豊中近辺の基準点気の向くまま

平成18年 6月25日(日)
【天候】雨
【同行】単独
一等水準点第469号の金属標


【水準点と復興基準点】
 6時頃に目覚めるともうパラパラと雨の音。午前中空が持てば何処か出かけようと思っ
ていた気分も、一気に萎えてしまった。仕方がない。またブラッと市内を巡ってみるか。
というわけで、今回も豊中近辺をぶらつく事になったのでした。

 地図を作る基となるもの、所謂、基準点と呼ばれるものは色々ある。代表的なのが三角
点。これは1ヶ月前の5月14日をもって、それまでの「島熊山」、「三本松T」を併せ
て、豊中市内にある三角点は一応、巡り終えた。だが、豊中にはその他に、復興基準点1
点と水準点なるものが4点置かれている。復興基準点は阪神淡路大震災で変動した三角点、
水準点を測量し直し、新たに500mから1km間隔に置いた高密度基準点の事である。ま
た水準点は端的に言えば標高を測る基準点のことで、国会議事堂前に設置された日本水準
原点なるものを基に、主要国道沿いに2km毎に置かれているそうだ。そこでこれらは一体
どんなものか見に行く事にした。

 まずは国土地理院のHPで水準点や復興基準点の位置を調べる。すると水準点の一つが
なんと自宅から眼と鼻の先にあるではないか。「第470号」。早速、自転車で出かけて
みた。場所は市域を南北に縦断する市道と東西を貫く府道の交差点から数m入った所。だ
が、それらしいものが見つからない。埋設法が地上、保護石3個となっているのだが...。
邪魔になるので地下に埋設されてしまったのか。見られぬとなればなるほど見たいのが人
情。一旦、家へ取って返して別の水準点の位置を調べる。そうして吹田の高浜神社前と豊
中の長興寺に設置されているのを確かめて、あらためて出直すことにした。

 高浜神社は次女が生まれた吹田済生会病院の近くの神社である。その鳥居の前に設置さ
れているというのだが...。傘を差しながら、胡散臭そうな周囲の目を他所に、行きつ
戻りつ探し回ったけれどこれも見当たらない。今度は埋設方法が「地下」となっているの
が災いしているのであろうか。これ以上うろついても仕様がない。三度目の正直を信じて
長興寺へ向かおう。

長興寺公園。水準点は木立の中

 ここも勝手知ったる場所。R176に近い所だ。まず、公園を探す。あった、あった。
レンタルの蔦屋の裏である。「水準点の記」記載の要図を確かめながら、電話ボックスと
ブランコからの線の交点付近を探すが今度もない。目の前にあるのは排水溝によくある簾
の子状になった金属製の蓋のみ。(三角点の様には行かんなあ)とつい独り言。しかし、
ふと、もしや...の気持ちが..。排水溝にしては浅くて水がなく砂まみれ。試しに蓋を
持ち上げると、あら?動くではないか。ヨッコラセイと持ち上げて足で砂を掻くと...。

 ありました。金属標識。国土地理院の刻印のある白い標識が。(冒頭の画像参照)
「ほう、こんなものなのか。」
市町村が置いている基準点と似た感じのものでありました。因みに、一等水準点bS69
の点の記に記載されている要図には誤りがある。公園の西側がR176となっているが、
そこは市道で、R176はその一筋西なのである。

 さて、この長興寺の水準点を探す上で一寸した余禄があった。公園から100m程南の
辻に古い道しるべが置かれてあったのだ。「右 みのを 勝尾寺山○ 左 池田道 施主
福杖講 嘉永己酉 春」。1849年、ペリー来航の時代。落語の「池田の猪買い」に出
てくる能勢街道から観音参詣道の別れに置かれたものらしい。今、居る所が古い能勢街道
なのだろうか。寡聞にして良く判らない。因みに勝尾寺を示す方向へ進むと旧山田街道に
出る。
嘉永年間に立てられた道しるべ

 次は復興基準点を見に行く事にしよう。千里中央公園は展望台のある高台から、豊中一
長いローラー滑り台ができた事もあって、娘が小さい頃は良く連れて来た所。尻が痛いし、
摩擦で熱くなるので、ダンボールを尻に敷いて滑ったものだ。その展望が千里八景の一つ
『新都市景観』として選ばれただけあって、高台にある展望台からは万博公園の太陽の塔
や観覧車、箕面連山が一望なのだが、驚いたのはヒラパーの観覧車まで見えたことだった。
復興基準点はこの展望台の最上階にある。しかし、残念ながら基準点は鍵が掛けられたフ
ェンスの向こうで、その実物を拝見する事は出来なかった。

復興基準点のある千里中央公園の展望台


【新設の三角点へ】
 こんな風に豊中の基準点を色々物色している過程で、四等三角点が新設されているのに
気づいた。残念ながら豊中市内にはない。(笑) しかしその中の一つが北摂霊園内に新
設されていることが分かった。その名もズバリ『北摂霊園』だ。箕面公園付近の三角点は
全部踏むことを信条?にしている小生、この際、ついでに行ってみる事にした。

 茨木に向かう府道を進むと、茨木高原カントリーへの分岐がある。例の石堂ヶ岡がある
ゴルフ場である。そのアプローチ道を過ごし、道なりに登りきると目の前に広大な北摂霊
園が広がる。標識に導かれて8区へ向かう。新たに広げられた墓地だろう、かなり高い。
路肩の広い部分に車を置いて、雛壇状に造成された墓地に付けられた階段を上がる。この
階段を登らせるのはお年寄りには少なからず酷。かなりの急傾斜で小生でもすぐに息が上
がる。それでも距離が短いので救いか。(笑) 30mほど登ると新しい東屋とベンチがあ
る。その角地に平成15年9月に設置されたという真新しい花崗岩製の標石と四個の保護
石が難なく見つかった。
新設四等三角点『北摂霊園』
右奥は一等三角点のある石堂ヶ岡

 景色は抜群。東屋の横に景観図まである。西には遠くに六甲。近くに鉢伏山から明ヶ田
尾山に続く山並み。北には天台山に妙見山。北東には北摂唯一の一等三角点のある石堂ヶ
岡のなだらかな稜線が起伏する。遥か下、府道が走る谷間からガスが湧き上がってくる。
鉢伏山から繋がる高圧電線に一羽のトビが羽を休めているのが妙に印象的であった。そん
な眺めを楽しんでいたら、突然、ワンワンと耳を聾するばかりの音量でスピーカが鳴り出
し、ビックリするやら、耳鳴りはするやら。なんと東屋の屋根にスピーカが取り付けてあ
るのだ。「車上荒らしに注意」とのことであったが、こんな所にスピーカがあったんでは
おちおち休憩もしていられないではないか。(笑)

 ゲート閉鎖は午後5時。そろそろ引き上げようか。
「お墓、見つかりまへんのか?」作業員のおじさんが声をかける。
「いえ、三角点を探しに来ましてん」
「?」
興味がないと何のことやら分からないだろうなあ。(笑)

 なんやかんや結構面白い半日。興味のない人には「無駄に何をやっているんだか」と思
われよう。でも小生の回答は
「たかが基準点、されど基準点」
なのです。



【タイムチャート】
計測していません


豊中市内の三角点のデータ
点名等級標高(m)所在地備考
加島三等
1.9
大島町3−380中央緑道
利倉三等
4.9
利倉西2−65猪名川公園横
三等
2.7
豊南町東1−68高川小学校内
箕輪三等
蛍池西町1−292再設中
桜塚三等
32.8
北桜塚4−47大曽公園内
島熊山四等
115.7
新千里西町2−4豊中市最高峰
三本松T二等
50.6
東寺内町13寺内公園内
FK740復興
101.7
新千里東町3−9千里中央公園展望台
瀬川三等
77.0
待兼山町1通称「待兼山」

☆『島熊山』については『豊中にもある三角点の山〜島熊山
☆『三本松T』については『豊中にあった二等三角点『三本松T
 を参照下さい
【参考】
2.5万図『伊丹』、『大阪西北部』          



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