逢山峡〜初秋気配の沢で遊ぶ

 
童心に帰って水遊びに興じる(茶園谷にて)
平成19年 9月 2日(日)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】別掲


 立秋はとっくに過ぎたけれど、まだまだ残暑厳しい大阪近辺。今日は世界陸上最終日で
早朝から女子マラソン。白人選手などは火事場の金時か茹でダコみたいな形相で走ってい
るのだとか、カーラジオの実況中継は伝えている。しかし、なんで大阪だけこんな暑いの
だろうか。名古屋も東京も30℃以下だというのに、大阪は二日連続の猛暑日だったと月
曜の朝刊で知る。

 残暑払いに水遊びしようというNさんの呼びかけに乗ってやってきた逢山峡。おかげで
そんな暑い思いはせずにすんだどころか、滑らない様にとかえって冷や汗。やっぱり沢遊
びには沢靴要るなあ。(^^;

 阪神高速北神戸線は、からと東ICで降りる。Nさんに教えてもらった通りに、料金所
すぐの分岐を左に折れて、阪神高速の高架下を下っていくと、林に入っていく林道分岐に
車止めがある。その前の路肩の広まった所には、すでに1台の車が駐車している。8:5
5。長靴に履き替えていると、Lさんの車も有馬口方面から上がって来、集合時間の9:
20にはNさんの車も到着。その間にもちょくちょく車がやってくる。ことに犬を連れた
人達が多い。Nさんによれば、ここは水場で犬を遊ばせる名所なのだそうだ。

からと東ICから200m。逢山峡への林道入口

 車止めを越えて舗装林道を谷沿いに進む。200mも行くと東山小橋。それを渡ってす
ぐ左カーブのところで、林の中に入る踏み跡を伝うと川原に出る。流れる水は割りに綺麗
で、川底の石にもそれほどぬめりはない。皆さんは沢靴、小生だけは長靴のいでたち。だ
から皆さんが早速スイスイ、ジャブジャブ行くところ、こちらは少々の流れは越せるが長
靴の丈を越えるところは両岸の岩を伝うしかない。それも出来ない場合は、林道に上がら
ねばならない。
早速水遊び

 流れが緩くなったプール状の場所では、先に林道を犬連れで歩いていった人々が犬を水
遊びさせている場面に遭遇。3、4頭はいただろうか、ボールを水面に投げては犬に拾わ
せるのだが、犬も大阪の暑さには耐えられんとばかり、嬉々として水に飛び込んでいる。

 その場から少しは川の中を歩いたが、それも難しくなって林道へ上がる。その先は砂防
堰堤から水流が滝のように流れている場所で、林道沿いには不動明王の石碑がある。えら
く真新しい鮮やかな花が活けてあるなと思ったら、なんと造花なのだった。

鍋谷ノ滝へは神戸市水道局ポンプ場の取付け道へ

 石碑の辺りで沢山のハイカーが登って行ったのを見送ったが、清掃登山を行なっておら
れるらしく、川原の広くなった所でワイワイとやっている。それを見送って、神戸市のポ
ンプ場の建物に入る取付け道の車止めチェーンを跨いでから、右に分け入る踏み跡を辿る
と支谷が現れる。この辺りは案内標があるわけでもなく、初めて訪れた者には少し分かり
難い所。それも先達がいると安心、繁みにスイッと入って右の支谷。その支谷の奥から水
音を響かせるのが鍋谷ノ滝だ。二段に別れ、高さは20mくらいか。水量も豊富でなかな
か堂々とした滝だ。右岸の岩を登れば上の滝の全貌を見ることが出来、更に左岸に移って
心もとない足場を基点によじ登れば上の滝の釜に出ることが出来る。日陰なので、ひんや
りした涼しさがある。良く見ると右岸の岩からは踏み跡が上がっていて、長尾谷に出るこ
とが出来るそうだが、今の時季はとくにヤブっぽくなっているとの事だった。

鍋谷ノ滝は水量豊富でなかなか立派

 元へ取って返して林道に上がる。兵庫登山会の「マムシに注意」の標識があったが、ふ
と見た道脇の細い丸太にトグロを巻いている長物。標識通りマムシが現れたではないか。
奴さん、我々に驚いたか、そそくさと草叢に潜ろうとして動きを止めた。文字通り「頭を
隠して尻隠さず」を地で行くマムシである。(笑)

 なんだかんだといっても、秋は着実に歩んできているらしく、ヌスビトハギ、クズの花
が咲き始めている。蝉もミンミンゼミに混じってツクツクホウシの鳴き声が主流になりつ
つある。やや深くなった谷底へ降りる。ここも踏み跡があるだけ。くぐもった水音が聞こ
えてくるので、また滝があるのかと眺めると、所謂、ゴルジュ。幅は2mくらいだろうか。
ゴルジュの真ん中に水量豊富な滝があり、水音はその音だったらしい。不思議に思ったの
はその滝の水量に比べて、釜から流れ下る水量が少なく思えること。どうも伏流というか
水面下の岩の隙間から漏れる水量が多いのであろう。

逢山峡のゴルジュ

 谷川を渡る風が涼しいのでゴルジュの手前の川原で食事。皆さん、缶ビールを取り出す。
小生も保冷剤、凍らせたジュースで冷やした缶ビールを簡易クーラーから取り出すや否や、
プシュー!ゴクリ。ああたまらん。良〜く冷えとる。(^ε^)

 急遽オープンした居酒屋「N亭」であぶり物を賞味している最中、沢歩きをする団体が
通り過ぎる。いと珍しや、それも妙齢の女性多し。(^^; リーダーらしき男性に聞けば、
北神戸のモンベルの沢ツアーなのだった。結構、会費が高いのだけれど、若い女性も来る
んだなあ。ツアーに申し込もうかなぁ。少し赤い顔をして不謹慎な事を考える貴公子です。

 食事後はその辺りを探索して、一旦、林道に上がって適当な所で再び谷へ降りる。30
mも遡行すると今度は猪ノ鼻滝が現れる。これも上下2段の滝だが、こちらは滑るような
滝だ。ここも直径10m位の立派な釜を持つ。さっきのモンベルの一行が先着していたが、
引き上げた後、皆さんはここで再び泳ぎ始める。水中眼鏡をかけたSさん、デジカメで水
底を写す。ドンコのようなハゼの仲間が撮れている。防水デジカメ結構やるではないか。

猪ノ鼻滝にて

 猪ノ鼻滝を上から見下ろす形で猪ノ鼻小橋を渡る。今度は左手が茶園谷の谷川だが、す
ぐにその川端へ出る踏み跡がある。皆さんはそのまま上流へ進むが、長靴では進めそうに
ないので再び林道へ上がる。すぐに柴小場の砂防堰堤。堰堤上には立ち入り禁止なのだが、
失礼して鉄柵を回り込み、堰堤上から見下ろすと、皆さんがその下へやってくるところで
ある。堰堤はコンクリートの絶壁だから、見下ろすと○○が縮み上がるの分かる。やっぱ
り高所恐怖症は一生克服できないみたいだ。(^^;

 茶園谷に沿う道から左手の仏谷へ向かう道へそれると、砂防堰堤の為に堰き止められて
広場になったような場所がある。ここでもフサフジウツギが満開。この植物、六甲一円に
生息地を広げているようである。

 仏谷を遡行するには谷を渡った突き当りを右に行くようだ。そこに素朴な石が祀られて
いる。シキミが新しいので今でも熱心に信仰する人がいるらしい。その横の笹ッ原をまっ
すぐ上がる踏み跡もあるがこれは近道のようで、この時季、ササに覆われた踏み跡に歩く
人は少なく、歩けば気分の悪いクモの巣攻撃は必定だろう。って、そんな心配は無用、こ
んなクソ暑い最中、歩く人もいないだろう...。

 この広場でしばらく小休止したら林道を引き返す。まだまだ川原ではバーベキューを楽
しむ家族連れや若者のグループが多い。戻った駐車地にはズラリと駐車の列が出来上がっ
ている。下山時間が少し早かったので、谷上にあるファミレスに寄って、酒無しの反省会。
これもまた一興だ。(笑)

 9月の声を聞き、まだまだ日差しは強いが、風は一時の焼けるようなイメージはなくな
んとなく秋の気配が含まれているような。夏から秋へ、いつも一抹の寂しさを感じさせる
季節。
『面白うて やがて悲しき 鵜舟かな』 芭蕉
同行の皆さん。本日も有難うございました。



■同行 北山さん、スナフキンさん、なかいさん、もぐさん、レオンさん

【タイムチャート】
8:00自宅発
8:55〜9:40林道ゲート(駐車地)
10:30不動明王石碑のある堰堤
11:00〜11:20鍋谷の滝
11:40〜13:15ゴルジュ(昼食)
13:27〜13:55猪ノ鼻滝
14:30〜14:55仏谷取付きの広場
15:25林道ゲート(駐車地)


 逢山峡のデータ
【所在地】神戸市北区
【標高】400m〜450m
【備考】 裏六甲を代表する渓谷です。茶園谷や仏谷、長尾谷の流
れを集め、武庫川に注ぐ有野川の源流で、鍋谷ノ滝、猪
ノ鼻滝等の滝やゴルジュもあり、変化に富んだ沢歩きが
出来ます。また渓谷沿いの林道を歩くとシュラインロー
ド、小川谷を遡行して極楽茶屋へ出ることが出来ます。
【参考】
2.5万図『有馬』



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