石楠花山の展望台からは須磨アルプスや
明石海峡の向こうに淡路島が浮かぶ

 ところで三角点はいずこに....。実はこの広場にはない。この広場の手前にテープのあ
る小道があったがそれがアプローチらしい。しかし、ならばもっと簡便に探せるはず。林
道をGPS片手に戻る。すると、テープはないけれど、けものみちのようにブッシュが薄
い部分がある。ここから突っ込んでやれと、蜘蛛の巣を掻き分けて痩せた疎らな笹を少し
漕ぐと、小さな尾根に明瞭な踏み跡が現れた。そこから10mも南へ辿るとあっけなくブ
ッシュに囲まれた二等三角点の標石だ。ドンピシャの獣道だあ。(^^; 

 この標石、昭和19年の選点だという。敗色濃厚の時期に、どんな目的でこんな場所を
選んだのか...。ただ、こんな面白みのない所へもマニアは来るらしく(と、他人の事は言
えた義理ではないのであるが)、幾つかの山名プレートがぶら下がっている。大きなササ
ユリが1本ポツンと咲く静かな場所である。が、なんとなく不気味に感じる。フットワー
クがよいこんな場所が、えてして自裁の場所になったりするのだ。そう考えると余計、ゾ
ッとしないなあ。三角点の証拠写真を撮った後は、そそくさともと来た道を引き返す小生
である。(^^;
石楠花山の二等三角点。こんな所にも立派な
山名板やプレートが

三角点横でひっそりと咲いていたササユリ
虫に食われていたが立派な花でした

 広場には小父さんの車がまだある。交替要員はまだなのかなあ。ロープを外して向こう
側に出て、車の側でコーヒーブレーク。三角点を踏んでの熱いコーヒーはやっぱり美味い
わ。(笑)
追伸: 名前の様な石楠花は1本もありませんでした。


六甲高山植物園の花々』の画像を見る

【タイムチャート】
11:40自宅発
13:10〜15:10六甲高山植物園
15:45〜15:53石楠花山取付き(駐車地)
16:03〜16:05展望台
16:10〜16:12石楠花山(651.9m 三等三角点)
16:20石楠花山取付き(駐車地)


 石楠花山のデータ
【所在地】兵庫県神戸市北区
【標高】651.9m(二等三角点)
【備考】 摩耶山の北、六甲山牧場の西に位置する三角点峰です。
といっても目立たず、展望台のある広場が山頂となって
いて、三角点は樹林の中で目立ちません。西六甲ドライ
ブウェイからが取り付きやすいです。
【参考】
2.5万図『有馬』



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