北山涼線山歩〜佐々里峠から品谷山

平成18年 7月22日(土)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】別掲
品谷山の三等三角点が埋まる静かな山頂


 今年は梅雨がいっかな明けず、日照時間も例年より大分少ないのだそうだ。にもかかわ
らず、その高温多湿は半端じゃなく、もう日本は温帯モンスーンというより亜熱帯モンス
ーン地帯といっても過言ではなかろう。だからこの時期はいつも、低山を麓から登る気に
はなかなかならないという、低山徘徊を主とする者にあるまじき考えの持ち主になるのも
仕方がない。というわけで、この夏の時期はスタート地点の高度が500m以上ある所を
探すのだが、今回の出発地点は佐々里峠。ここから品谷山をピストンして菅原へ降りよう
という目論み。結果は予想通り乾いた涼しい風が吹いて涼味満点、文字通りの素晴らしい
山歩コースでした。

 今回も安く上げる為に、能勢の山越えで現地を目指す。走る事、約3時間弱。佐々里峠
には流石に1台の車もない。菅原へ車1台をデポしておいて出発する。この前に来た時は
タニウツギが咲き乱れていたものだが、今は種をつけ、代わりにトリアシショウマの白い
フワフワした花が主役になっている。

 例のOさんの山小屋の横が取り付き。ちゃんと尾根に上がる細い丸木階段道がある。濡
れた斜面を上がるとゆっくり立ち上がる尾根で、アップダウンを繰り返しながら徐々に登
って行くきれいな踏み跡が、尾根を忠実にトレースしてゆく。しばらくは右下に佐々里峠
越えの府道がちらちら見えている。所々にはアシウスギがブナやイワガラミを幹に寄生さ
せて聳えるように立っている。結構大きいのだが、赤崎の尾根でラビリンスを経験してい
る者にとってはあまり驚くほどでもない。慣れとは恐ろしいものである。

佐々里峠から品谷山への快適稜線へ

 ここ数日の雨の所為か、左の谷を流れる沢の水音がかまびすしい。やがて源頭近くにな
って、尾根直登コースとトラバースコースの分岐に出る。トラバースコースは沢の源頭を
まいて、左へ湾曲するのであるが、その辺りで水谷さんが素っ頓狂な声を上げる。なんと
沢の主の様なガマガエルが居たのだった。

 鹿除けネットがある尾根に出る。ここは右(東方向)に進まねばならない。何となく左
に折れてしまいそうになるから要注意地点だ。また、ここから佐々里峠へ下る場合も、目
印のテープが目立たないから見逃しがちであろう。

 さて、鹿除けネット沿いに200mばかり進んだ所だろうか。小さな高みがあって、そ
こがダンノ峠からの見覚えのある登路との合流点であった。小休止。あかげらさんから戴
いた凍ったグレープフルーツの差入れに舌鼓を打つ。少し汗ばんだ体も心地よい風にクー
ルダウンしたところで、西方向へ進路を変え品谷山へ。ここからは一度体験した道だが、
夏と秋ではまったく風情が異なる。すぐに866m標高点手前のピークで、佐々里峠から
のルートが上がって来ている。さっきの直登コースを進めばここに出てくるようだ。直ぐ
近くの866m標高点ピークにはそれを示す小さなプレートがあって、見覚えのある枯れ
たアシウスギの大木のある辺りまで、東の方角の展望が良い。

866mピークから東方向を見る。
中央はCa892mピーク

品谷山への快適稜線を往く

 小刻みなアップダウンを繰り返しながら尾根はほぼ真っ直ぐ西へ延びる。その先の品谷
山は、他の北山に属する山々と同様に独立峰という感じはなく、三角点がなければそれと
分からない山。展望もないがその分、静かな山だ。南へ30分も行くと品谷峠からスモモ
谷を経て廃村八丁で、秋にオフを催したことがある。更に北東方向にもテープがあるが、
こちらはどこに出るのであろう。ブナはここでも豊作だったと見え、沢山、殻が落ちてい
る。11時半。思い思いに陣取ってここで昼食タイム。

 来た道を戻る。フカフカの杉苔の生えた天然ベッドがある。男連中は全員、苔のしとね
にうっとり。心地よい風も吹いてきて、1時間くらい昼寝でもしたい心境である。

尾根筋に苔の天然ベッドが

 往路の分岐で東のダンノ峠へ向かう。ここも気持ちの良い尾根で、イワウチワの大群落
がある。以前からあった錆付いたドラム缶を右に見て、一気に南斜面を下る。コナラなど
の雑木が植林に変われば峠は間もなく。

 小休止を取って、左に折れて菅原へ向かう。数日来の長雨で、斜面を下る道は少々荒れ
ている。が、尾根道に出ればどうという事も無く、谷コースと尾根コースの分岐がある取
付きの林道分岐に降り立つ。皆さんはさっさと林道を行ってしまうが、小生は沢で顔を洗
う。「気持ちよかぁ〜」

 もぐさんの車はかなり奥まで入っていて、植林された杉林の中の空き地に入れてあった
ので楽チン。そしてスパッツを脱いだりして後片付けをしている時だった。
「これって、ヒルですよね」
意外に冷静なアカゲラさんの声。見ればタオルに、茶褐色の筋が3本ある正真正銘のヤマ
ビル。それも結構、デカイ。結局、被害はなかったけれど、靴を脱ぐ時は少々緊張。靴下
が血に染まっていないかと。(笑)

 佐々里峠に戻る途中、広河原の例の喫茶店でコーヒーブレーク。Oさんはやっぱり現れ
ていないそうである。

 佐々里峠には幾台かの車が止まっている。芦生方面へハイキングに行ったのだろう。今
日は些か早めだけれど、ここで解散。もぐさん達はこの後、日吉の温泉へ立ち寄ったらし
い。その帰途の事。カンゾウが咲き乱れているので、蕾を摘んで行こうと水谷さん。テン
プラにするとのことだが、小生は邪魔くさいので、さっと湯掻いて酢の物にしようと10
個ほど摘み取る。齧るとほんのり甘く、粘り気のある汁が出る。はてさてどんな酢の物が
出来るやら。後日談だが、これが結構いけるのである。小鉢にチョチョっとあるのがいい。
マヨネーズ和えもおつな物かも知れない。

 大阪に近づいて、またまた道草。R477沿いの能勢の、昭和30年代まで造り酒屋だ
ったという酒屋さんで冷酒を買う。なんとこの酒屋さん。店先にホップが植わっていた。
初めて実物を見るホップの実。嗅ぐとビールの匂い。いやいやこれは逆かぁ。ビールがホ
ップの匂いがするのだ。(笑)

 そんなこんなで、5時頃、帰宅。稜線上を涼線山歩。からっと爽やかな北山でした。

■同行 あかげらさん、水谷さん、真心職人さん、もぐさん(五十音順)

【タイムチャート】
7:00桃山台西ロータリー(集合地)
9:40〜10:05佐々里峠(駐車地)
10:38鹿ネットのある尾根
10:46〜10:53菅原コース分岐
10:55〜10:57佐々里峠直登・直降コース出合い
11:05〜11:10866m標高点峰
11:30〜11:55品谷山(880.7m、二等三角点)(昼食)
12:22866m標高点峰
12:26〜12:30佐々里峠直登・直降コース出合い
12:50〜12:55ダンノ峠
13:18沢道、尾根道分岐(取り付き)
13:22広河原菅原町(車デポ地)



品谷山のデータ
北山秋色〜品谷山から廃村八丁』を参照下さい
【参考】2.5万図『上弓削』、『中』   



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