名前に惹かれてお菊山
 
平成18年 1月29日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独
殿尾山からお菊山方面を望む

 久方ぶりのポカポカ陽気。本来ならワッと繰り出すところであるけれど、2つ3つ候補
があるものの、どうにも気合が乗らず。ぐずぐずするうちにもう9時だ。このままじゃ昼
過ぎにまた後悔するのがおち。兎も角、ドライブがてら出掛けよう。ほぼ1ヶ月ぶりの車
での山行。とりあえず決めた目的地は紀泉の里山「お菊山」。

 ちょっと名前に惹かれたこともあるけれど、阪和道泉南ICから和歌山県側へ数km走れ
ばいいだけと、何せ交通の便がいいのだ。ICを出た所でコンビニを見つけ、食料を調達
し、南に向けて出発。府道を淡々と進む内に、あれ?何時の間にやら和歌山県。取り付き
を見過ごしてしまったようだ。道の駅「根来さくらの里」でUターンする。それにしても
意外に和歌山が近い。道理で交通量が多いはずだ。

 「紀泉わいわい村」の案内標識に従って、狭い村道風の道に折れる。「わいわい村」の
標識を探すよりも、仏国の某ブランドと同じ名前のラブホの看板の方が判り易い。 (^^;
クネクネと登っていくと灌漑用に建設された堀河(ほりご)ダムに出る。ダムが出来てみ
んな立ち退いたのかと思いきや、湖畔に点々とまだ民家があるのだった。

 堀河谷に架かる橋を渡った先に駐車場があったので、とめさせてもらうことにした。開
門時間は9時から5時、わいわい村とある。がらんとしただだっ広い駐車場には小生の車
以外には、犬の散歩に来ているジモティらしい小父さんの車だけ。こっちからは誰も登っ
ていないのか知らん?

 さて、どっちから登ろうか。何も決めていない。とりあえずササ峠からと決めて、わい
わい村の方へ向けて歩き出す。近畿自然歩道に指定されているらしく、案内標識が立って
いる。しばらくすると喚声が聞こえてきて、藁葺きをトタンで覆った農家風の建物が並ん
でいるのが目に入る。わいわい村のようだ。帰宅後に調べたところに拠れば、里山体験が
出来る施設で五右衛門風呂にも入れるという。子供の頃、お袋の田舎で入った覚えがある。
兎に角浮いた板に乗るのが怖かった覚えがあるが、何だか懐かしくてまた入りたくなった。

里山体験が出来る紀泉わいわい村

 「ボンデン山の展望台へ」というわいわい村の道標がある分岐を見て、谷沿いに直進す
る。右手はシダの繁茂する土手。10分ほども歩くと徐々に左のお菊山の山並が低くなっ
てきて、谷も狭まり、道も舗装がなくなって地道に変わる。霜柱がサクサクと音を立てる。
金属製の橋を渡ると、またボンデン山へと書かれた木のプレート。これは地形図にある点
線路だろう。周囲は笹薮。左に折れて堀河谷の上流の沢を渡ると、ようやく登りの道にな
る。今までの日陰の暗い感じから、一転、明るい日に当たる雑木林となって気分も和む。
感じのいい山道を進んでまもなく、行き先標識が林立するササ峠だ。別名ラッキーリング。
どこがラッキーだか?と萌木さんのHPにもあったが、同感。でも、狭いが峠らしい雰囲
気はある。右は城ヶ峰へ、直進すれば稲倉池。お菊山へは左に折れる。石混じりの急登を
一気にこなすと、泉南岬線bV4の鉄塔のある台地である。振り返ればボンデン山のパラ
ボラ中継施設が大きい。
ササ峠(別名ラッキーリング)。右は城ヶ峰、
直進は稲倉池、左がお菊山方面


 予想以上にいい道。枝道も多く、尾根には必ず道が付いている感じ。これもマツタケ山
の成せる業であろう。そうしてゆるゆると高度を上げていくと、林の陰にちらちらと派手
な色彩が動く気配。近づくと二人の自転車兄さん。丁度そこは大山分岐に当たる場所であ
る。例によってしばらく立ち話。この辺りのことを良くご存知である。休日ごとに走り回
っているとの事。残念ながら、播磨のSさんのことはご存じなかったみたい。(^^; 折角
なので大山の三角点を見に行くことにし、お二人と別れる。

 ウバメガシ、ソヨゴ、ヤブツバキなど常緑樹が目立つが、ここにも明快な尾根道が付い
ている。1箇所、窓のように開かれて、泉州方面が見渡せる場所があるぐらいで、概して
林の中。数分で四等三角点に着く。常緑樹に囲まれた見通しが悪い小さな切り開きだが、
まだ北へ下る道が続いていて、上之郷の滝ノ池に降りて行くようであった。

 引き返すと、もう自転車兄さんはいない。一度、ササ峠に戻る感じで折れて殿尾山方面
に向かう。距離は750mとプレートが示す。

いい山道が尾根についている

 「10/1から11/30までマツタケ山に付き、立入禁止 山主」
こんな看板がやたらぶら下がっている。そしてお決まりのPPテープ。これ、紫外線に当
たるとささくれるように分解して、見た目が非常に汚くなる代物である。それが延々とあ
るのに少し辟易する。自転車兄さんも言っていたが、シーズン中に山に入ろうものなら2、
3人のおっちゃんに追いかけられるのだという。ブルーシートで囲われた監視小屋らしき
掘っ立て小屋もある。確かに松の木が多いけれど、今もそんなに採れるのだろうか?ある
看板にはなんと「罰金百万」とあった。(笑)

 殿尾山の山頂は道から10mほど離れて、小さなプレートのみの僅かな広場。ガイドに
は岩峰とあったが、その片鱗は露岩の埋まる西の斜面のみで、とても岩峰といえるほどの
代物ではない。それでも露岩の斜面からの西の展望はよく、泉州方面や大阪湾、関空に飛
来する旅客機、お菊山の高原状の山並が見渡せる。ちょうど頃合いだ。小さな露岩に陣取
って、ここで食事としよう。

 露岩の斜面を下るとまもなく多奈2火力線bU1の鉄塔のある小ピークで、新滝ノ池ル
ートの出合いがある。左に折れると、小刻みなアップダウンを繰り返して、やがてbU0
の鉄塔下である。あいかわらず遊歩道のようないい道で、繁みの蔭に泉南方面がちらちら
する。その内、小さな登りとなり、犬の鳴き声が聞こえてきた。野犬かなとトレッキング
ポールを握り締めたが、何のことはない、犬連れのご夫婦が食事中なのだった。(^^;

 ところで、『於菊松』の三角点はこの辺りのはず。見れば左(南)方向が少し高く、そ
ちらに向かって踏み跡があり、30mほど辿ってみる。すると予想通り、大山にもあった
ような石碑に似た石の横に三角点がひっそりとある。展望は全くない。

三等三角点『於菊松』

 元へと返して一旦下り、登り返すと裸地が現れ、ここからも見事な展望が得られる。そ
こからすぐの所で「青少年の森」からの道が合流していて、標識にはお菊山まで1km17
分とある。この辺りはもうほとんど平坦な道で、本当におよそ15分でお菊山に着いた。

 ここは良く手入れされた広場になっていて、ベンチも置かれ憩うのに良い所。ベンチに
ザックを置いて小休止。目の前には「烈女菊姿見の遺蹟」と刻まれた立派な石碑。裏には
昭和46年6月 南海町とある。お菊は勿論、番町皿屋敷のお菊ではない。(笑) 大坂夏
の陣の頃、密書を持って大坂城へ使いするみぎり、この辺りの大きな松の根元で男に姿を
変えて無事届けた後、戻る所を徳川方に捕まり、助命される所、自ら死を乞うたという勇
ましい女性。そんなわけで「お菊松」と地形図にもあるからどんなものかなと思ったら、
先代は枯れて、代わりに細い若木が植わっているのだった。何だか熱海のお宮の松みたい
であるなぁ。石碑の裏側に立ち、切り開かれた北方を眺める。小富士山らしき盛り上がり
と、「ほんみち」の宗教施設が見える。

お菊山山頂の顕彰碑。左が「お菊松」
棒状の枯れ木が初代のお菊松か?

 お茶で一息ついたところで、さて、林道近くにあるもう一つ三角点にタッチしなければ
ならない。お菊松のすぐ西には堀河ダムへ降りる道が分岐している。三角点と林道はこっ
ちなのかと下りかけたが、どうもおかしい。戻って、新家方面へ下る道をしばらく進むと、
案の定、高倉林道と新家駅との分岐を示すオフィシャル標識があった。

 林道方向へ進むと、まもなく西に開けた裸地。その裸地に四等三角点『於菊山』。ここ
からは雲山峰や大阪湾方面が見晴かせる。10m程の急斜面の下には舗装林道が見える。
それにしても、『於菊松』、『於菊山』、『お菊山』同じような名前が3つもあって、や
やこしい所であるわい。(笑)

 後は林道をポクポクとのんびり。舗装は峠部分だけですぐに地道になる。ここにもマツ
タケ山に付き入山禁止の標識が夥しい。そして、この大型ゴミの多さはなんだ。このマナ
ーの悪さ、何とかならないものだろうか。まあ、それはさておき、ダム湖の水面が垣間見
える頃、時折、ボンデン山が顔を覗かせるようになり、グルッとUターンするように下れ
ば、意外に早くダムの周回道路に飛び出した。横の家は「堀河ふるさとの家」とある。そ
うして、T字路の突き当たりにちゃんとお菊山への標識があり、車を置いた駐車場もすぐ
目と鼻の先であった。
高倉林道。左が「堀河ふるさとの家」

 相変わらず、ほとんど車がない駐車場。目の前のお菊山の山並を眺めながら、湯を沸
かし、熱いコーヒーを一杯飲んで山行を締める。帰りは「根来さくらの里」に寄り道し
て、八朔と地卵を買って帰る。これは安かった。(^^/ 静かな里山に遊んでもらったぽ
かぽかの1日でした。


【タイムチャート】
9:20自宅発
10:35〜10:50紀泉わいわい村駐車場
10:55わいわい村横
11:22〜11:23ササ峠
11:28高圧鉄塔(泉南岬線bV4)
11:40〜11:41大山分岐
11:46〜11:47大山(383.2m、三等三角点)
11:53大山分岐
12:08〜12:34殿尾山(Ca350m)(昼食)
12:36348m標高点(新滝の池ルート分岐)
12:44高圧鉄塔(多奈2火力線bU0)
12:55〜12:56点名『於菊松』(354.8m 三等三角点)
13:00泉南青少年の森ルート分岐
13:15〜13:20お菊山(納経山 320m)
13:30高倉林道・新家分岐
13:35点名『於菊松』(286.1m 四等三角点)
14:00車道出合
14:05紀泉わいわい村駐車場


お菊山のデータ
【所在地】大阪府泉南市
【標高】320m
【備考】 三峰山、城ヶ峰、ボンデン山と続く和泉山脈の主脈から
派生した300m〜400mの高低差の少ない支脈中に
あります。この付近はあまり特徴のない小ピークが並ん
でおり、その内、「烈女菊」の顕彰碑がある納経山を「
お菊山」と呼んでいますが、付近には三等三角点『於菊
松』(354.8m)、四等三角点『於菊山』(286
.1m)があります。尚、10/1〜11/30 はマツタケシー
ズンで、入山は控えた方が無難です。
【参考】
2.5万図『岩出』、『樽井』



   トップページに戻る

inserted by FC2 system