安国寺のドウダンツツジ
 
平成18年11月26日(日)
天候:曇り
安国寺遠景



 十数年来続いている職場の古いメンバとの年に一度の蟹旅行。ついでにここ最近はその
機会を利用して、丹後や但馬の山に登ったり、温泉に寄ったりしているのだが、今年は但
東町の安国寺。小生も寡分にして知らなかったのであるが、このお寺については、過日、
裏庭にあるドウダンツツジの紅葉が新聞に掲載されたことで知った次第。そこで帰途、寄
ってみることにした。

 但東のシルク温泉の近くだと、粗々の当たりをつけただけでやって来ただけなので、シ
ルク温泉の標識に従って、まずは出石川にかかる橋を渡った突き当たりにある案内図を確
かめる。ところがこれがまた「けったいな」地図。普通、方向が書いてなければ上が北な
のだが、どうもそうではないらしい。安国寺が現在地より左に書いてある。ということは
...。左へ...。?。違うなあ。ええい、ややこしい。

 周囲の状況から考えてどうも左が北らしい。要するに突き当たりを右に曲れということ
らしいのだ。車をそちらに向け川沿いに進むと、小さな山を越えた向こう側は意外や平地
で田畑も広がり、そこそこ大きな集落がある。相田の集落のようだ。注意していると道路
脇に安国寺への小さな案内板が見つかった。それに従って細流沿いの狭い路地を20mも
行くと寺の駐車場。ここで少し驚いた。10台位は入る駐車場はほぼ満杯。後からもひっ
きりなしに車が入ってくるではないか。そうして高台にあるお寺からぞろぞろと人が出入
りしている。メディアの威力とは大したものだ。

 本堂の縁側に置かれた説明書きに拠れば、安国寺は室町時代に足利尊氏が平安と後醍醐
天皇の冥福を祈って諸国に建てた寺で、但馬に建てられたのがこの安国寺らしい。因みに
安国寺といえば、戦国後期に毛利の使僧で、後、秀吉に仕えた安国寺恵瓊を思い出すが、
彼が居たのは安芸の安国寺だ。この但馬の安国寺も当初は多くの塔頭を擁した大寺だった
とのことだが、度重なる火災で衰微し、今の臨済宗大徳寺派のこじんまりした末寺になっ
たという。しかし、それだけによく手入れが行き届き、訪れる者に清げな感じを与える寺
である。

本堂からドウダンツツジ

 もう盛りを過ぎて駄目かなとは杞憂に過ぎなかった。開け放たれた本堂に上がる。その
途端、パッと目を射る鮮やかな赤。裏に方丈池とでもいうのか小さな池があって、その上
が斜面になっており、そこに樹齢百年とも云われるドウダンツツジが枝を広げ、燃えるよ
うな紅葉を見せているのだ。その鮮やかさは、本堂の白壁が淡く朱色を呈していることで
も分かろうというものだ。壁に春秋の写真が貼ってある。紅の秋もいいが、白い壺状の花
がこぼれ、若緑したたる春爛漫もよさそうである。

 本堂を出て裏手の斜面の道を上がる。これは裏手にある歴代の住職の葬られている地へ
向かう道らしい。所々に置かれた石仏や祠の仏も地方色豊かで奥ゆかしい。崖上から見下
ろすドウダンツツジとそれを写してほんのり白壁がピンク色の本堂。これもなかなか絵に
なる風景であった。
裏の斜面からドウダンツツジ

 鄙びた土地にある清げな寺。いかめしい門も無く、入り口に置かれた寺名を彫った大き
な石のみが寺格を現している。拝観料、入山料が無料というのも何か嬉しいもの。それだ
け汚さずに拝観したいという気にさせる寺でありました。



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